第十八章:中国共産党のグローバルな野望
内 容 |
序文 |
1.中国共産党の野望―アメリカに取って代わり、世界を支配する |
2.中国共産党の世界支配戦略 |
3. 中国共産党式の「超限戦」 |
4.「中国モデル」とその破壊的な影響 |
5.課題と解決の糸口 |
序文
20世紀初頭、ソビエトの共産主義が暴力的に起こしたロシア革命は、共産邪霊がさらなる舞台をお膳立てするための布石だった。舞台の主役は、もちろん中国共産党である。
1921年、共産主義インターナショナル(コミンテルン)極東支部が中国共産党を設立した。その後数十年間、欧米の民主陣営と対立し、冷戦という世界の表舞台で主役を演じたのはソビエトだった。欧米諸国はソ連と東欧衛星国を共産主義陣営とみなし、敵として警戒した。一方、中国共産党はその間に政権樹立と成長の時間を十分に与えられた。
1991年、ソビエト連邦が崩壊し、世界の表舞台には中国共産党のみが残った。中国共産党は正面衝突を避ける全く新しいアプローチを取ることにした。自国の市場経済を開放して諸外国を惹きつける一方、専制政治を死守するという作戦である。そのため、多くの欧米の専門家や政治家、ビジネスマンたちは、中国共産党を共産党とは認識せず、むしろその変種くらいにしか見ていなかった。
しかし、彼らの認識は事実とかけ離れていた。中国共産党は共産主義の特徴である虚偽、悪意、闘争というイデオロギーを頂点に据え、数千年間人類が蓄積してきた最も有毒で狡猾な、あらゆる政治的陰謀を繰り広げた。中国共産党は人々を利益で誘惑し、権力で支配し、嘘で騙した。その悪魔的な技は、すでに頂点を極めた。
中国には五千年の歴史に育まれた壮麗な伝統文化がある。人々は先人の国土を敬い、世界はその遺産を称賛した。一方、中国共産党はこの中国に対する人々の憧れを利用した。中国共産党は政権を掌握した後、「中国」と「中国共産党」という言葉の概念を混乱させた。中国共産党は、中国の「和平崛起」(平和的な台頭のこと)を掲げ、真の動機を国際社会から隠ぺいすることに成功した。
しかし、中国共産党の本性が変わることはない。共産党の経済戦略とは、単に「市場経済」から栄養を吸収し、自身の社会主義体制を強化することである。中国共産党の真の目的は中国の繁栄と成功ではなく、その支配を安定させて野望を実現することである。【1】 実際、中国共産党は基本的な倫理や普遍的価値観を全く無視している。
人類が築いてきた国家は、先人の智慧と彼らの神々に対する信仰の上に成り立っている。人類は創造主から与えられた行動基準、つまり高い道徳的気質、私有財産の権利、普遍的価値観を守るべきである。社会の経済発展は、それに見合った道徳基準によって支えられる。
しかし、中国共産党が率いる中国は全く反対の道をたどった。中国は露骨に道徳の堕落を奨励しながら、猛スピードで経済発展を遂げた。共産邪霊が中国の「経済の奇跡」を按排した理由は単純である。経済力がなければ、中国共産党が世界を口説いて影響力を行使することなど不可能だからだ。邪霊の目的は中国や中国人に利益をもたらすことではなく、単に人々を拝金主義に仕立てるためであり、そうすれば国際社会は経済や国際問題において中国共産党に協力するようになるからだ。
一方、国内において、中国共産党は市場経済システムの最も冷酷な部分を使って人々を支配した。悪党に報酬を与え、善良な人々を罰し、最も狡猾な悪人を成功者と褒めたたえた。中国共産党は人間の悪の部分を増長させ、無神論を利用して人々が良心の呵責も感じなくなるほど堕落することを促した。
海外において、中国共産党は「中国式社会主義」(つまり共産主義)を宣伝した。潤沢な経済利益に釣られた自由社会の人々は警戒心を解き、道徳的な信念を放棄し、中国共産党による人権侵害や宗教弾圧にも目をつぶった。多くの欧米の政治家や企業家たちは経済利益と引き換えに良心を裏切り、中国共産党に協力した。
欧米諸国は中国共産党の平和的な変革を願い、それを助けようとしていた。中国はもちろん表面的にはかなり現代化し、西洋化したが、その根底にある本性は全く変わっていない。過去数十年間、中国共産党はアメリカの道義的責任に泥を塗り、国民の意志をドブに捨てた。
中国共産党は共産主義の主要な武器であり、全世界の脅威である。共産邪霊が中国共産党のグローバル化を進めた理由は、その毒素を世界の隅々にまき散らし、人々が伝統や神々に背くようにするためである。たとえ共産党による世界支配が成功しなかったとしても、その根底にある真の目的、つまり人々の道徳を腐敗させることはできる。人々を経済利益で誘惑し、債務の罠をしかける。政治制度に浸透し、軍事力で脅し、プロパガンダで混乱させるのである。
われわれは最大の危機に直面している。従って、中国共産党の野望、戦略、陰謀、目的を詳細に検証する必要がある。
1.中国共産党の野望―アメリカに取って代わり、世界を支配する
a. 中国共産党は常に世界支配を目論んでいる
中国共産党は地域的な覇者で満足することはなく、世界支配を切望している。それは同党の独裁性という生来の性質上決められている。中国共産党の本性は天、地、伝統に逆らう。「旧世界」を破壊するために暴力に訴え、「人類を解放する」という偽りの目標のために、すべての国家と階級を破壊する。その不変の使命は、世界が共産主義イデオロギーによって支配されるまで永続的に拡大する。共産主義の教義と実践は、まさに「グローバル化」である。
しかし、かつては伝統文化が根強かったため、共産主義は緩慢で遠回りのアプローチを取ることにした。ソビエト連邦のスターリンは「一国社会主義」を主張した。一方、最近の中国共産党は「中国式社会主義」を掲げている。
各政党が権力を共有しながら政権を循環させる欧米式民主主義とは異なり、中国共産党には絶大な権力が集中する。従って、同党は10年から100年という長期的な戦略計画を練ることができる。
1949年の政権樹立直後、中国共産党は「イギリスを超え、アメリカに追いつく」というスローガンを掲げ、大躍進へと突進した。大躍進政策は破滅的な失敗に終わり、後に国内的にも対外的にも不利な情勢が続いたため、同党はその後数十年間、低姿勢を続けた。
天安門事件の後、世界は中国共産党を厳しく批判した。当時、同党は世界情勢を読み、アメリカと直接対決する段階ではないと判断した。同党は世界の舞台で目立つよりも、まずはその強みを隠し、時を稼ぐ道を選んだ。それは中国共産党がその目標を変えたからではなく、時期や状況によって異なる戦略を使うことにしたからである。同党の目標は常に世界の覇権である。
共産邪霊のやり方は、古代中国の「明修桟道、暗渡陳倉」(偽装工作と奇襲をあわせる戦術のこと)である。最初に共産主義政権をソ連に樹立したが、その真の目的はソ連に中国共産党を育てさせ、成熟させることだった。
b. 世界支配に必要なのはアメリカの打倒
第一次大戦後、最強の国家として世界秩序を維持してきたのはアメリカである。この秩序を覆したい国は、まずアメリカを打倒しなければならない。従って、中国共産党の戦略は、必然的に打倒アメリカである。中国共産党がアメリカに対する総攻撃の準備を怠ったことはない。
マイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)は著書『The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower』(仮題:100年マラソン―アメリカに代わり世界覇者となる中国の秘密戦略)の中で、中国がアメリカ主導の世界の政治経済を覆し、共産党誕生100周年を記念する2049年までに、共産主義による世界支配を目標とする長期戦略を持っていると指摘する。ピルズベリーによれば、中国国防大学製作のプロパガンダ番組「較量無声」(声なき戦い)に、アメリカに対峙する野望が明確に示されている。中国共産党が世界を支配するという「大儀」は、「必然的に世界の覇権国家であるアメリカに対する継続的な闘争」であり、「これは100年単位の競争であり、人間の意志で変化するものではない」【2】
中国共産党のグローバル戦略は対アメリカに焦点を置いている。ペンシルベニア大学教授で中国専門家のアーサー・ワルドロン(Aurthur Waldron)は2004年の上院公聴会で、人民解放軍(PLA)は反米オペレーションを展開する世界で唯一の軍隊だと述べた。【3】 実際、PLAはもとより、中国共産党の外交政策や国際活動のほとんどは直接あるいは間接的に反米である。
c. アメリカを転覆させ抑制する中国共産党の多面的戦略
中国共産党の世界制覇の特徴は、包括的なアプローチである。イデオロギー的にはアメリカやその他の自由民主社会と対立する。経済的には強制的な技術移転や知的財産の窃盗でテクノロジーの差を埋める。軍事的には南シナ海などで「超限戦」を繰り広げ、対アメリカを意識したオペレーションを行う。一方で、北朝鮮やイランを含む、ならず者国家を支援し、アメリカやNATO(北大西洋条約機構)を脅かす。
外交的には、中国共産党は「戦略的辺疆戦略」と「一帯一路」を推進する。中国共産党は周辺国からヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、ラテンアメリカへと影響力を急速に広げ、アメリカを排除しつつ中国主導型の一大経済圏を樹立しようとしている。
中国共産党の戦略は多面的である。1996年に上海協力機構を立ち上げ、2015年にアジアインフラ投資銀行を設立し、また2012年に東欧諸国との経済活性化を目指す「16プラス1」を組織した。ブリックス(ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ)との協力体制を強調し、人民元の国際化を積極的に主張している。また、同政権は(5Gネットワークのような)産業基準を構築し、トレンドを支配しようとしている。
中国共産党は欧米諸国の報道の自由と民主主義を濫用し、統一戦線、プロパガンダの拡散、諜報活動を展開している。これは全て、アメリカを可能な限り操作し、内部から崩壊させることを目的としている。
典型的なやり方は、アメリカの政府高官、国会議員、外交官、退役軍人などに賄賂を渡すことである。経済利益でアメリカの資本家を操り、ロビー活動を通じて米政府の対中政策に影響を与える。ハイテク企業に対しては、中国共産党のネット検閲システム「グレート・ファイアー・ウォール」に協力するよう圧力をかける。海外の中国人コミュニティーに対しては、中国スパイになることを強制あるいは奨励し、欧米のシンクタンクや研究所に潜り込ませる。スパイは敏感な問題の議論を操り、研究所に中国共産党を擁護するような立場を取らせる。中国共産党の支配下にある中国企業はハリウッドの重要なスポンサーである。
さまざまな国に影響力を及ぼしながらアメリカをけん制する一方、中国共産党はアメリカ国内で強固な地盤を築き、内部から崩壊させることを狙っている。アメリカ国内に広範なスパイ網を張り巡らし、アメリカ社会を分断させ、国内不安をあおるのである。
d. 反米をあおり、対米戦に備える中国共産党
中国共産党のイデオロギーは憎悪を原動力としている。同政権が焚きつける愛国心は、反日、反台湾、反チベット、反新疆、反宗教団体、共産党に反対する人々、そして最も顕著なのは反米である。中国人のネットユーザー曰く、「小さい問題ならば日本を叩き、大きな問題ならばアメリカを叩く」。つまり、外国勢に対する憎悪を掻き立てることによって国内の不満を鎮め、危機を乗り越えるという手法である。
中国共産党はかつて何度もアメリカを友好国と認め、その民主制度を称賛していた。しかし、いったん政権を掌握すると態度を豹変させた。当時、中国人は歴史に翻弄され、国家は極度に疲弊していた。中国共産党は富強を望む人々の心につけ込み、アメリカやその他の国家に対する憎悪を掻き立て、自身が中国を救済すると宣伝した。
実際、中国共産党は中国人の生死など気にしていないし、中国の領土保全や持続可能な経済発展などもお構いなしである。中国共産党がいかに中国人を迫害してきたのか、中国の主権を裏切り、中国の道徳と伝統を踏みにじり、中国の将来をムダにしたその邪悪さをみれば、それは明らかである。
外国勢に対する憎悪を掻き立てることで、第一に自身を救済者と名乗り、暴虐な支配を合法化できる。第二に、市民の愛国心を刺激しておけば、危機に面した時に大衆の目を逸らすことができる。第三に、同党の領土拡張の野心的な計画は近代の恥辱を「修正するため」とし、支持を得ることができる。第四に、憎悪を利用して将来の戦争に必要な心理的準備を整え、民衆が残虐な行為に対して麻痺するようにする。
中国共産党は若い世代を反米教育で洗脳し、アメリカを抜き世界を支配するための道具としている。時期が来たら、中国の若者を使ってアメリカやその同盟国にさまざまな形で浸透し、彼らを武装攻撃や超限戦、あるいは核戦争にまで参加させる。
9.11同時多発テロ直後に中国の若者が歓喜していたのを見れば、中国共産党のプロパガンダ戦略が功を奏していたのが分かる。中国の政治・軍事フォーラムでよく聞かれるのは、「中国とアメリカは戦争しなければならない」という感情的な発言である。これも中国共産党が人々を洗脳し、アメリカへの敵対心をあおることに成功した一例である。これは長期的な、戦争への緩慢な動員であり、中国共産党による入念な計画が系統的に実行されているのである。
中国共産党のヘイト・プロパガンダは中国の国境に留まらない。中国共産党は国際社会で公然とならず者政権やテロ組織を支援し、経済援助、武器、設備、戦略的な訓練、大衆の支持を与え、アメリカを敵視させる。中国共産党は反米諸国の枢軸として、グローバルに反米勢力を操っているのである。
e. すでに中米関係の意図を隠さない中国共産党
2008年、アメリカが経済危機に喘いでいる頃、中国は歴史上最も贅沢なオリンピックを開催した。繁栄という名の衣装をまとった同政権が世界の表舞台に立った瞬間である。当時、グローバル化の波に押され、国内の製造業が衰退していたアメリカは中国に助けを求めた。中国共産党メディアは「アメリカは中国から借金をして生存している」「アメリカは衰退の一途をたどっている。中国がアメリカに取ってかわる」と盛んに報道した。実際、すべての官製メディアは似たようなニュースを報道し、欧米メディアや学者間でもそのような意見が頻繁に聞かれるようになった。
2008年以降、アメリカの軍事・経済は衰退し、政権は不安定になった。アメリカは国民皆保険(ユニバーサルヘルスケア)、社会保障、気候問題、環境監視の拡大を進め、伝統的な製造業に対する規制を行った。グリーンエネルギー産業はメイド・イン・チャイナの製品に押され、アメリカの製造業は引き続き空洞化した。中国による不正な商取引や知財窃盗が横行した。
この流れの中で、人々は中国が上昇し、アメリカは沈下しているという見方を受け入れた。アメリカの軍事費が大幅に削減され、外交的立場が弱くなった。政治的には社会主義イデオロギーが台頭し、社会の分断が広がった。民主主義は政党論争ショーとなり、アメリカの政府機関は何度もストップした。中国共産党はこの混沌状態と自身の中央集権型全体政治を比べ、アメリカの民主主義を嘲笑した。
2010年、中国は日本を抜いて世界第二位の経済大国にのし上がった。2014年、世界銀行は購買力平価説に基づけば中国のGDPはアメリカを超えた可能性があると指摘した。【4】 米中のパワーバランスが変化し、アメリカの衰退が既に確実であると睨んだ中国共産党は、爪を隠し時を稼ぐという以前の戦略を止めた。その代わりに、同党は公にアメリカ主導の国際秩序を奪う戦略に変えた。中国共産党は公式に、臆面もなく「中国の夢」という拡張主義をメディアや専門家を通じて主張し始めた。
2012年、中国共産党は第十八回全国代表大会で「人類運命共同体」という概念を提言した。2017年、同党は各国の首脳を招き、古代の朝貢外交さながらの演出で世界政党対話会を開いた。中国は公に「中国式の」共産主義を全世界に輸出しようとしている。
中国共産党の野望は「中国モデル」「中国の計画」「中国の智慧」というスローガンのもと、世界を先導して同党のルールに沿った新世界秩序を樹立することである。同党は各方面で入念な準備を何十年も行ってきた。もし世界秩序が樹立されたらならば、同党は恐るべき新たな悪の枢軸となるだろう。それは、第二次世界大戦で連合国と戦った枢軸国よりも手ごわい相手である。
2. 中国共産党の世界支配戦略
a. 「一帯一路」はグローバル化の仮面をかぶった領土拡大
注目を集める「一帯一路」
2013年、中国共産党は公式にシルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロードという構想を発表した。通称「一帯一路」である。これは中国政権が数兆ドルを投資して多くの国に橋、鉄道、空港、エネルギー設備などを建設する広域経済圏構想で、インフラ投資計画としては史上最大規模といわれている。
「一帯」とはシルクロード経済ベルトを指し、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパとバルト海、また北西中国から中央アジア、西アジアからペルシャ湾と地中海、さらに南西中国からインドシナ半島を通り、インド洋を繋ぐルートである。
「一路」とは21世紀海洋シルクロードを指す両面作戦である。一つめは中国の港湾から南シナ海を繋ぐルートで、マラッカ海峡を通り、インド洋を経由してヨーロッパに続く航路である。二つめは、南太平洋に向かうルートである。
陸上を繋ぐ「一帯」は、6つのルートから成る。中国―モンゴル―ロシア経済ルート、新ユーラシア大陸橋、中国―中央および西アジア経済ルート、中国―インドシナ半島経済ルート、中国―パキスタン経済ルート、そしてバングラデシュ―中国―インド―ミャンマー経済ルートである。
新ユーラシア大陸橋は中国とヨーロッパを繋ぐ中国高速鉄道である。中国―ヨーロッパ間は海路で30日以上かかるが、鉄道では10日間である。中国高速鉄道は2011年に開通し、一帯一路の重要なルートとなっている。
中国パキスタン経済回廊は両政府による共同プロジェクトで、中国・新疆ウイグル自治区カシュガルとアラビア海に面するパキスタンのグワダル港までを結ぶルートである。グワダル港は世界の40%の原油が運ばれるホルムズ海峡に近い重要な拠点であり、中国は2013年に同港湾の管理権を取得している。
「一路」とは、いくつかの戦略的な港を建設し、グローバルな海路の支配をめざす構想である。経済の発達した国には中国企業が資本参加あるいは共同起業(ジョイント・ベンチャー)という形で参入し、貧しい国に対しては中国政府が巨額の資本を投じ、港湾の管理権を取得する。
2013年、中国企業は少なくとも17の港や空港の管理権を取得した。招商局港口控股有限公司(China Merchants Port Holdings Company Limited)は、フランスのTerminal Link SASの株式の49%を取得した。この投資により、招商局港口控股有限公司は4大陸8カ国の15の港湾とターミナルの管理権を得た。【5】
上記の港湾とターミナルに含まれるのは、ベルギーのアントワープとゼーブルッヘ、エジプトのスエズ運河コンテナ・ターミナル、トルコのクンポート港、ギリシャのピレウス港、シンガポールのパシルパンジャン港、ヨーロッパの玄関口と呼ばれるオランダのユーロマックス・ターミナル・ロッテルダム、アラブ首長国連邦のハリファ港第2期コンテナ・ターミナル、イタリアのヴァード港、マレーシアのクアンタン港、東アフリカのジブチ港、パナマ運河である。
巨額な投資の他に、一帯一路に付随するのは債務の罠である。これによって中国共産党は戦略的な拠点を支配する思惑がある。2017年、多額の負債を抱えたスリランカは99年間のハンバントタ港の管理権を中国企業に譲渡した。
2018年、中国共産党はインターネットのインフラ構築を狙ったデジタルシルクロードの建設に着手した。デジタルシルクロードは一帯一路の発展段階に現れたプロジェクトで、光ファイバーのインフラ、デジタル情報サービス、国際通信、電子商取引(Eコマース)などを含む。
一帯一路の多くの参加国には、整ったクレジット制度が存在しない。中国共産党は自身のEコマースや電子決済サービス(アリペイなど)をそれらの国々に導入し、欧米の競合会社を完全に遮断しようとしている。中国国内のネット監視システム「グレート・ファイアー・ウォール」も一部の参加国に輸出している。
中国共産党による戦略の規模は、世界のインフラ建設をみれば分かる。ニューヨーク・タイムズ紙2018年11月の報道によると、中国共産党は40本以上のパイプライン、その他の石油やガスのインフラ、200以上の橋、鉄道、道路、およそ200の原子力発電所、天然ガス、石炭、再生可能エネルギー、また数々の大きなダムを建設、または建設中であるという。同党は一帯一路の一環として112カ国に融資を行った。中国共産党の触手は世界中に伸びている。【6】
一帯一路の発展と共に、アメリカに代わって世界の覇者になろうとする中国の野望も大きくなった。人民元の国際通貨化や自国のクレジット制度を積極的に推進し、中国製通信機器(5Gを含む)と高速鉄道を多くの国々に導入させようとしている。その目的は、現在の欧米基準とは異なる中国共産党の基準を構築することである。
世界に拡大する「一帯一路」
一帯一路の初期段階は周辺国に焦点が置かれ、後にヨーロッパへと拡大した。その後、同プロジェクトはアフリカ、ラテンアメリカ、北極海に到達し、全世界に及んだ。一方、海洋シルクロードはもともと二つのルートしかなかったが、北極圏を経由してヨーロッパと繋がる三つめのルート、いわゆる氷上シルクロードが加わった。一帯一路が始まる以前から、中国共産党はアフリカとラテンアメリカへ多額の投資を行っていた。すでに一帯一路の重要な一部となったこれらの国々に対して、中国共産党は迅速に経済的・軍事的な影響力を発揮するようになった。
一帯一路の初期の目的は、他国で鉄道や高速道路を建設してインフラ整備することで、中国の過剰生産能力を解消することだった。これらの国々は豊富な資源とエネルギーを有しており、彼らのインフラ建設を助けることで、中国共産党は二つの目的を達成することができる。一つは、国内製品を低コストでヨーロッパへ輸送することができる。もう一つは、一帯一路参加国の資源を確保することができる。中国共産党の目的は自国の輸出を増やすことであって、一帯一路参加国の産業を促進することではない。中国共産党が自国の製造産業を犠牲にすることなどあり得ないのである。
一帯一路の裏に隠された真の目的は、経済的な利益を盾に政治経済を支配し、中国共産党が目指すグローバル戦略の一環として他国を植民地化することである。一帯一路参加国に及ぶ負の作用は甚大である。汚職、負債、全体主義、圧政など、共産主義のあらゆる有毒な要素が流入する。このプロジェクトは欺瞞に満ちた罠であり、参加国が長期的な経済発展を享受することはないだろう。
多くの参加国は一帯一路への警戒感を示し、同プロジェクトの停止あるいは再検討の意志を表明している。中国共産党もプロジェクトの透明性を約束し、多額の負債の見直しに応じるとしている。しかし、中国共産党の計画を過小評価してはならない。利潤追求を原則とする欧米企業の場合、トラブルを抱えるホスト国に対して数年以上も借金を取り立てることはしないが、中国共産党のバランスシートは次世紀にまで及ぶ。同党は激変する世界情勢をものともせず、目先の損失を気にすることなく長期間耐えられるのである。
中国共産党の望みは国連の中で親中政府を増やすことである。中国共産党は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカのリーダーとなり、自由社会と対立し、アメリカに代わって世界一の覇権国なりたいのである。中国共産党は目的のためなら、いくら国民を犠牲にしても厭わない。例えば、中国共産党は中国人に対してコストの支払いを義務付けできるが、欧米の私企業ではムリな話である。世界の覇権国の争いは、中国共産党がどれだけ強大であるかといった机上の空論で測れるものではない。中国共産党には生死に関係なく、簡単に利用できる数億人という中国人がいる。中国人は共産党にとって単なる捨て駒なのだ。
ホワイトハウスの元首席戦略官スティーブン・バノンは、一帯一路に対する独自の見解を述べている。バノンによると、中国の一帯一路は、マッキンダー、マハン、スパイクマンの世界支配理論を上手く融合させているという。
アジア・グローバル研究所のアンドリュー・シェンは、バノンの見解を次のようにまとめている。
「ハルフォード・マッキンダー(Halford Mackinder)は、イギリスの地理学者・歴史学者であり、1904年に「中軸地帯(ハートランド、中央アジア)を制する者は、世界島(ユーラシア)を支配し、世界島を支配する者が世界を支配する」と論じた。アメリカ海軍の軍人で歴史学者のアルフレッド・マハン(Alfred Mahan)は、アメリカのシーパワー戦略家だった。マハンは治安維持を通してイギリスのシーレーンを支配する海洋帝国理論を広げ、拠点や運河を抑えることを主張した。それとは対照的に、ニコラス・ジョン・スパイクマン(Nicholas John Spykeman)は、リムランド(北西ヨーロッパから中東、インドシナ半島までの東南アジア、中国大陸、ユーラシア大陸東部に至るユーラシアの沿岸地帯を指す)がハートランドより重要であり、従って「リムランドを制するものはユーラシアを制し、ユーラシアを制するものは世界の運命を支配する」と論じた」【7】
バノンの見解は、中国共産党の一帯一路に対して欧米社会に警戒感が広がっていることを示している。
実際、中国共産党の野望は一帯一路に留まらない。中国共産党は単に陸路やシーレーン、その他港湾の確保を目的としているわけではなく、世界のどこでも隙あらば乗ずるつもりである。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ地域には近年独立を果たした新国家が多く、空洞化した政権に中国共産党が入りこんでいる。かつてソ連の衛星国だった東欧の新独立国家も主権が脆弱であり、中国共産党の子飼いになりやすい。その他、欧米資本家が投資をためらうようなトラブル国も、中国共産党の手に落ちる傾向がある。戦略的に重要な拠点を持つ小国、島国、発展途上国も中国共産党の餌食となりやすい。
もともと欧米の民主陣営にいた国家も、脆弱な経済と巨額の債務に苦しみ、中国共産党側についてしまう。中国共産党はアメリカ周辺国の経済を支配し、アメリカを取り囲んでいる。同党の目的は、アメリカの影響力を排除し、徐々にそれらの地域からアメリカを追い出すことである。最終的に、中国共産党は共産主義を中心とする独裁的な世界秩序を構築する。これは決して新しいやり方ではない。この戦略は、かつて中国共産党が辺境地域を支配し、徐々に都市部を取り囲み、勝利を獲得した国共内戦の時と同じである。
b. アジア太平洋地域からアメリカを排除する中国共産党の戦略的辺境
中国共産党の辺境外交とは一体何だろうか。同党のシンクタンクは次のように定義している。「中国近隣14カ国と領土の境界、海洋の6カ国を含む。それを超えると、東にはアジア太平洋地域、西にはユーラシアがある。つまり、急激な中国の周辺国への拡大は、国際的な政治、経済、安全保障の3分の2を支配する。従って、辺境外交は単なる地域的な戦略ではない…これは真の偉大なる戦略なのだ」【8】
欧米との繋がりが弱いオーストラリア
2017年6月、フェアファクス・メディア(Fairfax Media)とオーストラリア放送協会は5カ月におよぶ調査報告を取り上げた「The Hard Edge of China’s Soft Power」(仮題:大胆な中国のソフト・パワー)という番組の中で、中国によるオーストラリア社会への深刻な浸透と支配の現状を伝えた。【9】 放送の6カ月後、中国共産党と繋がりの深い中国人ビジネスマンから賄賂を受け取ったと告発されたオーストラリア労働党のサム・ダスティヤリ(Sam Dastyari)が上院議員を辞職した。彼は南シナ海問題で中国寄りの発言をし、労働党の見解と対立していた。【10】
2016年9月、オーストラリアのSBSニュースは、中国人ビジネスマンが豪中貿易政策に影響を与えることを目的として政治献金を行っていたと報道した。【11】 さらに最近では、中国国営メディアがオーストラリアのメディアと契約し、中国の番組をオーストラリアで放映することになっている。【12】
また、オーストラリアは2015年、人民解放軍と近い中国企業とダーウィンの港湾を99年間貸与する契約を締結している。この港湾の近くには南シナ海を睨んだ米海兵隊の重要な軍事拠点があり、元アメリカ国務副長官補のリチャード・アーミテージ(Richard Armitage)は、アメリカが懸念を示していると指摘した。【13】
2017年、中国政府の反発を恐れたオーストラリアの出版社は、クライブ・ハミルトン(Clive Hamilton)の著書『サイレント・インベージョン ~オーストラリアにおける中国の影響~』の出版を拒否した。最終的に、三つめの出版社が出版に同意した。この事件をきっかけに、オーストラリア市民の間で中国の影響力に対する懸念が広がった。【14】
中国はなぜそこまでオーストラリアに固執するのだろうか。中国共産党がオーストラリアに浸透して影響力を及ぼすことに、なにかしら戦略的価値があるのだろうか?
