米連邦検察局は26日、国税庁職員に賄賂(わいろ)を渡し中国共産党(中共)による法輪功への弾圧に加担させようとした疑いで、中国出身の男2人を逮捕、起訴した。金銭を受け取ったのは潜入捜査を行なっていた特別捜査官だった。中共の海外における違法活動が改めて浮き彫りとなった。
起訴状によると、ジョン・チェン(70)とリン・フェン(43)は、法輪功学習者の運営する非営利団体の免税特権を奪うため、国税庁に偽りの告発を申し立てた。税務調査を促すため、国税庁職員(潜入捜査官)に5千ドルの賄賂を渡し、成功すればさらに多額な褒賞を取らせると約束した。
中国当局の関与も立証された。米司法省によると、2人は1月から5月にかけて「中国官僚1」の指示のもと、贈収賄による影響力工作を行なっていた。傍受された通話記録には、暗号化されたメッセージを用いて指示役の「官僚1」から命令を受け取る方法や、工作に失敗したときに証拠を隠滅することなどが確認されている。
チェン容疑者は1月21日の通話で、法輪功を「打倒」するという中国政権の目標に言及し、「指導部」は違法な金銭の支払いにも「非常に太っ腹」であると指摘した。
指示役の「官僚1」の身元は明かされていないが、チェン容疑者の通話記録から、「これらの問題を常時担当している人物」であると判明している。法輪功弾圧を主導してきた超法規的機関「610弁公室」が、中国東北部の主要都市・天津に主要な拠点を構えていることも起訴状で言及された。
法輪功は1992年中国で伝え出された気功で、宗教や政治に関与することはなく、身体の健康と道徳心の向上に顕著な効果があったため、わずか数年の間に1億を超える人々に愛好されるようになった。しかし、当時の国家主席・江沢民(2022年11月30日に死去)は法輪功の爆発的な人気に強く嫉妬し、自分の権力を乱用し中共を利用して、1999年7月20日に法輪功に対する弾圧を発動した。以来、生体臓器狩りにまで及ぶ残虐な迫害を続けており、しかもこの迫害を正当化するために、あらゆる手段を使って国内外へ捏造した情報を流し、徹底的に法輪功を悪者に仕立て上げた。そのため、法輪功学習者のみならず、全世界の人々が巻き込まれ、前代未聞の残虐さと規模の迫害となっている。
エリック・ガーランド司法長官は「中国政府による罪のない法輪功への弾圧と、その体制の実態を調査し、妨害し、起訴し続ける。米国にいるすべての人々が享受する権利を守る」と強調した。
ダミアン・ウィリアムズ検事は、この事案は中共が法輪功学習者を弾圧するため、米国で展開している影響工作の一環だと指摘。「米国の手段を利用して中共の狙いを達成しようとする試みは、衝撃的で不穏なものだ」と述べ、外国勢力の有害な工作に対応し続けるとした。
米国では中国共産党の浸透工作が相次いで検挙されている。4月にはFBIがニューヨークの中国「海外秘密警察署」を摘発、内政干渉や主権侵害にあたるとして閉鎖させ、3人を逮捕した。さらに、中国の官僚を含む40人余りを越境弾圧に関与したとして起訴した。
【引用記事】大紀元(2023年5月28日)