中国のウイグル人弾圧に日本政府は“弱腰”? それとも「賢明」?

人権

発足したばかりの岸田文雄新政権だが、総裁選時から中国には強気な「対抗姿勢」を打ち出してきていた。この外交上の最重要問題に、深く影響を与えているのが「新疆ウイグル自治区での弾圧問題」だ。日本政府はこのジェノサイドにどう向き合うべきなのか?

 

bizSPA! フレッシュ(11月9日)に「中国のウイグル族弾圧に日本政府は“弱腰”だが…あえて「賢明」だと言えるワケ」と題する記事が掲載された。一部を抜粋して紹介する。

 

「中国政府は100万人以上のイスラム教徒ウイグル族・他の宗教少数派を西部の「職業技能教育培養訓練転化センター」と称する“再教育収容所”に拘束し、強制労働、拷問、性的暴行、中絶の強制などを行い、中国共産党への忠誠とイスラム教の放棄、言語の漢語化を強制しているという。

ウイグル人への弾圧は既にトランプ前政権が「国際法上のジェノサイド(民族大量虐殺)にあたる」と認定しており、バイデン政権もこの認識を踏襲し、中国政府による弾圧を国際法上の犯罪に当たる「ジェノサイド」であり「人道に対する罪」と批難している。

また、カナダもウイグル弾圧をジェノサイドと批判する動議を採択しており、オランダの下院議会もウイグル族に対するジェノサイドが起きていると批難する決議を採択している。

さらには、オーストラリア議会でも中国の人権侵害を組織的として批難動議が出され、EU(欧州連合)は2021年3月に、中国新疆ウイグル自治区の幹部、当局者らに制裁措置を発動させており、これは約30年振りの対中制裁となった。

……

新疆ウイグル自治区にはハイテク技術を駆使した監視管理システムが構築されているという。自治区の住民はQRコードで管理され、全ての自動車に追跡装置が着けられ、いたるところにAI監視カメラが張り巡らされている。個人の行動の全てを監視しているというから、世界でもまれな監視社会になっている。」

 

 

習近平政権の信仰・言語・基本的人権・民族的文化までをも奪う、こうした弾圧の仕方は、江沢民が法輪功を弾圧した悪意に満ちた政権を思い起こさせる。

 

1999年当時の国家主席江沢民は法輪功の高まる人気に強く嫉妬し、自分の権力を乱用し中国共産党を利用して、法輪功への弾圧を発動した。

1999年4月25日、国務院信訪局へ陳情に 行った人たちが立っている様子

弾圧の口実を作るために、平和的・理性的だった「4.25陳情」を「中南海包囲事件」としてでっちあげ、捏造した「天安門広場焼身自殺事件」などを報道することで、法輪功に対する国民の憎しみや恨みを煽り、国民同士を敵対関係に追いやった。

しかも、数々の非合法な手段を使って、法輪功学習者の基本的人権や身分の剥奪、財産の没収など、社会的・経済的な窮地に追い込んだ。更には、法輪功学習者の生体から臓器を摘出し、売買するといった許すことのできない大罪まで犯した。

そのため、法輪功愛好者のみならず、全世界の人々が巻き込まれ、前代未聞の残虐さと規模の迫害となった。

 

「中国は欧米と対峙するよりも、日本との歴史的な対立を利用したほうが得策だと考えているので、日本政府は、そうした罠にはまりたくないのだと思われる。中国共産党は歴史的な正当性を抗日闘争におき、これを国家教育の軸にしている。つまり、反日そのものが今の中国の国家アイデンティティのようなものであり、最も簡単に火が付く話題である。

……

日本はドイツと同様に第二次世界大戦で敗戦国となったので、自衛のための軍事力しか持つことを許されなかった。だが、中国の覇権行為がエスカレートするにつれて、日本の安全保障の環境を再整備する必要があり、今、日本は軍事力を強化するチャンスを迎えていると言える。

日本の軍事力が強まれば、アメリカに対する日本の立場も強まるし、中国もそう簡単に反日カードを切ることができなくなるはずだ。」

 

しかし、ここまで明らかな人権侵害がすぐ隣の国で行われており、証拠は山ほどあるのに、それを直ちに止めようとしないで、あえて「賢明」だ・・・、などと完全に他人事のような事が言えるだろうか? 非常に残念なことだ。今この瞬間にも多くの人が強制収容され、命の危険に晒されているのである。あなたの家族が、ある日突然強制収容所に不当に監禁されても、同じことが言えるのだろうか?