中国共産党のゲシュタポ「610弁公室」、21年間続く法輪功学習者への集団虐殺

人権

【大紀元(2020年7月20日)】
1999年7月20日、当時の江沢民国家主席が「3カ月以内に法輪功を消滅させよ」「肉体を消滅させ、名誉を失墜させ、財力を奪え」との方針を定め、全土規模の弾圧政策を始めた。あれから21年が経った。

この21年の間に、ナチスドイツの「ゲシュタポ」に類似する秘密警察組織「610弁公室」は「法輪功取締機関」として、国家の総力を挙げて、あらゆる面から法輪功(ファルンゴン)への集団絶滅・殺戮を行ってきた。

610弁公室は2018年に機構再編によって格下げられた後も、依然として中国共産党の司法制度を凌駕する強い権力を保持している。

【引用元】https://www.youtube.com/watch?v=ku7K-yqZswc

610弁公室の起源

1999年6月7日、当時の最高指導者、江沢民・元総書記は「真・善・忍」の理念で自らの道徳性の向上および健康増進に努める法輪功学習者を系統的に撲滅するために、「党中央法輪功問題処理指導グループ」を立ち上げた。 この組織は憲法や法律の制約を受けない。

同6月10日、江沢民政権は機能や運営体制の強化を図り、「党中央法輪功問題処理指導グループ弁公室(いわゆる610弁公室)」を設置した。翌年に、同弁公室の名称は「党中央邪教問題防止および処理指導グループ弁公室」に変わり、「国務院邪教問題防止および処理指導グループ弁公室」の看板も掲げっている。

610弁公室はその後、数カ月の間、中国全土で支部を置き、政治権力の中枢から末端の行政村まで厳密かつ独立した体系を形成した。

同組織は中央委員会直属の部門として、法輪功迫害において、中国共産党の法執行最高機関である中央政法委員会(政法委)を通じて、中国の公安部(警察)、検察院、裁判所、国家安全、武装警察などの司法機関を支配し、同時に中国の外交、軍、教育、衛生医療などの部門を意のままに従わせ、国家のあらゆるレベルにおける法輪功撲滅運動を展開している。

610弁公室の主な機能は、反法輪功プロパガンダ、監視と情報収集、法輪功学習者への処罰と「転化(思想改造)」などである。同組織は、法輪功学習者に対し、収入源の断絶や財産の没収、連行、虐待、拷問、惨殺などさまざまな手段で思想改造と肉体的迫害を実施している。

法輪功情報サイト「明慧網」の統計によると、中国共産党の弾圧で死亡した法輪功学習者は、身元が判明した者だけで、2020年7月までで4500人以上に達したという。

610弁公室は法的手続きを経ずに設けられたため、中国共産党政府にはその機能を正式に紹介する条例がない。にもかかわらず、6 10弁公室は全国各行政区で少なくとも職員15000名以上を配置していると推測される。その経費は中央の財政で保障する。

610弁公室は2000年9月、「中国共産党中央邪教問題の予防と処理指導グループ(「防犯弁」)」と改名し、2003年には、取り締まり範囲は他の宗教や気功グループまで広がった。

2018年3月、610弁公室は習近平政権によって格下げられ、党中央政法委員会および 公安部の傘下に入ったが、依然として法輪功への迫害を指揮し、強力に弾圧政策を推進している。

趙楽際氏、党幹部に610弁公室の秘密明かす

明慧網は5月31日に消息筋の話として伝えたところによると、序列6位の趙楽際・党中央規律検査委員会書記が今年春にある地方都市を視察した際、地方の党幹部に対し、610弁公室からの工作指導をきちんと受けるようと要求し、610弁公室の廃止が対外的なプロパガンダに過ぎず、党幹部は言葉通り受け取ってはいけないと叱責した。

趙氏は、「610弁公室が統合されてもう独立した部門ではなくなったのは、人権を口実に騒ぎ立てる西側をごまかすためだ。そんなこと、信じるものか!」と言い、法輪功迫害でもっと力を入れるよう地方の党幹部に求めた。

