トランプ氏が再建した米軍 タリバンに渡り 中国が利用のために調査開始か 

時事

米国のトランプ前大統領はインタビューの中で、自分が大統領在任中に米軍を再建したが、バイデン氏の無能な撤退でタリバンに850億ドルもの世界最高の軍事装備を与えたと非難した。一方、中国はアフガニスタンにおける「一帯一路」開発計画を見据え、米軍が残したバグラム空軍基地の利用調査を開始しており、中国の影響下に置かれる恐れがあるという。

看中国(2021年9月10日)によると、アメリカ同時多発テロ事件(以下、9.11)から20周年を迎えた際、トランプ前大統領はインタビューで、米国の国家安全保障の話題を取り上げ、自分が大統領在任中に米軍を再建したが、それはタリバンに与えるためではなく、米国を辱めるためでもないと嘆いていた。トランプ氏の発言は、バイデン現大統領がアフガン撤退の失敗を彼のせいにしたという主張の反論にもなる。

トランプ氏は8日に、ニュースマックスTVに出演し、「9.11」の20周年について語った。トランプ氏は「あれは唯一無二の1日だった。だからこそ、軍隊を再建しなければならないのだ。残念ながら、彼ら(バイデン政権)は私が再建した米軍をタリバンに渡してしまった」と述べた。

約15分間のインタビューで、トランプ氏は、バイデン大統領が米国民の避難をまず確実にせずにアフガニスタンから軍を撤退させ、さらに無条件に撤退を実行して失敗したこと、米軍の先端兵器と物資をタリバンに残し、米国の敵の軍備力を強化したことを非難した。

米国政府説明責任局(GAO)が1月27日に発表した報告書によると、米国は2002年から2018年の間に、アフガニスタンの治安部隊の訓練、武装、構築のために約850億ドル(約9兆3670億円)を費やしている。

米国はまた、数十億ドルに相当する少なくとも10の軍事施設を旧アフガン政府に引き渡したが、これらも現在はタリバンの手に渡っている。アフガニスタン復興担当特別監察官(SIGAR)の報告によると、5億6000万ドル(約617億円)以上価値のある戦略的に重要なバグラム空軍基地は、今年7月1日に今は亡きアフガン国防省に引き渡された。バイデン大統領はアフガニスタンからの撤退を、まず空軍を撤退させ、空爆力のある戦略基地を放棄し、最後に地上軍を撤退させるという考えられない軍事的取り決めで実施した。

トランプ氏はまた、「アフガニスタンで起きたことは最悪だった。今回の撤退は、撤退でも何でもなく、我が国の史上最も無能な対応であった。世界の前で恥ずかしい思いをしている。タリバンに850億ドルもの世界最高の軍事装備を与えたことは、先週我々が受けた苦しみ以上に恥ずかしいことはない。現在、彼ら(タリバン)は世界で最も軍備の良い軍隊の一つだ。信じられるか?以前はナイフしか持っていなかったのに、今では最高の飛行機、戦車、トラックを持っている」と述べた。

アフガンのバグラム旧米空軍基地、中国が利用のために調査開始

大紀元(2021年9月9日)によると、米メディアによれば、中国はアフガニスタンにおける「一帯一路」開発計画を見据えて、米軍が使用していたバグラム空軍基地の利用調査を開始している。20年におよぶ米軍駐留時代では作戦や物流の要だった同飛行場が、中国の影響下に置かれる恐れがある。

USニュースが8日、中国軍関係者からの話を受けた匿名の関係者の話として伝えた。関係者によれば、2年後には部隊を配備することも検討されているという。

バグラム空軍基地に伸びる中国の食指について、ニッキー・ヘイリー前米国国連大使は米FOXニュースに2日出演した際、「中国の動向は注視するべき。バグラム空軍基地の獲得に乗り出すと思う」と警告した。ヘイリー氏は、中国がアフガ二スタンやパキスタンを利用して、対インド戦略を強化する狙いがあるのではないかと付け加えた。

米政策シンクタンク、スティムソン・センターの中国プログラム代表ユン・ソン氏は、中国の回答は信頼性に欠き、実際には空港利用に強い興味を持っていると述べた。ソン氏はUSニュースの取材に対して、中国がバグラム空軍基地を「占拠する」よりも、タリバンの要求に応じた人員や物資支援の派遣といった形で基地を利用する可能性があるとの推測を示した。

過激派組織タリバンが暫定政府の樹立を発表したその翌日、中国共産党は穀物や防寒具、ウイルスワクチンなど3100万米ドル相当の援助を行うと発表した。

中国とタリバンは、アフガニスタンにおける中国共産党の広域経済圏構想「一帯一路」に前向きであることを公言している。8月15日に首都カブール陥落を受けて、中国共産党機関紙はタリバンに対して「落ち着いたら一帯一路への参加」を検討するよう呼びかけた。

タリバン報道官は9月2日、伊メディアの取材に応じ、アフガニスタンの復興を始めるために、主に中国からの支援に期待していることを明らかにした。さらに、中国が開発と融資を行う「一帯一路」を讃え、同国の支援は豊富にある銅鉱山の開発に役立つと述べた。

過去、中国はカンボジアのリーム海軍基地など、経済支援を通じて戦略的地域の軍事的プレゼンスを拡大させてきた。中国西部新疆ウイグル自治区と国境を接するアフガニスタンの軍事施設を利用することで、関係が悪化しているインドにも影響も与えることができると考えられる。

なお、中国外務省の報道官は7日、タリバンはバグラム飛行場を中国側に引き渡す協議があるとの話や、米国が使用した5つの空軍基地を中国が視察するとの情報を「全くの偽情報だ」と否定した。