中日友好医院は、日本政府の無償のODAにより165億円の費用で建設され、中国衛生部直属で、1984年10月に開院した。2018年4月、肺移植センター設立1周年で中国衛生部元副部長・黄潔夫氏らを招き講演会を行った。黄潔夫氏は「臓器狩り」への関与が強く疑われる医師22人のリストに入っている。
・厚生労働省に中国で臓器狩りに関与する医師リストを提出ー有志組織
対中ODAで無償で建てられた中日友好医院
中国に対する日本政府の途上国援助(ODA:Official Development Assistance)は、2016年度末までに円借款と無償資金協力、技術協力の合計で3兆6500億円余りを拠出した。1978年に鄧小平が改革開放路線を打ち出したものの外貨資産が深刻に不足していた中国に対し、インフラ整備の潤沢な資金を提供し、経済発展を支えた。ただ中国の経済大国化や急速な軍拡を受けて日本国内でも見直しを求める声が相次ぐようになった。1989年の天安門事件後に援助を一時停止したほか、1995年に中国が核実験を強行した際も無償資金協力を凍結した。
・産経新聞電子版【特派員発】対中ODA終了 日本の貢献、最後まで浸透せず(2019年1月4日)
2018年11月9日、外務省の「対中ODA概要」によると、対中ODAは2018年度をもって新規採択を終了し,すでに採択済の複数年度の継続案件については,2021年度末をもって全て終了することになったという。
中日友好医院は、中華人民共和国の北京市、朝陽区にある総合病院。日本政府の無償のODAにより165億円の費用で建設された。中華人民共和国衛生部の直属で、1984年10月23日に開院した。(出典:ウィキペディア)
日中医学協会ブログ(2018年8月23日)には、「当協会と中日友好医院の交流の歴史は古く、中日友好医院設立の構想に当協会が携わっていたことから始まります・・・日本で学んだ先進医療技術や日本の医療サービスを中日友好医院で実践しています。」とあった。日中医学協会概要はこちら・・・
中日友好医院へ加藤厚労相と日本人WHO幹部が視察
2018年7月25日、加藤勝信厚生労働相(当時)や葛西健・WHO西太平洋地域事務局(WPRO)次長ら日本の一団11人は、北京の中日友好医院を訪問した。加藤厚労相は、日本人患者も受け入れている国際部などを、院長の紹介を受け視察した。
中日友好医院は臓器移植も行っており、2017年4月には肺移植センターを新設した。2018年6月には、設立から15カ月で肺移植の成功例は100件に達し、一日で4回移植手術を行ったことがあると発表している。また、肺移植について、中国全土で2番目に多く行われていると主張した。
日本政府が発展途上であった中国に対して、国づくりを支援する形で、10年以上にもわたり医療技術指導を施してきた中日友好病院の功績は輝かしい。しかし、同院も行っている臓器移植分野は、中国共産党政府の国家ぐるみの人道犯罪とのリンクが長らく指摘されている。
・大紀元「肺の臓器移植は中国2位 中日友好医院へ加藤厚労相と日本人WHO幹部が視察」(2020年8月13日)
中国の臓器移植事業の発展、ドナーは誰?
