中共の影響力拡大は、経済的支配にとどまらず、世界各国で深刻な人権問題を引き起こしている。その一環として、孔子学院の存在が問題視されている。孔子学院は、中共の文化外交の一環として、世界中で中国語教育を推進しているが、実際には中共の政治的プロパガンダや思想統制の道具として機能しているとの批判がある。最近、ラオスのゴールデントライアングル経済特区における孔子学院と、そこで発生している電信詐欺が問題を深刻化させている。
ラオスの現状と中共の影響
ゴールデントライアングル経済特区は、中国資本によって急成長している地域であり、同時に電信詐欺の拠点としても悪名高い場所である。中国出身の留学生である劉敖さんによると、ラオスの孔子学院で学んだ学生の多くが、その後ゴールデントライアングル地域の詐欺グループに加わっており、学んだ中国語を使って他人を騙すために活用されているという。
劉敖さんは、ラオスがまるで中共の「裏庭」のように見えると述べている。ラオス国内には中国の国有企業が多数進出しており、その恩恵を現地住民はほとんど受けていない状況が続いている。また、中国人が商売を行うと、中共の監視下に置かれる事例もあり、ラオスにおける中共の影響力は深刻である。
各国と日本における孔子学院の対応
他国の対応
アメリカや欧州諸国では、孔子学院の閉鎖が進んでおり、アメリカでは数百あった孔子学院が現在は5つにまで減少している。ポーランドやドイツでは、孔子学院が政治的プロパガンダを行っていることを理由に閉鎖が決定された。英シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン・ソサエティ」は、孔子学院が「言語と文化教育」を超えて、政治活動や技術提携を進める場になっていることを指摘している。
日本における対応
日本政府は、早稲田大学高等学院に孔子学院と似た機関が設置されていることを認め、情報公開を進め、動向を注視する方針を示した。現在、日本国内には12大学に孔子学院が設置されており、これらは中共からの資金提供を受けており、教育内容や人事に中共の影響があるとされている。
一部議員は、孔子学院の存在に対して安全保障上の懸念を示したが、政府はその内容について明確に回答を避けた。また、最近、早稲田大学高等学院にも類似の機関があることが判明し、高校生への影響が懸念されている。
日本は他国に比べて孔子学院に対して穏やかな受け入れ姿勢を取っており、特に有名大学に設置されている。しかし、中共の影響力拡大に対しては、警戒感を強めるべき時に来ている。孔子学院が単なる教育機関にとどまらず、中共のプロパガンダツールとして機能している事実を踏まえ、透明性の確保と対策の強化が必要である。今後、日本は中共の影響力に対して強い立場で対応することが、重要な課題である。
【引用記事】NTDジャパン(2025年6月10日)
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