大紀元(2021年10月30日)によると、ベルギー首都ブリュッセルで10月27日、法輪功学習者らを対象とした中国当局による強制臓器収奪(臓器狩り)に関するオンラインシンポジウムが開催され、欧州議会の議員や人権弁護士らが参加したという。
人権侵害
欧州議会は2013年、中国当局による臓器収奪問題について決議案を通過した。2016年には、中国当局に対して強制臓器摘出を中止するよう求める書面声明を発表した。
欧州議会人権委員会のピーター・ヴァン・ダーレン(Peter van Dalen)議員は、シンポジウムで、中国当局による強制臓器収奪は「基本的な人権を公然と侵害した」と批判した。
ダーレン議員は、中国の法輪功学習者やウイグル人が被害者になっていると指摘した。
また、同議員は「欧州議会が中国EU投資協定の審議を停止した」ことを評価し、中国での人権問題が改善されない限り、同協定の審議を再開してはいけないとの考えを示した。
移植関連国際学術機関にも「圧力」を
2019年6月、英ロンドンで開かれた「民衆法廷」は、「中国国内では、強制的な臓器摘出が相当な規模で行われている」とし、「その最大の犠牲者は法輪功学習者である」と結論を下した。「民衆法廷」の調査などに関わった人権弁護士、ハミド・サビ(Hamid Sabi)氏は10月27日、「われわれは、55人から証言を得て、数千ページに及ぶ資料を作成した」と当時を振り返った。サビ氏によると、民衆法廷の調査チームメンバーの大半は、「調査を始める直前まで、法輪功について聞いたことがなかった」という。
「調査では、中国当局に拘禁されている法輪功学習者は3カ月に1回のペースで医療検査を受けている。当局に長く拘禁された証人の1人は、検査が終わった後、法輪功学習者(のカルテ)は様々な色が付けられたと話してくれた。一部の人は検査を受けた後、しばらくすると、突如姿を消したという」
サビ氏は、「消息不明になった人は、明らかに強制臓器収奪の被害者である」と話した。
サビ氏は、臓器移植関連の国際学術機関が中国当局の臓器収奪問題を公の場で批判しておらず、中国当局を擁護する立場を取っているという現状を指摘し、「そのため、中国当局は世論の非難を回避することができた」と述べた。同氏は、中国当局への非難を強めると同時に、これらの国際学術機関に圧力をかけるべきだと主張した。
北京五輪をボイコット
一方、欧州議会の元副議長であるエドワード・マクミラン・スコット(Edward McMillan-Scott)氏は、「国際社会は中国当局による法輪功への迫害、最近ではウイグル人やチベット人への抑圧をはっきりと認識している」と話した。
スコット氏は、欧州議会議員だった2006年、中国当局の法輪功学習者への迫害を知り、訪中の際、数人の法輪功学習者と面会したことがあると紹介した。学習者の1人は同氏に対して、刑務所で亡くなった別の法輪功学習者の遺体を見たことがあると話し、「遺体には複数の大きな穴があった」と証言した。
「(この証言から)明らかに、この学習者の臓器が摘出されたことがわかる」とスコット氏は述べた。
同氏は、シンポジウムで、国際社会は来年2月開催予定の北京冬季オリンピックをボイコットする必要があると呼びかけた。
民主主義への脅威
国際医師団体「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」のハロルド・キング(Harold King)副主任は、中国当局による強制臓器収奪は「法輪功学習者と他の少数民族を消滅させることを目的としているが、世界の民主主義も脅かしている」と指摘した。
キング氏は、中国当局のこの政策の下で、本来、人命を救うための医療・看護分野が弾圧に手を貸してしまったとの見方を示した。
カナダの人権弁護士、デービッド・マタス氏はシンポジウムにビデオメッセージを寄せた。同氏は、国連の関連機関が中国で起きている強制臓器収奪と大虐殺に関して、強く非難しておらず、十分に対応していないと批判した。
英国に拠点を置くメディア「EUトゥデイ(EU Today)」の編集者であるゲイリー・カートライト(Gary Cartwright)氏と人権活動家のアンディ・ベルマウト(Andy Vermaut)氏が、今回のシンポジウムを主催した。
カートライト氏は「中国当局の強制臓器収奪政策を初めて聞いた時、信じられなかった」と述べた。「今まで見た中で、最も非人道的な政策だと言わざるを得ない」
ベルマウト氏は、「より多くの人々が『中国で何が起きているか』を知ってほしい。私たちは、これらの法輪功学習者が無実であり、何も悪いことをせず、害を及ぼさず、虐殺されるべきではないことを人々に認識させたいと考えています」とシンポジウムを開催する動機を述べた。
シンポジウムはEU本部ビルの近くにある記者クラブで開かれた。
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・英国元保健相、中国共産党による臓器強制摘出を非難「最も凶悪な犯罪のひとつ」
大紀元(2021年10月13日)によると、9月17日から26日にかけて、国際的なNGO団体「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」等が主催した国際サミットが開かれ、そこに出席した英国の元保健相フィリップ・ハント卿は、臓器の強制摘出を「最も凶悪な犯罪のひとつ」であると糾弾し、英国民がその犯罪行為の共犯とならないよう立法を進めていると述べた。
英国民が中国へ渡航し、臓器狩りの共犯とならないよう、「臓器移植ツーリズム及び死体の展示に関する法律(Organ Tourism and Cadavers on Display Bill)」の制定を目指しており、ハント卿は、この法律で「(英国人が)中国のような国家へ渡航し、臓器移植手術を受けられないようにする」と述べた。
同様の法案はすでに米国議会でも提出され、下院では共和党と民主党の計31議員が支持を表明している。法案が成立すれば、米政府は、臓器を違法に購入した者のパスポートを取り消すことができるようになり、さらに、臓器狩りの疑いがある国家への手術設備の輸出が禁止されるという。