傷だらけの遺体が語る「法輪功迫害 四川嘉州監獄」より

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写真左、龐勳さん。写真右、徐浪舟さん。 (明慧ネットより)

10年の時を経て、二人の若者の傷だらけで血まみれの遺体が同じ刑務所から発見された。この刑務所は「四川嘉州監獄」という。ここは不法に投獄された四川省内の法輪功学習者に対し、長年にわたって残酷な拷問を加えてきた悪名高い場所である。

2022年12月、「四川嘉州監獄」において、法輪功学習者で元ラジオ局司会者の龐勳さん(30歳)は「非正常な死」を遂げた。遺体を引き取りに行った母親や親族が見たものは、痩せ細った体で、別人のようになった龐勳さんだった。体には、電気ショックによるとみられる火傷の跡など、ひどい傷やアザが無数にある。絶命するまで残酷な拷問を受けていたことは明らかだった。

10年前にもこの場所で、法輪功学習者の徐浪舟さん(39歳)が、同じく「非正常な死」を遂げた。徐さんは監獄長の命令により、まる7日間吊り上げられ、暴行を加えられていた。その遺体にも、生々しい傷跡が無数に残されていた。

元ラジオ局の人気司会者・龐勳さん

法輪功情報サイト「明慧網(ネット)」によると、2020年7月27日、職場に出勤する際に拉致された。

龐さんは以前、他の法輪功学習者である王幼萍さんとともに、集合住宅(団地)内で法輪功に関する真相を伝える資料を配布したことがある。その時監視されていたことが関係して、警察に拉致されたものと考えられる。

龐さんはその後、5年の実刑判決を受けた。もちろん、法輪功を修煉することは中国のいかなる法律に照らしても違法ではない。全ては、共産党の支配下にある中国の司法が極めて恣意的に法律を運用することによって、例えば「国家転覆扇動罪」などを、いくらでも乱発できるのである。

こうした不当判決により服役していた龐さんであったが、刑期が残り2年ほどという時に、獄中で「非正常な死」を遂げた。龐さんの母親が、火葬前の息子を撮影した映像には、全身に生々しい打撲痕の残る龐さんの遺体が写っていた。

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元交通警察の優秀警察官・徐浪舟さん

四川省攀枝花市で交通警察に勤務していた徐浪舟(39歳)さんは、法輪功を修煉してから何度も「優秀警察官」に選ばれた。同市のテレビ番組までも、徐さんに関する特別報道を行ったことがある。

迫害が始まる前は、警察官でも軍人でも、共産党員でさえも「法輪功」を愛好していた。中国の早朝の公園には、職業を問わず出勤前の多くの人が集まって法輪功の集団煉功をおこない、一日を明るく、健康的に過ごしていたのである。

ところが、嫉妬心の権化である江沢民(当時の国家主席)は、世の中に「良い人」が増え、「法輪功」が爆発的な人気を博すことに耐えられなかった。

1999年7月から、江沢民の独断命令のもと、中国共産党による法輪功迫害が中国全土で始まった。その後まもなくして、優秀警察官の徐浪舟さんは、不当に職を解かれた。

徐さんは2000年から、3年間の「労働教養(労働を通じた再教育、という名目の思想改造)」 を受けた後、出所した。ところが2004年4月、攀枝花市の公安局によって拉致され、8年6カ月の実刑判決を受けた。だが、刑期が残り半年という時に、彼は獄中で死亡したのである。

徐さんの母親は、息子の遺体の火葬に同意せず、証拠を隠滅しようとする刑務所に説明を求めて司法解剖を要求していた。しかし、最終的に司法解剖は刑務所の手配したところで行われた。解剖結果は「非正常な死亡」と記されていただけであった。

70代の年老いた母親は、2013年だけで200通以上の、息子の無実を訴える手紙を送っていた。さらに母親は息子の「病気治療のための仮釈放」を申請していたが、刑務所側は「(徐浪舟が)修煉を放棄する声明を書かなければ、申請を受け付けない」と告げた。

法輪功の修煉を放棄せず、強靭な信念によって「転向声明」を書かない徐さんは、ついに死ぬまで迫害されたのである。

四川嘉州監獄の多くの刑務官や、刑務官の手下の者たちは、法輪功学習者に対して公然と、こう脅す。「もしお前が転化(法輪功を放棄)しないなら、死ぬまで迫害するか、障害が残るほどに痛めつけるぞ」。

この刑務所では、法輪功学習者に「転化」させるために、刑務所長の祝偉が「発明」したという「吃秒飯」と呼ばれる拷問手段が用いられている。

「吃秒飯」は、受刑者に与えられる食事時間はわずか約20秒で、食器を手に取ることは許されず、床に置かれた食物を、足を組んで座禅した状態で腰を折り、頭だけを下げて食べさせる。

残酷で、じわじわ苦しめるこの拷問を経験した人によると、早い人で4口、遅ければ2、3口しかごはんが食べられないという。数日もすれば体重が減りはじめ、やがて骨と皮の体になってしまう。

この刑務所では「吃秒飯」のほかにも、法輪功学習者の肉体と精神を痛めつけるために多くの非人道的な方法が用いられている。わかっているだけでも、以下のような拷問方法がある。

ぐらぐらに沸いた熱湯を、頭からかける。顔面や目に唐辛子の水をかける。ロープで吊るし上げて、暴行を加える。房(ぼう)のなかでの集団暴行。寒冷期の夜に外へ出して、凍らせる。猛暑の季節に、直射日光に長時間さらす。注射などで毒薬を投与する。長時間立つことを強要する。おもちゃのような「小さなイス」に長時間座らせる体罰。鼓膜が破れるほどの大音響を聞かせる。男女を問わず、性器など体の局部に電気ショックを与える、などがある。

明慧ネットによると、同刑務所の所長だった祝偉は在任中の11年間、法輪功学習者を「転化」させ、残酷に迫害するための十数種の拷問方法を発明(考案)した。

その「政治的功績」は中国共産党中央委員会や四川省から「称賛」された。ただし祝偉は、2019年にがんを患って病死している。

【引用記事】大紀元(2023年8月16日)
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