香港の女性法輪功学習者が覆面の男らに殴打され大けがを負った事件で、香港の西九龍裁判所は1月26日、事件現場付近で見張り役をしていた犯罪組織構成員の男・柯衍湛被告(21)に禁錮2年9カ月の実刑判決を言い渡した。襲撃犯はいまだ逮捕されておらず、捜査の継続を求める声が上がっている。
組織性のある計画的な犯行
判決によると、法輪功学習者の廖さんは2019年9月24日、長沙湾警察署で街頭活動の申請を終え帰宅する途中、路上で警棒のようなものを持った覆面の男2人に頭部や下半身を強く殴打され、病院に搬送された。犯人らは待ち合わせていた車に乗り込み逃走した。
廖さんは頭部を5針縫う傷を負ったほか、太ももなど下半身に打撲痕が残った。
柯衍湛被告は事件発生前、現場付近で見張りをしていたところ、不審に思った警察官による職務質問を受け、そのまま逮捕された。同被告はアジアを中心に活動する国際的な犯罪組織「三合会」の構成員である。
柯衍湛被告が逮捕時に持っていた携帯電話からは被害者の写真が見つかったほか、チャットアプリには「ターゲットが出てきた」「警察がいるか確認しろ」などの通信記録が残されていた。
裁判所は襲撃事件について、襲撃の実行犯ほか見張り役や逃走車両の運転手などで役割分担がなされていたことから、計画的な犯行だと判断した。警棒のような凶器で被害者の頭部を殴打しており、犯人は意図して重傷を負わせようとしたと指摘した。
そして「故意傷害罪」に問われていた柯衍湛被告に対し、禁固2年9カ月の実刑判決を言い渡した。
度重なる中共からの恐喝、被害者は海外移住
被害者の廖さんは襲撃事件の翌年、香港を離れ海外に移住した。中国国家安全部が中国本土の実家に「香港を訪ねて(廖さんを)逮捕する」などの恐喝電話をしていたことから、身の危険を感じていたと大紀元の取材に語った。
中国共産党による恐喝は襲撃事件以前からも行われていた。2016年7月、中国共産党による法輪功弾圧の停止などを求める集会で、廖さんは赤い液体を掛けられた。
「今後は活動を止めろ。活動を継続すればもっとひどい目に遭う」「法輪功の活動を続ければ容赦しない」といった恐喝電話が昼夜問わずかかってきたほか、幾度となく尾行もされた。
廖さんは、法輪功学習者が行う活動はすべて合法であり、香港警察の許可を得ていると強調した。
香港の汚職捜査機関「廉政公署(れんせいこうしょ、ICAC)」で調査主任を務めた査錫我弁護士は、犯人の逃走に使われた車のナンバーが判明しているため共犯者を発見することは不可能ではないとしつつ、すでに香港から逃亡している場合には困難が伴うと指摘した。
査氏は、法輪功学習者に対する襲撃事件の影響は非常に大きく、警察は総力を挙げて捜査すべきだと指摘した。
法輪功関係者を狙った襲撃事件は他にもあった。
香港大紀元記者襲撃事件
香港における法輪功関連の襲撃事件として、2021年5月11日、香港「大紀元時報」の記者である梁珍氏が自宅マンション前でバスに乗ろうとしていたところ、突然、車が近づき、中から覆面の男が降りて、持っていた野球のバットのようなもので彼女の両足に激しく殴りかかった。男は約1分後に、近くに待機していた仲間の車に乗り、逃走した。梁氏は救急車で病院に運ばれた。
大紀元(2021年10月30日)によると、香港警察は捜査を終了し、容疑者を起訴するための「十分な証拠」を得られなかったと示したという。