2017年12月、全米民主主義基金(NED)は、『Sharp Power: Rising Authoritarian Influence』(仮題:シャープ・パワー―台頭する全体主義の影響力)という報告書の中で、中国共産党が賄賂工作でオーストラリアの政界や学術界に浸透し、米豪同盟にくさびを打ち込んでいると指摘した。【15】
オーストラリア政府は2017年の外交政策白書の中で、「終戦後、アメリカはずっとわれわれの地域を支配する勢力だった。今日、中国がそのポストを狙っている」と指摘した。【16】 オーストラリア戦略政策研究所のシニア分析家マルコム・デイビス(Malcolm Davis)によると、北京政府は米豪同盟を断つために、オーストラリア地域における戦略的優位な立場を得ようとしているという。【17】
オーストラリアは辺境外交を実施する中国共産党のソフト・パワーの実験台である。【18】 中国共産党によるオーストラリアへの浸透は2005年に遡る。中国外交部の周文重がキャンベラに到着し、中国大使館高官に対して中国共産党の新しい外交戦略を伝えた時である。当時の短期的な目標は、オーストラリアを中国の辺境戦略に加え、今後20年間、中国の経済成長を支える安定国として抑えることだった。長期的な目標は、米豪同盟の分断である。この会合では、中国共産党がいかにしてオーストラリアの経済、政治、文化に広く影響できるかが話し合われた。【19】
中国共産党は圧倒的な経済力を武器に、オーストラリアに対して軍事問題や人権問題の譲歩を強いてきた。経済利益を通じて個人的な関係を築き、同時に暗黙の脅しを仕掛けるのが中国共産党のやり方である。【20】
長期間の調査を行ったクライブ・ハミルトンによれば、「オーストラリアの主な機関―われわれの学校、大学、学術界からメディアまで、また鉱業、農業、観光業から軍事施設がある港湾や電子ネットワークまで、また地方議会から州政府、さらにはキャンベラの政党にまで―浸透し、中国共産党の複雑な支配体制によって監視下に置かれている」【21】
2008年の経済危機以来、オーストラリアは積極的に中国共産党の供給国になっている。それは、中国共産党が不景気のオーストラリアを救ったという共通認識があるためだ。オーストラリアにおける中国共産党の浸透がなぜそんなに深刻なのか。ハミルトンによれば、オーストラリアは「中国が経済的な繁栄を保障してくれると信じ、目がくらんでいるからだ。浸透が目の前で起こっていてもそれに目をつぶり、北京政府に反対して立ち上がる勇気もないからだ」【22】
欧米社会における中国共産党の浸透と影響に気づいていながら、また特に海外の華僑に対する中国共産党の浸透が深刻であるにも関わらず、多くのお人好しの欧米人は同党の戦略が「非積極的」であるとみなしている。つまり、中国共産党の戦略は批判者や政治的異見者を黙らせることだけだと思っている。しかし、ハミルトンは、「非積極的な」活動の裏に、中国共産党の「積極的な」野望があると指摘する。中国系移民を利用してオーストラリアの社会構造を変革し、欧米人をより親中派にすることで、北京政府の影響力を強めているのである。このやり方で、オーストラリアはアジアの覇権国である中国を援助し、さらにはグローバルな強大政権に成長した中国共産党を支持するようになる。【23】
同様に、中国共産党はニュージーランドへの影響力も強めている。カンタベリー大学教授の中国政治専門家アン=マリー・ブレイディ(Anne-Marie Brady)は、『魔法の武器』という論文を発表し、中国が国際的意見形成に対してどのように影響を及ぼそうとしているのかをニュージーランドの事例をもとに説明した。論文は、数人の中国生まれのニュージーランド議員が中国共産党と強い繋がりがあること、また多くの政治家が裕福な中国ビジネスマンや中国商業協会(Chinese trade associations in New Zealand)などの統一戦線組織から莫大な献金を受けていたことを暴露した。【24】 論文が発表された後、彼女の大学のオフィスや自宅、関連施設が強盗により荒らされた。この事件の前にも、彼女には「次はお前だ」と書かれた脅迫の手紙が届いていた。【25】
中国は積極的にニュージーランドの地方議員を引き込んでいる。例えば、ニュージーランドの議員は中国旅行などの贅沢な接待を受け、退職すれば厚待遇で中国企業に雇われる。これらは全て、彼らが党の路線に従うよう手なずけるためである。【26】
戦略的価値のある太平洋諸島国家を標的にする
太平洋諸島国家は領土こそ小さいが、海上基地としては重要な戦略的価値がある。それら諸国の領土面積は、ほんの53000平方キロメートルに過ぎないが、彼らの排他的経済水域(EEZ)は、1900万平方キロメートルにおよび、中国のEEZの6倍を超える。太平洋諸島国家との関係構築は、中国共産党が公に進める軍事戦略の一つである。
現在、太平洋地域の勢力図は、アメリカ、日本、ニュージーランド、オーストラリア、フランスに分けられる。太平洋における海軍力を強化するために、中国共産党は太平洋諸国と緊密な関係を築き、徐々にアメリカを排除する狙いがある。【27】
ニュージーランドの教授ジョン・ヘンダーソン(John Henderson)とオーストラリアの教授ベンジャミン・ラリー(Benjamin Reilly)によれば、中国共産党の南太平洋地域における長期的な目標は、覇権国であるアメリカのポジションを乗っ取ることである。【28】 中国共産党は巨額の資金をメラネシア、ミクロネシア、ポリネシアに投じ、同諸国のインフラ建設を援助している。地元の観光産業や電子取引を支援し、同地域へのアメリカの介入を遮断している。オーストラリア人作家のベン・ボーヘンは、太平洋の勢力図において、アメリカは中国に負けていると指摘している。【29】
中国の大規模な経済援助と投資が行われた後、中国の高官は傲慢さを露わにし、中国共産党の心理を見事に体現した。同党は他国の人々に対しても、中国人に対する時と同じように振舞った。中国共産党の目的は弱小国家を従順に従わせることであり、同党が国際規約やルールに従わないのは当然である。
パプア・ニューギニアで開催された2018年APECサミットでの中国高官の失礼な態度は地元の人々を驚かせた。中国高官は習近平とその他太平洋諸国のリーダーたちに対する取材を禁じ、新華社通信を参照するよう要求したのである。
共同声明に中国の不公平な貿易について書かれることを恐れ、中国政府はパプア・ニューギニアの外交官に面談を申し入れた。外交官は彼の公平な立場をゆるがすと判断し、中国の要求を断った。
さらに、中国高官は他の国々が中国に対する陰謀を企んでいると主張し、罵倒し始めた。あるアメリカ政府高官は中国のAPECでの態度について、「癇癪外交」と揶揄している。【30】
債務のワナに落ちた中央アジアの資源を支配する
ソ連解体の後、中国共産党はカザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンなどの中央アジア諸国との関係を強化した。中国共産党の中央アジア戦略にはいくつかの理由がある。第一に、中央アジアは西方への領土拡大において避けられないルートである。さらに、貿易輸送のためのインフラ建設を通して中央アジアでの商機も見込める。第二に、これらの国家は石炭、石油、ガス、貴金属などの天然資源が豊富である。また、中央アジアは地理的にも、あるいは文化的にも新疆ウイグル自治区に近く、ここを掌握すれば新疆の少数民族に対する支配を強化できる。
中央アジア支配の意図を公にしてはいないが、中国共産党の同地域に対する影響力は高まっている。ブリュッセルを拠点とするシンクタンクの国際危機グループは2013年の報告書の中で、中国が不安定な社会情勢に乗じ、中央アジアで権力を増大させていると指摘する。北京政府にとって、中央アジアは天然資源の供給国であり、また自国の安価な製品の販売市場でもある。同時に、中国共産党は新疆の安定という名目で、数百万米ドルもの資金を中央アジアへ投資している。【31】
中国と中央アジアは高速、鉄道、航空路、通信、石油パイプラインという高密度なネットワークで繋がっている。中国の路橋建設会社がすべての建設を担う。危険で複雑な土地を開拓し、新道路を建設し、中国の製品がヨーロッパや中近東、またパキスタンやイランの港湾へと届く。1992~2012年の20年間に、中央アジアと中国の貿易量は100倍に増えた。【32】
中央アジアにおいて、中国共産党は大規模な国営の信用融資によるインフラ建設を推進した。一部の学者は、この種の投資は新しい国際慣習となり、中国が支配的な役割を担うだろうと指摘している。北京政府にとって中央アジアはもう一つの実験台であり、オーストラリアと同様に、外交戦略における新たな革命を起こしたのである。【33】
北京政府は中央アジア諸国の腐敗した独裁リーダーを支持する傾向があり、また不透明な投資プロジェクトは地元のエリートを潤すと考えられている。国際危機グループの報告によれば、中央アジア諸国の政権は脆弱で腐敗し、社会的・経済的に不安定である。【34】北京政府の大規模なインフラ建設プロジェクトは多額のローンを伴うばかりでなく、ホスト国の公的な承認や許可を必要とし、既得権益層が腐敗しやすい構造を生む。つまり、この仕組みは地元政権の汚職を促すのである。
元ウズベキスタン共産党中央委員会の第一書記イスラム・カリモフ(Islam Karimov)は、国が独立した1991年から、自身が亡くなる2016年まで初代大統領を務めた人物である。ソ連崩壊後、ウズベキスタンはカリモフの独裁政権下に置かれた。2005年、アンディジャン市で大統領と政権の退陣を求める住民による大規模なデモが発生した。これに対して政府側は治安部隊を投入し、数百人の死者(実数は不明)が生じたとされている。中国共産党はカリモフ政府を支援し、ウズベキスタンやその他の政権維持に努めた。【35】
脆弱な経済構造とインフラ建設に伴う莫大な負債を抱えた中央アジア諸国は、中国の債務の罠に陥っている。トルクメニスタンは深刻な経済危機に直面し、年300%のインフレや50%の失業率、深刻な食糧不足、蔓延する汚職に喘いでいる。現在、トルクメニスタンが産出するガスの顧客は中国のみであり【36】、中国からの借金は90億米ドル(2018年GDPのおよそ30%)に上る。【37】 巨額の融資の見返りとして、トルクメニスタンは自国の天然ガスを中国に譲渡するしか方法がないかもしれない。【38】 この国の主要な基幹産業は既に北京が握っている。
中国から3億米ドルを借りて発電所を建設したタジキスタンは借金が膨らみ、金鉱の経営権を中国に譲渡している。【39】
キルギスも大規模なインフラ建設プロジェクトで債務の罠にはまり、経済危機に直面している。同国はすでに、借金返済のために自国の天然資源の一部を中国共産党に譲渡するしか方法がない。キルギスはファーウェイやZTEなどの中国の通信企業と共同し、デジタル通信網を構築しようとしている。これによりキルギス政権が国民を管理するのみならず、中国も同政権を監視下に置けるのである。【40】
ソ連解体後、北京政府は権力が空洞化したカザフスタンに急接近し、同国のエネルギー分野に参入した。カザフスタンは原油輸出に依存しており、稼いだ外貨は安価な中国製品の輸入にあてがわれている。堅調な石油採掘を除き、同国の産業基盤は脆弱である。安価な中国製品が流入し、カザフスタンの製造業は危機に瀕している。【41】
中国共産党による中央アジアへの拡大の動機は、中央アジアに居住するウイグル人反体制派を一掃することである。上海協力機構(SCO)憲章は、容疑者を加盟国に引き渡せると明記している。加盟国は自国の役人を他の加盟国へ派遣し、調査を行うこともできる。中国共産党はこの手法で海外のウイグル人を弾圧し、他国へ逃亡した反体制派のウイグル人を逮捕している。【42】
中枢国を利用して戦略物資を確保
辺境外交の要素の一つは、最初に中枢国を決定し、その国家を利用して地域全体に影響力を広げていくことである。同党のシンクタンクによれば、中枢国とは北京政府が資源や人事において影響力を行使することのできる地域大国のことである。中枢国の特徴は戦略的利益において中国共産党と直接対立していないこと、またアメリカとの密接な利益共有がないことが挙げられる。【43】 中国共産党の中枢国とは上記に述べたオーストラリアやカザフスタンの他にイランやミャンマーも含まれる。
中近東で中国から最大の投資を受けているのはイランである。イランは主要な石油産油国であり、また1970年代後半から欧米とイデオロギー的に対立していることから、中国共産党の経済的・軍事的なパートナーとなったのはごく自然な成り行きである。同党とイランは1980年代から良好な経済・軍事パートナーである。
1991年、国際原子力機関(IAEA)は、イランが中国から未申告で天然ウランを輸入し、秘密裡に両国が核協定を締結していたと発表した。【44】 2002年、イランが秘密裡に大規模なウラン濃縮施設を建設していたことが発覚し、欧米の石油会社は同国から撤退した。中国共産党はこの隙に乗じ、イランと密接な関係を築いた。【45】
1992~2011年の間、イラン政権への世界的な経済制裁時を除き、中国とイランの貿易量は100倍以上伸びた。【46】 中国共産党の支援によりイランは国際的な孤立を切り抜け、短中距離弾道ミサイルおよび対艦ミサイルを製造した。さらに、中国政府は機雷や高速戦闘艇をイランに提供し、化学兵器の密造を支援した。【47】
また、中国共産党のもう一つのお気に入りは、隣のミャンマーである。ミャンマーの長い海岸線はインド洋への重要なアクセスを提供する。中国共産党はミャンマーと繋がるパイプラインを建設し、マラッカ海峡への依存を減らそうとした。【48】 ミャンマーの人権問題は国際的な批判を受けており、1988年には軍事政権と民主化運動が衝突した。翌年、中国の天安門広場では人民解放軍が民主化を叫ぶ人たちに発砲した。
国際的な批判を浴びた二つの独裁政権は急速に距離を縮め、以来密接な関係を続けている。1989年10月、ミャンマーの首相タン・シュエ(Than Shwe)が中国を訪れ、14億米ドルの兵器売買契約を結んだ。【49】 1990年代、両国はさらに多くの兵器売買契約を交わした。中国がミャンマーへ輸出した兵器は、戦闘機、哨戒艦艇、戦車、装甲兵員輸送車、高射砲、ロケットなどである。【50】 中国共産党による軍事、政治、経済的な支援は、ミャンマー軍事政権の命綱となっていた。【51】
2013年、中国は中国とミャンマーを繋ぐ原油・ガスパイプラインに50億米ドルを投じた。これは中国にとって4番目に大きな戦略的原油ガス輸入ルートである。2017年、市民の強い反対に遭いながらも、ミャンマー政権は中国共産党の支援を得てパイプラインの運用にこぎつけた。【52】 同様のプロジェクトはミッソン・ダム(現在は地元民の反対に遭い中止)、レプタダン銅鉱山(Letpadaung Copper Mine)である。2017年、二国間の貿易額は135億4千万米ドルに上った。現在、中国共産党は中国・ミャンマー間を繋ぐ経済回廊の建設を予定しており、そのうちの70%は中国側が負担するという。同プロジェクトの中にはインド洋への足掛かりとなる深水港【53】、またKyaukpyu経済特別区にある産業公園が含まれている。【54】
c.「分割して統治する」―アメリカから分離されたヨーロッパ
冷戦時代、ヨーロッパは自由社会と共産主義が対立する中心点だった。アメリカと西ヨーロッパは北大西洋条約機構(NATO)により緊密な関係を保っていた。冷戦終結後、ヨーロッパの政治経済は衰退の道をたどった。
ヨーロッパとアメリカの関係に楔を打つため、中国共産党はヨーロッパで分断統治の手法をとった。それは地元の情勢に適応しながら徐々に浸透し、ヨーロッパ全体へと影響力を強めていく方法である。近年、主要な問題に対するヨーロッパとアメリカの姿勢は大きく異なっているが、これも中国共産党が裏で操っているのである。
2008年金融危機の後、中国共産党は脆弱なヨーロッパ諸国の経済情勢につけ込み、莫大な資金援助の見返りとして国際ルールや人権問題に目をつぶるよう強要した。中国共産党はヨーロッパ諸国の溝を深め、利益を得ていた。中国共産党が標的としたのは、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、ハンガリーである。
中国共産党は経済破綻したギリシャに莫大な投資を行い、その見返りとして同国に対する影響力を強め、ヨーロッパ支配の足掛かりとした。その後、中国共産党はギリシャ最大のピレウス港の運営権(35年)を取得し、海運の主要な要衝を抑えたのである。
2017年5月、中国とギリシャは3年間のアクション・プランに調印し、鉄道、港、空港、電力エネルギー、発電所に投資することで合意した。【55】 中国共産党は既に投資の見返りとして十分な政治利益を得ている。2016年以降、中国政権や人権問題を非難する法案がEUに提出されると、ギリシャが何度も反対票を投じている。このため、中国の人権問題を批判するEUの声明発表は何度も見送られている。2017年8月、ニューヨーク・タイムズ紙は、「ギリシャは最も熱心で地政学的な野心家である中国の接近を喜んでいる」と報じた。【56】
2012年、中国共産党は中東欧諸国16カ国と中国の協力枠組み「16+1」を設立した。ハンガリーが「16+1」に賛同し、初のヨーロッパ参加国として中国と「一帯一路」契約を結んだ。2017年、両国間の貿易額は100億米ドルを超えた。ギリシャと同様に、ハンガリーは中国の人権問題を批判するEUの法案に繰り返し反対している。【57】 チェコ共和国大統領の個人的な顧問は裕福な中国人ビジネスマンであり、彼自身はダライ・ラマと距離を置いている。【58】
同枠組みの16カ国のうち、11カ国はEU加盟国であり、5カ国は非加盟国である。明らかにEUの分断を意図して作られた地域協定である。さらに、16カ国の多くは旧社会主義国であり、これらが中国共産党に簡単になびくのは自然な成り行きともいえる。
ヨーロッパの多くの小国にとって、一国だけで中国に対抗するのは難しい。中国共産党は個別に各政権に接近し、人権問題や違法な外交政策に対して黙認するよう圧力をかけるのである。
最も典型的な例がノルウェーである。2010年、ノルウェーのノーベル賞委員会は、監禁されている中国人活動家に平和賞を授与した。これに反発した中国はノルウェー産の鮭の輸入を制限し、さまざまな報復措置を行った。6年後、両国間の関係は「正常化」したが、ノルウェーは中国の人権問題に対して口を閉ざすようになった。【59】
伝統的な西ヨーロッパでさえも、中国共産党の影響力を懸念している。2010年以降、中国の対ドイツ直接投資が飛躍的に増え、2016年と2017年、中国はドイツの最大貿易相手国となった。2016年、ドイツ企業56社が中国と香港投資家に買収され、その投資額は100億ユーロに上った。中国企業は合併吸収によって速やかに欧米市場に参入し、欧米の最新技術、ブランド、その他の資産を容易に入手できる。【60】 アメリカのフーバー研究所は2018年の報告書の中で、中国の「武器化した」投資だと指摘している。【61】
西ドイツに位置する産業都市デュイスブルクはヨーロッパにおける一帯一路の分岐点である。毎週、中国製品を満載した電車が到着し、その他の都市へと輸送される。デュイスブルクの市長は、同市をドイツ内の「中国都市」であると語った。【62】
一方、フランスに対して中国は長く「取引外交」を行ってきた。例えば、江沢民は1999年にフランスを訪れ、エアバス30機(150億フラン相当)の購入を約束した。経済利益の見返りとして、フランス政府は中国のWTO参加を支持した。天安門事件の後、フランスは欧米諸国の中で初めて中国と戦略的なパートナーシップを結んだのである。当時のフランス大統領は中国を批判する国連人権委員会に反対した人物であり、EUの対中国武器禁輸政策にも反対し、欧米で初めて中国共産党を称賛した国家元首である。【63】 さらに、中国共産党はフランスで大規模な中国文化ウィークというイベントを開催し、文化交流という名のもとでフランスに共産主義イデオロギーを宣伝し、拡大計画のステップとした。【64】
歴史的な強国であり、アメリカの同盟国であるイギリスも、中国共産党の重要なターゲットである。2016年9月15日、イギリス政府は公式に、中国とフランスのコンソーシアムであるヒンクリー・ポイントC原子力発電所の稼働を認めた。これはイギリス南西部サマセットに位置する3200メガワット規模の発電所である。
同プロジェクトは専門家やエンジニア、物理学者、環境主義者などから激しい批判を浴び、特に安全保障上問題があると中国専門家は指摘している。中国問題専門家でテレサ・メイ元首相の首席補佐官を務めたニック・ティモシー(Nick Timothy)によると、安全保障の専門家たちは(政権内でも外でも)「中国人がいつでもイギリスのエネルギーを停止できるようコンピューターに仕掛けをすることができる」と危機感を募らせている。【65】 ガーディアン紙はこれを、「世界で最も高い発電所の恐ろしい取引」と伝えている。【66】
中国政府による欧州での拡大戦略は勢いを増し、広範囲にわたる。手法は、欧州ハイテク企業の買収、重要な港湾の確保、退職した政治家を買収して中国共産党の代弁者にさせること、大学、シンクタンク、研究所に浸透し、中国研究者を籠絡して中国共産党を賛美させるなど多岐に渡る。【67】 イギリスのデイリーテレグラフ(The Daily Telegraph)は毎月、中国共産党の「中国時報」(チャイナ・デイリー)専用ページを設け、中国政権を称賛する記事を掲載している。北京政府からデイリーテレグラフに支払われる広告料は年間75万ポンドである。【68】
ヨーロッパにおける中国共産党の活動は、研究者の間で大きな懸念を呼んでいる。ヨーロッパの著名なシンクタンクのグローバル公共政策研究所(GPPI)は2018年、中国共産党の活動について次のように報告している。
「中国共産党は包括的かつ柔軟な政治的影響力を行使しており、公然とあるいは隠密に、主に政治経済エリート、メディアと世論、市民社会と学術界の3つの側面に注力している。中国はヨーロッパの一方的な開放を利用している。ヨーロッパの門戸は大きく開いているのに、中国は外来の思想やシステム、資本の流入を厳しく制限している。
この非対称的な政治関係がヨーロッパで広がっている。ヨーロッパ諸国が自国を中国側に合わせ、媚を売る「先制的で従順な」政策を取る傾向が強くなっている。欧州連合(EU)やその周辺国のエリートたちは、自国や欧州の利益と対立することも含めて、中国の美辞麗句や利益を称賛するようになっている。EUの連帯は中国の分割統治戦略によって損なわれており、特にリベラルな価値観の保護と投影、および人権問題についてはその傾向が顕著である。また、北京政府は、中国の価値観や利益を喜んで推進する陰の手引者、いわゆる一部の欧州の政治家や専門家たちが提供する「サービス」から利益を得ている。中国が積極的に政治資本の確立を狙っているが、もう一方では、EU加盟国の政治エリートたちが中国マネーの流入を熱望し、あるいはグローバル規模の名声を求めていることも大きく影響している」【69】
中国共産党は政治、経済、文化的な浸透を図る他に、ヨーロッパでさまざまなスパイ活動を行っている。2018年10月22日、仏紙フィガロは、「フランスを標的とした中国スパイ計画を暴露」という詳細な特集記事を掲載した。それによると、中国共産党は主に会社幹部らの履歴や仕事を公表してビジネスパーソンを繋ぐSNS、リンクトイン(LinkedIn)を通じて、情報収集のためにフランス人を雇用しているという。しかし、これらは氷山の一角に過ぎず、中国共産党の目的は、フランス国内の経済的財産である機密情報を略奪することにある。【70】 中国共産党による同様のスパイ活動が、ドイツでも確認されているという。【71】
d. 植民地化されるアフリカ 「中国モデル」の輸出
第二次世界大戦後、アフリカ諸国は次々と独立した。西側諸国は中国に技術や資金を注ぐ一方、アフリカに対する関心は薄れていた。西側からの「輸血」によって強くなった中国共産党は、アフリカへ積極的に介入した。中国共産党はかつての西側宗主国の地位を乗っ取り、アフリカの政治、経済、生活の各レベルに浸透した。
中国共産党は途上国開発を名目にアフリカ諸国に近づき、統一戦線を通じて、国連や米国など自由主義諸国との対立を生みだした。経済的な買収と軍事援助でアフリカ政府や反体制派をけん制する一方、アフリカ国家の運営を操作し、アフリカに中国共産党式の価値観を輸出した。
中国政府が管理する政策銀行・中国輸出入銀行は2001~10年、アフリカ諸国に627億米ドルを貸し出した。これらのローンに対する利子は比較的低く、一見政治的な条件も付いていない。しかし、多くは天然資源を担保としており、中国共産党はアフリカ諸国の豊富な資源を獲得する権利を得たのである。
