米テキサス州で「ローンスター・インフラ保護法」案が州議会上院を通過した。同法案は、中国、ロシアなどの「敵対国」の企業がテキサス州の重要インフラに関与(投資、建設、企業買収など)することを禁止している。中国共産党が関与する風力発電の建設計画は再生可能エネルギー事業を隠れ蓑にしたスパイ活動だろうとの指摘もある。
看中国(2021年5月31日)によると、中共政権や軍とつながりを持っている新疆ウイグル自治区の実業家・孫広信氏が、米テキサス州西部にある米空軍最大のパイロット訓練基地の近くで、数年かけて進めてきた風力発電所の建設計画が、中止に追い込まれるようです。
中国軍の元将校で新疆青年連合会の副主席を務めていた孫氏は、国有資産を低価格で買収することで巨万の富を築き上げ、総資産19億ドル(約2087億円)を保有する新疆屈指の富豪です。
テキサス州の現地メディア「 San Angelo live!」の27日付の記事によると、テキサス州議会の下院では26日、孫広信氏の建設計画を阻止する「ローンスター・インフラ保護法(Lone Star Infrastructure Protection Act)」の法案を可決しました。同法案は4月に上院を通過しており、現在は知事(共和党)の署名を待つのみです。
同法案は、中国、ロシア、イラン、北朝鮮などの「敵対国」の企業がテキサス州の重要インフラに関与することを禁止しています。つまり、これらの外国企業がテキサス州の重要インフラに投資したり、インフラ建設したり、地元の重要インフラ事業を買収したりすることが禁止されます。
孫氏が所有するGHアメリカ投資グループ(GH America Investment Group)は2015年、風力発電所や太陽光発電所の建設を計画し、テキサス州バルベルデ郡 で14万エーカー(約567k㎡)の土地を購入しました。
米メディア「KTXS」によると、建設反対派は、「建設予定地は強風のある場所ではないうえ、空軍最大のパイロット訓練施設であるラフリン空軍基地の近くであり、高さ700フィート(213m)の風車を設置しているのはおかしい」と指摘しました。 また、テキサス州議会のドナ・キャンベル上院議員は、中共は電力系統を操れる「トロイの木馬」のようなものだと懸念を示し、 「中共は、中国国民なら誰でも、どんな財産でも、それらは自分の財産でもあると考えている」と語りました。
この建設計画は昨年から疑問視されていました。昨年7月、(共和党、テキサス州選出)テッド・クルーズ上院議員らは、米財務長官に、風力発電プロジェクトへの懸念を表明する書簡を送りました。元CIA幹部ダニエル・・N・ホフマン氏は昨年8月、ワシントン・タイムズ紙に、「孫氏のGH社は再生可能エネルギー事業を隠れ蓑にして、中共のためにスパイ活動をするだろう」と指摘していました。
あとがき
産経新聞電子版によると、自衛隊や米軍の基地など安全保障上、重要な施設に隣接する土地の調査で、中国などの外国資本が関与した可能性がある買収や売買計画を、日本政府が少なくとも700件確認したことが5月13日、分かったという。中国本国や傘下の当局などが安保上の動向把握などを目的に買収に関与した可能性もあり、政府は関係当局に実態解明を指示した。
一方、土地規制法案(自衛隊基地の周辺や国境離島などの土地の利用を規制する法案)をめぐり、自民、公明両党は5月28日午前、衆院内閣委員会で採決を強行し、賛成多数で可決した。与党は6月1日の衆院本会議で可決し、6月16日の会期末までの成立を目指す構えという。
米国に比べると、日本もやっと動き出した感がある。中国共産党に日本が乗っ取られないように、米国並みに危機感をもって、早急に対応すべき重要な課題だと思った。