人権団体が報告、中共の「国家公認の拉致システム」

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人権侵害が広範囲に行われている中国では、中国当局が反体制派への迫害に、機密の拘束方法を長い間にわたり濫用していることが明るみに出た 。

スペイン・マドリードに本部を置く人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」の「指定居所における居住監視(RSDL)」に関する報告書は、中国で2013年から現在まで、約6万人が密かに拘禁されていることを明らかにしたという。拘禁された人は中国人だけではなく、外国人も含まれており、その中には、釈放されたばかりのカナダ人のマイケル・スパバ氏とマイケル・コブリグ氏も含まれている。RSDL は人権弁護士や法輪功学習者、ジャーナリスト、外国人を含む中国の政治犯罪を犯したとして起訴された人々に頻繁に適用されている。

10月5日、最新の報告書が公表され、様々なイラストや衛星写真、建物の構成図を通して、中国の拘置所の実態を掘り下げた。

 

「セーフガード・ディフェンダーズ」の陳彦廷研究員によると、「中国共産党は警察に大きな権限を与えている。警察は人々を任意に秘密拘置所に収容し、外部との全ての連絡ツールを遮断し、弁護士や家族との連絡も禁止することができる。さらに、拘置された人の行方を家族にも全く知らせないことで、その存在を消したと同然である。法律では拘禁期間を6カ月までと定められているが、実際には4年に及んだケースもある。そのため、中国の公安機関と国家安全機関は、監督を受けない状態で、人を任意に拉致、拘束している。そして、拘禁された人を拷問して、自白させることができ、闇牢獄制度となっている」と述べた。

同氏はまた、「『セーフガード・ディフェンダーズ』が発表した新たな報告書は、多くの画像を用いて、一目瞭然の形で中国のこの秘密拘置所の闇牢獄制度が、実はすでに人類に危害を及ぼしていることを人々に知ってもらうことができる。国際社会は、このような拉致制度や人権侵害に対して、責任を問わなければならない」と強調した。

国際法では、広範囲かつ組織的な強制失踪や拷問は、「人道に対する罪」にあたる。

RSDLの実態

中国で禁止されている政治書を香港で販売したとして中国本土で拘束された後に台湾に逃亡した香港の書店マネージャー林栄基(Lam Wing-kee)氏は、東部の寧波市にある施設に6ヵ月間拘束されたという。

林氏は、「この施設は拘束者が自殺や自傷行為をしないように設計されています。歯ブラシは非常に小さく飲み込めないように紐に取り付けられていて、壁やテーブルと椅子の角はすべて緩衝材が付いています。彼らは拘束者がテーブルの角や壁に頭をぶつけて自殺を図ることを恐れています。 別の言葉で言うと、彼らは多くの経験を積んでおり、すべての施設にはこの種の防護設備が備わっています。中国共産党は拘束者たちの心理的な状態を知っています。 時間を問わず常に監視されていて、拘束者が眠ろうとしていても電気を消すことはありません」と述べた。

【引用記事】
看中国「人権報告書 2013年から約6万人を密かに拘禁」2021年10月7日
看中国「人権団体が報告、中共の『国家公認の拉致システム』」2021年6月24日
大紀元「中国共産党は『自白』をさせるために年間数千人を隔離収容」2021年10月27日

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高智晟弁護士は他の弁護士が引き受けない法輪功学習者や社会の他の弱者の弁護を引き受けたため、自身も当局から迫害されるようになり、何度も投獄された。2014年8月7日、刑期満了で釈放されたが、独房での長期にわたる監禁や拷問、虐待によって高弁護士の記憶力と言語能力は著しく減退した。このような状況下でも、当局は高弁護士を軟禁し続け、2017年8月から再び行方不明になり、今に至っているという。