イタリアのオンライン雑誌「ビター・ウィンター(Bitter Winter)」が2018年11月に入手した機密文書によると、中国当局は法輪功学習者などへの弾圧を一段と強化すると各下部組織に指示した。実施期間は2018年10月から12月まで。

それによると、弾圧強化プロジェクトの最大のターゲットは法輪功学習者であり、「積極的に打撃を与える」や「圧力を高めて脅迫する」、「メッセージアプリの微信(ウィーチャット)やコミュニケーションツールQQなどのインターネット・プラットフォームを重点に、ネット上での情報収集と取り締まりを強化する」などと書かれた。

米国ワシントンDCに本部を置く国際人権NGOフリーダムハウスが2017年8月22日に発表した報告書によると、法輪功の迫害には莫大な予算が投じられている。中国当局は毎年、数億元(数十億円)の資金を投入して法輪功学習者を迫害している。610弁公室は、毎年8億7900万元(約144億円)の予算を組んでいるという。

大紀元(中国語版)はこのほど、関係者からハルビン市610弁公室の職員の給与明細を入手した。それによると、2018年度のハルビン市610弁公室の職員の平均年収(諸手当込み)は約20万元(約306万円)で、ハルピン都市部の平均年収2.9万元(約45万円)の7倍程度、農村部1.4万元(約21万円)の14倍となっている。

610弁公室の闇の権力、同級及び下位の機関を審査・監視

海外へ流出した一部の中国共産党内部文書によると、中央政府以下の各級政法委には610弁公室(防範弁)が存続しており、現在も特殊な地位と法外な権力を有していることが明らかになった。

一方、610弁公室は、同級の党委員会、行政機関および下級機関に対する信仰面における審査・監視を行っている。

大紀元が入手したハルビン市政治生態建設指導グループ事務室は2020年3月17日、同市のインターネット情報弁公室(網信弁)宛に出した書簡のなかで、法輪功に対する態度が中国共産党員の重要な査定項目になると書かれている。

大紀元が入手したもう一つの内部文書、北京市房山区の政法委は房山区の各党・政府機関の職員を対象に配布した2019年度の「防止や邪教処理に関する工作状況」と題した評価審査表によると、房山区政法委の610弁公室は、全区内の93カ所の党・政府機関の職員に対して法輪功への態度を審査・監視を行っていることが明らかにされた。

政法委、組織部、規律検査委員会、公安局、検察庁、裁判所、宣伝部、財政局から、人民代表大会、政治協商会議、統戦部、教育委員会、商務局等々まで、北京市房山区のほとんどすべての党・政府機関は、610弁公室の審査を受けなければならない。

610弁公室、教育システムにおける反法輪功プロパガンダ

大紀元がこの頃入手した中国政府の内部文書「反邪教の宣伝教育による校内活動の実施案」(意見募集原稿)は、610弁公室が教育システムで法輪功迫害を広げる宣伝手法を暴露した。

同文書は2015年4月9日、ハルビン市委員会の610弁公室より発行された。各区、県 (市) 委員会の610弁公室と教育局が共同で実施し、2015年には小学5年生の学生を中心に、反法輪功の小冊子を配布することによって、学校で反法輪功のプロパガンダを展開するという。

それによると、同市の都市部と農村部の小学校五年生の人数は約6万人で、小冊子6万部を発行する必要がある。予算は合計18万元(約280万円)の見込みで、経費は市委員会の610弁公室と市教育局の共同負担となる。

1999年、江沢民政権が法輪功弾圧を開始した後、当時の陳至立教育部部長(文部科学大臣に相当)の指揮の下で、法輪功を誹謗中傷する出題は、小中高大の教科書および大学大学院の入学試験を含む試験問題にあった。

610弁公室、マスコミやプロパガンダ機関を動員

610弁公室は国営メディアを動員し、全国で反法輪功のプロパガンダを展開していた。

大紀元がこの前入手した北京市房山区政法委の「2018年プロジェクト実行状況」によると、「北京市からの表彰:総合治理賞(総治市対区賞)」との項目では、政法委が反法輪功の洗脳宣伝を推進するため、「宣伝コップ、調味料入れ、ペンケース、エプロン、横断幕などの宣伝グッズを製作し、管轄する24の郷鎮政府の街道弁事処と居民委員会に配布した。

