女子テニスの彭帥選手、バッハ会長とテレビ電話 WTAの最高経営責任者「懸念を緩和・払拭するものではない」

人権

国際社会が中国のテニス選手彭帥さんの安全を懸念する中、中共当局は国内で彭帥さんに関するニュースを厳しく管理している一方で、海外に彭帥さんが安全な状態にいると証明するための「パフォーマンス」を次々と発している。

読売新聞によると、国際オリンピック委員会(IOC)は21日、トーマス・バッハ会長が、消息不明とされた中国の女子テニス選手、彭帥さんとテレビ電話で連絡を取ったと発表した。彭さんは北京の自宅におり、「安全で健康だが、今は自身のプライバシーを尊重してほしい」と語ったという。

IOCによると、テレビ電話は30分間行われ、IOCアスリート委員会のエマ・テルホ委員長(フィンランド)らも参加。彭さんは「今は友人や家族と過ごしたい」とし、今後もテニスと関わっていく意向を示した。バッハ会長が北京五輪開幕前の来年1月に北京入り後、夕食に招待したいと伝えると、快諾したという。テルホ氏は「彼女が元気そうで安心した」としている。

消息不明とされる彭帥さんと、バッハ会長がオンライン通話を行ったと明かし、当時の映像も公開した。

来年2月には、北京で冬季五輪が行われる。米国や英国は、中国の人権問題を背景に、外交的ボイコットを示唆しており、IOCとしては、五輪開催に向けては彭帥問題は目の上のたんこぶ。何事もなかったことを強調することで、早期の幕引きを図りたいとするIOCと中国の方針が手を組んだとも思えるニュースだ。真に選手の安全を考慮したかどうかは疑問が残る。

WTAのスティーヴ・サイモン最高経営責任者(CEO)はこれらの動画について、「彭さんの安全や、検閲や抑圧のない状態で外部とコミュニケーションが取れるかどうかという懸念を緩和・払拭するものではない」と述べた。

「私たちのそもそもの懸念は、彭さんに対する性暴力疑惑について、検閲のない、十全で透明性のある調査がなされるかどうかだ。WTAの姿勢は、この動画では変わらない」

女子ダブルスで元世界ランキング1位の彭さんは今月2日、ソーシャルメディアの微博(ウェイボー)で、張高麗前副首相(75)から性的関係を「強要された」と訴えた。

中国側は、人権問題から来年の北京冬季五輪を外交ボイコットする動きがあることなどを警戒して積極的に写真や映像を公開した。

北京で行われている中国国内のテニス大会で彭さんが安全な状況にあるという書面発表が出された。

21日、北京市で行われたテニスイベントには彭さんが姿を見せた。イベントを主催する「チャイナ・オープン」が短文投稿サイト、微博の公式アカウントに写真を公表した。

「AP通信」も同SNSに公開された動画に彭さんがファンに手を振ったりサインをする様子が映っていることを指摘している。

また、中国の政府系メディア「環球時報」の胡錫進編集長はツイッターで彭さんとコーチや友人らが会食している動画を投稿し、彼女の安全を主張している。しかし、動画の中で故意に日にちが強調されるなどしており、信ぴょう性に疑いが持たれている。

フランスのル・ドリアン外務大臣は、フランスが彭帥さんの安否に関する情報が不足している問題を注視しており、この問題が国際社会及びスポーツ界の懸念を呼んでいることを強調した。

テニス界では多くの選手や関係者が懸念の声を上げている。テニス以外のスポーツ選手や俳優、政治家らも、彭さんの居場所に関して説明を要求している。

中国は影響力のある中共メディアを利用して選手の最近の様子だとする動画を発信するなど事態の沈静化を図っていが、国際社会からの批判は日増しに高まっている。

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/14bbdb7ab512aca7c8ee017fc820f41cb77b8087