中国衛生当局は、2018年7月中旬吉林省長春市で開催された「第9回全国臓器提供および移植フォーラム」において、近年国民による臓器提供の増加で、中国の臓器移植事業が大きく発展したと述べた。しかし、海外の独立研究者や人権団体は、当局の統計データに矛盾があると指摘し、中国当局が依然として禁止された死刑囚らの臓器を使用していると批判した。
同フォーラムは7月14日と15日に開催された。中国国家衛生健康委員会医政医管局の郭燕紅・副局長は、「2017年、中国における臓器提供件数と移植件数は世界2位となった」と述べた。
中国当局は2015年1月1日から、死刑囚や収容者からの臓器摘出を停止したと主張している。中国衛生部(厚生労働省に相当)元副部長の黄潔夫氏は過去、中国での臓器移植の6割以上は、死刑囚からの臓器を利用したと発言している。
しかし、死刑囚や収容者からの臓器摘出を停止したとなると、「臓器不足で手術数減少」という予測するのが当たり前だが、全く覆すデータが示された。前述の郭副局長が提示した統計によると、2015年の臓器提供件数は、前年の2014年の1500件から2766件にむしろ増加した。2016年は4080件、2017年に5146件と、なぜか年々急増している。
米ボイス・オフ・アメリカ(2日付)によると、ワシントンに拠点を置くNGO組織「強制臓器奪取に反対する医師の会(DAFOH)」代表トルステン・トレイ医師は、移植手術までの流れが不健全で透明性のない中国が、ドナー登録者数や手術件数が増加することに疑問を投げかける。
一方、当局は中国の臓器移植技術が大きく発展したと強調した。国営新華社通信が7月上旬の報道で、「自己肝臓温存移植、阻血時間を設けない肝臓移植手術の技術は世界のトップレベルに達した」などと主張した。
トレイ医師は当局の発表を疑問視している。臓器移植技術の進歩は、実践と経験の蓄積を示している。トレイ医師は、迫害政策後に大量に行方不明になっている法輪功愛好者などを含む、良心犯からの強制臓器摘出など「中国には膨大で違法な臓器提供システムがあるのでは」と指摘した。
「一帯一路の波に乗り」中国臓器移植モデル、波及させる構え
黄潔夫氏は、2015年以降も、死刑囚の臓器の使用をほのめかしたことがある。中国官製紙・人民日報は黄潔夫氏の言葉として「死刑囚もまた市民であり、臓器を提供する権利がある。この権利を法律は奪えない」と伝えた。同紙は、死刑囚がドナーになることを希望するならば、支持するべきであると論じた。
2017年2月、バチカンで開催された「違法な臓器売買に反対する」国際会議に出席した黄潔夫氏は、中国における死刑囚や収容者への生体強制臓器摘出を否定し、「デタラメだ」と述べた。
黄氏は同会議で、16年に海外からの臓器移植ツアーが1件もなかったとした。しかし、AP通信は同年8月29日、1人のカナダ人患者が中国で15万ドルを支払い、腎臓移植手術を受けたと報道した。患者は手術まで3日間待つ程度だったという。
「中国移植の権威」と呼ばれる黄潔夫氏は、世界保健機構にも太いパイプを持つと考えられている。2018年7月、国連組織である世界保健機関(WHO)組織で、専門家や医師からなる「臓器と人体組織の提供と移植に関する作業部会」30人のメンバーに、中国移植医・黄潔夫氏がWHOの推薦により選ばれた。
環球時報7月4日付によると、2018年7月にスペインで開かれた国際移植会議では、WHO臓器移植プロジェクト代表のホセ・ヌニェス氏は「疑われた臓器狩りはでっち上げだということが医師の立場から証明された」と述べた。WHOマーガレット・チャン事務局長(第7代)は、2016年10月に北京の人民大会堂で開かれた「中国国際臓器移植・提供会議」に送ったメッセージで、中国の臓器移植技術の発展は「中国モデル」として他国の模範になると支持を示した。
このチャン総裁も言及した「中国モデル」について、中国当局は世界規模に展開している大規模経済圏構想「一帯一路」の関係国にも伝えていく構えをみせる。
日本政府の無償提供を受けて北京に設立された中日友好医院は、2018年4月、肺移植センター設立1周年を迎え、黄潔夫氏ら衛生部幹部や関連委員会高官を招き講演会を行った。公式サイトによると、同センターは2017年の肺移植件数が全国2位だったという。
・大紀元「「一帯一路の波に乗り」臓器移植の中国モデル、世界に波及させる構え=中日友好病院」(2018年8月2日)
あとがき
2020年、新型コロナのパンデミックでWHOの中国寄りが明るみに暴露され、バチカンが中国の人権侵害に沈黙のままなど、不思議に思えたことでも、今回のニュースを調べると、すでにチャイナマネーが浸透し、世界の中で中国を擁護する体制ができていたことがわかった。
悪質なことに、中国は日本のODAを利用して、無償で病院を建ててもらい、医師や看護婦などを日本に送り込んで医療技術を習得させ、帰国後は臓器移植事業に従事させ、巨額の富を築いている。間接的に日本が「臓器狩り」に関与させられているようで、恐ろしい。大多数のドナーとして犠牲になっている法輪功愛好者を早く救出するため、経済に目がくらむことなく、民主主義の各国が迫害停止に向けて団結すべきと思った。