もう一つの房山区610弁公室の内部文書「2018年度予算計画の実行状況表」によると、反法輪功の宣伝費として、筆箱やエプロン、調味料缶、コップなどの宣伝グッズを購入するための費用が38万元(約580万円)にのぼった。

中国共産党がプロパガンダを利用し法輪功の名誉を毀損するのは、2000年前後にピークに達した。2001年1月23日、当時の江沢民主席、羅干・中央政法委員会書記、国営中央テレビのナンバー2を務めていた李東生副局長らが計画した「天安門焼身自殺事件」が、法輪功学習者に無実の罪を負わせ、中国国民の憎しみを煽った。

しかし、国際連合NGOの国際教育発展機構(IED)が2001年8月14日、国連の会議で「関連ビデオに関する分析結果として、いわゆる『天安門焼身自殺事件』は中国政府が演じたものであり」「国家ぐるみのテロ行為だ」と正式な声明を出した。

610弁公室、法輪功弾圧を国外に広げる

房山区政法委の内部文書「2018年プロジェクト実行状況」によると、北京近郊にある房山区は第三級行政区(町村レベル)にあたる。しかし、房山区610弁公室は、国外に職員を派遣して反法輪功の活動を従事するという外交分野における「特権」を持っている。

文書によると、房山区610弁公室は中央および市610弁公室の要求に応じ、カナダのモントリオールやトロント、オタワの3都市で反法輪功の活動を展開した。費用は房山区政府から支出された。

房山区610弁公室は海外で、直接に地元の華人コミュニティに広範に浸透し、反法輪功の活動を展開していた。例えば、房山区610弁公室はモントリオールやトロント、オタワの3都市では、華人コミュニティを対象に反法輪功の座談会を開いた。また、中国共産党寄りのカナダ「華僑時報」の協力を得て、法輪功を攻撃した文章を盛り込んだ週刊誌を出版し、ビラ40万部を印刷した。

2005年5月オーストラリアに亡命したシドニー中国領事館の陳用林一等書記官は、同年6月にオーストラリアのテレビインタビューで、法輪功弾圧対策を担当する中国政府の610弁公室が、反法輪功の宣伝や活動を指導するために、シドニーに職員を派遣していたと語った。

同6月21日付のシドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、情報筋の話として、中国政府が主にオーストラリアの法輪功学習者の動きを監視するために、約1000人のスパイをオーストラリアに配置していたと報じた。

官製組織による法輪功への迫害

「中国反邪教(カルト)協会」 (別名「中国関愛協会」)は2000年11月13日、中国共産党中央政法委員会と610弁公室の指揮の下、反法輪功諸勢力(統一戦線)を結集するため、いわゆる各業界の政府系専門家によって設立された。「市民団体」あるいは「非政府組織(NGO)の名義で活動しているが、実は中国政府に密着した官製組織である。

同組織は北京オリンピック村の跡地に建設された中国科学技術館(国立科学博物館に相当)を本拠地とし、当時の中国科学技術館の王渝生館長が同組織の副理事長兼事務局長を務めた。610システムと同様に、反邪教協会は全国の各省や市、区、県、街、企業、学校(小中高大)などに支局を設置し、全国をカバーするネットワークを構築してきた。

中国各地の反邪教協会の活動は各級の共産党委員会や政法委員会、610弁公室の指示と指導を受けている。1999年7月からの中共政権による法輪功への迫害では、610弁公室を中心とする指揮系統およびそれを支配する党政部門の機関のほか、反邪教協会が重要な役割を担っている。

一方、メンバーらは「各分野の専門家」の看板を掲げ、共産党による法輪功弾圧の正当化に理論的根拠を捏造している。他方、法輪功学習者に対する思想改造の方法と経験を研究し、各地の留置所、刑務所、強制洗脳施設、思想教育学校に技術指導を提供し、直接に法輪功学習者への迫害を参与している。

