著名なコラムニストであるジョン・マック・グリオン氏の記事が大紀元に掲載されていた。中国共産党(中共)はアフリカ54か国のうち52か国に投資、また45カ国が中共の一帯一路プロジェクトに署名した。中共の「経済援助」は略奪的貸付であり 、借り手が返済に失敗すると自国の国際空港まで喪失するなど、さまざまな形で担保が奪われる。
植民地主義は過去のものではないか?と思う人がいるかもしれない。しかし、中共は今まさに「中国の特色のある植民地主義」を輸出している。
何が起こっているのか理解できない人もいるだろう。それがまさしく問題の核心といえる。今日の植民地主義は過去とは全く異なり、表面化しておらず、暴力的な面も示されていないので、多くの人々はまだ見分けることができない。
アフリカはすでに「中共の植民地」になった。中共は、アフリカで橋、港、道路、その他の重要なインフラストラクチャを建設しており、これらはアフリカ諸国が「自由」を代償として払うことになるだろう。
アフリカ54カ国のうち45カ国が中共の一帯一路プロジェクトに署名した。コンゴは45番目に署名した国である。その直後、サハラから南のアフリカ最大の国であるコンゴは、中国と「良心的でない」鉱業協定を締結した。コンゴは、世界の主要なコバルトおよび銅の鉱山を有するが、残念ながらこの国の鉱業は、現在中共によって支配されている。
「一帯一路」プロジェクトは、署名国に巨額の債務を負わせてきた。時事雑誌「外交家」(The Diplomat)のコラムニストである郭梅西(MercyKuo)氏は、2013年一帯一路プロジェクトが開始されて以来、「中国の歳出は米国の2倍になっている」と文書で警告を鳴らしている。ただし、歳出のほとんどは貸付の形で、貸付と助成金の比率は31:1のラインを維持している。さらに複雑なことは、「ほとんどの署名国は、実際の債務を過小報告してきた。これは、将来、実際に中共に返済する金額であり、過小報告した債務額は各国の国内総生産(GDP)の5.8%に相当する」という。
一部の「一帯一路」署名国が、署名したことに対して後悔しているのも不思議ではない。果たして後悔しないでいられるだろうか? 郭梅西氏は「プロジェクトの3分の1以上が汚職、労働をめぐるトラブル、環境汚染、市民の反対など深刻な問題を経験している。それだけではなく、ますます多くのプロジェクトが中断またはキャンセルされている」と書いている。
米国のウィリアム&メアリー大学(College of William&Mary)のAidData研究所の最近の研究でも同じ問題が発見されたという。AidData研究所の責任者であるBradley Parks氏は、過小報告した債務の合計は「3850億ドル」になる可能性があると指摘。彼らの報告書では、この債務を「隠された債務」と呼んでいる。これは、国有企業や銀行、合弁事業、または民間企業の名義で中共から貸付されているので、これらの債務の借り手と組織構造はあいまいで複雑であり、表面上、これらの国の政府は実際の借り手ではない。しかし、返済できない場合、これらの国の政府は債務の一部または全ての責任を負うことになる。報告書は、この「隠された債務」が大幅に増加する可能性があると警告している。
これらはアフリカにとって何を意味するのか? 簡単に言えば、良いことは何もないのだ。
赤道近くにある国、ギニアを例にしてみよう。ギニアは中共から多額のお金を借りた。米国の諜報機関からの報告によると、中共は西アフリカの国ギニアに一番最初に長期駐在軍事基地を建設したという。人口わずか140万人の小さな国であるギニアは、海洋原油の埋蔵量が豊富であり、これが中共から真っ先に狙われた理由である。「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、中共は新しく建設したこの軍事基地を「大西洋の海軍要塞」とし、米国と直接競争するために使用するという。
「一帯一路」に署名していないアフリカ諸国でさえ、中共の魔の手から逃れたわけではない。中共は、アフリカの54か国のうち52か国に投資しており、そのうち49か国(90%以上)が中共との協力覚書(MoU)に署名している。これらの覚書は悪魔の条約に等しいものだ。中共から資金を受け取った後、これらのアフリカ諸国は、自国のさまざまな資源を中共とのみ共有することになる。
