中国で対外貿易に従事する経営者は最近、理由の説明もなく公安当局に銀行口座を凍結されたとネット上で訴えた。彼らが口座のロックを解除しようとすると当局から複雑な手続きと罰金の支払いを求められたという。中共による民間資金の強奪は、政府機関に対する人々の最低限の信頼を破壊し、より多くの人が他国への資金移動を考えるようになるといえる。中国企業ですら、この有様なら、日本企業もいずれこうなるかもしれない。
大紀元(2020年10月8日)によると、中国で対外貿易に従事する経営者は最近、理由の説明もなく公安当局に銀行口座を凍結されたとネット上で訴えた。彼らが口座のロックを解除しようとすると当局から複雑な手続きと罰金の支払いを求められたという。
著名な経済ブロガー 「風の中の工場長」は9月18日中国大手 SNS微博(ウェイボー)で、「義烏市にいる顧客からの支払いを処理したところ彼の銀行口座が凍結されたことに気付いた。この状況が他の義烏市の住民にも起こっているのか」という質問を投稿した。このブログ記事には多くの貿易商が反応した。
義烏、広州、深セン、上海、常州など貿易の活発な地域では「自分の銀行口座も凍結された」と訴える人が多く現れた。凍結金額は数千ドル(数十万円)から数十万ドル(数千万円)に上りその多くが中国農業銀行の口座だ。これら利用者の多くは居住地とは異なる都市の警察によって口座が凍結されたと述べている。口座凍結を行った警察当局のリストには、河南温県公安局、ラサ公安局、内モンゴル公安局、新疆公安局、重慶公安局、蘭州公安局、雲南公安局などが含まれている。
欧州の政治経済シンクタンクの研究者・任重道氏は中国共産党(中共)の地方政府は金を使い果たしており、この方法を使って中国国民から資産を略奪しようとしていると指摘している。
過去、中央政府が民間企業家から強奪しようとした場合、必ず言い訳を見つけていた。例えばマフィア組織を排除することを口実に、彼らは一部の民間企業家にマフィアのレッテルを貼り、彼らをそれらのメンバーとしていた。また、今度は一部の企業経営者が中国から資金を移していると主張した。安邦や HNA 明天系などはこれに属している。これらの企業は海外での買収を通じて国外に資金を送金しようとしていた。つまり中央政府は民間企業の経営者から金を略奪する口実を見つけることが得意で、今回のような急な銀行口座凍結は地方政府によって行われている可能性が高いといえる。
銀行口座が凍結された人によると凍結解除に必要な時間や条件はそれぞれ異なる。3日間で凍結を解除された人もいれば、半年間凍結された人もいる。昨年、凍結されて「いつ解除されるかわからない」という場合もある。さらに、凍結解除に預金額の15%の支払いを求められたり、凍結された公安や警察に「罰金を払え」と言われた人もいる。
米国在住の時事評論家・唐靖遠氏は、「要するに中共はこのような卑劣な方法を使用し、民間資金をブロックして奪うというところまで至っている。大量の資金を凍結するためにあらゆる口実を見つけ出し、たくさんの人に影響を与えている」と述べた。
9月15日、中共の中央委員会は各レベルの党委員会と政府の統一戦線部に対して、民間企業における指導力の強化を要求した文書を発表した。この文書には全ての民間企業と個人経営者、主要な投資家や管理者、株式を多く保有する経営者などが、統一戦線の対象となると明記されている。
欧州の政治経済シンクタンクの研究者・任重道氏は、「統一戦線とは全ての民間企業が中共の指示に従わなければならないということだ。一部の民間企業は資金を中国国外に移すことを選択するだろう。しかし、その際、その資金は当局によって凍結される可能性が高い」と述べた。
義烏市の貿易省は9月10日、地元のフォーラムに長文を投稿し、自身の経験をもとに、なぜ私たちの口座は凍結されたのか、凍結された後の対処法や今後の対外貿易口座の管理方法の3つのポイントをまとめた。
任重道氏は、中共の民間企業に対する基本的なルーティンは、「持ち上げ・仕掛け・殺し」であると指摘した。最初は政府がこれらの民間企業の成長を奨励し、その後、なんらかの罠を仕掛けて牛耳り、これらの企業が十分に成長した後、中共の略奪が始まるという。
唐靖遠氏は、「中共のあからさまな民間資金の強奪は、一時的な利益が得られるが、政府機関に対する人々の最低限の信頼を本質的に破壊している」と指摘した。
その結果、より多くの人が他国への資金移動を考えるようになるだろう。