2003年の中国輸出入銀行による対アンゴラ融資は石油を担保としており、「アンゴラモデル」と呼ばれる。アンゴラは次のような状況である。「中国人がアフリカで石油を掘削し、屈強な中国人に護衛された中国製パイプラインで中国が建設した港へ運び、中国行きタンカーにのせる。中国人(中国共産党)は反人道的な罪を犯す政府に武器を与え、国連安全保障理事会では、その政府の足場を守っている」【72】
2016年、中国はアフリカの最大貿易相手国および海外直接投資国となったが、多くの悪弊によりそのビジネスモデルは批判されている。【73】 低賃金、劣悪な労働条件、品質の悪い生産物、ずさんな工事、環境汚染、現地政府や公務員への賄賂、汚職などである。中国関連の開発プロジェクトはたびたび地元のアフリカ人たちから抗議を受けている。
ザンビアのマイケル・サタ(Micheal Sata)前大統領は、2007年の大統領選挙の際、次のように語った。「私たちは、中国人がいなくなって、過去の(西側諸国による)植民地時代のように戻ることを望んでいる。彼ら(西側諸国)もわれわれの資源を利用したが、少なくとも私たちに丁寧に接し、学校を作ったり、言葉を教えたり、イギリス文明を伝えたりしていた。少なくとも、西側の資本主義は人間的である。しかし、中国人はわれわれから搾取するだけだ」。【74】 ザンビアは中国の影響を強く受けており、いたるところに中国銀行の看板が掲げられ、中国語がどこからでも聞こえてくる。警鐘を鳴らしたサタ氏だが、ザンビアにおける中国の影響力を払しょくすることができず、当選後まもなくして中国大使と面会し、2013年に訪中した。
スーダンはアフリカでいち早く打ち建てられた中国共産党の「拠点」の一つだ。過去20年、中国による対スーダン投資額の増加が顕著である。中国から見て、スーダンは豊富な石油資源を有するのみならず、紅海における戦略的な重要地域である。【75】 1990年代、テロ主義や過激派イスラム主義を支持するバシール政権により、スーダンは国際社会から孤立した。中国共産党はこの隙に乗じてスーダンの最大の交易パートナーとなり、石油の主な輸出先となった。【76】 西側諸国からの圧力にも関わらず、中国共産党の投資はバシール政権を助ける結果となった。また、中国はスーダン政府に大量の武器を輸出し、21世紀初頭におきたダルフール大虐殺を可能にしたのである。
中国共産党は国際社会で同時に別々の行動をとった。スーダン内戦の「調停」のために国連軍へ部隊を派遣する一方、反人道罪で国際刑事裁判所から使命手配されているバシール大統領を自国に招いた。中国は、世界がどんなに変化しようとも、内部情勢がどうなろうとも、永遠にスーダンの友人だと宣言した。【77】
中国共産党は第三世界諸国への投資に余念がない。2000年、北京で中国アフリカ協力フォーラムが設立された。その後、毎年数回、中国アフリカ関連フォーラムがアフリカ諸国や中国で開かれ、そのたびに中国共産党の指導者はアフリカへの巨額投資を約束した。2000年、江沢民はアフリカの貧困国に対して100億元の債務免除を行うと発表した。2006年、北京でふたたびフォーラムが開催されると、中国共産党はアフリカ貧困国の2005年末までの債務を帳消しにすると宣言した。さらに、同党は100億米ドルを越える投資を行い、信用融資、奨学金など、さまざまな経済支援計画を発表した。【78】
2015年、南アフリカのヨハネスブルグで開かれたフォーラムで、中国は600億米ドルの資金を提供し、アフリカ諸国と「十大協力計画」を推進すると宣言した。【79】 中国商務部副部長(経済副大臣に相当)は2018年8月28日、「アフリカで最も発展の遅れた33カ国からの製品97%を関税ゼロにする」と述べた。【80】 同年9月3日、中国アフリカ協力フォーラム北京総会で、中国共産党は新たに600億米ドルの無償援助、無利子融資、分野別の投資を約束し、中国と外交関係を結ぶアフリカ貧困国に対し、2018年末までの政府間の未償還債務を免除するとした。【81】
数十年にわたる血の滲むような工作活動の結果、中国はアフリカ経済を支配することに成功した。経済利益で買収されたアフリカ諸国政府は中国共産党の言いなりになった。中国共産党がアフリカを手中に収め、中国共産党モデルの宣伝ステージにしようとしていることは、もはや明らかである。中国共産党の官製学者は、「中国は40年前から今日に至るまで、西洋がたどってきた道を使わずとも成功し、しかもその(発展の)歴史は続いている。アフリカの衝撃は、誰もが想像もできなかっただろう」と豪語した。【82】
エチオピアのメレス・ゼナウィ元首相は中国共産党を模倣した与党組織を作り、5カ年計画を発表した。匿名の中国外交部(外務省に相当)関係者によると、エチオピア与党の政党・人民革命民主戦線の上層部が中国で勉強し、訓練を受けたという。また、多くの要人の子どもも中国に留学していると明かした。さらに、エチオピアの閣僚級のほとんどが「毛沢東選集」を所持しているという。【83】
2013年3月に公開されたBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)サミットで、エチオピアの首相は中国と協力し、発展を模倣したいと語った。現在、エチオピアは「新中国」と呼ばれ、インターネットの検閲、封鎖、専制政治、メディア統制など、中国と同じ轍を踏んでいる。【84】
この中国共産党化はエチオピアだけではない。2018年、中国共産党中央対外連絡弁部が主催する第4回アフリカ青年指導者フォーラムおよび政党フォーラムが広東深センで開かれた。これは、指導者と政府官僚を養成することを目的としている。
米ワシントンの無党派政策研究組織スティムソンセンター(Stimson Center)中国担当代表・孫韻は、このような政治訓練は発展途上国に「中国式」を輸出するためであると分析する。
「政治訓練には三つの目的がある。第一に、中国共産党の正当性を示すこと。『中国式』管理が成功し、いかに他の発展途上国でも適用できるかを宣伝する。第二に、『治国交流』と称し、中国の発展経験を紹介すること。あからさまに『革命』を全面に出すことはしないが、中国の思想形式を輸出している。三つ目は、中国とアフリカの交流を強化することである」【85】
e. ラテンアメリカへの進軍―米国の裏庭へ侵入
ラテンアメリカは地理的に米国に近く、歴史的に米国の影響範囲内にある。ラテンアメリカでは20世紀半ばに共産主義が横行し、社会主義政権がいくつか誕生したが、米国に脅威をもたらすほどにはならなかった。
ソ連崩壊後、中国共産党は「南南合作(South–South cooperation)」の旗印を掲げ、経済、貿易、軍事、外交、文化など多方面への浸透工作を始めた。ベネズエラ、キューバ、エクアドル、ボリビアなどの中南米諸国は既に反米の立場を取っていた。これを利用して、中国共産党は太平洋をまたいで彼らの対米感情を挑発し、反米思想をあおった。
これにより、中国共産党はラテンアメリカにおける米国の優位性を弱体化させるだけでなく、米国の裏庭に自由に出入りして社会主義政権を支え、長期的に反米路線を維持することができる。中国共産党によるラテンアメリカへの浸透と影響力は、ソ連のそれをはるかに超えると言っても過言ではない。
中国共産党は最初、対外貿易と投資を通じてラテンアメリカへの影響力を強めた。米国のブルッキングス研究所によると、2000年の時点で、中国ラテンアメリカ間の貿易はわずか120億米ドルだったが、2013年までに2600億米ドルと20倍以上増加した。2008年以前、中国の借款は10億米ドルを超えなかったが、2010年には370億米ドルに達した。【86】 中国は2005~16年にかけて、ラテンアメリカと1410億米ドルの融資を契約している。現在、中国からのローンは世界銀行(World Bank)と米州開発銀行(Inter-American Develop Bank)からのローンの総額を超えた。さらに、中国共産党は2025年までに、ラテンアメリカに対する2500億米ドルの直接投資を約束している。まもなく中国ラテンアメリカ間の貿易は5000億米ドルに達すると見られている。ラテンアメリカは、中国の投資先としてアジアに次ぐ第二の地域である。
多くのラテンアメリカ諸国にとって中国は最大の輸出国である。中国はラテンアメリカの3大経済大国、ブラジル、チリ、ペルーの最大輸出国であり、アルゼンチン、コスタリカ、キューバにとって第二の輸出国となっている。エクアドルの道路インフラ整備、パナマの港湾計画、チリと中国間の巨大光ファイバー網建設計画など、ラテンアメリカにおける中国の影響力はますます強まっている。【87】
一方、中国共産党はラテンアメリカを自身の資源拠点に変えようとしている。例えば、鉄鋼企業を束ねる国有持株会社・宝鋼集団(China Baowu Steel Group)はブラジルに巨額投資しており、北京市政府管理の首鋼集団(Shougang Group)は、ペルーの鉄鉱石鉱山を支配しようとしている。さらに、中国はエクアドルの石油とベネズエラの燃料、金山の開発を模索している。
また、中国共産党はラテンアメリカのインフラに多額の投資を行っている。アルゼンチンの食料を運ぶ港に2500万米ドル、同国とチリを結ぶ道路に2億5000万米ドルの投資を約束した。【88】
軍事面においても、中国共産党はラテンアメリカに浸透している。中米経済安全保障グループの研究員ジョーダン・ウィルソン(Jordan Wilson)は、中国共産党が2000年以降ローエンドからハイエンドまでの武器販売を行い、2010年までに輸出総額が1億米ドルに達したと発表した。特に2004年以降、中国共産党による対ラテンアメリカ武器販売が急増した。武器の販売先はベネズエラのような反米政権である。同時に、両国の軍事交流や合同軍事訓練が増加した。【89】
2015年、北京で中国アルゼンチン会談が開かれたが、その協議内容から両国の軍事協力が新たなステージに入っていることがうかがえる。最先端のハイエンド製品の合同生産、アルゼンチン領土内で南半球初の宇宙監視制御ステーションの設置、アルゼンチン空軍への中国製戦闘機の配備などが含まれ、その総額は5~10億米ドル規模になる。2014年時点の対ラテンアメリカ武器輸出額は1億3000万米ドルであり、対アルゼンチン武器販売額はそれを超えている。
中国共産党はラテンアメリカと経済、文化、軍事関係を強め、緊密な外交関係を築いている。中国共産党は2015年に発表した軍事白書の中で、「人民解放軍は地域的および世界的な安全保障協力に積極的に参加し、中国共産党の海外の利益を効果的に確保する」としている。【90】
中国共産党の利益と圧力を前に、パナマ、ドミニカ、エルサルバドルが中華民国(台湾)との外交関係を断ち、中国共産党を称賛した。パナマは2017年6月に中国と国交を樹立し、1世紀以上続いた台湾との外交関係を終了した。その3年前から中国共産党は港湾、鉄道、高速道路などパナマのインフラ計画に240億米ドルに上る投資を行っていた。【91】 中国共産党は世界の主要な要塞であるパナマ運河の両側の支配権を獲得している。
更に、中国共産党はエルサルバドルのラ・ウニオン港に300億米ドル近くを投資した。駐エルサルバドル米国大使は2018年7月の現地紙エル・ダイアリーノ・デ・ホイで、中国共産党のラ・ウニオン港への投資は軍事目的であり、影響力の拡大を注視する必要があると指摘している。【92】
文化面において、中国共産党はラテンアメリカおよびカリブ海諸国に39の孔子学院(大学クラスに設置)、11の孔子課堂(高校以下の教育機関)を設立し、5万人以上が登録した。【93】 孔子学院は中国共産党のスパイ機関であり、表向きは中国文化機関としているが、中国共産党のイデオロギーを海外へ発信し、若者を洗脳していると考えられている。
ラテンアメリカに広がる中国共産党の浸透は、米国にとって深刻な脅威である。中国共産党は中国の市場、投資、軍事援助に依存する国家の政策を左右し、米国と対立させることも可能である。
中国共産党が建設した運河、港湾、鉄道、通信インフラは、すべてグローバルな覇者となるために将来利用する重要な道具なのである。
f. 中国共産党の軍事的野心
2018年、珠海航空ショーで中国の最新式無人機・彩虹7(CH-7)が初披露され、軍事専門家の注目を集めた。米国製武器の輸入が禁じられているヨルダン、イラク、トルクメニスタン、パキスタンを含む多くの武器市場で既に多数の彩虹4(CH-4)が購入されている。【94】 最新の彩虹7は米国の無人機X-47Bに追従する最新機だ。軍事専門家は、最新の彩虹は試験飛行なしで珠海航空ショーに登場したと指摘する。【95】 航空ショーに設置された戦闘シミュレーションでの架空の敵は、明らかに米国だった。【96】 これは米国との覇権競争という中国共産党の野望を表している。
近年の中国軍の発展に伴い、中国の野望はますます顕著になっている。2009年、南シナ海で海上調査中だった米海軍の音響測定艦インペカブルが中国船から追尾された。【97】
また、黄海の公海でビクトリアス級音響測定艦が同様の挑発行為を受けた。中国船が30ヤードの間隔で何度も接近し、ビクトリアスは衝突を避けるために他の航路を選ばざるを得なかった。【98】最近では、2018年9月、南シナ海で中国軍艦が米ディケーター級ミサイル駆逐艦に異常接近し、わずか約45ヤード(約41メートル)前方を横切った。【99】
中国共産党の軍事的野心は長期的である。陸から海へ、そして最終的には陸と海を支配する覇権国になることである。1980年、中国共産党の戦略指針は自国の国境守備に焦点を置く積極的な防衛であり、当時の主な敵はソビエト軍だった。2013年、戦略は積極的な攻勢に転換し、中国国境の最前線が広がった。中国共産党は、「戦略的な攻勢は積極的な防衛の重要な形式だ」と定義している。【100】
2015年、中国の軍事評論家で『超限戦』の著者は、「一帯一路政策は、陸軍の遠征能力を必要とする」とし、「中国陸軍は飛躍し、自己革命を起こさなければならない」「一帯一路から派性する国益は、中国軍の改革を起こす大きな動機づけとなる」と述べている。【101】 これら全てが中国共産党の軍事的野心を焚きつけている。
2018年、米国防総省は米国議会への年次報告書で次のように指摘している。
「中国の海事重視と海外利益の護衛という使命によって、PLA(人民解放軍)は急激に中国国境とその周辺への拡張を進めている。中国人民解放軍海軍(PLAN)の焦点は、「近海水域防御」から、「近海水域防御」と「公海の保護」の混合に移り、最高司令部が狙う統括範囲がより広域になっていることを示している。中国の軍事戦略と進行中のPLA改革は、歴史的な「大陸中心の心理」からの脱却を表している。同様に、学説にある「前沿防御」の戦略思想は、想定される衝突を中国領土の外部で発生させることであり、PLAの戦略家が益々グローバルな役割を構想していることが伺える」【102】
中国の第一の目標は、第1列島線(北は千島列島、南は台湾までの中国の対米防衛ライン。黄海、日本海、南シナ海を含む)を突破し、太平洋とインド洋の公海、最後は世界の海洋に出ることだ。
中国が南シナ海に建設した人工島は滑走路や軍用機、ミサイルが配備されている。ファイアリー・クロス礁、スビ礁、ミスチーフ礁の三つの人工島には対艦ミサイルや地対空ミサイル、また飛行場があり、空母型の戦力を有している。戦略的に、中国海軍は「第一列島」を突破することが可能であり、遠洋での作戦能力を備えている。
ホワイトハウスの元首席戦略官スティーブ・バノンは、南シナ海で今後10年以内に米中戦争が勃発する可能性について繰り返し述べている。【103】
元米国陸軍大佐で軍事評論家のローレンス・セリンは、「中国共産党は現在、北インド洋で他の強権国家と同盟を作り、南シナ海を越えて国際的な影響力を拡大しようとしている。世界のGDPの約半分に権威を行使できる申し分のない地位だ」と論じている。【104】
南シナ海問題は地域的な領有権紛争ではなく、世界的な戦略的意味を持つ。1年間で5兆ドル近くの製品が南シナ海を通過するからだ。【105】 一帯一路の「一路」にあたる海上ラインは南シナ海から始まる。中国の石油輸入量の80%は南シナ海を経由している。【106】 南シナ海地域の平和は、第二次世界大戦後は米軍と同盟国によって維持されてきた。中国共産党が米国と一戦交える用意をするのは想像に難くない。中国は、南シナ海をさらなる経済発展促進と軍事展開のための「戦略の鍵」と見ているのだ。
米マサチューセッツ工科大学政治学教授テイラー・フラーベルは、中国共産党の歴史上の紛争案件を集めたところ、興味深いことが分かったという。1949年以来、中国と隣国との間には23件の領有権問題が発生した。そのうちの17件が解決しており、15件については北京政府がかなり譲歩していた。しかし、南シナ海については、中国は海軍が弱小だった1950年代から、強く領有権を主張している。このような議論の余地なしという中国の態度は、他の領有権紛争には見られない。【107】
中国共産党にとって、「寸土必定」(わずかな土地でも必要)が、すべての領土問題の解決手段ではない。フラーベル教授は中国共産党の南シナ海での強行姿勢について、いくつかの理由を挙げている。南シナ海には海上の戦略価値があること、潜在的に大量の資源を有すること、外国海軍の一部の活動を管理できること。南シナ海の島は中国軍の最前線にすることができる。また、南シナ海から西太平洋に入る中国潜水艦を他の国が追跡するのを防ぐこともできる。【108】
中国の南シナ海における軍拡、特に現状を変化させる近年の活動は、周辺国に緊張を生み出している。10年間防衛費を削減してきた日本は予算を増加し、インドは一度停滞した海軍近代化を復活させた。【109】
中国は「エネルギーと貨物輸送ラインの安全」を名目に南シナ海で活発に活動している。これは従来のバランスを崩し、衝突発生のリスクを増大させる行動である。有識者は、中国共産党が南シナ海における問題を国家安全保障上の問題としてとらえ、これが周辺地域の安全の侵害につながっていると指摘する。【110】 これは、前述したスティーブ・バノンの見解と一致する。
2017年、中国軍はジブチで初めて海外軍事基地を建設した。欧米の専門家は、中国共産党の視野が西太平洋を越えて軍事力をいかに遠くに投じるかに及んでいると分析する。【111】 例えば、中国は最近、太平洋諸島国家へ莫大な投資を行っている。見返りのない投資に見えるが、これらの国が将来、中国軍遠洋艦隊の補給所になることを見越しているのである。【112】 中国共産党の軍拡は伝統的な陸海空だけにとどまらず、宇宙やサイバー空間にまで及ぶ。
中国共産党の軍事的野心は膨大な人員、装備、資金力に支えられている。
中国共産党は200万人の現役軍人を有する世界最大の軍隊を維持している。PLAの陸軍は世界最大規模であり、軍艦の保有数も世界最多で空軍も大きい。PLAは大陸間弾道ミサイルや弾道ミサイルを備えた潜水艦、戦略爆撃機から成る陸・海・空の3部隊による核攻撃能力を有している。
さらに、中国共産党には170万人を擁する武装警察部隊があり、中央軍事委員会と多数の予備部隊および民兵部隊と共に統一指揮下にある。中国共産党の軍事指導イデオロギーには、常に「人民戦争」がある。全体主義システムの下では、利用可能なすべての組織をすぐさま「軍事化」することができる。つまり、中国共産党には必要に応じて軍事利用できる10億人以上の人間(海外の中国人も含めて)がいるということだ。
中国のGDPは1997~2007年に急速に成長した。中国共産党は圧倒的な経済力で武器を製造し、アップグレードした。中国陸軍は2020年までに5000の近代的な主力戦車を保有すると推定されている。海軍は少なくとも2隻の空母を保有し、空軍戦闘機の90%は第4世代で、第5世代の戦闘機もすでに所有していると言われている。
2008~2017年にかけて中国の国防費は平均年率8%と膨らみ、2017年には1543億ドルに達し、世界第2位になった。【113】 しかし、海外専門家は実際の国防費は公式発表の2倍であると推定している。実際、中国の国防費は必ずしもその軍事力を反映するものではない。中国共産党はいくらでも民間の人材や資源を利用できるからである。戦争のために国内産業全体を動員できるのだから、実際の中国の軍事力は公式データや一般的な推定を遥かに超える。
中国共産党は2020年末までに30を超える通信衛星・北斗による軍民共用の全地球測位システム(GPS)を備えると発表した。また、同党による軍用無人機・彩虹の大量生産は、同党の積極的な戦略を物語る。たとえば、同機を台湾海峡に利用すれば、無人機の「人海戦術」ならぬ「機海戦術」を通じて利点を得ることができる。【114】 衛星とAIに制御された多数の無人機集団は、局地的な対立や非対称戦争時に効果的である。
珠海航空ショーで発表されたステルス戦闘機・殲-20は、米国製F-22のレプリカと呼ばれ、殲-31とF-35も非常によく似ている。中国軍が戦闘機の開発を通じて、米国とのギャップを縮めていることを示している。
また、中国共産党はさまざまなスパイ工作を通じて米国に追いつこうとしている。ある最新の調査によると、米国に対するスパイ攻撃のうち、ハッキングの90%は中国が発信源である。中国共産党のネットワークが米国の大企業や軍事施設に侵入し、自国では開発できない技術や知識を盗んでいる。【115】 中国のドローン技術は米国から盗んだとみられている。
戦術に関しては、中国共産党は「非対称戦(asymmetric warfare, asymmetric strategy, asymmetric weapons)」に力を注いでいる。【116】 米国のインド太平洋司令部指揮官フィリップ・S・デイビッドソン上将は、中国を「競争相手」と表現した。中国は対艦ミサイルや潜水艦戦など「非対称能力」を増強することで米国に追いつこうとしている。デイビッドソン指揮官は、「将来、中国との紛争で米国が勝つという保証はない」と述べた。【117】
中国共産党は、東風21Dミサイル(米空母を狙う対艦弾道ミサイル)の研究開発の一環として、対米国の模擬戦を行っている。2018年、中国は「空母キラー」の名で知られる陸上ベースの超音速対艦ミサイル・鷹撃12Bを披露した。同機は西太平洋で米空母に打撃を与え得る550キロメートルの「デス・ゾーン」(death zone)を超低空飛行で描いた。同ミサイルは、中国共産党の「反介入・拒否区域」を作り出すための軍事手段である。
軍事力の拡大と共に、中国は北朝鮮や中東の腐敗政権への武器輸出を続けている。その目的は、それらの政権との軍事同盟を強化するだけでなく、米国の軍事力を弱体化し、米国に対抗するためである。また、中国共産党は反米感情を広げ、あおっている。これにより他の反米政権との団結が容易になり、中国共産党は覇権国家への野望を推進することができるのである。
同時に、中国共産党は上記で述べた「超限戦」など、テロの軍事理論を提唱している。「戦争は私たちから遠くない、中華世紀誕生」などと戦争の必然性を説き、「死者は歴史の進歩の原動力」と死をいとわない暴力と恐怖を肯定する。「戦争の権利がなければ発展の権利もない」と侵略を正当化し、「国の発展は他の国に対する脅威を意味する。これが、世界史の一般的な法則である」と主張する。【118】
中国国防大学防衛学院・朱成湖学長は、「米国が台湾海峡での戦争に介入した場合、米国より先に核兵器を使用して米国の数百の都市を破壊する。中国の西安から東側地域が破壊されたとしても惜しまない」と述べた。【119】 中国共産党の野心を少し披露して、国際社会の反応を伺っているのである。
ここで強調したいのは、中国軍は中国共産党の支配下にあり、軍の戦略は党の全体的な計画の一部に過ぎないということである。中国共産党の野望は、経済と軍事力を盾にして共産主義イデオロギーを世界に押しつけることである。【120】
3. 中国共産党式の「超限戦」
中国共産党のグローバルな野望には道徳的制限がなく、法律を順守する意志もない。『共産党についての九つの論評』(九評共産党)で論じたように、中国共産党の成長は徐々に歴史上の、内外の邪悪を少しずつ蓄積していく過程であり、その中で中国独自の九大遺伝子「邪、騙、煽、闘、奪、痞、間(スパイ工作)、滅、控(コントロール)」が完成した。【121】 中国共産党のグローバル化はこれらの特徴が顕著であり、巧妙さと邪悪さは更に凄まじくなっている。中国共産党の「超限戦」はこの邪悪な遺伝子の体現であり、同党が野望を達成する上で重要な要素である。
「超限戦」という概念は、常に中国共産党の軍拡のテーマである。1999年、2名の中国空軍大佐がこの概念を用いて軍事論を展開した。超限戦には名称の通り、次のような特徴がある。「(これは)制限も制約もない戦争である…強制あるいは非強制的な、軍事的あるいは非軍事的な、殺人的あるいは非殺人的な方法を含む、あらゆる手段で敵に自国の利益を受容させる…手段は包括的であり、情報は偏在し、どこでも戦場になる…すべての政治的、歴史的、文化的、道徳的な制約を超える」【122】
