上海からベルギーへ脱出したネットユーザーが都市封鎖の状況を暴く

時事

中国とベルギーのハーフのネットユーザーである22歳の錫蘭(Ceylan)さんは、上海からの脱出に成功し、ベルギーの首都ブリュッセルに戻ったことを明らかにした。
4月30日、錫蘭さんは自身のYouTubeチャンネルに「私は上海から逃げてきた」と題する動画を投稿した。彼は、政府が当初4月5日までしか上海を閉鎖しないと発表したため、多くの人は用意した食料が足りず、政府も少ない物資しか提供しなかったため、上海には食べものがないというのは事実であると語った。

「私は最初から最後まで、政府から3回物資をもらった。最初は葉物野菜ばかりで、玉ねぎ1個、じゃがいも1個か数個。2回目も同じで、3回目は卵8個だった。自分で多く買い溜めしていたため、今まで生きて来ることができた」

錫蘭さんは、コミュニティの住民は集団購入することができるが、管理制御の影響で、宅配便が必ずしも商品を届けてくれるとは限らず、無駄な出費になってしまうこともあることを明らかにした。また彼は、最初は政府側の話を信じていたが、政府が言明した閉鎖解除日になっても何も起こらず、「騙された」と分かり、政府の話がいかに馬鹿げているかが分って来たと語り、「上海人は市場に行って食料を買うことができる」「政府高官が上海人の家に行き、冷蔵庫が食料でいっぱいだったのを確認した」と伝える官営メディアの報道はすべて見せかけのフェイクニュースであると批判した。

錫蘭さんはまた、物資不足のほかに、厳しい封鎖管理のせいで多くの病人が救急車を呼べず、結局、感染はしなかったものの治療が受けられずに亡くなったと語った 。さらに防疫スタッフが、隔離された飼い主の愛犬をその場で撲殺する事態も発生している。彼は、WeChatで、毎日たくさんの上海人の怒りの投稿を目にしたが、いつもすぐに削除されると明かした。

この混乱現象は、上海に住んで2年になる錫蘭さんに「これは人を管理する方法ではない」と言わせ、さらに人生に疑問を抱かせたほどだった。

「私たちは2022年に生きているのか?私の人生で、こんなにたくさんの信じられないことを見たのは初めてだ。今回の上海封鎖で、私は中国社会のおかしくなったところを見た」

封鎖解除の目処が立たない中、錫蘭さんは逃げることを決意し、ベルギー国籍の身分でブリュッセルに戻った。 錫蘭さんの動画は、たった1日で、100万回以上の再生回数を記録している。

 

上海、官僚の身内がごちそうを自慢、飢餓する市民が激怒

「ゼロコロナ」政策による都市封鎖で、上海市民は飢えており、この「人為的飢饉」は今も毎日繰り広げられている。しかし、毎回こうした「人災」の中には、常に特権階級が存在し、彼らは別の世界に生きており、肉や魚のごちそうを食べ続けることができるという。

この「人為的飢饉」の時期に、ある官僚がミシュランレストランで高価な海産物を注文し、息子の妻に送った。その妻は、中国版ツイッター・微博で「カニが生きていて新鮮だ」と自慢した。写真では、カニのほかに、冷凍エビやキグチなどの海鮮も入っているのがわかる。飢えに苦しむ市民を考えると、「路上には凍死の屍が転がっているのに、為政者のお宅では酒や肉の匂いが漂う(朱門酒肉臭,路有凍死骨)」という言葉の意味が理解できる。 この妻はさらに義母の正面写真とその身分を表沙汰にしてしまったため、ネットユーザーは、この妻が「封鎖」期間中にごちそうを食べることができたのは、彼女の義母が江西省統計局会計所の正所長レベルの周紅であるからだと発見した。

事件がこのように広く伝わり、さまざまな人から「密告」され、江西省統計局の職員は5月2日、「この事件は知っており、状況を調べている」と答えたという。ネットユーザーからは、「今回の件で周紅は職権乱用の疑いがある」「たとえ実家が裕福でも、このタイミングで自慢するのはいやらしい」などの声が上がっている。