NHKニュースによると、中国で前の副首相との関係を告白した女子テニス選手の行方が分からなくなったと伝えられていることを受けて、アメリカの有力紙は、北京五輪を開催する国としての「中国の適格性に根本的な疑問を抱かせる」と批判する社説を掲載した。
中国の女子プロテニスの彭帥選手をめぐっては、共産党最高指導部のメンバーだった張高麗前副首相から性的関係を迫られたことなどを告白したとされる文書がSNS上に投稿され、その後行方が分からなくなったと伝えられている。
これを受けて、アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は19日、電子版で「彭帥はどこへ?」と題した社説を掲載した。
社説では、批判に直面したときの中国の対応について「否定し、うそをつき、しらばくれ、やり過ごそうとする。そして、すべてがうまくいかないと猛烈に反撃する」としたうえで彭選手をめぐっても同様の対応をしていると指摘している。
そのうえで、来年2月に開催が迫った北京オリンピックについて「スポーツを通じてよりよい世界を形づくるというオリンピック精神にのっとった大会を開催する国としての中国の適格性に根本的な疑問を抱かせる」と厳しく批判している。
この問題では、国際社会からの批判が日増しに高まるなか、中国は影響力のある共産党系メディアの関係者を通じて選手の最近の様子だとする動画を発信するなど事態の沈静化を図っている。
バイデン氏は18日、ホワイトハウス(White House)でカナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相と会談した際、記者団に対し、北京五輪の外交的ボイコットは「われわれが検討していることだ」と語った。
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英タイムズ紙(電子版)は20日、2022年2月の北京冬季五輪を巡り、英国のジョンソン首相が選手団以外の外交使節団を派遣しない「外交ボイコット」を検討していると報じた。
中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は19日の会見で、前日のバイデン氏の発言に対し「スポーツの政治化は五輪精神に反し、すべての国のアスリートの利益を損なう」と述べた。
趙報道官は、人権侵害をめぐる批判を「事実と一致せず、全くの事実無根」と一蹴。「中国国民の目には冗談にしか映らない」と述べた。
学者の分析によると、北京五輪の世界的なボイコットは、外交関係に当惑している中共にとって非常に非常に致命的だ。
大紀元によると、中山大学中国アジア太平洋地域研究所の郭玉蓮教授は大紀元時報とのインタビューで、大規模なスポーツイベントは国力を示す重要な場なので、中共はこの機会に外交状況を改善し、国内外で大いに宣伝しようとしていると述べた。
中共こそがスポーツを政治的に利用しようとしたのではないか。