超限戦とは、「すべての武器と技術が意のままに利用される。つまり、戦争の世界と非戦争の世界、また軍事と非軍事の境界線が崩れることを意味する」。この戦争は、国家間の活動分野の領域にまで及び、金融、貿易、メディア、国際法、宇宙空間を含む全てが戦場となり得る。戦いの武器は、ハッキング、テロ、生物兵器、環境戦争、核戦争、電子戦、薬物売買、情報戦、密輸、心理戦やイデオロギー戦、また制裁などである。【123】
『超限戦』の著者2人は、戦争の方向性として「戦争の一般化」は避けられず、また全ての分野が軍事化しなければならないと説く。軍服を着用しない多数の非軍人が超限戦のカギであり、目に見えない分野における戦争の準備を政府に提案している。【124】
一般的に、専門分野で活躍する人々は仕事場を「戦場」に例えたりするが、中国共産党のそれは文字通りの意味である。常に闘争の最中にある同党にとっては全てが戦場であり、全員が戦闘員である。すべての対立は生死をかけた闘争であり、些細な問題が誇張され、原則かイデオロギーかの争点となる。中国共産党の目的のために、国全体があたかも戦争であるかのように動員されるのである。
1940年代の国共内戦の頃、中国共産党は経済戦争を仕掛けて国民党に打撃を与えると共に、スパイ工作によって常に国民党の動きを捉えていた。中国共産党は、国民党の兵士よりも先に国民党の作戦を把握していたという。
中国共産党のルールを無視したやり方は、今日でも変わらない。むしろ、そのやり方は更に下劣になり、規模は拡大している。すべての慣習や道徳的制約を破壊する超限戦は、欧米人や欧米政府の理解の範疇を超えている。彼らが中国共産党の行動を理解できるはずもなく、ましてやそれと戦うなど不可能である。
中国共産党は様々な領域において、一見ごく普通の手段を用いながらゴールに邁進している。以下は、その主な手段である。
・対外プロパガンダで「党文化」と虚言を世界に拡散する
・グローバル規模でメディアを支配し、イデオロギー戦を展開する
・名声、ハニー・トラップ、コネ、賄賂、圧力などを使い分けながら、国連のリーダー、各国の主要な政治家、シンクタンクや学術界の専門家、重鎮を束ね、各社会層で影響力のある人物に接近して中国共産党を支持させる
・ならず者国家を支援して扇動し、それらの国と結託してアメリカと欧米諸国を妨害する
・貿易外交を利用して消費者10億人の中国市場をチラつかせ、自由国家同士を競わせる
・経済統合と相互依存を深め、他国を縛り付ける
・WTOの貿易ルールに違反する
・口先だけの改革の公約を掲げ、貿易黒字と外国為替を蓄積する
・資本主義の旨みを吸いながら、社会主義体制を強化する
・無制限の経済戦争の中で、市場、外為、財力を盾に人権を弾圧し、他国が道義的責任と普遍的価値観を放棄するよう強要する
・先進国で働く中国人に情報を盗ませる
・中国あるいは他国の市民を人質にする
a. 「党文化」を世界に広げる
中国官製テレビのロンドン支局が設立すると、求職者が殺到した。中国側の見解を報道する90の役職に対して、6000人近くの応募があったのである。【125】 中国共産党の代弁者になりたい人がこんなにも多いということは、欧米メディアが衰退していることを意味している。中国共産党による対外プロパガンダの脅威が迫っているのである。
世界最大のプロパガンダ・マシーン
毛沢東はかつて新華社通信に言った。「地球を制御し、全世界が我々の声を聞くようにせよ」。【126】 まさに、中国共産党は過去の願いを叶えたのである。
2008年金融危機の後、欧米メディアは経営難に陥った。中国共産党はこの機に乗じ、「偉大な対外宣伝活動」を展開した。人民日報、チャイナ・デイリー、新華社通信、中国中央電視台(CCTV)、中国国際放送(CRI)など、中国共産党の代弁メディアが世界中に支局を立ち上げた。
「南都週刊」の元ディレクター、チャン・ピンによると、中国政府は2009年に450億元(65億2千万米ドル)もの予算を「対外宣伝活動という国家戦略に」割り当てたという。中国メディアの情報によると、450億元という数字は公表されたうちの一部に過ぎないという。【127】 ジョージ・ワシントン大学の著名な学者がBBCに語ったところによると、2016年の時点で中国共産党は対外宣伝活動のために年間100億円を費やしたという。【128】
2018年3月、中国共産党はCCTVやCRI、中央人民広播電台などを統合し、中国共産党中央宣伝部が管轄する中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ)を設立した。この時点で、世界最大のプロパガンダ・マシーンが誕生した。新華社通信はニューヨークのタイムズ・スクエアの掲示板で中国共産党を大々的に宣伝した。2016年、CCTVはCGTN(チャイナ・グローバル・テレビ・ネットワーク)と名称を変更した。
中国共産党の対外プロパガンダ装置は日ごとに前進している。海外支局は現地化を進め、地元の記者やレポーターを起用した。2016年2月に撮影されたCCTVアメリカによる習近平のビデオインタビューを見ると、雇用されたジャーナリストの大部分は外国人である。【129】 テレビ番組の内容は中国から海外へ輸出され、報道レポーターは地元で雇用された人間である。つまり、中国メディアは対象国の特色を帯びた番組の中で中国共産党の思想を伝え、「中国=中国共産党」という図式を宣伝できるのである。対象国の人間を利用して中国側の物語と声を世界中に拡散しているが、それは中国の真の物語でもなければ、中国人の声でもないのだ。
これが、中国共産党の対外宣伝活動の本質である。更に、同党は外国人ジャーナリスト育成のための奨学金制度を設けている。海外の若者たちは中国で勉強しながら、中国共産党式のジャーナリズムを学ぶのである。
一方、中国共産党はアフリカにも手を広げている。アフリカを経済的な植民地としながら、中国メディアが隅々にまで触手を伸ばしている。アフリカ大陸30カ国でサービスを提供する中国資本のスター・タイムスは、「アフリカで最速の成長を遂げ、最大の影響力を持つデジタル・メディア」と謳っている。人民日報の報道によると、あるウガンダのタクシー運転手は「ますます多くのアフリカ人が中国のテレビドラマを見て、中国社会を理解している」と話したという。【130】
従来、中国共産党のプロパガンダはあまり信用されず、概ね成功することもなかった。一方、海外メディアを全面に出しながら、中国共産党を批判するメディアや個人を攻撃し、同党を支持させたりすることは、すべて中国共産党による対外宣伝活動の一部である。
全世界のメディアを新華社通信に変える
2015年、10カ国の外務大臣たちが中国共産党による南シナ海での人工島建設を非難した。当時、米ワシントンDC州西部のラジオ局が流したニュース報道は他と違っていた。同局は中国共産党の工事に言及せず、外国勢力が事実を捏造して南シナ海の対立を深めていると報道したのである。【131】 WCRWと呼ばれるこのラジオ局は中国共産党の見解を幅広く報道し、一切コマーシャルを流さない。同局の顧客はロスアンジェルスカンパニーとG&Eスタジオのみで、G&Eの60%は中国国際放送(CRI)の資本である。G&Eは少なくとも米国全土に15の支局を設置し、ワシントンDC、ロスアンジェルス、ソルトレークシティー、アトランタ、ヒューストン、ホノルル、ポートランド、バンクーバーなどで放送している。
北京のCRIが、中国系アメリカ人の名前で登録されたアメリカの会社を利用しているのである。そして、この会社が支配株主としてアメリカのラジオ局に中国共産党のプロパガンダを放送させる。このやり方の最大のメリットであり、また明らかな動機は、中国共産党が背後にいることを隠蔽することである。アメリカのリスナーを最大限に騙すには、アメリカ人自身が中国共産党を支持していると思わせることである。
2015年、CRIは少なくとも14カ国で33支局、2018年までに35カ国で58支局を設立した。【132】 宣伝活動は地元の中国系企業を通じて行われているため、人々は党のプロパガンダを嫌悪しているにも関わらず、民主国家において法的措置を取ることもできない。中国共産党は民主主義の弱点を利用しているのである。中国共産党は民主社会で専制主義を主張し、自由社会の抜け道を利用して同党の教義をリスナーに植えつけている。まさに、民主主義の名の下で、民主主義を破壊しているのである。
チャイナ・デイリーのページ挿入は中国語で言うところの「他人の船で航行する」手法であり、対外宣伝活動の重要な一部である。ワシントンポストに挿入されたチャイナ・デイリーのページは、読者にワシントンポストの内容だと思わせるように工夫されている。【133】 ワシントンポストの他にも、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、デイリー・テレグラフ、ル・フィガロを含む30紙以上の大手メディアが中国と同様の契約をしている。小さく印字された「広告」という文字は目立たないため、読者は挿入された記事を本物の記事と勘違いしてしまうのである。
2018年9月23日、チャイナ・デイリーはアイオワ州の地元紙デモイン・レジスターに4ページに渡る広告を掲載した。一見、普通の記事か社説のようなレイアウトである。中身はアメリカ大統領を批判するもので、中間選挙に影響を与えるためだと指摘する人もいる。【134】
また、中国共産党は中国系メディアを操るのにも長けている。圧力と利益により、多くの中国系メディアが吸収された。その中には、かつて反共産主義を掲げていた台湾系メディアも含まれる。中国政府が支援する世界中国メディア・フォーラム(World Chinese Media Forum)には世界中の中国系メディアが招かれ、党の方針が伝えられる。 2017年9月10日、九回目のフォーラムが福州で開かれた。60ヵ国以上から460を超える中国系メディアの上級職員が参加した。
同党の宣伝活動の例を挙げよう。カリフォルニア州を拠点とする中国語メディア「チャオ・バオ」は、欧米で中国共産党のプロパガンダを広めている。第19回全国代表大会を特集した長い記事は、同党の公式メディアの内容とそっくりだった。【135】
2014年の香港雨傘運動の時、中国共産党が支配する海外中国メディア協会(160以上のメディアメンバーを有する)は、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、オーストラリアの親中メディア142社を動員し、「香港宣言を守ろう」と題した記事を掲載させた。中国共産党のメディア浸透が相当深刻であることを物語っている。【136】
反対意見を抑圧することも対外宣伝活動の一部である。同党の暗部を暴露するジャーナリストは渡航ビザを拒絶されたり嫌がらせを受けたりするため、やむなく自己検閲を行うようになる。そのため、圧力に屈せず、中国共産党から完全に独立した立場を取るグローバルメディアは少数である。
悪党が己をよく見せるには、いくつかの方法がある。ひとつは、彼らが自発的に悪事をやめ、善良になり、悪党であることを放棄することである。時間が経つにつれて、人々は彼らの変化に気づくようになる。二つ目のやり方は、人々にプレッシャーを与えながら洗脳し、悪党が悪党ではないように印象づけることである。三つめは最も大胆なやり方である。操作、虚言、ガスライティング(心理的虐待)、洗脳によって、すべての人々を悪党に変えてしまう方法である。これが悪党を強力に守る方法である。
中国共産党は二番目と三番目の方法を数十年にわたって駆使してきた。大規模なプロパガンダ活動によって、外国人は中国共産党を悪党ではないと認識するようになった。同党は一部の外国人を取り込み、党に同調する悪党に変換させた。広範かつ狡猾な宣伝活動により、同党は世界中で同盟国を組織して敵国を排除し、中立国を同党の同調者あるいは悪党に仕立てるのである。
文化、文学、芸術を通して人々を洗脳する
文化的な洗脳も、中国共産党が伝統文化を破壊するための重要な手段である。同党も最近では伝統文化の復活を謳っているが、前章で述べたように、同党は伝統の真髄を抜き取り、歪んだ偽物の「党文化」を注入しているだけである。これは世界を騙しているだけでなく、伝統文化に深刻なダメージを与えている。
中国共産党が定義した「伝統文化」が輸出され、対外宣伝活動の一部となっている。しかし、それは同党が中国の伝統的な慣習や文化を利用し、中国共産党のうわべを飾っているにすぎない。これは知覚操作、つまり洗脳である。典型的な例は孔子学院である。
不完全なデータによると、2017年末の時点で、中国共産党は少なくとも525ヵ所(主にカレッジと大学)に孔子学院を開設し、145ヵ国以上に1113の孔子クラス(主に小学校と中学校)を設立したという。【137】 孔子学院は中国政府教育部の「漢弁(ハンバン)」の監督下にあるが、一方、漢弁は中国共産党中央統一戦線工作部(中央統戦部)と密接に繋がっている。孔子学院の資金の利用は中国大使館(領事館)の管理下にある。学問の自由を脅かし、中国政府寄りのイベントを推進する。中国の歴史を歪め、中国共産党のおぞましい人権侵害を故意に省く。毛沢東の言葉を教室に飾っているクラスもある。表面的に、孔子学院は中国文化を教えると謳っているが、実際には共産主義の教義を推進し、党文化を伝えているのである。
文化や語学コースの他に、孔子学院は歴史を歪め、中国共産党にとって都合の悪い相手に対する抗議活動を行う。例えば、チベット問題に関して招待される講演者は、中国共産党側の言い分ばかりを述べる。朝鮮戦争の発端については、アメリカ軍が中国の村を爆撃し、中国が軍を派遣する必要があったからだと主張する学者もいる。【138】
2018年に成立した米2019会計年度国防授権法は、中国共産党によるアメリカ世論への影響、特に「メディア、文化機関、ビジネス、学問および政治団体」への影響について強く非難している。更に、同法案は孔子学院が存在する米大学の中国語学科に対して、国防費が支払われることを禁止している。【139】
2011年9月から10月にかけて、中国政府は300人から成る舞踊団をワシントンDCのケネディー・センターに派遣し、「紅色娘子軍」を上演させた。2016年9月、ロスアンジェルスで赤軍長征の勝利80周年を記念して大々的なコンサートが催された。同時期、オーストラリアでは「毛沢東死後40周年記念 赤い歌コンサート」がシドニーとメルボルンの公民館で開催される予定だった。しかし、オーストラリアの華人団体が抗議し、公演は中止となった。2017年、中国政府はオーストラリアで「紅色娘子軍」を上演し、2018年、シドニーとメルボルンでもう一つの暴力的な共産主義礼賛ダンス「洪湖赤衛隊」を披露した。
情報戦となると、専制的な中国共産党の方が民主国家よりも有利である。例えば、中国は民主国家を含む海外のメディアを遮断できるが、自国の官製メディアを輸出することはできる。外国メディアが中国メディアに広告を載せることはできないが、逆は簡単である。中国メディアが効率的と判断すれば、欧米メディアを吸収することもある。中国メディアが優先するのは党の利益であり、欧米のジャーナリストが主要な決定に参加することはない。また、中国共産党は欧米メディアに覆面記者を送り込んだり、外国人を党の御用記者に育てたりすることもできる。中国共産党メディアを合法と認めている限り、欧米は対中情報戦において勝ち目はない。2018年、米司法省は新華社通信と中国環球電視網(CGTN)に対して、「外国エージェント」として登録するよう命じた。これは正しい措置だったが、まだ十分とは言えないだろう。問題は、平等な相互関係がないことである。
中国共産党の対外宣伝活動の意図は、同政権に対する世論を形成することであり、ある程度の成功を収めている。有毒なイデオロギーを推進しながら誤った認識を植えつけ、人々は同政権の本質、やり方、人権問題、共産主義に対して誤解するのである。
b. 自由社会を内部から崩壊させる統一戦線
2018年12月18日、中国共産党はいわゆる改革開放40周年を祝った。「中国の改革に寄与した国際社会に感謝するため」として、10人の外国人が「友好勲章」を授与された。その中には、北京に2008年オリンピック開催権を与えたIOC前会長フアン・アントニオ・サマランチや、元国家主席・江沢民の半生記を綴った媚中派の著者ロバート・ローレンス・クーン(Robert Lawrence Kuhn)が含まれている。過去数十年間、動機はともかくとして、外国の政治家や著名人たちが様々な役割を演じ、中国共産党を助けてきた。残念ながら、彼らは中国共産党の被害者であり、また統一戦線の共犯者でもある。
世界制覇という究極の目的のために、中国共産党はいかなる手段も利用する。これが「統一戦線」のカギとなる部分である。毛沢東は統一戦線を中国共産党の「魔法の武器」と呼んだ。国共内戦の頃、国民党政府はこの戦略に騙され、大敗した。今日、欧米政府も同様に騙され、大きな損失を被っている。しかし、最近では欧米社会も中国共産党の罠に気づき始めており、統一戦線についての調査報告書が発表されている。
米国議会の中国問題委員会である米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)は2018年8月24日、『中国統一戦線の海外工作:背景と米国への影響』という報告書をまとめた。これは、中国共産党がいかに様々な政府あるいは非政府組織を利用しているか、またその活動がアメリカと欧米諸国に与える影響などについて詳述している。近年、中国共産党は更に統一戦線を強化している。報告書は、「更なる統一戦線の強化により、およそ40000人の新しい幹部が同部署に配属された」としている。【140】
欧州のシンクタンク、世界公共政策研究所(GPPI)は2018年、ヨーロッパで暗躍する中国共産党の統一戦線について報告書を発表した。【141】 2018年11月29日、スタンフォード大学のフーバー研究所も同様の報告書を発表している。それによると、「中国の統一戦線はかつて海外華人コミュニティーに焦点が置かれていたが、今ではそれを遥かに超えて、シンクタンク、大学、メディアから地方、州、中央政府機関にまで及んでいる。中国は、中国の政府、政策、社会、文化に対して同調する世論を推進し、異なる見解を抑圧している。アメリカの重要人物を引き込み、中国の外交政策や経済利益を支持させている」【142】
中国共産党の統一戦線は、主に以下の欧米人を標的にしている。
政治家とビジネスマン
USCC報告書によると、中国共産党は中国内外の支持を得るうえで、統一戦線を重要な戦略と位置づけている。その中には欧米政治家の買収も含まれている。説得、誘惑、人脈を通じて、中国共産党は欧米の政府高官と密接な関係を築いている。これらの政治家たちは中国の「国家の宝」であり、豪華なプレゼントと「中国の旧友」という称号を与えられる。歴代の国連事務総長、国家元首、政府高官、国会議員、シニア政府顧問、国際組織のトップ、著名な学者やシンクタンクの研究員、メディア企業の重鎮などが含まれる。統一戦線に取り込まれた人々は、重要な局面で中国共産党支持を表明することが期待されている。
元香港民政事務局長のパトリック・ホーは2018年12月、アメリカで贈賄罪に問われて起訴された。ホーは中国共産党と近く、中国のエネルギー企業に便宜を図るよう2人のアフリカ国家高官に賄賂を贈った。ホーは更に、2人の国連議長に賄賂を贈り、中国が他国の高官と人脈を築くために便宜を図ったという。【143】
更に、アメリカ裁判所の報告書は、中国の通信機器大手ZTEによる汚職とスパイ活動について指摘している。2名のリベリア政府高官の証言によると、2005年から2007年の間に、ZTEは大統領や政府高官、裁判官を含む多数の役人に対して多額の賄賂を贈ったという。
中国共産党は金銭の授受やハニー・トラップで政治家たちを取り込み、同党の手先として利用する。2014年11月の米国中間選挙後に発表された中国政府系企業CEFC(チャイナ・エナジー)の備忘録は、政治家との人脈や交友関係についての概略を述べている。贈収賄容疑で現在は拘禁されているCEFCの叶簡明会長は、ヨーロッパの政治家たちと強力なコネがあった。彼はかつて米大統領の安全保障担当顧問に対して、シリア爆撃を止めるよう米大統領を説得できるかと聞いたことがある。なぜならば、彼にはシリアの油田を買収する計画があったからだ。叶は更に、アメリカの中央銀行(連邦準備銀行)、国連、米政府高官の家族と交友関係があることを自慢していたという。【144】
中国共産党は敵を孤立させるために、必要であれば様々な国と一時的な同盟関係を結ぶこともある。例えば、中国共産党は発展途上国の高官たちを買収し、国連決議を可決したり、ブロックしたりする。アメリカによる中東安定への努力にも、代理人を通じて中国が水を差す。その間、中国共産党は多くの国々と経済同盟を結んでいるのである。最近の米中貿易戦争において、中国共産党はアメリカとヨーロッパを分断させているが、その意図はヨーロッパを対米統一戦線に利用することである。
地方の政治家も統一戦線の格好の獲物である。地域のリーダー、市議会議員、市長、州上院議員などが含まれる。典型的なやり方は、まず中国系企業やビジネスマンたちが中国に招かれ、多額の賄賂を受け取る。中国にいる親族のビジネスは特典を受けて潤い、彼らの支援者たちも恩恵に預かる。賄賂をもらい受けたビジネスマンたちが、今度は欧米諸国の有力者たちに献金としてお金を渡すのである。また、性接待、いわゆる「ハニー・トラップ」の後に脅迫するのも中国共産党の典型的な手口である。
シドニー総領事館の元外交官で2005年にオーストラリアに亡命申請した陳用林がエポックタイムス紙に語ったところによると、中央統戦部はオーストラリア政府と腐敗官僚に浸透しているという。「(オーストラリアの)官僚に渡された賄賂の金額は、政治献金を遥かに上回る。特に高位の官僚で、金額は莫大である。もう一つの賄賂のやり方は、中国への無料招待旅行である。高官たちは王様のように扱われる。その中には、中国企業が受け持つ性接待も含まれる。中国旅行の後、多くの高官たちが姿勢を急変するのはそのためだ」【145】
巨大な経済力をバックに、中国共産党は世界中の共産主義者と左翼政治家に多額の資金を提供し、各国で共産主義イデオロギーを広げている。
中国共産党は金融セクターや産業分野にも同様の手段を用いている。ビジネスマンや企業家たちは贅沢な接待とビジネスの特典を受ける。その見返りとして、彼らは中国共産党のためにロビー活動に従事し、国の金融や経済政策に影響を与えるのである。米中貿易戦争の中、中国共産党は頻繁にウォールストリートの重鎮と接触している。数多くの金融企業や国際企業が中国でビジネスを展開している。彼らは中国でビジネスを広げるために、多くの共産党高級幹部の子弟たち、いわゆる「太子党」を雇用するが、一方、子弟たちは同党の手先となって企業内で目を光らせている。
学術界とシンクタンクに浸透する
欧米のシンクタンクは対中政策に強い影響力がある。従って、中国共産党もその分野には強い関心を持っている。フーバー研究所は、同党は資金援助によって影響力を行使していると指摘する。中国関連のシンクタンクのほぼ全ては賄賂によって中国共産党の影響下に置かれている。また、中国共産党は米国二大政党の見解を注視しており、自身のアジェンダに有利な議案を取り上げさせるのである。【146】
ワシントンポストによると、中国企業は一部のアメリカのシンクタンクをコントロールしているという。例えば、中国企業の華為(ファーウェイ)はアメリカの安全保障を脅かすだけでなく、ワシントンを拠点とするシンクタンクに資金援助をすることで影響力を与えていると報じている。【147】
華為はケンブリッジやオックスフォードを含むイギリスの20以上の大学に対しても資金援助を行っている。イギリスの安全保障専門家アンソニー・グリーズ(Anthony Glees)は、「これは中国マネーがイギリスの大学に流入し、電子に関する議案が左右されているということだ。これは国家の安全保障の問題である」と話している。【148】 華為が主導する学生向けプログラム「Seeds for the Future」(将来のための種)が多くの若いエンジニアを惹きつけているが、これも共産主義が相手国を内部から転覆させる古典的な手法である。
中国共産党は海外の学者、特に中国の学者を金銭、地位、名声で買収する。それらの学者は中国共産党の美辞麗句に忠実に従い、中国共産党の「平和的な台頭」「中国の夢」「中国モデル」などについて書く。この学者の論文が間接的に欧米政府の対中政策を左右するが、これこそが中国共産党の目的である。
更に悪いことに、過去十数年間、欧米の人権専門家や社会学者たちは共産主義イデオロギーに深刻に毒されている。中国共産党の影響力が少しでも及ぶと、これらの専門家たちは単なる左翼イデオロギーの支持者から、本格的な共産主義崇拝者に転換してしまうのである。
