中国がカナダのジャスティン・トルドー首相やピエール・ポワリエーブル保守党代表を含む下院議員数十人をターゲットにして「スパムフラージュ」工作を行ったことが明らかになった。スパムフラージュとは、スパムとカモフラージュの合成語であり、ソーシャルメディアを通じてフェイクニュースを流布する方式で繰り広げられる大規模な情報工作を指す。
カナダ国際関係省(GAC)は23日、声明を発表し、「海外勢力によるカナダの政治介入を調査する専門機関である『迅速な問題対応機構(RRM)』は、中国がカナダの政治家に対してスパムフラージュキャンペーンを行ったことを確認した」と告発した。
続けて「中国のスパムフラージュキャンペーンは2023年8月初めに、はじめて発見され、時間が経つにつれてその規模が徐々に大きくなった」と明らかにした。
また、「このキャンペーンのターゲットは、中国に批判的な下院議員数十人だった。これにはトルドー首相やポワリエーブル代表なども含まれていた」と伝えた。
RRMの分析によると、中国はソーシャルメディアの偽アカウントや盗用アカウントを利用して偽ニュースを生成し、流布した。標的にされた議員の発言や犯罪経歴などを操作することで政治的立場に打撃を与え、中国共産党(中共)に対する批判意見を出せないようにするのが目的だった。
さらに人工知能(AI)技術で画像と動画を合成する「ディープフェイク技法」を通じて悪意的に操作された投稿がオンラインに流布された事例もあるとRRMは明らかにした。
GACは「(中国が)悪意的に操作された偽情報を拡散し、標的にされた議員の評判を傷つけ、政治活動を萎縮させようとした。中国語を話すカナダのインフルエンサーまで動員して偽情報の拡散を増幅した」と付け加えた。
また、「このような情報工作の最終的な目的は、中共に対する批判を封じ込め、反体制派に口封じをすることだ」と指摘した。
その上で「これは明らかな政治介入であり、干渉だ」とし、「カナダ政府はこの状況を引き続き注視し、必要と判断される場合、外交的介入などの方法で強力に対応する」と強調した。
GACは昨年8月にもカナダを狙った中国の政治介入工作を強く批判したことがある。
当時のGACの発表によると、中国に批判的な声を上げてきたマイケル・チョン保守党下院議員が中国共産党主導の政治工作の標的になり、彼の家族が裏調査を受けるなど脅迫を受けたことが明らかになった。
また、昨年5月、新民主党のジェニー・クワン下院議員は「(中国に関連する)人権擁護活動を行ったという理由で、中共が私の名前を“ブラックリスト”に載せたという事実をカナダ安全保障情報局(CSIS)から聞いた」と明らかにした。
【引用記事】大紀元2023年10月30日