お金をコントロールするものが未来を制する
アフリカへの中共の投資は戦略的な展開であり、中共と取引するには、中共が発行したデジタル人民元(E-CNY)を使用するしかない。
昨年、華為(Huawei)は中国のデジタル通貨を使用するeウォレット(電子財布システム)がプレインストールされたスマートフォンであるMate40を発表した 。携帯電話が発売されて間もなく、中共は何百万人ものアフリカ人にこの携帯電話を使わせた。
ローウィ国際政策研究所(Lowy Institute for International Policy)の研究報告では、「アフリカは、中共の2番目の重点特化エリア(中国国内に次ぐ)であり、アフリカ諸国をコントロールすることによって国際金融システムを混乱させるのが目的である」と指摘している。
言い換えれば、中共は、今世界で最も急速に成長している大陸であるアフリカを利用して、世界の既存の勢力均衡を崩壊させるために、世界の覇権を握ろうとしている。アフリカは最も急速に成長している大陸であるだけでなく、アフリカの人口の60%は25歳未満という若い世代が非常に多いのだ。
植民地主義は過去のものだと思ってはいないだろうか? それは大変な間違いである。中共は現在「中国の特色ある植民地主義」を輸出していると言える。
近年、ナイジェリアの首都であるラゴスは、中共から多額の投資を受け、アフリカで最も急速に経済成長している。ナイジェリアと中国(中共)は現在非常に密接な関係にある。中共はラゴスに銀行を開設することを計画しており、中共が現在ラゴスでやっていることは、アフリカ大陸全体の金融システムを管理するための基礎を築くことである。
中共は、世界の金融システムを変えることを企んでいるだけでなく、世界の軍事力の構造をも変えようとしている。
「中国の軍事教育と英連邦諸国」と題した最近の報告書によると、ガーナやタンザニアを含むいくつかのアフリカ諸国が中共からの資金提供を受けて「政治軍事学校」を設立したという。アナリストによれば、これらの行動は発展途上国に対して中共が更なるコントロールの強化を目指していることを示していると指摘。当然のことながら、政治軍事学校を設立したほとんどの国は「一帯一路」に署名していたことも報告書は示している。
中共によって植民地化されたアフリカ大陸
10年足らずで中共は12億人のアフリカ大陸を統治した。アフリカ大陸には、ダイヤモンド、砂糖、塩、金、鉄、コバルト、ウラン、銅、ボーキサイト、銀、油、ココアなどの天然資源が豊富にある。
米国と欧州連合は、中共によってアフリカが植民地化される全過程を傍観するだけだった。最近、米国は「Build Back Better World(B3W)」を打ち出し、欧州連合は「Global Gateway」を開始した。いずれも資金を必要とする国への資金提供を目的としたものであるが、これらの行動は「時すでに遅し」だ。8年間、ほとんどのアフリカ諸国は中共と巨額の債務取引を行っており、多くの人々は米国と欧州連合のプロジェクトは失敗するだろうと信じている。
非常に深刻な問題は、一部のアフリカ諸国が「一帯一路」から離脱しようとしても、そう簡単には離脱できないことである。
ウガンダの場合、国はGDPの半分に相当する180億ドルを借りているが、この債務のほとんどの債権者は中共である。最近、ウガンダのヨウェリ・ムセベニ大統領は、債務条件を交渉(未払いの債務を再交渉)するために北京へ代表団を派遣したという。ナイジェリアのパンチ新聞によると、「中共は債務条件の変更を拒否し、要求は却下された」と報じた。これは東アフリカの国にとって何を意味するのだろうか? ウガンダは、国内の唯一の空港である「エンテベ国際空港」を没収されるかもしれない。
中共の「経済援助」は略奪的貸付であり 、借り手が返済に失敗すると自国の国際空港まで喪失するなど、さまざまな形で担保が奪われる。私たちは、これらのアフリカ諸国が中共の支配下に陥り、蹂躙されていく様子を自分たちの目で目撃した。
最近、中共の指導者は今後3年間で、さらに100億ドルをアフリカに投資すると約束したが、これはアフリカの国々にとって何を意味するのだろうか?
【引用元】
・大紀元https://www.epochtimes.com/b5/21/12/26/n13460616.htm