海外の中国人リーダー、ビジネスマン、留学生を脅迫する
中国共産党は海外の中国人留学生たちの愛国心を刺激し、中国政府の政策やイデオロギーに同調させることに成功した。海外の中国人を取り込むために、中国共産党は資金援助を惜しまない。「祖国への愛、親戚への情」を謳い、故意に中国と中国共産党を混同させ、海外の中国人を騙す。同党は更に広範な組織、支持団体、スパイを利用し、異見者を孤立させる。
更に、中国共産党は様々な口実を使って海外の中国人を招待し、ビジネスや投資に誘致する。海外の有力な中国人は豪華な接待旅行で親中派の外国人や中国政府高官と面会し、中国の国慶節に招待されるのである。
カーネギー国際関係倫理協会のザッハ・ドーフマン(Zach Dorfman)は、ニュースメディア「ポリティコ」への寄稿文の中で、シリコンバレーにおける中国とロシアのスパイ活動、特に中国に焦点を当てた報告をしている。【149】 それによると、サンフランシスコの中国商工会議所(Chinese Chamber of Commerce)は中国人パワーブローカーのローズ・パクを利用し、中国人の新年パレードから法輪功、チベット、親台湾派、ウイグルを排除させたという。
USCCの報告書は更に、いかに中国留学生会(CSSA, Chinse Student and Scholar Association)が中国共産党にコントロールされているかを指摘している。この団体はホームページ上で、一部のCSSAは地元の中国領事館あるいはその関連団体によって設立されたと説明している。【150】 一方、そのコントロールは隠密に行われている。これらの団体は中国領事館からの指示を受け、反対意見が表に出ることはない。中国共産党路線に反対する海外留学生は領事館職員による監視、嫌がらせ、脅迫を受けるのである。
CSSAやその他の関連団体は産業スパイを行うこともある。2005年、フランスのル・モンド紙は、ベルギーのルーバン大学のCSSAは中国共産党のスパイ最前線であると指摘している。時には、それらのスパイ網がヨーロッパ諸国で暗躍することもある。【151】
映画と娯楽産業に浸透する
近年、中国共産党はアメリカの娯楽産業への浸透を強めている。2012年、中国の不動産・商業施設大手ワンダグループは20億6千万ドルを投じて米国2位の映画館チェーンAMCを買収した。それ以降、映画会社レジェンダリー・ピクチャーズが35億ドルで、また米国第4位の映画館チェーン、カーマイク・シネマズが11億ドルで買収されている。【152】 2016年、中国最大手の映画会社アリババ・ピクチャーズはスティーブン・スピルバーグが所属するアンブリン・パートナーズの少数株式を取得した。アリババは代理人をアンブリンの経営陣に置き、主要な経営会議に参加するようになった。【153】
中国共産党が娯楽産業に浸透する理由の一つは、同党のシナリオ通りに世界を動かすことである。中国共産党のイメージアップを図り、いわゆる「平和的な台頭」を印象づけて、世界制覇の目的を隠すことである。同時に、このイメージアップにより党文化の輸出がいかに世界を汚染したかを隠すこともできる。1997年から2013年にかけて、中国はハリウッド映画の興行収益トップ100本のうち、12本のみに投資していた。その後5年間で中国からの投資は41本に増加した。【154】
ハリウッドは中国映画市場の恩恵にあずかる一方、共産党路線から外れたら窮地に陥ることもよく分かっている。その結果、ハリウッドは自発的に中国向けの検閲を行う。【155】 中国共産党に反対の立場を取るアメリカ俳優たちは入国を拒否され、あるいは彼らの映画が上映されないこともある。ハリウッドスターのリチャード・ギアはチベットに対する立場を表明した後、中国への入国を禁じられただけでなく、米国でのキャリアも傷つけられた。中国共産党の機嫌を損ねないように、映画会社がギアの出演を断るようになったのである。【156】 同党の路線から外れたその他の映画俳優たちも中国共産党のブラックリストに載っている。
海外留学生を脅迫する
中国共産党は脅しと誘惑で欧米の学者、特に中国共産党に対して批判的な中国専門家を左右しようとする。このため、多くの専門家が自己検閲を行うようになる。脅しにはビザ発給拒否があるが、これは若い学者にとって大きな痛手である。キャリアのために、彼らはあえて人権やチベットなど敏感な問題を避けるようになる。
東アジア研究者の教授ペリー・リンクは、天安門事件に関する論文で中国共産党を批判したため、同政権のブラックリストに載ってしまった。彼が受けた処遇を見て、他の若い学者たちは何をすべきではないのかを、おのずと学ぶことになった。【157】
2017年10月、イギリス保守派の人権活動家で香港民主化支持派のベネディクト・ロジャースは個人旅行の時に香港空港で入国を拒否され、強制送還された。【158】
また、USCCの報告書によると、中国の諜報員は海外在住のウイグル人を探し出し、スパイとして利用しているという。要求を断れば、中国に居住している家族が迫害される。脅迫されたウイグル人によると、中国政府の目的は海外に散らばるウイグル人の情報収集だけでなく、分断を煽り、中国共産党に対する反対意見を阻止する狙いもあるという。【159】
c. 経済の超限戦―中国共産党の最終兵器
対外プロパガンダ、知覚操作、統一戦線工作が中国共産党によるソフト・パワーであるならば、ハイテク企業は同党のハード・パワーである。1950年代、中国共産党のスローガンは「イギリスを追い越し、アメリカに追いつく」だった。もちろん、これは茶番劇に過ぎなかったが、今日の戦略は冗談では済まされないほど現実的な脅威である。
1980年代以降、中国共産党は863計画(国家高技術研究発展計画)や973計画(国家重点基礎研究発展計画)、メイド・イン・チャイナ2025(中国製造2025)を含む一連の科学技術戦略を推進してきた。同戦略には、2030年までに世界一を目指すAIの分野も含まれる。これは中国が世界の工場から脱却し、より先進的な製造大国を目指すもので、世界的に優位に立つことを狙っている。
国家が産業発展を目指すことは間違いではない。国が自国の資源を研究開発に投資し、主要産業の成長を促すのも合理的である。それでは、中国共産党のハイテク企業の成長がなぜ欧米の脅威となるのだろうか?
最も根本的な理由は、中国共産党政権下の中国が普通の国家ではないことである。中国の技術発展は他の先進国に仲間入りすることでもなく、同等の立場で競争することでもない。その真の目的は、あらゆる手段を利用して競争相手を抹殺し、欧米経済を引きずりおろすことである。そうすれば、世界支配へとまた一歩近づくのである。中国共産党が科学技術を強化するのは共産主義イデオロギーに奉仕するためであり、最終的には共産主義が世界を支配するためである。
技術革新は資本主義社会で保障されている個人の自由による成果であり、専制的な共産主義とは当然対立することになる。中国国内にいる研究者たちは外国の検索エンジンを使用できず、言論の自由も保障されていない。従って、思想と情報が規制された中国共産党のもとでは、真の科学技術の発展は難しい。
それを補うために、中国共産党は欧米企業の技術をこっそりと盗み、優秀な人材を引き抜き、不公平な手段を使って欧米企業を弱体化させる。中国共産党は欧米が莫大な投資と長年の研究により蓄積した技術や知識を盗んできた。盗んだ知的財産を吸収し、ほんの少し改善した代物を少額の投資で大量生産し、商品として世界中に売りさばく。これが欧米の企業と経済が衰退する仕組みである。つまり、中国政権は経済の超限戦で欧米に対抗しているのである。
市場へのアクセスと貿易戦争
近年、中国は高速鉄道を使って自国の製造品を宣伝しているようである。つまり、「高速鉄道外交」である。中国官製メディアは、たった10年で成長を遂げたと主張し、「伝説的だ」と賞賛する。しかし、外国企業にとって、中国の高速鉄道建設は技術窃盗や罠の恐怖であり、最終的には少しの利益と引き換えに大損を被る取引である。
高速鉄道プロジェクトが始まったのは1990年代初めである。2005年までに、中国政府は独自開発をあきらめ、外国企業の技術導入を決めた。中国共産党の目的は始めから明らかである。最初に技術を取得し、それを製造し、最後に同じものをより安く世界市場に売りさばくことである。
外国企業は契約の条件として、中国企業への技術移転を約束させられる。それを拒否する企業は入札することも許されない。中国政府の「技術移転の実施評価」は、外国企業による技術指導がいかに行われているかよりも、国内企業がいかに学習しているかに焦点を置いている。もし国内企業が技術を取得していなければ、中国政府は支払いをストップする。中国政府は更に、最後の発注案件までに、国内企業による製造が70%に達することを条件としている。【160】
外国企業にとって、中国市場は垂涎の的である。いくら厳しい条件を突きつけられても、契約への意志を阻むことはできない。日本の川崎重工、フランスのアルストム、ドイツのシーメンス、カナダのボンバルディアが入札した。技術移転と引き換えに、中国市場へのアクセスを提示されたが、外国企業は中核部分の技術移転については了承しなかった。一方、中国共産党は複数の企業に働きかけ、一社でも妥協させることを狙った。案の定、一社が妥協すると、他の企業も遅れまいと次々に手をあげた。数社が罠にかかり、中国政府は上記4社から主要な技術を取得することに成功した。
中国政府はコストを省みることなく、巨額の資金を同プロジェクトに投入した。その後、中国の鉄道建設は急速に発展し、世界一長い高速鉄道網が建設された。中国は数年で外国技術を吸収し、それはいつの間にか「独自の技術」に転換した。外国企業を驚かせたのは、中国が外国で高速鉄道の特許申請を行ったことである。中国企業が、指導してくれた外国企業に対抗し、世界市場でのライバルになったのである。中国企業はこの分野で実質的な経験を積み、自国の巨大市場から生まれる製造規模や政府主導の資金があるため、競争相手より有利な条件がある。これも中国の一帯一路プロジェクトの重要な部分である。
中国の巨大市場を夢見た外国企業は、自身が中国市場から追い出されただけでなく、手ごわい競争相手を生んでしまったことに気づくことになった。JR東日本会長・葛西敬之は、「新幹線は日本の宝。中国への技術移転は大失敗だった」と述べている。【161】
中国共産党自身も、中国の高速鉄道の成功は、巨人の肩にのる小人(先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見することを指す)だということをよく分かっている。実際、中国共産党の目的は、最初から他の巨人を倒すことである。同党は二つの明確な目的を持っている。短期的な目標は、経済的な発展により、同政権が合法であること、また技術発展を維持することにより、国民の愛国心を掻き立て、プロパガンダを推進することである。長期的な目標は、共産主義システムの方が資本主義よりも効率的であると示すことである。そのため、中国政府は無節操な技術窃盗を行い、国家の経済力を総動員して自由な資本主義の私企業と競争するのである。
中国政府は様々な手段で欧米企業を脅かしている。中国市場と引き換えに技術供与を強要すること、欧米技術の吸収と改善、国有企業が国内市場で実践を積み、世界市場へと前進すること、製造品を世界市場へダンピングし、安値でライバルを打ち負かすこと。反省している企業もあるが、利益の誘惑に負け、中国共産党に群がる企業もある。中国共産党による欧米先進技術への飽くなき欲望は弱まることなく、メイド・イン・チャイナ2025はまさにそれを体現しているのである。
2015年、中国政府はメイド・イン・チャイナ2025の10年計画を発表した。これは、2025年までに中国が世界の工場から製造大国へと転換し、2035年までにドイツや日本などの先進国を超えると謳っている。2049年までに、中国共産党は主要な製造分野の技術革新を先導し、主要技術と産業のグローバル・リーダーを目指すとしている。中国共産党は産業分野を「国家の基盤」として優遇し、「国を活性化するカギ」としている。
窃盗で成り立つ製造大国
中国はどうやって短期間に、その製造力とイノベーションを実現できるのだろうか? もちろん、使い古されたトリックを使うのである。最初に、高速鉄道の時のように企業を恐喝して技術を供与させる。多くの欧米企業は中国市場へのアクセスを条件に喜んで技術を提供し、同時に着々とライバルを育てる。第二に、中国企業とのジョイント・ベンチャーを外国企業に要求し、中国企業や大学が技術を取得できるようにする。第三に、中国国有企業による外国ハイテク企業の買収を援助し、主要なテクノロジーのスタートアップへの出資、また海外の研究開発(R&D)の設立を支援する。第四に、海外の大手ハイテク企業や科学研究機関に働きかけ、中国国内におけるR&Dセンター設立を誘致する。第五に、外国の技術専門家を取り込むのに有利な政策を利用する。
シリコンバレーで企業するには資本が必要である。中国は税金をシリコンバレーにつぎ込み、ロケット・エンジン、自動海軍船用センサー、また戦闘機のコックピットにも利用される、フレキシブル・ディスプレイを製造できる3Dプリンターなどの新技術を入手するのである。【162】 シリコン・バレー・バンク会長のケン・ウィルコックス(Ken Wilcox)が2017年に語ったところによると、6ヵ月間に3つの中国政府系企業から技術買収のエージェントになることを持ちかけられたと言う。彼はオファーを断ったが、「三つの企業は同様に、これは北京政府からの指示であり、何を買収したいのかも分からないと言った。つまり、技術ならすべてを欲しがっていた」と話している。【163】
2018年11月、米国通商代表(USTR)は、通商法第301条に基づく調査報告書を発表した。それによると、北京政府は中国企業から資金提供を受けた米投資会社ダンファー・キャピタル(Danhua Capital、現在はデジタル・ホライズン・キャピタル)を通じて、アメリカの最先端技術と知的財産を入手したという。【164】
USTRの報告書は公開されている。中国のいわゆる「技術発展」は、露骨な欧米技術の窃盗である。中国の産業スパイは、過去の産業スパイを遥かに上回る。欧米の技術と機密情報を盗むために、中国共産党はあらゆる人員と資源を動員する。人的資源とは、スパイ、ハッカー、海外留学生、客員研究員、欧米企業に勤める中国人あるいは台湾人、経済利益につられる欧米人である。
中国共産党は常に米国のF-35 戦闘機を喉から手が出るほど欲しがっている。2016年、カナダ永住権保持者の中国人、スー・ビンはF-35を含む戦闘機の情報を盗んだとして、5年の禁固刑を言い渡された。スーは2人の中国軍ハッカーと共謀し、米防衛大手ロッキード・マーティン社のコンピューターから機密情報を盗み出した。調査によると、スーのグループはロッキード社のF-22ステルス戦闘機やボーイング社の軍用輸送機C-17 、更にボーイング社のシステムから65ギガバイトに及ぶ63万件のファイルを盗んだことが判明した。【165】 近年、人民解放軍が公開したステルス戦闘機「殲20(J-20)」は、米国のF-22 に酷似しており、小型の殲31(J-31)は、F-35の模造品だと言われている。
デューク大学のメタマテリアル専門家ディビッド・スミス(David Smith)は、軍用可能な「透明マント」を開発し、米軍は彼の研究に数百万ドルを費やした。2006年、中国人留学生のリュー・ルーペン(Liu Ruopeng)がスミス博士の研究室を訪れ、研究を学びたいと申し出た。FBIは、リューがスミス博士の研究を盗むためにやってきたと推定している。2007年、リューは2人の中国人の元同僚(旅費は中国政府が負担)を連れてスミス博士の研究室を訪れた。後に、「マント」製造設備にそっくりな代物が、リューの旧研究室に出来上がったのである。【166】
2018年12月20日、米司法省は中国人ハッカー集団APT10に所属する二人の中国人に対する訴訟を起こした。APT 10は、中国共産党と密接な関係があることで知られている。起訴状によると、APT 10は2006年から2018年にかけて広範囲に渡るハッキングを行い、NASAや米エネルギー省を含む45の組織から大量の情報を盗み出したという。盗まれた情報は、医療、バイオテクノロジー、金融、製造、石油、自然ガスを含む。FBI長官のクリストファー・レイは次のように話す。「中国の目標は、簡単に言うと、アメリカに取って代わり、自身が世界を指導するスーパーパワーになることである。中国は不法な手段でそこに到達しようとしている。中国のやり方は非伝統的で、不法な手段であり、それは膨張している」【167】
中国による技術と特許の窃盗を防御するのは非常に難しい。元米国防諜要員のキャスリーン・パケット(Kathleen Puckett)は、中国は「スパイ活動に全部をつぎ込んでおり、なんでも無料で取ってしまう」と述べている。【168】
中国は泥棒三昧のために、それを教化し、正当化し、常態化し、軍用化する。中国は愛国心、民族的な扇情、金銭、名誉を利用し、「全面戦争」をしかけて欧米から先進技術を略奪している。このような下劣な行為は歴史上類を見ないだろう。
中国が盗んだものは部分的であり、それが完全な全体像を形作ることはできないし、配置や調整も難しいだろうと軽視する意見もある。しかし、中国の産業スパイを甘くみてはならない。電子時代のスパイは、写真を盗撮する程度だった過去のそれとはレベルが違う。中国は技術資料のデータベースを丸ごと入手するだけでなく、多くの場合、その専門家さえも引き抜いていく。中国は世界の工場として成長し、さらに十数年のR&D投資による蓄積もある。同政権が真に窃盗で成り立つ製造大国になる可能性がある。まさに、中国はその方向に向かっているのである。
千人計画:スパイ工作と人材集め
1970年代の開放政策から現在までに多くの中国人が海外へ留学し、偉業を遂げた。中国は欧米で教育を受けた優秀な中国人を確保し、彼らの技術や経済情報を入手している。これが、中国共産党の野望に拍車をかけている。2008年以降、複数の中国政府機関が千人計画に参与した。表面的には、中国が才能ある海外中国人を募集し、中国で短期あるいは長期に雇用するだけにみえる。しかし、同計画の真の目的は、国営企業が欧米の技術や知的財産を盗み出すことである。
FBIは2015年9月、中国の千人計画に関する機密解除された文書を公開した。それによると、才能ある人材を確保することは、中国に三つの利益をもたらすという。最先端技術の研究と専門家へのアクセス、米国政府や民間資金にバックアップされた米国における長年の科学研究の利益、さらに米国経済に大きな影響を与えることである。【169】
2018年12月13日、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は中国の千人計画について報告書を発表した。それによると、外国籍の市民はアメリカ政府の給与をもらいながら、米国の知的財産を母国へ持ち帰っているという。彼らの行為は不正であり、米研究機関を脅かしていると指摘する。【170】 同報告書の共同著者でNIH諮問委員会のM.ロイ・ウィルソン(M. Roy Wilson)は、千人計画に参与できる条件は、貴重な知的財産へのアクセスを持っていることだと言う。彼によれば、この計画は壮大で明確な目的があり、知的財産の損失は明らかであるという。【171】
新アメリカ安全保障センターの特任シニアフェロー、ピーター・ハレル(Peter Harrell)は話す。「中国は、技術取得に関しては社会全体でアプローチしている。海外投資による外国開発企業の買収、中国市場へのアクセスと引き換えに欧米企業に技術供与させること、国内の技術発展を促すために莫大な国家予算を投入すること、中国トップの学生たちを国費で留学させること、外国の優秀な中国人を高額で雇用することである」【172】
千人計画のターゲットは、1980年代以降に米国留学し、中国共産党政権にとって有利な産業、技術、経済情報を取得できる中国人である。潜在的には数万人いると思われる。中国共産党は中国全土の資源を総動員し、優秀な人材と知的財産に対する超限戦を仕掛けているのである。
邪悪な全国家システム
政府の支援と補助金は、中国共産党の重要な側面である。同政権は莫大な資金を主力産業に投入している。中国が国家資源を利用して欧米の私企業にプレッシャーを与えている。民主的に国家のリーダーを選出し、経営方針は私企業に任せる国家にとって、これは大きな挑戦である。欧米企業はゲームの前からすでに敗北している。政府から補助金を得た(もちろん同意もしていない納税者から支払われているが)中国の製造企業はコストを無視して、国際市場でがむしゃらに競争相手を突き落とすだろう。
中国政権が支援する太陽電池産業が典型的な例である。10年前、世界トップ10の太陽電池生産企業の中に中国企業は入っていなかったが、今ではトップの2社を含む6社がランクインしている。オバマ政権時代、グリーン・エネルギー産業の推進が盛んだったが、中国企業からの激しい競争に晒され、同分野のビジネスは短期間で衰退した。【173】 これは中国国内企業への補助金によって世界市場でダンピングが行われたことが原因である。
欧米においても国が最先端技術を含む主要産業を支援することはある。インターネットの原型はアメリカ国防省が開発した。しかし、欧米の場合、政府の介入は限定的である。いったん技術が商業化されたら、私企業は自由にそれを扱うことができる。例えば、NASAは技術移転プログラム(Technology Transfer Program)を通じて、研究結果を産業に広めている。多くのソフトウェア・プロジェクトはソース・コードをウェブで公開している。対照的に、中国共産党は国力でハイテク技術を商業化し、「中国株式会社」として個別の欧米企業と戦うのである。
メイド・イン・チャイナ2025も当然、国家支援や産業計画と切り離せない。もし中国共産党が同じ路線を行くなら、太陽光電池と同じことが他の産業でも起きる。そして、中国製品が世界中で失業者を増やすだろう。無制限の経済・技術戦争の中で、中国共産党は多国籍企業を含む多くの欧米企業を罠に陥れた。私企業は資本と先進技術を売り渡したが、中国市場でフェアに競争することができず、むしろ自身を脅かすような強力なライバルを育ててしまった。中国共産党はそれらを人質にして、野望を遂げようとしているのである。
d. 市民を利用したスパイ工作
中国共産党のもう一つの武器は情報である。分野を問わず、国家、私企業、個人にかかわらず、いかなる情報も重要であり、戦略の道具である。
中国共産党は法律を利用して、中国人全員を超限戦に参加させる。人民代表大会常務委員会で可決された中国国家情報法は、「中国国家安全部は市民に対して、必要な支持、援助、協力を要請することができる」と明記している。【174】 つまり、中国政府は中国市民に対して、情報収集やスパイになることを強制することができる。この種の情報収集は歴史上初めてである。
2018年12月12日、アメリカ上院司法委員会は、中国共産党の「非伝統的なスパイ活動」についての公聴会を開いた。FBI防諜局副長官ビル・プリースタップ(Bill Priestap)が中国共産党の活動について証言した。それによると、同党は有利な場合においてルールを遵守するが、そうでなければルールの違反や破壊も行う。可能であれば、同党はルールを書き換えて、自身の要求に準じるよう世界を変えることもできる。
国家安全保障局の検事総長ジョン・デマーズ(John Demers)は、中国共産党のメイド・イン・チャイナ2025は(表向きには改善と開発を目的としているが)実質的に、何を窃盗するかのマニュアル本であると証言している。2011年から2018年にかけて発覚した90%以上の産業スパイが中国に関係する国家(つまり中国共産党)に関与あるいはその国を利するとされている。更に、3分の2の営業秘密の窃盗は、中国(つまり中国共産党)と関連していると話している。【175】
中国共産党による欧米企業へのハッキングや人材の引き抜きについては前頁で詳述した。しかし、中国共産党のスパイ活動は知財窃盗に留まらない。
中国共産党は中国国内の、いわゆる名ばかりの「私企業」を利用して、海外での諜報活動を行っている。テキサス州出身のテッド・クルーズ上院議員は華為(ファーウェイ)について、「通信機器メーカーという見え透いたベールをまとう共産党のスパイ・エージェンシーである」と述べている。彼は、「その監視ネットワークは世界中に広がり、顧客はイラン、シリア、北朝鮮、キューバなどのならず者国家たちだ。ファーウェイのCFO孟晩舟(もうばんしゅう)がカナダで逮捕されたことは、チャンスであり、また挑戦でもある」と指摘する。【176】
