米国政府、ウイグル「強制労働」製品の一部輸入禁止へ!

人権

米政府は14日、中国の新疆ウイグル自治区で「強制労働」によって作られている製品の輸入を禁止すると発表した。禁輸対象となる製品は、新疆ウイグル自治区などのメーカー5社が製造した綿製品、衣料品、人毛製品、電子機器など。米税関・国境警備局のモーガン長官代行は、「強制労働は凶悪な人権侵害だ」と非難した。

新疆での強制労働システムは法輪功迫害がモデル=米民間団体

NTDジャパン(2019年8月23日)によると、当時、米国の民間団体「公民力量」が22日、報告書を発表し、中国最大の綿製品生産地である新疆ウイグル自治区では囚人やウイグル人収監者に奴隷労働を強いて製造した製品を海外に輸出していると指摘した。

「公民力量」発起人の楊建利氏は、「新彊のこの事例を通して伝えたいのは、綿花産業全体が刑務所システムで管理されている。どれほど深刻なことなのか知ってほしい」と述べた。

中国共産党は長年、数百万人の囚人を中国国内と海外向け経済の労働力として酷使してきた。政治的抑圧と安定維持の目的が達成できると同時に、経済面でも搾取と略奪を行っている。

「公民力量」副主席の韓連潮氏は「この迫害のモデルは法輪功の迫害から始まった。法輪功は長年調査報告を出して、この種の強制労働を記録している」と述べた。

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米、ウイグル「強制労働」製品の輸入禁止

9月15日 AFP】米政府は14日、中国の新疆ウイグル自治区で「強制労働」によって作られている製品の輸入を禁止すると発表した。中国政府がイスラム系少数民族ウイグル人の「職業訓練施設」と称している「強制収容所」の製品も含まれる。

米税関・国境警備局(CBP)のマーク・モーガン(Mark Morgan)長官代行は、「中国政府はウイグル人(やその他少数民族)に対する組織的虐待に関与している」「強制労働は凶悪な人権侵害だ」と非難した。

禁輸対象となる製品は、新疆ウイグル自治区などのメーカー5社が製造した綿製品、衣料品、人毛製品、電子機器など。さらに米国土安全保障省のケン・クチネリ(Ken Cuccinelli)副長官代行が強制労働収容所だと指摘している新疆ウイグル自治区の「ロプ県第4職業技能教育訓練センター」に関連する全製品も含まれている。

同センターについてクチネリ氏は、「これは職業訓練施設ではなく強制収容所であり、宗教的・民族的少数派が虐待対象とされ、面会もできず自由もない極悪な条件で働かされている場所だ」「これは現代の奴隷制である」と報道陣に語った。

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米国:複数の人権団体、新疆ウイグル自治区で生産された綿の輸入禁止を求める

Business Insider (2020年9月15日)】によると、中国は世界最大の綿生産国の1つで、その80%以上は新疆ウイグル自治区で作られている。新疆ウイグル自治区では、何百万というウイグル族を中心としたイスラム教を信仰する少数民族の人々が強制収容施設で生活し、薄給または無給で働かされている。7月の報道によると、ギャップ(GAP)からH&M、アディダスまで「事実上、アパレル業界全体」が新疆ウイグル自治区の強制労働から利益を得ているという。

9月上旬には、トランプ大統領が新疆ウイグル自治区からの綿製品の輸入禁止を検討しているとニューヨーク・タイムズが報じた。ロイターによると、その後、トランプ政権は9月14日、新疆ウイグル自治区にある5つの事業体からの綿花や衣料品などの輸入を禁止する方針を示した。(ただ、全面的な禁輸措置は見送った)。その市場規模から、アメリカによるこうした措置は中国政府にとって「非常に大きな」経済的損失をもたらし、この地域における人権侵害を食い止める助けになるだろう」と、複数の人権擁護団体はBusiness Insiderに語った。

人権団体や市民団体、業界団体による国際連合体「ウイグル自治区の強制労働を終わらせるための連合(Coalition to End Forced Labour in the Uyghur Region)」では、アパレルメーカーや小売業者に対し、新疆ウイグル自治区とつながっている全てのサプライヤーと手を切るよう求めている。この連合体に名を連ねるワーカーズ・ライツ・コンソーシアムのエグゼクティブ・ダイレクター、スコット・ノヴァ(Scott Nova)氏は、トランプ政権が輸入禁止を命じれば中国政府にとって「決定的な経済的損失」になるだろうと話している。

「業界トップのブランドや小売業者が、最も重要な消費者市場であるアメリカへの新疆ウイグル自治区からの輸入を禁止されれば、中国政府とその新疆ウイグル自治区における経済開発戦略に及ぶ影響は非常に大きなものになる」とノヴァ氏は言う。

ウイグル自治区の強制労働を終わらせるための連合の試算によると、世界中で消費者に販売される製品の5分の1に新疆ウイグル自治区の綿が使用されているという。つまり「事実上、全ての主要ブランドや小売業者が関与している」ということだ。

ただ、他の製品に織り込まれるなどした海外に輸出された綿を追跡するのは難しい。新疆ウイグル自治区で生産された綿は、中国各地で加工され、バングラデシュやカンボジア、ベトナムといった国に輸出される。そして、こうした国々で仕上がった製品がアメリカといった”富める国”のアパレル市場へ輸出される。

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