中国の行方不明のテニス選手、国営メディアが本人の動画を公開 IOC委員、五輪中止の可能性示唆

人権

海外から強まる、騒動の調査要請、北京五輪開催が3ヵ月後にせまるなか、トップアスリートと元最高幹部の不倫疑惑は波紋を広げている。

メディアによると、党機関紙の人民日報系「環球時報」の胡錫進編集長はツイッターへの投稿で、中国共産党の元高官による性暴力被害を訴えた後に行方不明となっている彭帥選手(35)がレストランで夕飯をとっている様子を映したビデオ映像を公開した。

彭帥選手は、中国共産党の最高指導部のメンバーだった張高麗前副首相(75)による性的暴行の被害をSNSで訴えた後に連絡が取れなくなっていた。

「環球時報」の胡錫進編集長は公開した映像への説明で、彭帥選手がコーチや友人らとレストランで夕飯を取っていると記したほか、映像は「北京時間で20日(土)に撮影されたものであることは明白」と強調している。

11月上旬、彭帥選手は中国のSNS「微博」に投稿し、張高麗前副首相を批判した。投稿の中で選手は性的行為の強要に加え、数年間にわたって不倫関係を強いられていたと非難した。この投稿はすぐに削除され、選手のアカウントは中国のインターネットやSNSから消えた。その後、選手とは連絡が取れなくなっていた。

女性テニス協会(WTA)、男子プロテニス協会(ATP)、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ選手、日本の大坂なおみ選手、セリーナ・ウィリアムズ選手は事件の調査を行うよう要求している。

その後、国営テレビCGTNはツイッターへの投稿で彭帥選手のメールを紹介した。メールの中で選手は「性的強要に関するニュースは事実に反する」と指摘したほか、行方不明にはなっておらず、自宅で療養していると記していた。

WTAのスティーブ・サイモン会長はこのメールについて、選手自身が書いたものではないとの見方を示し、WTAは選手の所在地に関する返答が得られない場合、中国でのトーナメント開催から撤退する方針を示している。

こうした事態を受け、20日に「環球時報」は選手がまもなく公共の前に姿を現すと報じていた。

ロイターによると、彭さんの消息が不明となっている問題で、国際オリンピック委員会(IOC)の委員が、来年2月の北京冬季五輪開催に関してIOCが厳しい態度を取る可能性があるとの見解を示した。

この委員は、IOCで最古参のディック・パウンド氏。「早急に良識ある方法で解決されなければ、事態が制御できなくなるかもしれない」と述べ、IOCが中国に人権問題を提起する可能性を指摘した。「五輪の中止にまで発展するとは思わないが、分からない」とも語った。

一方、米国の五輪出場経験を持つアスリートたちが今週、来年の北京冬季五輪を開催する中国での人権に関する問題について相次いで発言した。

複数の人権団体や米議員たちは、中国がウイグル人やその他のイスラム系少数民族に対する大量虐殺を行っているとし、そうした行為をやめない限り、来年の北京五輪を延期して開催地を変更するよう国際オリンピック委員会(IOC)に要求している。

中共は五輪を利用して人権侵害を隠蔽しようとしたかもしれないが、今回はまさにスポーツ業界から中国の人権侵害を懸念する声が上がっている。

引用元:https://jp.sputniknews.com/20211121/9579367.html