フランス紙ル・モンドが2018年に発表した調査報告によると、アフリカ連合(AU)本部から5年間、毎日上海へ極秘情報が流れていたという。中国共産党がハッキングの裏にいると同紙は指摘している。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)によれば、AU本部がある建物のネットワーク敷設はファーウェイが請け負っていたという。【177】
軍事学に詳しいコペンハーゲン在住のアンドレ・ケン・ジャコブソン(André Ken Jakobsson)は話す。「懸念されるのは、中国共産党が非常に重要で敏感な情報を入手できることだ。彼らは全社会をコントロールするシステムに侵入できる。将来、すべては5Gネットワークで繋がることになる。そのような機器を提供する国家(つまり中国)がそのスイッチを握るということを我々は心配している」【178】
中国共産党はカメラやコンピューターのネットワーク、顔認識システムを備えたAIを活用し、遍在的な監視システムを導入している。もし止めなければ、現在中国で起きていることが世界中で起きるだろう。
また、中国共産党は大勢のハッカーを採用している。1999年、法輪功の海外ウェブサイトに偽装した中国共産党のハッカー集団がアメリカ運輸省のシステムを攻撃した。調査が行われたところ、攻撃源は中国共産党下の情報局であることが分かったという。【179】
2015年6月、米国人事管理局が中国共産党ハッカーの被害に遭い、2150万人以上の個人情報および安全保障の情報が盗まれた。その中には、1970万人の政府職員と、その家族180万人のデータが含まれている。
2018年11月、マリオット・インターナショナルは、2014年以降の5億人に上る宿泊客のパスポート情報を含む個人情報が盗まれたと発表した。同年12月、米国務長官マイク・ポンペオは攻撃源を中国共産党と断定した。マリオットホテルは多くの米政府および米軍関係者を顧客に持つ世界最大のホテルチェーンである。
e. 変幻自在に変わる超限戦
中国共産党は様々な形式を利用して超限戦に臨んでいる。その中の数例を下記に述べる。
外交の超限戦
中国共産党の典型的な外交戦略は、「分断統治」である。世界中が中国共産党の人権侵害を非難していた頃、同党はそれぞれ個別の国ごとに対応した。多くの国がプライベートに中国共産党と議論したものの、ただ問題を遅らせるだけで、何の成果も生まなかった。更に、このやり方は人権を守るという国際的な規範を覆しただけだった。
中国共産党はWTOに加盟する以前から、この手法で非難と制裁を免れていた。いったんWTO加盟を果たすと、同党は経済利益をエサに多くの国を誘惑し、「分断統治」を仕掛けたのである。
中国共産党は更に、人質外交というゴロツキの手段も使う。要求を通すまで、中国人でも外国人でも拘束して脅迫する。アメリカが中国に対して恒久的正常貿易関係を付与する前、中国は交渉の一環として必ず国内の反体制派を逮捕し、保釈して目的を達成した。中国政府は、国民の権利や命など気にかけることはないが、欧米社会が人権問題を重視していることをよく知っている。従って、同党は自国の市民を捕まえて人質にし、中国人の喉元にナイフをつきつけて、敵(つまりアメリカ)を脅しているのである。これが中国共産党の超限戦の本質である。
急速な経済成長を遂げた後、中国共産党はより大胆になった。外国人を人質にするようになったのである。2014年、アメリカの軍事情報を盗んだスー・ビン(Su Bin)が逮捕されると、中国にいたカナダ人カップルのケブンとジュリア・ガラットがスパイ容疑で逮捕された。
2018年12月1日、バンクーバーでファーウェイCFOの孟晩舟が逮捕されると、中国外交部主導の抗議活動が行われた。カナダの中国領事館は親中派を大規模に動員して抗議を行った。更に、報復として中国共産党は3人のカナダ人を逮捕した。【180】 これは、カナダに直接的な圧力を与えただけでなく、アメリカとカナダの関係にも水を差したのである。
「無法」が中国共産党のやり方である。中国にいる外国人は、いつでも人質になるリスクがあるし、交渉の切り札にされる可能性がある。また、中国共産党が海外在住の中国人、とくに反体制派の市民を脅迫する時は、中国国内にいる家族を人質にするのである。
軍事の超限戦
中国共産党は対艦ミサイルや対空母ミサイルなどの非対称的な武器を開発している。従来型の兵器の場合、中国共産党はアメリカより技術的に優位に立つことを目標に、大量の武器を購入してきた。前章で述べたように、中国共産党は経済的に、また技術的に成長し、サイバー戦、宇宙戦、更には対米戦を想定した斬新でハイテクな攻撃ベクトルのオペレーションが可能である。
人民解放軍(PLA)は、望ましい戦争形態を「国家間、クロスドメイン(領域横断)、またあらゆる必要な形式を利用したもの」と公に宣言している。PLAは理想的な戦争として「有形の国境、無形のサイバー空間、国際法、国家法、行動規範、倫理などは(PLAを)規制するものではない…(PLAは)誰に対しても責任を負わず、どんなルールにも制約されない。だれもが標的になり得るし、あらゆる方法が利用される」としている。『超限戦』の著者である二人の中国軍人は、読者に問いかけている。「戦場と非戦場が融合することを想像してほしい。具体的に言うと、ステルス戦闘機、巡航ミサイル、ネットワークの破壊、核戦争、金融戦争、テロリスト攻撃などである。あるいは、簡単に言うと、シュワルツコフ(アメリカ中央軍司令官)+ソロス(左派の億万長者)+モリス(モリスワームというコンピューター・ウィルスの開発者)+ビンラディンである。これが、我々の真の切り札である」【181】
金融の超限戦
中国共産党は独自の支払システムを導入し、「経済援助」の名目で人民元の利用を推進している。これは、グローバルなインフラを構築する試みである。その目的は、世界の金融市場で人民元がアメリカドルに取って代わることである。中国共産党が仕掛ける金融戦とは、単に大量の紙幣を印刷して目的を達成することであり、必要に応じて金融システムを崩壊させることも可能である。ある中国共産党系のシンクタンクは、外貨の武器化を主張している。
ネットの超限戦
中国共産党はファーウェイとZTEを通じて5G市場を支配し、5G標準化における優位性を確保しようとしている。ダラス連邦準備銀行の元理事は、「もし中国が競争に勝てば、英語が科学分野でドイツ語に取って代わったように、彼らがインターネットのプロトコルを構築するだろう」と話している。【182】
インターネットの情報量が日増しに膨張している。ネットの世界が実世界を抑制し、我々に強烈なインパクトを与えている。現在、インターネットは5G技術を中心とする新たな成長段階に直面し、5GとAIの融合による「モノのインターネット」(IoT)へと進化している。つまり、全世界のデジタル化である。インターネットが凄まじい勢いで物質世界をコントロールし、全世界のルールが書き換えられている。もし中国共産党が5Gを支配するならば、同党は無制限に拡大していくだろう。
中国共産党の対外宣伝活動が中国支配の5Gと統合されたあかつきには、洗脳を始めとするソフト・パワーが更に強化される。そのスケールと影響力は、現在のレベルを遥かに上回るだろう。
薬物の超限戦
トランプ大統領は2018年8月16日の閣僚会議で、中国から流入する合成オピオイド「フェンタニル」について話し、「一種の戦争だ」と語った。【183】 2017年、米国全土で7万人以上が薬物の過剰摂取で死亡した。そのうち40%以上が合成オピオイド(主にフェンタニルやその類似品)である。これらの薬物は主に中国で製造され、米国へ郵便で送られるか、あるいはメキシコへ密輸された後、南西国境から流入する。【184】
中央ヨーロッパ大学のシニア研究者でフーバー研究所の客員研究員マーコス・クナラキ(Markos Kounalaki)は2017年11月、フェンタニルについて論じている。「これはまさに化学品だ。中国は対アメリカ21世紀アヘン戦争において、これを利用している」。彼は、フェンタニルが数万人のアメリカ人を殺害しているとし、中国共産党の戦略の一つだと主張している。中国にとって、この薬物は「儲けの多いアヘン輸出であり、同時にアメリカ社会を破壊し、アメリカ政府を混乱させることができる」とクナラキは述べている。【185】
人口の超限戦
2018年9月、スウェーデンへ旅行した中国人家族が騒ぎを起こし、現地警察から不当な扱いを受けたと主張した。中国大使館とメディアが誇張して報道し、中国人はIKEAやH&M (スウェーデンのブランド)の不買運動を始めた。【186】 スウェーデンのテレビ局SVTは同事件を皮肉った番組を放映し、不買運動は激化した。スウェーデン大使館や番組テレビ司会者のウェブサイト、また同テレビ局のフェイスブックに中国人ユーザーのアクセスが集中した。【187】
これが、60年に及ぶ伝統文化の破壊と、共産党文化による洗脳の成果である。中国共産党は、単に人々の愛国心を煽るだけで10億人の中国人を戦闘員に仕立てることができる。2017年、人民解放軍(PLA)創設90周年の前、中国共産党はPLAのユニフォームを個人の写真に着せることのできるソフトを開発した。数日内に、10億人がそのアプリにアクセスしたという。
中国共産党は愛国心を利用して簡単に大衆を支配することができる。なぜならば、人々は同党の真の歴史を知らないからだ。特に、人々は中国共産党の殺人の歴史を知らない。そのため、党文化に育てられた世代は、どこへ行っても党文化を表すのである。彼らが外国で生活すると、党文化をそのまま体現することになり、また中国政権の海外戦闘員となるのである。
中国共産党は、脅迫や監視をせずとも忠実に働く世代を育て上げた。これは中国共産党が自由社会を転覆するうえで強力な武器である。もし戦争が起こった場合、この人口戦は悲惨な結果をもたらすだろう。
文化の超限戦
中国共産党は中国の伝統文化と慣習という看板を掲げ、党文化を宣伝してきた。世界の国々は中国の長い歴史と豊かな文化に興味を持っているが、理解が浅い。中国共産党はそれを十分に知っているし、その弱点を掴んでいる。いくつかの表面的な伝統文化を利用し、中国文化の真の保護者、あるいは体現者であるかのように振舞う。外国人にとってはそれを見極めがたく、嘘を見抜くことは難しい。
超限戦の他の形態
1986年、中国共産党は863計画を発表し、アメリカと欧米連盟国に対して非対称ハイブリッド戦争を宣言した。その目的は、経済と軍事においてアメリカを抜き、世界のリーダーになることである。これは嘘に基づいた、ルールを無視した戦争であり、超限戦の一部である。【188】
1989年6月4日、中国共産党は軍部と警察に対し、北京市民を装って乱闘を起こすよう命じた。暴動を理由に「鎮圧」という名の大量虐殺を実行することができるからだ。法輪功に対する弾圧を正当化するために、中国共産党は法輪功学習者の「焼身自殺事件」をでっち上げた。香港の「愛と平和的手段で自由と民主を勝ち取ろう」(Occupy Central with Love and Peace)運動の時、深セン市から派遣された集団が香港で暴動を引き起こし、警察による暴力がエスカレートした。
中国共産党にとって、殺人や暗殺はごく当たり前の手段である。従って、同党はこれからも毒殺、暗殺、爆破、電力系統や交通機関のマヒなどあらゆる手段で混乱を引き起こし、欧米社会に対抗しようとするだろう。
超限戦の核心は、人類の道徳を破壊し、邪悪な人間を利用して人々を一歩一歩破滅へと導くことである。中国共産党は道徳や良心に背くよう人々を誘惑することに長けている。誘惑に弱い人間は中国共産党に対して受動的になり、あるいは積極的な共犯者になる。従って、中国共産党は政治、経済、軍事、メディア、文化、技術、教育などの分野で影響力のある人物の弱点を見つけ出そうとする。弱点とは、既得権益や欲望などであり、彼らを党の積極的な協力者に仕立てるのである。もし効果がなければ、脅したり、あるいは恐怖感や罪悪感を利用して無理やり協力させたりする。病気を患う有力者にために、人を殺して入手した臓器を提供し、移植手術を手配することもある。
中国共産党が外国浸透に利用できる資源は常人の想像を遥かに超えるだろう。現在発覚している事実は氷山の一角である。すべての社会層、特に政治家やビジネスマンは、中国共産党の超限戦の道具である。多くの人間が同党の罠にはまった証拠が徐々に明るみに出ている。世界中の多くの国々が中国共産党のグローバルな野望と、その邪悪で無節操な手法に気づき始めている。中国共産党の代理人たちが、時に破壊的な行動を起こしていることも徐々に明らかになっている。
4. 「中国モデル」とその破壊的な影響
ここ十数年、中国共産党や一部の欧米メディア、また学者たちは盛んに「中国モデル」「中国式」「中国の奇跡」あるいは「北京コンセンサス」という言葉を多用している。いわゆる「中国モデル」とは、一般的に、中国共産党による専制的な全体主義と偽物の資本主義の融合であり、「社会的な安定」と急速な経済発展を目指すことである。正確に言うと、「中国モデル」とは「中国共産党モデル」である。つまり、人類史上類を見ないほど非道な政治形態のことである。
共産主義の合法性を宣伝し、「中国の道」を称える人々は、たいてい四つの分野における「成功」を主張する。経済成長、社会安定、世論(市民が服従するとき)、世界的な評価である。
しかし、勘の鋭い人間から見れば、この4つの主張は的を射ていない。高い経済成長率は、中国共産党の歪んだ、往々にして邪悪な本質を隠すことはできないからである。
中国政権が謳う、いわゆる「経済の奇跡」は、数十年もの間抑圧されてきた中国人のエネルギーが放出した結果であり、一部は改革開放によりもたらされたものである。人権蹂躙、知財窃盗、天然資源の乱開発、自然環境の破壊によって達成しただけである。これは倫理に反し、持続可能な成長でもない。中国経済には多くの構造的な欠陥があり、現行の政治制度で解決することは不可能である。これらの問題が危機に直面した時、中国のみならず世界中が大災難に見舞われるだろう。
中国共産党の主張は空論であり、特に社会安定と世論については全く中身がない。中国共産党は圧倒的な軍事力で冷酷に人々を監視し、「安定」を保っているに過ぎない。中国共産党は国内メディアを独占しており、反対意見は早いうちから摘み取ってしまう。道徳が堕落した今日、世界で有用なバカを見つけるのは簡単である。彼らはいとも簡単に中国の友人となり、中国共産党を賛美するのである。しかし、中国共産党の「中国モデル」は、同政権の凶悪な犯罪を隠すことはできない。
中国共産党は常に、伝統文化、正統な道徳、普遍的価値観に対抗する。今日の中国共産党は悪の枢軸であり、人類の敵である。もし世界がこれに気づくことなく、同政権に対する何らかの対応を怠れば、全世界に災いをもたらすだろう。その理由は以下の通りである。
中国は広大な領土と膨大な人口を有している。世界第二の経済大国となり、2010年以降は核兵器と共に世界第二の軍事力を備えている。歴史上、中国共産党と同程度の経済力と軍事力を備えた強権政治は存在しない。中国共産党は最も邪悪で奇形な現代の全体主義と、古代中国の戦法を吸収している。従って、中国共産党がルールに従うことはなく、その戦法は複雑で冷酷であり、他国のリーダーたちが理解することはできない。
中国共産党は13億の中国人を人質にして巨大市場を誇示し、世界の資本やビジネスマン、政治家たちを惹きつけた。エサに釣られた人々は中国共産党の人権侵害に目をつぶり、あるいは犯罪に手を貸すのである。
中国共産党は8000万人の中国人を殺害した。近年、同党は法輪功学習者、地下教会、チベット人、ウイグル人、反体制異見者、また社会の底辺層にいる人たちに対して数えきれないほどの罪を犯してきた。同政権が崩壊すれば、これらの罪は白日のもとに晒され、正義の下で裁かれるだろう。この運命から逃れるために、中国共産党は邪悪の道をひた走り、迫害を強化しながら、世界の舞台から降りようとしないのである。あたかも常習犯のように、中国共産党は逃亡しながら、より凶悪な犯罪に手を染めて自身を守ろうとしているのである。
中国共産党は、人間世界における共産邪霊の主な代理人である。中国共産党は消滅する運命にあるため、常に危機感と恐怖に苛まれている。そのため、中国共産党は非常事態に直面すると、どんな方法も厭わず、極端な手段に訴えて前進を続けるのである。絶え間ない危機感から、中国共産党は世界秩序を維持するアメリカを主要な敵とみなし、密かにアメリカを倒し、世界支配を目論むのである。
同時に、中国共産党は様々な手法で中国共産党モデルと共産主義イデオロギーを輸出し、世界中を汚染している。一帯一路プロジェクトは、まさに同党の地政学的な野望を剥きだしにした。最も恐るべきことは、中国共産党がアメリカとの全面戦争に臨んでいることである。同党の決意は固く、留まることはないだろう。
ソフト・パワーやハード・パワー、あるいはシャープ・パワーを含む中国共産党の全ての野望は道徳を完全に無視している。伝統的な道徳と普遍的価値観を徹底的に打ち壊すという大きな野望に向かっている。中国共産党のゴールは邪悪帝国として君臨し、世界を支配することである。全体主義で世界を抑圧し、世界の警察国家になるのである。その末路は、洗脳、マインド・コントロール、大規模な監視、私有財産の廃止、無神論、宗教と伝統文化の廃止、無制限な肉欲、腐敗、道徳の退廃である。同党の目的は世界を貧困と混乱に陥れ、人間を野獣化し、人類を奈落の底へと引きずり込むことである。これは共産邪霊が人類を破壊するために用意したシナリオである。
中国共産党は独特な政権(機器)であり、社会現象でもある。その存在の目的は、神が人類に与えた伝統文化と普遍的価値観を破壊することである。もし、人類を数千年間支えてきた正統な道徳が本当に破壊されたら、その結末は全人類の絶滅である。従って、中国共産党は軍事、経済、科学技術の発展に専心するだけでなく、無神論や歪んだ善悪のイデオロギーを必死に世界へ押し付けるのである。中国共産党は様々な手法で世界の政治家やメディア有力者に接近し、党文化をその国々に浸透させている。同党の目的は、それらの有力者を通じて主流社会に浸透し、社会全体を中国共産党と共に堕落させることである。これが、中国共産党が世界で宣伝する「中国モデル」の本質である。
5. 課題と解決の糸口
a. 宥和政策は重大な過ち
雑誌エコノミストは2018年3月、「いかに欧米が中国を見誤ったか」という記事の中で、中国が民主化し、市場経済へ移行すると期待した欧米諸国を批判した。同記事は、欧米諸国の「ギャンブル」が失敗に終わったと結論づけている。中国共産党政権下の中国は市場経済ではなく、今の路線が続けば決してそうなることもない。反対に、中国共産党はビジネスと貿易を国家権力の延長とみなし、コントロールするだろう。同党はその独占力でグローバル経済を形成し、金銭で貿易相手国を操る一方、非協力的な国家や個人に対しては容赦なく罰を与えるのである。【189】
世界制覇を公言する中国共産党は、世界中の国々にとって深刻な脅威である。嘆かわしいことに、多くの国家や政府、政治家たちが中国共産党の仲間となり、その危機に気づいていない。まるで「トラを養いて自ら患いを遺す」という中国のことわざのようである。
中国はもともと経済的に脆弱であり、中国共産党は崩壊寸前だった。先進欧米諸国の多国籍企業、ハイテク巨大企業、大手金融会社が救いの手を差しのべたため、中国共産党は屈強な悪の枢軸に成長し、数十年も生きながらえたのである。同党はその影響力を拡大し、厚かましくもアメリカ陣営に戦いを挑んできたのである。
安全保障専門家のマイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)は、欧米が中国に対して非現実的な期待を持ち続けていると指摘する。欧米諸国が抱いた期待とは、必然的な民主化であるとか、同党がアメリカ式の資本主義を望むとか、あるいは国際的な社会秩序に同化するとか、米中交流は全面的な協力をもたらすとか、同党のタカ派は弱いなどである。ピルズベリーは、アメリカ政府が直ちに現状を直視し、対抗策を取らなければ、中国共産党が勝利するだろうと論じている。【190】
ホワイトハウスの元首席戦略官ステーブ・バノンも警告している。「中国の指導層には、ルールに基づいた、自由で開かれた戦後の国際秩序に準じようという意志は全くない。彼らには彼らの計画があり、その計画を積極的に実行している」【191】 この計画とは、中国共産党が国家権力を使って主要なグローバル企業を支配し、大胆に領土を拡大し、テクノロジーと金融分野でグローバルな覇者となることである。もちろん、それは一般的な世界のルールや行為を無視して進められる。
b. なぜ欧米は中国を見誤ったのか
欧米が中国を見誤ったのには、いくつかの理由がある。前章で詳述した共産邪霊による複雑な按排、カメレオンのように変化する二枚舌の中国共産党、また自由社会が中国と中国共産党を混同したこと、などが挙げられる。また、個人や企業、国家全体を含む多くの欧米諸国が目先の利益に目がくらんだこともある。これが中国共産党に更なる隙を与えてしまったのである。
道徳的に腐敗した中国共産党は、自由社会で道徳の堕落した人間に目をつける。些細な利益に目がくらむ人々は中国共産党の浸透を助け、彼らが自国の社会を根底から腐敗させる。アメリカが過去に採用した対中政策を詳細に分析すればよく分かる。それらは概ね短期的な利益を追求する政策であり、アメリカに長期的な利益をもたらすものでもなければ、建国の精神に準ずるものでもなかった。
人類の栄光と権威は神から授かったものであり、それは人間の道徳水準によって定められている。民族や国家の繁栄と強さも、彼らの道徳水準によって決められる。人間が通常の手段を使って邪霊の按排を否定することはできない。欧米が中国を見誤ったのは明らかである。どんな人的手段をもってしても、彼らは邪悪の手中にある人々を救うことはできない。
多くの政府、大企業、ビジネスマンたちは、道徳心を犠牲にしながらも、表向きは中国共産党から利益を得たかもしれない。しかし、最終的に彼らは得るよりも失うほうが多くなるだろう。このような不正な利得、浅はかな利益は有害である。目先の利益に屈しない人間にだけ明るい未来がある。
中国共産党は一般的な政党あるいは政権ではなく、中国の人々を代表しているわけでもない。それが代表しているのは共産邪霊である。中国共産党とつき合うということは、悪魔と結びつくということである。中国共産党の友人になるということは、悪魔に妥協し、協力し、人類を破滅へ導く手助けをするということである。反対に、中国共産党に対抗するということは、善悪の戦いに参加するということである。これは、単なる国益をかけた戦いではない。これは人類の将来をかけた戦いである。
c. 解決の糸口
今日、中国と全世界は岐路に立たされている。中国人、そして膨大な血の遺産を背負っている中国共産党が真の改革を行うことは期待できない。中国は、中国共産党から解き放たれてこそよくなるだろう。悪性腫瘍のように、中国共産党を除去すれば中国は生き残る。
世界の人々にとって、中国は礼儀と道徳を重んじる古代文明の地である。中国共産党から解放されれば、中国はもう一度、真の文明国家の一員になれるだろう。豊かな人間と資源、多様な古代の伝統、文化遺産を擁する中国は、人類の貴重な財産となれるだろう。
困難な時代に直面し、ますます多くの中国人が中国共産党の邪悪な本質に気づき始めている。『共産党についての九つの論評』が2004年11月に出版されてから、多くの人々が道徳心と勇気を取り戻し、共産邪霊から離れると宣言した。3億人以上の中国人が、中国共産党とその関連組織からの脱退を表明した。もし、自由社会がこの潮流を支持し、邪霊との関係を断ち切ることができれば、中国共産党はグローバルに展開している計画を続けられないだろう。
強大に見えたソビエト連邦は一晩で崩壊した。中国共産党は世界に牙を剥いているが、世界全体がその邪悪な本質に気づき、正しい選択をすれば、同党も急速に解体する。
中国共産党の台頭は、道徳の退廃、あるいは既得権益を追及し目がくらんだ人々によってもたらされた。この運命から逃れるには、人々が道徳心と勇気を結集し、伝統文化を復活させ、神々への信仰を堅持することである。
中国共産党のような邪霊を倒すには、単に人的パワーに頼ることは不十分である。共産邪霊は人間より遥かに強大な力を持ち、またそれは中国共産党が拡大し続ける原因でもある。しかし、邪霊は神の敵ではない。人間が神の側に立ち、神々の意志に従うのであれば、人間は恵みを受け、偉大な力を授かるだろう。
中国共産党は人類の敵である。中国共産党の野望に対抗することは、人類文明と将来を救うことである。中国共産党は絶滅する運命にある。従って、中国共産党を拒絶するということは、一緒に絶滅させられる運命から脱出するということである。それが、真に人類が救われる道である。
参考文献
[1] 赵可金:〈和平发展道路:模式的突破〉,《人民网》,2009年11月11日,http://theory.people.com.cn/GB/10355796.html.
