中国河南省鄭州市で大洪水 地下鉄やトンネルが冠水 当局は沈黙

時事

NTDジャパン(2021年7月24日)によると、中国河南省鄭州市で記録的な豪雨が発生し、甚大な被害が発生している。現地では人の胸の高さまで水位が上昇し、地下鉄が浸水し、至る所に遺体が浮かんでいるという。この深刻な災害に直面してもなお、官製メディアの「人民日報」はこの大災害を第一面で取り上げず、鄭州市当局は「大雨が終わったら都市がより清潔になるだろう」と述べている。

河南省鄭州市で発生した豪雨による深刻な被害状況は、住民がインターネットに投稿した動画によって拡散された。この動画は隴海(ろうかい)高速道路高架下の様子を撮影したもので、急流のようになった洪水の中を市民が列を作って高い地形の場所を目指して進んでいた。若い男性二人が必死で支え合っているのも見えるが、流れに押されて腕がほどけ、流されそうになった。

この交差点では、市民が車の上に避難したものの、迫りくる濁流から逃げることもできず、なすすべのない様子が撮影されており、またある市民は、父と息子と思われる二人が濁流に流される様子を撮影していた。

地下鉄が浸水

7月20日午後6時ごろに大量の水が鄭州の地下鉄内に流れ込んだ。車両に閉じ込められたネットユーザーは「2時間の間に水位が胸のところまで上がり、洪水が押し寄せてくるのが見える。このままここにいたら溺死する」と投稿している。8時半ごろにレスキュー隊員が到着して閉じ込められていた乗客の一部を避難させた。死亡者は12人、負傷者は5人だけだったと当局は発表したが、ネットユーザーがネットに投稿した動画には、プラットフォームや車両の上のたくさんの遺体が映っていた。

地下鉄で深刻な死亡事故が発生しているほか、地上でも水面に多くの死体が浮かんでいた。

なぜ中国では、大雨が降ると8割以上の都市で冠水が発生するのだろうか?

7月20日、鄭州市中牟県(ちゅうぼうけん)に位置する常庄ダムで漏水と決壊の兆候がみられたため、当局は20日の午前10時30分から下流に向けて放水を開始した。これによって元々深刻な水害が発生していた鄭州市がさらに追い打ちをかけられることになった。

浸水した地下鉄を撮影した大量の動画や、水の引いた後の地下鉄駅に残された大量の死体に多くの人が胸を痛めている。一方で中央電視台の海霞キャスターは先週も、当局の洪水対策は適切であると党の偉大さを讃えた。

中共メディアは地下鉄に閉じ込められ息もできなくなった民衆や、焦りと絶望の中で死んでいった民衆を無視して、党への賛美を優先した。鄭州市当局はさらに微博の公式アカウントに「記録的な豪雨となった今回の大雨が過ぎたら、都市がより清潔になり、草木はより青々と生い茂るだろう」と投稿し、物議を醸している。