米国務省、中共による仏像破壊を非難 チベット人に立ち会い強要

人権
強制的に取り壊されたチベットの巨大仏像(RFA)

米国務省は1月13日、中国共産党(中共)政権によるカンゼ・チベット族自治州にある巨大仏像の破壊行為など、チベット仏教徒に対する弾圧行為に懸念を表明した。ここ数週間で二体の仏像が取り壊されており、同政権は地元の僧侶とチベット住民に解体工事への立ち合いを強要した。信教を断念させるために精神的苦痛を与えることが狙いとみられている。

米国務省の世界信教自由局は声明のなかで「中共政権による仏像やマニ車(仏経を収納する仏具、転経器)の破壊、祈祷旗の焼却など、中国のチベット仏教徒に対する行動がエスカレートしていることに心を痛めている」と述べ、中国当局にチベット人の信仰の自由を尊重するよう求めた。

チベットで高さ30メートルの仏像取り壊し 僧侶に立ち合い強要

米国営放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)の1月4日の報道では、カンゼ・チベット族自治州の巨大仏像(約30メートル)の解体工事は2021年12月12日から9日間続き、多くの武装警官が配置された。チベット亡命政府によると、取り壊しに異議を唱えたチベット人は殴打され、逮捕されたという。

亡命チベット人が入手した現地消息筋の話によると、仏像の高さは99フィート(約30メートル)。四川省当局は「チベット人に教訓を与えるため」として、仏像を所有するトーサム・ガッセル(Thoesam Gatsel)寺の僧侶や現地のチベット住民に、2021年12月12日から9日間続いた解体工事への立ち合いを強制した。

仏像とともに、仏経を収納する仏具「転経器(てんきょうき)」45台も破壊された。

写真や動画の撮影は禁止されていた。騒動が起こらないように、現地には多くの武装警官が配置された。

「中共がチベットの伝統をほとんど破壊した文化大革命(1966-76年)の再来だ」と現地消息筋は語り、仏像の解体はとても無礼だと憤った。

2015年10月5日に完成したこの巨大な仏像は、地元当局の建設許可を取得しており、工事費は約4000万元(約7億2000万円)、地元チベット人の募金で賄ったという。

チベット亡命政府の台湾代表ケルサン・ギャルツェン氏は大紀元のインタビューで、中共政権による仏像の破壊行為は中国からチベットの宗教や文化を根絶する活動の一環であると指摘した。

さらに「チベット人にとって、仏像は自分の命よりも大切なものだ」と述べ、目の前で仏像が破壊されたことにより、彼らが受けた精神的プレッシャーは計り知れないと語った。

中国当局はすでにチベットの寺院に掲げられている亡命中のチベット仏教の精神的指導者ダライ・ラマ14世の写真を中共の指導者の肖像に差し替えている。

 

中共はチベット侵略とその後70年にわたる占領の歴史をあからさまに捏造

チベット難民組織や人権団体は、中共のチベット侵略とその後70年にわたる占領の歴史をあからさまに捏造した中国政府の行為を愚行として非難した。

中共によるチベット侵略の足掛かりとして1951年5月23日に締結された「十七か条協定(中央人民政府と西藏地方政府のチベット平和解放に関する協議)」の調印から70周年が経つ。専門家等の主張によると、十七か条協定はチベット側が強制的に署名させられた取り決めである。

この条約調印70年に合わせて、中国政府はチベット併合を「平和的な解放」として描写する「チベットの平和解放と繁栄発展」白書を発表した。

中国国営放送局「中国中央電視台(CCTV)」が所有・運営するCGTN(中国グローバルテレビジョンネットワーク)が報じたところでは、チベットは「著しい改善」を果たしており、チベットの不安を煽るために「西側の反中勢力」が継続的に介入していると、同白書には記されているという。

しかし、「チベットのための国際キャンペーン(ICT)」は2021年5月21日に発表した声明で、「今日のチベットの状況から明らかなように、中国は自国が強制して締結した協定にも準拠せず、違反している」と述べている。

ワシントンDCに拠点を置く同非営利団体や他の活動家団体は、同白書を強く批判している。これは、天然資源や戦略的立地条件を搾取しながらチベットの豊かな歴史の抹殺を図る中共の長年の政策に基づく単なる政治的宣伝であるという。

山岳地帯でブータン、ビルマ、インド、ネパールと国境を接するチベット自治区には、インド太平洋の主要河川の多くの源流が存在している。

「チベットのための国際キャンペーン」は、「協定締結から70年の間に、中国政府が一方的に打ち出す政策はますます強硬なものとなった。これによりチベットの文化や宗教が弱体化しチベット人の表現の自由が奪われてきた」と説明している。

【引用記事】
https://www.epochtimes.jp/p/2022/01/84908.html
https://www.epochtimes.jp/p/2022/01/84470.html
https://www.epochtimes.jp/p/2021/06/74881.html