[2] 国防大学等:《较量无声》,2013年6月,https://www.youtube.com/watch?v=iUjkSJxJDcw&t=2190s.
[3] “Testimony of Arthur Waldron,” in “U.S.-China Relations: Status of Reforms in China,” Subcommittee on East Asian and Pacific Affairs, Committee on Foreign Relations, United States Senate, April 22, 2004, https://www.foreign.senate.gov/imo/media/doc/WaldronTestimony040422.pdf.
[4] Chris Giles, “China Poised to Pass US as World’s Leading Economic Power This Year,”Financial Times, April 29, 2014 https://www.ft.com/content/d79ffff8-cfb7-11e3-9b2b-00144feabdc0.
[5] 陈良贤,苏颢云:〈海外港口热:中企如何布局?〉,《澎湃新闻》,2017年8月17日,https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_1758810.
[6] Derek Watkins, K.K. Rebecca Lai, and Keith Bradsher, “The World, Built by China,” The New York Times, November 18, 2018, https://www.nytimes.com/interactive/2018/11/18/world/asia/world-built-by-china.html.
[7] Andrew Sheng, “A Civilizational Clash With China Comes Closer,” Asia Global Institute, The University of Hong Kong, January 16, 2018, http://www.asiaglobalinstitute.hku.hk/en/civilizational-clash-china-comes-closer/.
[8] 吴心伯:〈对周边外交研究的一些思考〉,《世界知识》,2015年第2期,http://www.cas.fudan.edu.cn/picture/2328.pdf.
[9] “Power and Influence: The Hard Edge of China’s Soft Power,” Australian Broadcasting Corporation, June 5, 2017, https://www.abc.net.au/4corners/power-and-influence-promo/8579844.
[10] “Sam Dastyari Resignation: How We Got Here,” Australian Broadcasting Corporation, December 11, 2017, https://www.abc.net.au/news/2017-12-12/sam-dastyari-resignation-how-did-we-get-here/9249380.
[11] 〈深度:中国捐赠对澳洲影响有多大?外国政治献金是否该禁?〉, SBS News, September 12, 2016, https://www.sbs.com.au/yourlanguage/mandarin/zh-hant/article/2016/09/12/shen-du-zhong-guo-juan-zeng-dui-ao-zhou-ying-xiang-you-duo-da-wai-guo-zheng-zhi?language=zh-hant.
[12] Mareike Ohlberg and Bertram Lang, “How to Counter China’s Global Propaganda Offensive,” The New York Times, September 21, 2016, https://www.nytimes.com/2016/09/22/opinion/how-to-counter-chinas-global-propaganda-offensive.html?_ga=2.63090735.1831033231.1544154630-97544283.1541907311.
[13] Jonathan Pearlman, “US Alarm over Aussie Port Deal With China Firm,” The Strait Times, November 19, 2015, https://www.straitstimes.com/asia/australianz/us-alarm-over-aussie-port-deal-with-china-firm.
[14] Tara Francis Chan, “Rejected Three Times Due to Fear of Beijing, Controversial Book on China’s Secret Influence Will Finally Be Published,” Business Insider, February 5, 2018, https://www.businessinsider.com/australian-book-on-chinas-influence-gets-publisher-2018-2.
[15] Christopher Walker and Jessica Ludwig, “From ‘Soft Power’ to ‘Sharp Power’: Rising Authoritarian Influence in the Democratic World,” in Sharp Power: Rising Authoritarian Influence (Washington, D.C.: National Endowment for Democracy, 2017), 20, https://www.ned.org/wp-content/uploads/2017/12/Sharp-Power-Rising-Authoritarian-Influence-Full-Report.pdf.
[16] 2017 Foreign Policy White Paper, Australian Government, 2017, https://www.fpwhitepaper.gov.au/foreign-policy-white-paper/overview.
[17] Caitlyn Gribbin, “Malcolm Turnbull Declares He Will ‘Stand Up’ for Australia in Response to China’s Criticism,” Australian Broadcasting Corporation, December 8, 2017, https://www.abc.net.au/news/2017-12-09/malcolm-turnbull-says-he-will-stand-up-for-australia/9243274.
[18] 陈用林:〈陈用林:澳大利亚正在沦为中国的后院〉,《大纪元新闻网》,2016年9月2日,http://www.epochtimes.com/gb/16/9/2/n8261061.htm.
[19] Clive Hamilton. Silent Invasion: China’s influence in Australia (Melbourne: Hardie Grant, 2018), Chapter 1.
[20] 同上.
[21] 同上.
[22] 同上.
[23] Hamilton, Silent Invasion, Chapter 3.
[24] 林坪:〈揭秘中国锐实力(十)纽西兰〉,自由亚洲电台,
2018年9月25日,https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/jm-09252018162912.html.
[25] 同上.
[26] 同上.
[27] 林廷辉:〈龙在陌生海域:中国对太平洋岛国外交之困境〉,《国际关系学报》,第三十期(2010年7月),页58。https://diplomacy.nccu.edu.tw/download.php?filename=451_b9915791.pdf&dir=archive&title=File.
[28] John Henderson and Benjamin Reilly, “Dragon in Paradise: China’s Rising Star in Oceania,” The National Interest, no. 72 (Summer 2003): 94–105.
[29] Ben Bohane, “The U.S. Is Losing the Pacific to China,” The Wall Street Journal, June 7, 2017, https://www.wsj.com/articles/the-u-s-is-losing-the-pacific-to-china-1496853380.
[30] Josh Rogin, “Inside China’s ‘Tantrum Diplomacy’ at APEC,” The Washington Post, November 20, 2018, https://www.washingtonpost.com/news/josh-rogin/wp/2018/11/20/inside-chinas-tantrum-diplomacy-at-apec/.
[31] China’s Central Asia Problem, Report No. 244, International Crisis Group (February 27, 2013), https://www.crisisgroup.org/europe-central-asia/central-asia/china-s-central-asia-problem.
[32] Wu Jiao and Zhang Yunbi, “Xi Proposes a ‘New Silk Road’ With Central Asia,” China Daily, September 8, 2013, http://www.chinadaily.com.cn/sunday/2013-09/08/content_16952160.htm.
[33] Raffaello Pantucci and Sarah Lain, “China’s Eurasian Pivot: The Silk Road Economic Belt,” Whitehall Papers 88, no. 1 (May 16, 2017), https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02681307.2016.1274603.
[34] “China’s Central Asia Problem,” International Crisis Group.
[35] 〈孔泉:中国支持乌兹别克斯坦为国家安全所做努力〉,人民网,2005年5月17日,http://world.people.com.cn/GB/8212/14450/46162/3395401.html.
[36] Benno Zogg, “Turkmenistan Reaches Its Limits with Economic and Security Challenges,” IPI Global Observatory, July 31, 2018, https://theglobalobservatory.org/2018/07/turkmenistan-limits-economic-security-challenges/.
[37] Jakub Jakóbowski and Mariusz Marszewski, “Crisis in Turkmenistan: A test for China’s Policy in the Region,” Center for Eastern Studies (OSW), August 31, 2018, https://www.osw.waw.pl/en/publikacje/osw-commentary/2018-08-31/crisis-turkmenistan-a-test-chinas-policy-region-0.
[38] Eiji Furukawa, “Belt and Road Debt Trap Spreads to Central Asia,” Nikkei Asian Review, August 29, 2018, https://asia.nikkei.com/Spotlight/Belt-and-Road/Belt-and-Road-debt-trap-spreads-to-Central-Asia.
[39] “Tajikistan: Chinese Company Gets Gold Mine in Return for Power Plant,” Eurasianet, April 11, 2018, https://eurasianet.org/tajikistan-chinese-company-gets-gold-mine-in-return-for-power-plant.
[40] Danny Anderson, “Risky Business: A Case Study of PRC Investment in Tajikistan and Kyrgyzstan,” The Jamestown Foundation, China Brief 18, no. 14 (August 10, 2018), https://jamestown.org/program/risky-business-a-case-study-of-prc-investment-in-tajikistan-and-kyrgyzstan/.
[41] Juan Pablo Cardenal and Heriberto Araújo, China’s Silent Army: The Pioneers, Traders, Fixers and Workers Who Are Remaking the World in Beijing’s Image (New York: Crown Publishing Group, 2013), Chapter 2.
[42] Lindsey Kennedy and Nathan Paul Southern, “China Created a New Terrorist Threat by Repressing Secessionist Fervor in Its Western Frontier,” Quartz, May 31, 2017, https://qz.com/993601/china-uyghur-terrorism/.
[43] 徐进等:〈打造中国周边安全的“战略支点”国家〉,《世界知识》,2014年15期,页14-23,http://cssn.cn/jjx/xk/jjx_lljjx/sjjjygjjjx/201411/W020141128513034121053.pdf.
[44] Therese Delpech, Iran and the Bomb: The Abdication of International Responsibility (New York: Columbia University Press, 2006), 49.
[45] Cardena and Araújo, China’s Silent Army, Epilogue.
[46] Seyed Reza Miraskari et al., “An Analysis of International Outsourcing in Iran-China Trade Relations,” Journal of Money and Economy 8, No 1 (Winter 2013): 110–139, http://jme.mbri.ac.ir/article-1-86-en.pdf.
[47] Scott Harold and Alireza Nader, China and Iran: Economic, Political, and Military Relations (Washington, D.C.: RAND Corporation, 2012), 7, https://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/occasional_papers/2012/RAND_OP351.pdf.
[48] 〈绕过“马六甲困局”的商业基础——如何保证中缅油气管道有效运营〉,《第一财经日报》,2013年7月22日,https://www.yicai.com/news/2877768.html.
[49] Li Chenyang, “China-Myanmar Relations since 1988,” in Harmony and Development: Asean-China Relations, eds. Lim Tin Seng and Lai Hongyi (Singapore: World Scientific Publishing, 2007), 54.
[50] 同上.
[51] “China’s Myanmar Dilema,” Asia Report No.177 (Brussels: International Crisis Group , 2009), 1, https://d2071andvip0wj.cloudfront.net/177-china-s-myanmar-dilemma.pdf.
[52] 〈闲置两年后 中缅原油管道终于开通〉,《BBC中文网》,2017年4月10日,https://www.bbc.com/zhongwen/simp/chinese-news-39559135.
[53] 庄北甯,车宏亮:〈中缅签署皎漂深水港专案框架协定〉,《新华网》,2018年11月8日,http://www.xinhuanet.com/2018-11/08/c_1123686146.htm.
[54] 鹿铖:〈中缅经济走廊:缅甸发展的新兴途径〉,《光明网》,2018年9月17日,http://news.gmw.cn/2018-09/17/content_31210352.htm.
[55] 林坪:〈揭秘中国锐实力(十一)欧洲政界〉,《自由亚洲电台》,https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/yl-11052018102634.html.
[56] Jason Horowitz and Liz Alderman, “Chastised by E.U., a Resentful Greece Embraces China’s Cash and Interests,” The New York Times, August 26, 2017, https://www.nytimes.com/2017/08/26/world/europe/greece-china-piraeus-alexis-tsipras.html.
[57] 同上.
[58] Jan Velinger, “President’s Spokesman Lashes Out at Culture Minister for Meeting with Dalai Lama,” Radio Praha, October 18, 2016, https://www.radio.cz/en/section/curraffrs/presidents-spokesman-lashes-out-at-culture-minister-for-meeting-with-dalai-lama.
[59] 林坪:〈揭秘中国锐实力(十一)欧洲政界〉,《自由亚洲电台》,2018年11月5日,https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/yl-11052018102634.html.
[60] 〈德国蓝皮书:中国在德国非金融直接投资大幅增长〉,《观察者网》,2018年7月9日,http://mil.news.sina.com.cn/dgby/2018-07-09/doc-ihezpzwt8827910.shtml.
[61] Chinese Influence and American Interests: Promoting Constructive Vigilance (Stanford, Calif.: Hoover Institution Press, 2018), https://www.hoover.org/sites/default/files/research/docs/chineseinfluence_americaninterests_fullreport_web.pdf, 163.
[62] Philip Oltermann, “Germany’s ‘China City’: How Duisburg Became Xi Jinping’s Gateway to Europe,” The Guardian, August 1, 2018, https://www.theguardian.com/cities/2018/aug/01/germanys-china-city-duisburg-became-xi-jinping-gateway-europe.
[63] 〈希拉克:热爱中国的人〉,《中国网》,2007年3月20日, http://www.china.com.cn/international/txt/2007-03/20/content_18421202.htm.
[64] 联合写作组:《真实的江泽民》,〈第九章 贪战(上)〉,《大纪元新闻网》,http://www.epochtimes.com/gb/12/6/18/n3615092.htm.
[65] Nick Timothy, “The Government Is Selling Our National Security to China,” Conservative Home, October 20, 2015, http://www.conservativehome.com/thecolumnists/2015/10/nick-timothy-the-government-is-selling-our-national-security-to-china.html.
[66] Holly Watt, “Hinkley Point: The ‘Dreadful Deal’ behind the World’s Most Expensive Power Plant,” The Guardian, December 21, 2017, https://www.theguardian.com/news/2017/dec/21/hinkley-point-c-dreadful-deal-behind-worlds-most-expensive-power-plant.
[67] 林坪:〈揭秘中国锐实力(十二)在欧洲的经济渗透〉,《自由亚洲电台》,2018年11月8日,https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/yl-11082018122750.html;〈揭秘中国锐实力(十三)欧洲学术、言论自由〉,《自由亚洲电台》,2018年11月12日,https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/MCIEU-11122018165706.html.
[68] Jack Hazlewood, “China Spends Big on Propaganda in Britain … but Returns Are Low,” Hong Kong Free Press, April 3, 2016, https://www.hongkongfp.com/2016/04/03/china-spends-big-on-propaganda-in-britain-but-returns-are-low/.
[69] Thorsten Benner et al., “Authoritarian Advance: Responding to China’s Growing Political Influence in Europe,” Global Public Policy Institute (GPPI), February 2018, https://www.gppi.net/media/Benner_MERICS_2018_Authoritarian_Advance.pdf.
[70] Christophe Cornevin and Jean Chichizola, “The Revelations of Le Figaro on the Chinese Spy Program That Targets France” [“Les révélations du Figaro sur le programme d’espionnage chinois qui vise la France”], Le Figaro, October 22, 2018, http://www.lefigaro.fr/actualite-france/2018/10/22/01016-20181022ARTFIG00246-les-revelations-du-figaro-sur-le-programme-d-espionnage-chinois-qui-vise-la-france.php. [In French]
[71] “German Spy Agency Warns of Chinese LinkedIn Espionage,” BBC News, December 10, 2017, https://www.bbc.com/news/world-europe-42304297.
[72] Serge Michel and Michel Beuret, China Safari: On the Trail of Beijing’s Expansion in Africa (New York: Nation Books, 2010), 162.
[73] Reuben Brigety, “A Post-American Africa,” Foreign Affairs, August 28, 2018, https://www.foreignaffairs.com/articles/africa/2018-08-28/post-american-africa.
[74] “Not as Bad as They Say” The Economist, October 1, 2011, https://www.economist.com/middle-east-and-africa/2011/10/01/not-as-bad-as-they-say.
[75] Joseph Hammond, “Sudan: China’s Original Foothold in Africa,” The Diplomat, June 14, 2017, https://thediplomat.com/2017/06/sudan-chinas-original-foothold-in-africa/.
[76] 曾勇,〈中国处理达尔富尔危机的战略分析〉,《阿拉伯世界研究》,2012年11月,第六期,http://mideast.shisu.edu.cn/_upload/article/23/47/8ee05ca2405488f615e514184f73/077159aa-8c97-41b8-bcc3-95c22c3ba732.pdf.
[77] 〈北京盛情款待遭通缉的苏丹总统巴希尔〉,《法广》,2011年6月29日,http://cn.rfi.fr/中国/20110629-北京盛情款待遭通缉的苏丹总统巴希尔.
[78] 中共国务院新闻办公室《中国的和平发展道路》称,截至2005年,中国减免了44个发展中国家约166亿元人民币债务。http://www.scio.gov.cn/zfbps/ndhf/2005/Document/307900/307900.htm.
[79] 潘小涛:〈中国人,请准备再大撒币〉,《苹果日报》,2018年8月31日,https://hk.news.appledaily.com/local/daily/article/20180831/20488504.
[80] 〈商务部:非洲33个最不发达国家97%的产品享受零关税〉,《中新网》,2018年8月28日,http://www.chinanews.com/gn/2018/08-28/8612256.shtml.
[81] 家傲:〈中国再向非洲大撒币 美国警觉〉,《自由亚洲电台》,2018年9月3日,https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/junshiwaijiao/hc-09032018110327.html.
[82] 泉野:〈对话王文:从撒钱论到“新殖民主义”误区背后的真问题〉,《多维》,2018年9月2日,http://news.dwnews.com/china/news/2018-09-02/60081911_all.html.
[83] 蔡临哲:〈埃塞俄比亚学习“中国模式”〉,《凤凰周刊》,2013年5月15日,http://www.ifengweekly.com/detil.php?id=403.
[84] 安德鲁・哈丁:〈记者来鸿:非洲出了个“新中国”〉,《BBC中文网》,2015年7月27日,https://www.bbc.com/ukchina/simp/fooc/2015/07/150727_fooc_ethiopia_development.
[85] 斯洋:〈争夺话语权,输出中国模式,中国影响欧美和亚非方式大不同〉,《美国之音》,2018年12月7日,https://www.voachinese.com/a/4420434.html.
