中国の強制労働疑惑、スウェーデンの「H&M」は中国業者との取引打ち切りへ

人権

スウェーデンのアパレル大手「H&M」は15日、中国の新疆ウイグル自治区での民族的・宗教的少数派を使った「強制労働」に対する批判を受けて、中国の製糸業者との関係を断つと発表した。このような強制労働を含む系統的な弾圧システムは「法輪功」が始まりだと言われ、残虐で大規模な法輪功への迫害は21年経った今も続いている。

「強制労働」疑惑をめぐる動き

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は3月、中国共産党政権が弾圧するウイグル関連の強制労働についてのリポートを発表した。ナイキ、アディダス、アップルといった世界的有名企業83社の実名を挙げ、サプライチェーンに強制労働が含まれている可能性があると指摘した。

中国はその内容を否定したが、リポートの反響は大きかった。

民族問題に加えて、信教の自由そして基本的人権といった国際社会共通の価値の点から、米国だけでなく世界的な批判が高まっている。

米政府は14日、中国の新疆ウイグル自治区で「強制労働」によって作られている製品の輸入を禁止すると発表した。禁輸対象となる製品は、新疆ウイグル自治区などのメーカー5社が製造した綿製品、衣料品、人毛製品、電子機器など。米税関・国境警備局のモーガン長官代行は、「強制労働は凶悪な人権侵害だ」と非難した。

H&M 中国業者との取引打ち切りへ

AFP=時事(2020年9月16日)】によると、スウェーデンの服飾大手「H&M(へネス・アンド・マウリッツ)」は15日、中国の新疆ウイグル自治区での民族的・宗教的少数派を使った「強制労働」に対する批判を受けて、中国の製糸業者との関係を断つと発表した。

H&Mは、新疆のどの服飾工場とも取引していないとした上で、中国最大の綿花産地である新疆から今後は綿花を調達しない方針を明らかにした。

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が3月に公開した報告書によると、H&Mは、中国・安徽(Anhui)省の染糸メーカー、華孚(Huafu)との取引を通じて利益を得ていた企業の一つだという。

H&Mは、華孚の安徽省の工場とも、新疆の工場とも一切取引したことはないと発表したが、浙江(Zhejiang)省上虞(Shangyu)にある華孚時尚(Huafu Fashion)の工場の一つと「間接的に取引した」ことを認めた。

H&Mは、「上虞工場での強制労働を示すものは一切ないが、強制労働疑惑についてはっきりするまで、華孚時尚との間接的取引関係を今後12か月間で段階的に減らしていく。部門や省は問わない」と述べた。

さらに、中国で取引している縫製工場すべてで調査を実施し、強制労働のリスクが高いスキームを通じて雇用された労働者がいないかどうかを確認するという。

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