公安部26局(公安部610弁公室)のトップを務めた張越氏は同協会の元会長だった。張氏は2016年4月に失脚し、2018には懲役15年の実刑判決が言い渡された。

国際NGO「法輪功迫害追跡国際組織(WTOIFG)」(略称「追査国際」)の報道官、汪志遠氏は2016年8月、大紀元の取材に対し、反邪教協会が法輪功を弾圧するために設立されたスパイ機関であり、本当の邪教協会であると話した。

610弁公室、臓器狩りの進行役

中国共産党の610弁公室と医療機関による強制的な臓器摘出(臓器狩り)の黒幕の存在が近年、次第に浮上してきた。

中国人体器官獲取組織連盟(OPO)主席の鄭樹森氏は、中国工程院の院士、フランス国家医学科学院の外国籍院士、浙江大学の外科の教授、博士課程の指導教官など多数の肩書を持っている。このほかには、浙江省反邪教協会の理事長として、鄭氏は2007年から毎年反法輪功のシンポジウムを開き、反法輪功の書籍の執筆を担当し、法輪功弾圧に関する世論を誘導している。

鄭氏は中国臓器移植分野の首席科学者として、中国肝胆膵外科センターを率いている。当センターの手術量は全国で常に上位を占めている。2005年1月28日、鄭氏は一日連続で5例の肝臓移植手術を完成し、1週間で11例を行った。

同氏は2015年3月、中国メディアの取材に対し、一人ですでに1850例余りの肝臓移植手術を行ったと述べた。異常な手術数およびドナー身元不明で、中国の臓器狩りへの関与が疑われ、追査国際の調査対象となっている。

追査国際が2016年6月21日に入手した秘密録音によると、黒龍江省牡丹江市610弁公室の綜合課の朱家濱・課長は自らが臓器狩りに関与したと認めた。

現在、中国共産党による臓器狩りの犯行が明るみに出たが、氷山の一角に過ぎない。今や多くの国々が法案を通じて中国共産党に臓器狩りの行為をやめるよう求めている。

2019年6月17日に英ロンドンで開かれた「民衆法廷」の中国臓器収奪問題・最終裁定では、議長を務める元検事総長ジェフリー・ナイス卿は、中国では移植手術の供給のために臓器収奪が行われているとの事実が「避けられない」「相当な規模で行われている」と結論を下した。同時に、すべての政府や企業などは、共産党政権の中国における、国家的な人道に反する罪を認識するよう呼びかけた。

弾圧から21年、今も続く中国共産党の迫害

法輪功(ファルンゴン)は法輪大法(ファルンダーファ)とも呼ばれ、佛法に基づく中国古来の精神修養の功法である。法輪功学習者は「真・善・忍」という理念に基づいて心身ともに豊かで健康な生活を求め、「百利あって一害なし」と評価されている。

しかし、中国共産党は国を挙げて法輪功を迫害している。2020年5月に開催された全国「両会」(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)の報告では、公に「法輪功取り締まりの強化」が言及され、ここ数年で初めてのことであった。これは、中国共産党の21年間にわたる法輪功弾圧政策には変化がなかったことの証左である。

明慧網の統計によると2020年上半期、中国全土で2654人の法輪功学習者が当局に連行された。ほかには、2659人が警察側の脅しや嫌がらせを受け、1687人が家宅捜索・家財没収され、77人が強制洗脳施設に送られ、48人が迫害を逃れるため自宅を離れた。

法輪功弾圧政策の一環として、「家財の略奪」なども行われている。今年上半期、法輪功学習者が迫害によって被った経済損失は、現金286万2994元(約4380万円)にのぼった。うち、家財の没収と、警察官に脅かされ払った現金が247万7994元(約3788万円)で、裁判所の罰金が38万5000元(約589万円)。

上半期には、中国共産党は法輪功学習者66人を逮捕、100回の法廷審問を開き、検察官による偽造証拠で法輪功学習者388人を裁判所にかけ、132人に不当判決を下した。また、法輪功学習者38人が迫害を受けて亡くなり、うち15人が監禁先で死亡した。

【引用元】https://www.epochtimes.jp/p/2020/07/59629.html