[86] Ted Piccone, “The Geopolitics of China’s Rise in Latin America,” Order From Chaos: Foreign Policy in a Troubled World, November 2016, 4 and 9, https://www.brookings.edu/wp-content/uploads/2016/11/the-geopolitics-of-chinas-rise-in-latin-america_ted-piccone.pdf.
[87] Alfonso Serrano, “China Fills Trump’s Empty Seat at Latin America Summit,” The New York Times, April 17, 2018, https://www.nytimes.com/2018/04/13/opinion/china-trump-pence-summit-lima-latin-america.html.
[88] Translated from Chinese version of the paper by Jorge Blázquez-Lidoy, Javier Rodríguez, Javier Santiso, “Angel o demonio? Los efectos del comercio chino en los países de América Latina” [Angel or Demon? The Effects of Chinese Trade in Latin American Countries], https://repositorio.cepal.org/bitstream/handle/11362/11135/090017043_es.pdf?sequence=1&isAllowed=y [in Spanish].
[89] Jordan Wilson, China’s Military Agreements with Argentina: A Potential New Phase in China-Latin America Defense Relations, U.S-China Economic and Security Review Commission Staff Research Report, November 5, 2015, https://www.uscc.gov/sites/default/files/Research/China%27s%20Military%20Agreements%20with%20Argentina.pdf.
[90] 金雨森:〈中共金钱外交恐成为最后一根稻草〉,《看中国》,2017年7月5日,https://www.watchinese.com/article/2017/23053.
[91] 同上.
[92] 〈中共巨额金援抢萨尔瓦多 引美国忧虑〉,新唐人电视台,2018年8月22日,http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2018/08/23/a1388573.html.
[93] 黄潇潇:〈拉美和加勒比地区孔子学院达39所〉,《人民网》,2018年1月26日,http://world.people.com.cn/n1/2018/0126/c1002-29788625.html.
[94] Sharon Weinberger, “China Has Already Won the Drone Wars,” Foreign Policy, May 10, 2018, https://foreignpolicy.com/2018/05/10/china-trump-middle-east-drone-wars/.
[95] Rick Joe, “China’s Air Force on the Rise: Zhuhai Airshow 2018,” The Diplomat, November 13, 2018, https://thediplomat.com/2018/11/chinas-air-force-on-the-rise-zhuhai-airshow-2018/.
[96] 黄宇翔:〈中国无人战机惊艳珠海航展亮相假想敌是美国〉,《亚洲周刊》,2018年11月25日,第32卷 46期,https://www.yzzk.com/cfm/blogger3.cfm?id=1542252826622&author=%E9%BB%83%E5%AE%87%E7%BF%94.
[97] “Pentagon Says Chinese Vessels Harassed U.S. Ship,” CNN, March 9, 2009, http://www.cnn.com/2009/POLITICS/03/09/us.navy.china/index.html.
[98] Barbara Starr, “Chinese Boats Harassed U.S. Ship, Officials Say,” CNN, May 5, 2009, http://edition.cnn.com/2009/WORLD/asiapcf/05/05/china.maritime.harassment/index.html.
[99] Barbara Starr, Ryan Browne and Brad Lendon, “Chinese Warship in ‘Unsafe’ Encounter With US Destroyer, Amid Rising US-China Tensions,” CNN, October 1, 2018, https://www.cnn.com/2018/10/01/politics/china-us-warship-unsafe-encounter/index.html.
[100] 军事科学院军事战略研究部:《战略学》(北京:军事科学出版社,2013),页47.
[101] 乔良:〈“一带一路”战略要考虑军事力量走出去问题〉,《中国军网》,2015年4月15日,http://www.81.cn/jmywyl/2015-04/15/content_6443998_5.htm.
[102] Annual Report to Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2018, U.S. Department of Defense, May 16, 2018, https://media.defense.gov/2018/Aug/16/2001955282/-1/-1/1/2018-CHINA-MILITARY-POWER-REPORT.PDF, 46, 47.
[103] Benjamin Haas, “Steve Bannon: ‘We’re Going to War in the South China Sea … No Doubt,’” The Guardian, February 1, 2017, https://www.theguardian.com/us-news/2017/feb/02/steve-bannon-donald-trump-war-south-china-sea-no-doubt.
[104] Lawrence Sellin, “The US Needs a New Plan to Address Chinese Power in Southern Asia,” The Daily Caller, June 5, 2018, https://dailycaller.com/2018/06/05/afghanistan-pakistan-america-china/.
[105] Panos Mourdoukoutas, “China Will Lose The South China Sea Game,” Forbes, July 1, 2018, https://www.forbes.com/sites/panosmourdoukoutas/2018/07/01/china-will-lose-the-south-china-sea-game/#5783cad73575.
[106] Michael Lelyveld, “China’s Oil Import Dependence Climbs as Output Falls,” Radio Free Asia, December 4, 2017, https://www.rfa.org/english/commentaries/energy_watch/chinas-oil-import-dependence-climbs-as-output-falls-12042017102429.html.
[107] M. Taylor Fravel, “Why Does China Care So Much about the South China Sea? Here Are 5 Reasons,” The Washington Post, July 13, 2016, https://www.washingtonpost.com/news/monkey-cage/wp/2016/07/13/why-does-china-care-so-much-about-the-south-china-sea-here-are-5-reasons/?utm_term=.4a7b1de04dbd.
[108] 同上.
[109] Brahma Chellaney, “Why the South China Sea Is Critical to Security,” The Japan Times, March 26, 2018, https://www.japantimes.co.jp/opinion/2018/03/26/commentary/world-commentary/south-china-sea-critical-security/#.XAnOBBNKiF1.
[110] Scott L. Montgomery, “Oil, History, and the South China Sea: A Dangerous Mix,” Global Policy, August 7, 2018, https://www.globalpolicyjournal.com/blog/07/08/2018/oil-history-and-south-china-sea-dangerous-mix.
[111] Hal Brands, “China’s Master Plan: a Global Military Threat,” The Japan Times, June 12, 2018, https://www.japantimes.co.jp/opinion/2018/06/12/commentary/world-commentary/chinas-master-plan-global-military-threat/#.W9JPPBNKj5V.
[112] 林廷辉,〈龙在陌生海域:中国对太平洋岛国外交之困境〉,《国际关系学报》第三十期(2010年7月),https://diplomacy.nccu.edu.tw/download.php?filename=451_b9915791.pdf&dir=archive&title=File,页58.
[113] Annual Report to Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2018, U.S. Department of Defense, May 16, 2018, https://media.defense.gov/2018/Aug/16/2001955282/-1/-1/1/2018-CHINA-MILITARY-POWER-REPORT.PDF.
[114] 黄宇翔:〈中国无人战机惊艳珠海航展亮相假想敌是美国〉,《亚洲周刊》,2018年11月25日, 第32卷 46期,https://www.yzzk.com/cfm/blogger3.cfm?id=1542252826622&author=%E9%BB%83%E5%AE%87%E7%BF%94.
[115] David E. Sanger, “U.S. Blames China’s Military Directly for Cyberattacks,” The New York Times, May 6, 2013, http://www.nytimes.com/2013/05/07/world/asia/us-accuses-chinas-military-in-cyberattacks.html?pagewanted=all&_r=1&.
[116] See in-depth analysis of this issue by Peter Navarro, director of the White House National Trade Council, in Crouching Tiger: What China’s Militarism Means for the World (New York: Prometheus Books, 2015).
[117] Steven Lee Myers, “With Ships and Missiles, China Is Ready to Challenge U.S. Navy in Pacific,” The New York Times, August 29, 2018, https://www.nytimes.com/2018/08/29/world/asia/china-navy-aircraft-carrier-pacific.html.
[118] 参照:三人行:〈评血腥公司的末日疯狂赌〉,《大纪元新闻网》, http://www.epochtimes.com/gb/5/8/1/n1003911.htm,http://www.epochtimes.com/gb/5/8/2/n1004823.htm;李天笑:〈神要中共亡 必先使其狂〉,《大纪元新闻网》,http://www.epochtimes.com/gb/5/8/17/n1021109.htm.
[119] Jonathan Watts, “Chinese General Warns of Nuclear Risk to US,” The Guardian, July 15 2005, https://www.theguardian.com/world/2005/jul/16/china.jonathanwatts.
[120] Michael Pillsbury was surprised to find that, when Chinese scholars assess the country’s power, military strength accounted for less than 10 percent. After the collapse of the Soviet Union, the CCP changed its criteria for evaluating strength and incorporated factors such as economy, overseas investment, technological innovation, and natural resources. Michael Pillsbury, The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower, Chapter 2.
[121] Nine Commentaries on the Communist Party, “On the Beginnings of the Chinese Communist Party,” Chapter Two, http://www.ninecommentaries.com/english-2.
[122] 喬良、王湘穗:《超限戰》 (北京:解放軍文藝出版社,1999),頁1,頁62.
[123] 同上., 頁1,頁6.
[124] 喬良、王湘穗:《超限戰與反超限戰:中國人提出的新戰爭觀美國人如何應對》(北京:長江文藝出版社,2016).
[125] Louisa Lim and Julia Bergin, “Inside China’s Audacious Global Propaganda Campaign,” The Guardian, December 7, 2018, https://www.theguardian.com/news/2018/dec/07/china-plan-for-global-media-dominance-propaganda-xi-jinping.
[126] 毛澤東:《毛澤東新聞工作文選》(北京:新華出版社,1983),頁182.
[127] 〈重金鋪路中共大外宣海外擴張〉,自由亞洲電臺,2015年11月5日,https://www.rfa.org/cantonese/news/propaganda-11052015084921.html.
[128] 中國每年用“100億美元推動外宣攻勢”〉,《BBC中文網》,2016年6月10日, http://www.bbc.com/zhongwen/trad/press_review/2016/06/160610_uk_press_china.
[129] “Chinese President Xi Jinping Visits With CCTV America via Video Call,” CGTN, February 19, 2016, https://america.cgtn.com/2016/02/19/chinese-president-xi-jinping-visits-with-cctv-america-via-video-call.
[130] 苑基榮:〈中國電視劇熱播非洲大陸〉,《人民日報》,2015年1月5日,第3版, https://web.archive.org/web/20160206004955if_/http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2015-01/05/nw.D110000renmrb_20150105_3-03.htm.
[131] Koh Gui Qing and John Shiffman, “Beijing’s Covert Radio Network Airs China-Friendly News Across Washington, and the World,” Reuters, November 2, 2015, https://www.reuters.com/investigates/special-report/china-radio/.
[132] Louisa Lim and Julia Bergin, “Inside China’s Audacious Global Propaganda Campaign,” The Guardian, December 7, 2018, https://www.theguardian.com/news/2018/dec/07/china-plan-for-global-media-dominance-propaganda-xi-jinping.
[133] James Fallows, “Official Chinese Propaganda: Now Online from the WaPo!” The Atlantic, February 3, 2011, https://www.theatlantic.com/international/archive/2011/02/official-chinese-propaganda-now-online-from-the-wapo/70690/.
[134] Donnelle Eller, “Chinese-Backed Newspaper Insert Tries to Undermine Iowa Farm Support for Trump, Trade War,” Des Moines Register, September 24, 2018, https://www.desmoinesregister.com/story/money/agriculture/2018/09/24/china-daily-watch-advertisement-tries-sway-iowa-farm-support-trump-trade-war-tariffs/1412954002/.
[135] Bethany Allen-Ebrahimian, “Beijing Builds Its Influence in the American Media,” Foreign Policy, December 21, 2017, https://foreignpolicy.com/2017/12/21/one-of-americas-biggest-chinese-language-newspapers-toes-beijings-party-line-china-influence-united-front/.
[136] 〈占中揭開紅色滲透 142家海外黨媒體瞬間曝光〉,《新唐人電視台》,2014年10月6日,http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2014/10/06/a1143788.html.
[137] Jeffrey Gil, “Why the NSW Government Is Reviewing Its Confucius Classrooms Program,” The Conversation, May 17, 2018, http://theconversation.com/why-the-nsw-government-is-reviewing-its-confucius-classrooms-program-96783.
[138] Alexander Bowe, China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, U.S.-China Economic and Security Review Commission, August 24, 2018, 5–6, https://www.uscc.gov/sites/default/files/Research/China%27s%20Overseas%20United%20Front%20Work%20-%20Background%20and%20Implications%20for%20US_final_0.pdf, 14.
[139] John S. McCain National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2019, House of Representatives, https://docs.house.gov/billsthisweek/20180723/CRPT-115hrpt863.pdf.
[140] Bowe, China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, 5–6.
[141] Thorsten Benner et al., “Authoritarian Advance: Responding to China’s Growing Political Influence in Europe,” Global Public Policy Institute (GPPI), https://www.gppi.net/media/Benner_MERICS_2018_Authoritarian_Advance.pdf.
[142] Chinese Influence & American Interests: Promoting Constructive Vigilance (Stanford, California: Hoover Institution Press, 2018), https://www.hoover.org/sites/default/files/research/docs/chineseinfluence_americaninterests_fullreport_web.pdf.
[143] Jenni Marsh, “Ex-Hong Kong Politician Faces Jail after Bribery Conviction in US,” CNN, December 5, 2018, https://www.cnn.com/2018/12/05/asia/patrick-ho-bribery-conviction-intl/index.html.
[144] Alexandra Stevenson, David Barboza, Matthew Goldstein and Paul Mozur, “A Chinese Tycoon Sought Power and Influence. Washington Responded,” The New York Times, December 12, 2018, https://www.nytimes.com/2018/12/12/business/cefc-biden-china-washington-ye-jianming.html.
[145] 駱亞:〈專訪陳用林:中共全面滲透澳洲內幕〉,《大紀元新聞網》,2017年6月19日, http://www.epochtimes.com.tw/n215385.
[146] Chinese Influence & American Interests: Promoting Constructive Vigilance (Stanford, California: Hoover Institution Press, 2018), https://www.hoover.org/sites/default/files/research/docs/chineseinfluence_americaninterests_fullreport_web.pdf.
[147] Isaac Stone Fish, “Huawei’s Surprising Ties to the Brookings Institution,” The Washington Post, December 7, 2018, https://www.washingtonpost.com/opinions/2018/12/08/chinese-companys-surprising-ties-brookings-institution/?utm_term=.2720ba57db52.
[148] Margaret Wollensak, “Canadian, UK Universities Warned by Intelligence Agencies to Be Wary of Huawei,” The Epoch Times, December 19, 2018, https://www.theepochtimes.com/universities-warned-to-be-wary-of-research-partnerships-with-huawei_2743679.html.
[149] Zack Dorfman, “How Silicon Valley Became a Den of Spies,” Politico, July 27, 2018, https://www.politico.com/magazine/story/2018/07/27/silicon-valley-spies-china-russia-219071.
[150] Bowe, China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, 11–12.
[151] Bowe, China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, 10–12.
[152] 高山:〈中國萬達:20億美元買下美國兩家電影公司〉,自由亞洲電台,2016年8月23日, https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/jingmao/hc-08232016102649.html.
[153] 崔鵬:〈阿里影業入股Amblin Partners 馬雲投資斯皮爾伯格〉,《搜狐網》,2016年10月9日, http://www.sohu.com/a/115703678_115565.
[154] Amy Qin and Audrey Carlsen, “How China Is Rewriting Its Own Script,” The New York Times, November 18, 2018, https://www.nytimes.com/interactive/2018/11/18/world/asia/china-movies.html.
[155] Ben Fritz and John Horn, “Reel China: Hollywood Tries to Stay on China’s Good Side,” The Los Angeles Times, March 16, 2011, http://articles.latimes.com/2011/mar/16/entertainment/la-et-china-red-dawn-20110316.
[156] 林坪:〈揭秘中國銳實力(五)美國電影娛樂業〉,自由亞洲電臺,2018年9月7日, https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/yl5-09072018150445.html.
[157] 林坪:〈揭秘中國銳實力(三)美國學術界、高校〉,自由亞洲電臺,2018年9月5日, https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/yl3-09052018122139.html.
[158] 〈英保守黨人被拒入境香港 約翰遜表關切〉,《BBC中文網》,2017年10月12日, https://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-41591196.
[159] Bowe, China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, 7–8.
[160] 高鐵見聞:《高鐵風雲錄》(長沙:湖南文藝出版社,2015),第五章〈中國高鐵三國殺〉.
[161] Sankei Shimbun, “Japan’s Transfer of Bullet Train Technology a Mistake. China, of Course, Has Copied It,” Japan Forward, August 18, 2017, https://japan-forward.com/japans-transfer-of-bullet-train-technology-a-mistake-china-of-course-has-copied-it/.
[162] Paul Mozur and Jane Perlez, “China Bets on Sensitive U.S. Start-Ups, Worrying the Pentagon,” The New York Times, March 22, 2017, https://www.nytimes.com/2017/03/22/technology/china-defense-start-ups.html (last visited February 2, 2019).
[163] 同上.
[164] Office of the United States Trade Representative, Executive Office of the President, Update Concerning China’s Acts, Policies and Practices Related to Technology Transfer, Intellectual Property, and Innovation, November 20, 2018, https://ustr.gov/sites/default/files/enforcement/301Investigations/301%20Report%20Update.pdf, 46.
[165] Justin Ling, “Man Who Sold F-35 Secrets to China Pleads Guilty,” Vice News, March 24, 2016, https://news.vice.com/en_us/article/kz9xgn/man-who-sold-f-35-secrets-to-china-pleads-guilty.
[166] Cynthia McFadden, Aliza Nadi and Courtney McGee, “Education or Espionage? A Chinese Student Takes His Homework Home to China,” NBC News, July 24, 2018, https://www.nbcnews.com/news/china/education-or-espionage-chinese-student-takes-his-homework-home-china-n893881.
[167] “Chinese Hackers Indicted,” FBI News, December 20, 2018, https://www.fbi.gov/news/stories/chinese-hackers-indicted-122018.
[168] Zach Dorfman, “How Silicon Valley Became a Den of Spies,” Politico, July 27, 2018, https://www.politico.com/magazine/story/2018/07/27/silicon-valley-spies-china-russia-219071.
[169] Counterintelligence Strategic Partnership Intelligence Note (SPIN), SPIN: 15-007, FBI, September 2015, https://info.publicintelligence.net/FBI-ChineseTalentPrograms.pdf
[170] Lawrence A. Tabak and M. Roy Wilson, “Foreign Influences on Research Integrity,” Presentation at the 117th Meeting of the Advisory Committee to the Director, NIH, December 13, 2018, https://acd.od.nih.gov/documents/presentations/12132018ForeignInfluences.pdf.
[171] Lev Facher, “NIH Report Scrutinizes Role of China in Theft of U.S. Scientific Research,” STAT, December 13, 2018, https://www.statnews.com/2018/12/13/nih-report-scrutinizes-role-of-china-in-theft-of-u-s-scientific-research/.
[172] Jennifer Zeng, “Communist China Poses Greatest Threat to US and World, Senators Told,” The Epoch Times, updated December 17, 2018, https://www.theepochtimes.com/senate-told-communist-china-poses-greatest-threat-to-us-and-the-world_2738798.html.
[173] Keith Bradsher, “When Solar Panels Became Job Killers,” The New York Times, April 8, 2017, https://www.nytimes.com/2017/04/08/business/china-trade-solar-panels.html?_ga=2.209817942.255138535.1542571491-142437734.1525387950.
[174] 《中華人民共和國國家情報法》,《中國人大網》 ,2017年6月27日, http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2017-06/27/content_2024529.htm.
[175] Statement of John C. Demers Before the Committee on the Judiciary, United States Senate, for a Hearing on China’s Non-Traditional Espionage Against the United States: The Threat and Potential Policy Responses, U.S. Senate, December 12, 2018, https://www.judiciary.senate.gov/imo/media/doc/12-12-18%20Demers%20Testimony.pdf.
[176] Megan Henney, “US Leaders React to Huawei CFO Arrest: ‘A Threat to Our National Security,’” Fox Business, December 6, 2018, https://www.foxbusiness.com/markets/us-leaders-react-to-huawei-cfo-arrest-a-threat-to-our-national-security.
[177] Danielle Cave, “The African Union Headquarters Hack and Australia’s 5G Network,” Australian Strategic Policy Institute, July 13, 2018, https://www.aspistrategist.org.au/the-african-union-headquarters-hack-and-australias-5g-network/.
[178] Theis Lange Olsen and Cathrine Lakmann, “Huawei Now on the Danish Mark: ‘The Chinese Can Access Systems That Govern Our Society,’” Danish Broadcasting Corporation, December 7, 2018, https://www.dr.dk/nyheder/indland/huawei-nu-paa-dansk-sigtekorn-kineserne-kan-faa-adgang-til-systemer-der-styrer-vores. [In Danish]
[179] 唐銘:〈中共駭客偽裝法輪功網站 美籲中遵守國際規則〉,《大紀元新聞網》,2013年3月16日, http://www.epochtimes.com/gb/13/3/16/n3824225.htm.
[180] “Peter Navarro on China’s National Security Risks to US,” Fox Business, December 13, 2018, https://video.foxbusiness.com/v/5979037938001/?#sp=show-clips.
[181] 喬良、王湘穗:《超限戰》(北京:解放軍文藝出版社,1999),頁61.
[182] Eri Sugiura, “China’s 5G a Bigger Threat than Trade War, Says Ex-Dallas Fed Chief,” Nikkei Asian Review, September 24, 2018, https://asia.nikkei.com/Economy/China-s-5G-a-bigger-threat-than-trade-war-says-ex-Dallas-Fed-chief.
[183] Gregg Re, “Trump Declares Opioids From Mexico, China ‘Almost a Form of Warfare,’ Tells Sessions to Sue Drug Makers, Fox News, August 16, 2018, https://www.foxnews.com/politics/trump-declares-opioids-from-mexico-china-almost-a-form-of-warfare-tells-sessions-to-sue-drug-makers.
[184] Kirsten D. Madison, “Stopping the Poison Pills: Combatting the Trafficking of Illegal Fentanyl from China,” Prepared Statement Before the Senate Caucus on International Narcotics Control,” U.S. Department of State, October 2, 2018, https://www.state.gov/j/inl/rls/rm/2018/286384.htm.
[185] Markos Kounalakis, “China Is Using Fentanyl in a Chemical War Against America,” Mcclatchy D.C. Bureau, November 2, 2017, https://www.mcclatchydc.com/opinion/article182139386.html.
[186] Anna Fifield, “China’s Row With Sweden Over a ‘Racist’ TV Skit Has Citizens Urging Boycotts of Ikea and H&M,” The Washington Post, September 26, 2018, https://www.washingtonpost.com/world/2018/09/26/chinas-row-with-sweden-over-racist-tv-skit-has-citizens-urging-boycott-ikea-hm/?noredirect=on&utm_term=.15e1b22bc530.
[187] Xinmei Shen, “How China’s Army of Online Trolls Turned on Sweden,” Abacus News, September 26, 2018, https://www.abacusnews.com/digital-life/how-chinas-army-online-trolls-turned-sweden/article/2165747.
[188] T. Casey Fleming, Eric L. Qualkenbush, and Anthony M. Chapa, “The Secret War Against the United States,” The Cyber Defense Review, Vol. 2, Number 3, Fall 2017, 25–32, https://cyberdefensereview.army.mil/Portals/6/Documents/CDR-FALL2017.pdf.
[189] “How the West Got China Wrong,” The Economist, March 1, 2018, https://www.economist.com/leaders/2018/03/01/how-the-west-got-china-wrong.
[190] Michael Pillsbury, The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower (New York: St. Martin’s Press, 2015), the Introduction.
[191] Steve Bannon, “Speech at the 12th Interethnic, Interfaith Leadership Conference,” November 15, 2017, https://www.youtube.com/watch?v=OMp8F2tL66I.
【引用元】
・第十八章:中国共産党のグローバルな野望(上) | 大紀元 エポックタイムズ (epochtimes.jp)
・第十八章:中国共産党のグローバルな野望(下) | 大紀元 エポックタイムズ (epochtimes.jp)