「中国で組織的なドーピング」代表チーム元医師の日記を基に書籍出版へ

時事
1988年のソウルオリンピックで中国代表チームに同行している薛蔭嫻氏(本人提供)

北京冬季五輪を来月に控えるなか、中国代表チームの元医師・薛蔭嫻氏の日記を基に、中国のスポーツ界に蔓延するドーピングの実態について記録した書籍が近く出版される。本を執筆した薛蔭嫻氏の息子の楊偉東氏は「中国はオリンピック精神に反している。組織的なドーピングを行っている」として出版を決意したという。

 

大紀元(2022年1月9日)によると、長年中国代表チームの医師を務めていた薛蔭嫻氏の日記を基に、中国のスポーツ界に蔓延するドーピングの実態について記録した書籍『中国の禁止薬物』は近く出版される。本を執筆した薛蔭嫻氏の息子、ドイツ在住の楊偉東氏が、米国営放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに応じた。

「中国はオリンピック精神に反している。組織的なドーピングを行っている」。北京冬季五輪を来月に控えるなか、楊氏は本の出版を決意したという。

母親の薛氏は、中国のスポーツ界は1978年以来、組織的にドーピングをはじめたと主張している。

当時、国家体育委員会副主任だった陳先氏は1978年10月11日、国家体育委員会訓練局医療部の会議で、初めてドーピングを指示した。バスケットボール代表チームの医師だった薛氏はこの会議に出席した。

1970年代後半から1980年代前半にかけて、国際大会で連覇を果たした中国女子バレーボールチームは、1980年から薬物の使用をはじめた。

1982年発行の中国スポーツ誌「体育科学」に、当時中国女子バレーチームの医師だった羅維絲氏が、アスリートの鉄剤摂取に関する論文を2本発表した。羅氏は同論文で、チームの郎平選手も鉄剤を摂っていると明言した。楊氏によると、一般人の鉄分摂取量の上限は1日10〜15マイクログラムだが、当時の中国選手の毎日の摂取量は600〜800マイクログラムに達した。食べた後、体はそれを消化することができず、これらの鉄元素は体内に沈着し、何年も経つと健康被害が起こるはずだという。

禁止薬物を最初に使ったのは、卓球、重量挙げ、陸上、水泳の代表チームだった。

薛氏は1978~85年まで、国家体育委員会訓練局医療部の医療監督チーム長を務めた。その証言では、アスリートたちは薬物の副作用に苦しみ、頭痛や体中の痛みに襲われたり、本来なら発生しないはずのケガを引き起こしたりした。毎週、各チームの医師が発生した問題を薛氏に報告し、彼女は「仕事日記」に記録していた。

1980年代の体操男子代表チームの李東華選手は、ホルモン剤を1カ月間飲み続けたところ、トラブルが発生した。バク転して着地したとき、両足のアキレス腱が断裂した。薛氏は、ホルモン剤の影響で血管の壁が脆くなり、ちょっとした衝撃で損傷し、アキレス腱が切れてしまったとみている。

2008年の北京オリンピックで、男子陸上の劉翔選手はアキレス腱のケガで競技続行を断念した。李東華選手と同じ理由でアキレス腱が断裂したと薛氏は推測した。

薛氏は在任中、ドーピングに反対していた。楊氏は母親を突き動かしたのは医師としての職業理念だと語った。当時の薛氏は、「ドーピングをしたアスリートたちには、何十年も経ってから体にダメージが現れる」とその副作用を懸念したという。

当時、ドーピングに反対する関係者は他にもいたという。1984年ロサンゼルスオリンピックを前に、中国体操競技部のヘッドコーチ、宋子玉氏が同部のドーピングを止めていた。宋氏はその後、解任されたという。

薛氏は今年84歳になり、中国共産党(中共)設立後の初代スポーツ医学の専門家だ。1980年代に、彼女は中国代表チームの医師を務めた。1970年代後半、中共が組織的なドーピングブームを開始した時から、彼女はこのシステムの数少ない反対者だった。1988年のソウルオリンピックの前夜、スポーツ選手へのドーピングを拒否したため、彼女の家族は数十年にわたって、中共からの抑圧に苦しむことになった。2016年彼女は重病だったが、治療することができなかった。多くの人々の助けを借りて、彼女、息子の楊偉東とその妻は2017年にドイツに到着し、亡命の道を選んだ。

【引用記事】大紀元https://www.epochtimes.com/gb/22/1/11/n13496354.htm

 

「中国産肉を食べないで」独反ドーピング機構、北京五輪選手に呼びかけ

ドイツ反ドーピング機構(NADA)は1月10日、来月初めに開幕を迎える北京冬季五輪を巡って、大会に参加する選手らに対し、中国産の食肉を食べないよう注意喚起した。

2021年5月31日、中国武漢市のスーパーの豚肉売り場(Getty Images)

AFP通信の報道によると、NADAは同日のニュースレターで、中国産食肉にクレンブテロールが混入している可能性があると指摘し、摂取すればドーピング規則に違反する恐れがあるとした。同機構は、「肉の摂取は可能であれば避けるべきであり、代替案を栄養士と相談するべきだ」との見解を示した。

AFP通信は、中国産食肉のクレンブテロール混入問題は反ドーピング機関によって以前から指摘されているとしたが、最近では新たな事例は報告されていないという。

 

IOCバッハ会長、再び中国擁護 独メディア猛批判「人類をバカにしているのか」

大紀元(2022年1月11日)によると、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長はこのほど、独紙ディ・ヴェルト日曜版(Welt am Sonntag)のインタビューに応じ、中国のゼロコロナ対策を称賛した。

「人類をバカにしているのか、バッハさんよ」と題する同インタビュー記事では、バッハ会長は「五輪開催中止の可能性」について再度否定した。「中国のゼロコロナ対策は防疫への懸命な取り組みの反映だ」と称賛した。

北京五輪では一般市民や外の世界と物理的に切り離す「バブル式システム」(中国語は閉環管理)が採用される。昨年末に行われたテスト大会では、参加した一部の選手は不満や懸念を示したが、バッハ会長は、「一部の防疫規定に関してテスト大会中に問題が生じただけであって、改善される見通しだ」と問題がないことを強調した。

同氏はまた、「北京の防疫措置は、昨年の東京五輪より厳しくなるが、北京のバブル内での交流はもっと気楽にできるはずだ」と評価した。

「新疆で起きている人権問題」や「IOCは中国で起きていることを見て見ぬふりをしている」という質問についてバッハ会長は、「IOCには五輪以外の人権状況を評価する権限はない」「IOCの政治的中立の立場は国際社会から認められている」と回答した。

昨年11月、中国の張高麗・元副首相に性的関係を強要されたと告発したプロテニス選手、彭帥さん(35)の安否が懸念されている問題で、バッハ会長は「人権弾圧を行う中国の隠蔽工作に加担している」と批判されている。