元中国国家主席だった江沢民の地元である江蘇省の「政法系統」(人民法院、人民検察官、司法行政機関、公安機関および国家安全保障機関を指す)が絶えず粛清されており、これまでに1972人が調査または審査を受けたという。 江沢民派の影響力を排除し、習近平の力を強化することがこの粛清の主な目的であるというのだ。
今年の2月習近平当局は、「政法系統」内部で第二波の粛清を行い、この粛清のことをいわゆる「整風」(気風を正す政治キャンペーン)と呼んでいる。 中国共産党発足前の「整風運動」から1949年の政権発足後の政治運動まで、ほとんどは中国共産党の内政闘争を中心に引き起こされた粛清運動であり、今回も例外ではない。
中国共産党の政治法務委員会長官の郭声琨は、10月8日に行った関連演説で、粛清運動の目的は政法系統を「習近平を中心とした最高指導部」に忠誠させることだと明らかにした。粛清運動の第一波は2020年7月にすでに始まっている。
江蘇省は第二波粛清の重点的なターゲットの一つとして、2,000人近くの政法関係者が調査または審査を受けるほかにも、5,718人が処分(処分のほとんどが降格と移動による左遷)を受けたという。
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現在、習近平の勢力は江蘇省内にまで及び、江沢民派は次々と重職から追放されている。 過去長きに渡って江蘇省の重要な政府部門は江沢民派に掌握されていたという。
江蘇省の元政治法務委員会長官の王立科は、頑な江沢民派信奉者であったが、2020年10月24日に自ら自首し、今年の9月22日には共産党から除籍処分を受け、公職から追放された。そして、10月12日に経済容疑で正式に逮捕され、この案件は司法手続きに入ったという。
ところが、9月22日の中央規律検査委員会の発表は、「王立科はこれまで党に忠誠したことがなく、党内の犯罪クループにも参与した」とした。 これは、王立科案件は単なる経済犯罪ではないことを示している。
中国の政治アナリストの李燕明氏は、大紀元エポックタイムズに「王立科は江沢民派閥が起こした習近平倒しに深く関与しているが、実際その計画を実行したのは、江沢民の地元江蘇省の政法系統にいる江沢民派閥である」と明かした。
今回の政法系統に対する粛清運動は「全国政法関係チームへの教育整頓」と呼ばれ、当局は政法系統に存在する大きな問題を解決することが目的であると自称している。 しかし、アナリストは、これらの粛清運動の最終目的は、習近平と江沢民の派閥間の闘争に関係していると分析している。
習近平と江沢民の派閥間の不満は和解の余地もなく、事態は収拾がつかないところまで激化している。10年前、習近平には彼自身の政治勢力がなかったため明らかな政敵もいなかった。当時の江沢民勢力は習近平にとって必ずしも排除しなければならない目標でもなかった。
しかし、江沢民、曽慶紅などは、習近平を信頼しておらず、習近平の王位を奪おうとする企みを止めようとしなかった。
江沢民、曽慶紅らは、これまで手中の権力を利用して数々の悪事を働いただけではなくて、22年にも及ぶ史上もっとも残酷な人権弾圧と言われる、法輪功への迫害を引き起こした主犯でもある。これらの悪人を裁くことが始まっているのかも知れない。