スウェーデン、チベット人中国スパイを国外追放 亡命者の情報を収集

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大紀元(2020年9月30日)によると、スウェーデンの裁判所はこのほど、亡命チベット人の情報を中国治安当局に渡すスパイ活動を行った中国出身でチベット人の服役囚の国外追放を命じた。この服役囚は2018年に「不正な諜報活動」を行ったとして懲役22カ月の実刑判決を言い渡されていた。

チベット亡命政権の公式フェイスブックによると、「同服役囚を刑期満了時に国外追放するように」とスウェーデンの治安当局が政府に対して要請をしていたという。

スウェーデンの朝刊紙「Göteborgs Posten」も、「スウェーデンの治安当局は、同服役囚のスウェーデン滞在は国家の安全を脅かすと考えており、国外追放しなければならないと判断した」ことを報じた。

同服役囚は2015年7月から、逮捕される2017年2月まで、亡命したチベット人の個人情報や政治思想を調べ、ポーランドで中国の情報当局者と複数回接触して情報を渡す見返りに現金を受け取っていた。

このスパイがスウェーデンのチベット人コミュニティの政治活動や会合、住居、人間関係などについて詳細な情報を開示したという。スウェーデンの裁判所は、「スウェーデンや他国のチベット人コミュニティに大きな損害を与える可能性が高い」と追放を決定したと報じられた。

スウェーデンのチベット人団体の代表ジャムヤン・チョドン氏は、チベット亡命政府が運営するテレビの独占インタビューで、「中国の諜報員が地元のチベット人コミュニティでスパイ活動を働くのは初めてではないが、西側政府がスパイ容疑でチベット人を起訴したのは初めてだ」とし、スウェーデン当局の対応は「ほかの国の見本になる」と感謝の意を示した。

同氏はまた「中国スパイの活動は、チベット在住の家族や知人の安全を脅かす恐れがあるため、他の国々もスウェーデンを見習い、中国政府が外国で実行するこの陰湿な戦略を一刻も早く阻止してほしい」と希望を述べた。

チョドン氏はこれまでさまざまなメディアで「中国共産党のスパイ手段」について発言し、「中国が作り出した恐怖と混乱に屈せば、われわれは中国共産党に騙され、生活と平和にも影響を与えることになる」と警告している。

同氏はさらに「本当の脅威は中国共産党政権であり、買収されたスパイではない。共産党こそが私たちの挑戦する必要のある対象である」と指摘した。

最近では、中国のスパイが多く摘発されている。米当局はこのほど、ニューヨーク市警のチベット人警察官が中国政府のために同市内のチベット人コミュニティーに関する情報収集を行っていたとして、訴追したばかりだ。

スウェーデンはヨーロッパで最初に孔子学院を全院閉鎖した国でもある。