ドイツ人研究者、中国新疆における強制不妊手術を批判

人権

ドイツ人研究者らは6月29日に、中国新疆ウイグル自治区における「強制不妊レポート」を発表したが、中国は9月3日、新疆ウイグル自治区の女性たちは自ら望んで不妊手術を受けていると事実を否定。これは、事実を捏造し一貫した手口である。

ドイツ人研究者による中国・新彊ウイグル自治区「強制不妊レポート」

FLASH(2020年7月2日)によると、6月29日に、新疆ウイグル自治区における「強制不妊レポート」が発表された。中国共産党がウイグル人の人口を減らそうと、強制収容して不妊手術を受けさせる悲惨な実態が報告されている。発表したのは、ワシントンDCにあるシンクタンク・ジェームスタウン財団で、ドイツ人研究者エイドリアン・ゼンツ氏らが現地でおこなったインタビューや公文書、これまでの報道をまとめたものだ。

中国は、2016年「一人っ子政策」の制度廃止以来、2人目の出産を許可し、取り締まりをゆるめていたが、新疆ウイグル自治区では厳しい状況が続いていた。

3人目の子供を産んだあるウイグル人女性は、地元警察に呼び出され、地下で金属椅子に手足を拘束された状態で、銀行送金や電話のやり取りについて尋問された。後日、黒いフードをかぶらされ、拘束されたまま強制キャンプへ送られ、2カ月以上をここで過ごす。釈放の際、キャンプ内のことを口外せず、宗教行事に参加しないことを約束させられた。彼女は無料で不妊治療を提供され、断りきれずに手術を受けたという。

幼い3つ子を持つ女性は、エジプト留学から一時帰省したところを逮捕された。強制キャンプでは、4日間連続で睡眠を取らせない拷問を受け、髪を剃られた。あるとき、椅子に拘束された状態でヘルメットをかぶらされ、そのまま感電させられた。この拷問で全身が激しく痙攣し、口から泡を吹き意識が遠のいていく中で、「ウイグルは罪だ」という言葉を聞いた。彼女のキャンプは60人の女性が1つの部屋に押し込まれ、睡眠は交替制。トイレはセキュリティカメラの前にあり、3カ月で9名が亡くなった。よくわからない錠剤や液体を飲まされ、それにより失神する者、不正出血する者、生理の止まる者がいたという。アメリカの医師はこれを不妊処置だと断言している。

別の女性は、強制収容所に入る必須条件だとして、不妊具を装着させられた。彼女の罪は携帯にメッセンジャーアプリ「WhatsApp」をインストールしたというもの。4人目の妊娠10週目だったが、麻酔なしで堕胎手術され、今も後遺症に苦しんでいる。

さらに別の女性は、拘束中に何度も警備員たちにレイプされ、2回妊娠し、いずれも強制的に堕胎させられた。35歳以下の者は女でも男でも、レイプされたり性的虐待を受けたりしているという。

レポートでは、あからさまな集団不妊治療は国連の定めたジェノサイド条約第2条に相当するかもしれないと指摘しているが、中国政府は「新疆ウイグル自治区の女性たちは自ら望んで不妊手術を受けている」と人権侵害の事実を否定している。

【参考資料】
・FLASH「中国がウイグル人に強制する「不妊手術」戦慄の実態が明らかに
(2020年7月2日)
・北京共同「新疆の不妊手術「自主的」と中国 独研究者の強制批判に反論
(2020年9月3日)