中国共産主義による拘束と拷問から生還した米国人

人権

NTDジャパン(2021年6月24日)によると、米国人の起業家・シェーラー氏が中国で不法就労の濡れ衣を着せられ、恣意的な拘束および海外の人には想像もつかないような監房の中の環境について語った。彼は、自身の体験を詳細に綴った著書を今年5月に出版した。その中で、法輪功学習者のような自身の信念のために拘束され、拷問され、殺害された人々の話も紹介しているという。

サンフランシスコ・ベイエリア出身のスティーブン・シェーラー氏は、大学卒業後、北京で5年間勤務した後、20代で英語教育のコンサルティング企業を設立した。

2016年10月、中国で勤務していた頃、シェーラー氏と従業員らは全員就労ビザを取得しており、合法的に雇用されていたにもかかわらず、不法就労の疑いで不当に告発され、逮捕に至り刑務所に収監された。シェーラー氏は「特に外国人が社会的に成功している場合、中共政権は彼らを脅威とみなすことが多い」と述べている。

作家兼中国政策専門家 スティーブン・シェーラー氏
「中国における『国家安全法』の類のほとんどは、非常に曖昧で、あまり意味がなく、どういうものか分からないものばかりだ。私が警察官に何時間も尋問されていた時、警官による最初の質問の1つは『我々がどれだけのお金を稼いでいるか知っているか?』だった。彼らは私の税務書類を見て、『おまえは自分の収入を知っているのか?おまえは私たちよりも稼いでいる』と言った。収入が彼らより上回ること自体が違法であるかのような言い方だった。外国人である私が、中国国内で警察官よりも稼いでいるなんて、あってはならないことのようだ」

シェーラー氏は、高さ約9メートルの金属製の壁に囲まれ、武装警察が配備されている、完全な軍事刑務所のような拘置所に拘禁されたと説明した。また受刑者らは採血され、衣服を剥ぎ取られ、金属探知機で検査され、持ち物すべてを没収された。監房の中の環境は、海外の人には想像もつかないようなものだったと述べた。

作家兼中国政策専門家 スティーブン・シェーラー氏
「監房ではカビだらけで汚いトイレを17人の受刑者と共有し、365日24時間過ごすことになる。黄色いスラッジのような食べ物をバケツに入れ、漏斗を使ってドアに流し込む。17人の受刑者は、急いでバケツからこれを食べようとする。この状況は恐ろしく、人を殺すために設計されている。壁には自殺の警告サインが貼られている」

シェーラー氏は、1か月弱の間投獄されていた。冷たい木の板の上に血のついた毛布を敷き、明るい蛍光灯の光に照らされ続けながら寝ていた。受刑者同士が殺し合いをしないように、交代で見張りをしながら寝ていた。また、外部との接触は一切できないと繰り返し聞かされたと述べている。

ようやく強制送還され、サンフランシスコに帰郷したシェーラー氏は、栄養失調や睡眠不足に陥り、病気になってしまった。普通の状態に回復するためには、セラピーを受ける必要があった。

シェーラー氏は、自身の体験を詳細に綴った『Surviving Chinese Communist Detention(中国共産主義による拘束からの生還)』という著書を今年5月に出版した。

その中でシェーラー氏は、自身の信念のために拘束され、拷問され、殺害された人々の話を紹介している。具体的には、法輪功学習者、イスラム教徒、ウイグル人、中国人キリスト教徒、チベット人仏教徒、人権派弁護士、反体制派などだ。

自身の経験から、シェーラー氏は合衆国憲法や米国の人々を守る権利について、理解を深めた。

作家兼中国政策専門家 スティーブン・シェーラー氏
「あなたの話、私の話、この話を世界に向けて発信し、人々に警鐘を鳴らし、『ねえ見て、私たちはここ西部で中国共産党の影響力を拡大させたくない』と主張することが、日々のモチベーションの維持につながっている。私は本の中で、中国人と中国共産党の違いを徹底的に説明した。中国人と中共は同じではない。中国系米国人も中共と同じではなく、ほとんどの場合、私の最も強力な支持者であり、『発信し続け、伝え続け、あなたの話を共有し続けてください』と言っている」

シェーラー氏は現在、技術系の仕事をしており、複数のプラットフォームを通じて自身の体験談を共有している。