海外での臓器移植、実態調査が必要=加藤厚労相 中国の”臓器狩り”には触れず

人権

違法な海外での臓器移植あっせん事件をめぐり、加藤勝信厚生労働相は2月27日、衆院予算委員会で「海外での臓器移植等の実態を把握する必要がある」と述べた。池下卓議員(日本維新の会)の質問に答えた。今回の質疑応答はあっせん団体を通じた渡航移植に限定され、人道に対する罪が懸念される中国の臓器移植問題(臓器狩り)について触れることはなかった。

加藤氏は「個人情報の取り扱いに留意しつつ関係学会と連携して、医療機関を通じた渡航移植に関する実態調査を行いたい」とした。

2月、無許可で渡航移植をあっせんしていた内閣府認定NPO理事が逮捕された。岸田文雄首相は事件について、「公正で適正であるべき臓器の斡旋を無許可で行ったという。事実だとすれば重大な問題であると認識している。大変遺憾だ」との見解を表明した。

日本も署名する臓器移植に関する国際宣言「イスタンブール宣言」には、原則的に渡航移植を禁じ臓器移植は国内実施とある。岸田首相は、臓器移植法の改正ならば「課題を分析した上で実効性ある対策を検討する」と述べた。

日本移植学会など5学会は2022年12月、海外での不透明な臓器移植の根絶を目指す共同声明を発表。新たに医学関連の4学会がイスタンブール宣言を承認した。

中国臓器収奪の調査第一人者であるカナダの人権弁護士デービッド・マタス氏は、日本への助言として、海外渡航移植が発覚した場合、医療機関が厚労省へ報告することを義務付けることや、中国での移植手術は臓器提供者が殺害される可能性があると警告することなどが必要だと述べた。

【引用記事】大紀元(2023年2月28日)

 

日本政府は中国共産党による”臓器狩り”を見過しているのか?

NPO法人「難病患者支援の会」(2007年6月設立)の理事長である菊池仁達容疑者は、海外での臓器移植の違法な仲介を行ったとして、2月7日に東京警視庁に逮捕された。

読売新聞(2023年2月11日)によると、NPOが2022年ベラルーシに案内した日本人患者3人のうち、肝臓と腎臓の同時移植を受けた会社役員の男性(当時45歳)も手術後に死亡していたため、警視庁は死者が2人に上ったことも踏まえ、NPOの立件に踏み切ったという。

このNPOの事業報告書から、2017年6月から2020年5月までの3年間における唯一の業務対象国は中国のみだったため、臓器狩りへの関与が疑われる。

・逮捕されたNPO法人「難病患者支援の会」の理事長 中国での臓器狩りに関与か?

NPO法人「難病患者支援の会」のホームページには、2015年4月13日付で「帰国後の治療と法令」と記されたページに、以下の文章が掲載されていた。(現在、閲覧不可)

「ドナーについては当事国の法令に従い医療機関が手配しており私どもは臓器の出処に一切関与していない。また手術費用の項目にもドナーに関する費用は無く、臓器代金として支払った経緯も事実もない。まして患者がドナーと接触することは一切ございません。」

日本の医療には、遵守すべき倫理観がある。患者は、中国共産党が統治する中国の医療においても「日本と同質かつ同等の倫理観」があることを期待するようだが、現実はそうではない。

2000年から中国の移植産業が急拡大しており、たとえば肝臓移植手術の例だけで見れば、1999年まで年平均5件だった肝臓移植手術が、2005年には3212件と、およそ640倍にも激増した。日本のようなドナー登録制度も無い中国で、どうやって移植用の臓器が大量に集められるのか?それも、移植患者との適合性も確認済みのものを・・・。

・【動画】猫組長へのインタビュー 中国で見た臓器移植の闇

臓器狩りの犠牲者は法輪功学習者

1999年7月、当時の国家主席・江沢民が法輪功に対する前代未聞の残虐な弾圧を発動し、多くの法輪功学習者が不法に拘束された。

2006年3月17日、「大紀元時報」に蘇家屯病院(遼寧省血栓中西医結合医院)・女性元職員「アニー」さんの衝撃的な告白が掲載された。それは、中国共産党主導による国家犯罪である臓器狩りについて、初めての内部告発だった。彼女はこの病院で資材管理部門の職員として勤務していただけでなく、彼女の夫はこの病院の執刀医であり、2000余りもの手術を実際に経験していたというのだ。

在米の中国大使館より大紀元時報紙上の証言が「捏造」であるとの中傷を受けた彼女は、その後、気丈にも公衆の面前に顔を出し、不屈の姿勢で証言を続けた。

中国で行われている大規模な臓器狩りについて証言するアニー氏(仮名)。2006年4月20日撮影(The Epoch Times)

★アニーさんのスピーチの様子はこちら⇒

デービッド・キルガー氏は彼女が名乗り出た3ヵ月後の6月、この女性と直接会って長時間のインタビューに成功した。以下はその一部。

証言によれば、蘇家屯病院の地下には法輪功学習者を閉じ込めておく秘密の地下室があったという。

キルガー:(略)そこには何人くらいいたと思いますか?

アニー:法輪功の食料を調達して届ける係の責任者から聞いた話では、「大体5000人から6000人は拘束されていたそうです。そのころ中国各地で、たくさんの公安局や病院が法輪功学習者を拘束していました。病院で働く人の多くは法輪功学習者ではありません。私も違います。(略)元夫がこの件に直接かかわっていたことを知らなかったら、私は多分まったく興味を持たなかったでしょう。(略)最初のうちは、元夫も法輪功学習者だとは知りませんでした。彼は脳神経外科医です。角膜の摘出をしていました。そして2002年になって、自分が手術しているのは法輪功学習者だと気づいたのです。うちは臓器移植専門の病院ではないので、ただ摘出するだけでした。

キルガー:手術される人たちは、生きていましたか。それとも死んでいましたか?

アニー:通常、そういった法輪功学習者たちは心臓麻痺が起こるような薬品を注射されていました。そして手術室に運ばれ、臓器を摘出されます。注射のせいで心臓は止まっていますが脳はまだ機能しています。

キルガー:あなたの元夫は角膜を摘出した。手術の後、角膜を取られた人たちはどうなったのでしょう?

アニー:他の手術室に運ばれていきました。心臓、肝臓、腎臓などを摘出するためです。夫はある手術で他の医師と一緒になったときに、彼らが法輪功の学習者だということを知ったそうです。それから、彼らが生きたまま臓器を摘出されるということや、角膜だけでなく他の臓器も取られるということも、同じ時に知りました。

キルガー:他の臓器の摘出は他の手術室で行っていたのですよね?

アニー:後になって、医師たちが共同で作業するようになり、それからは一緒に手術を行うようになりました。最初のうちは情報が漏れるのを恐れて、臓器ごとに摘出する医師と手術室を変えていたのです。でも後になってお金が入るようになると、もう何も恐れなくなりました。同じ部屋でさまざまな臓器を摘出するようになったのです。(略)うちの病院で手術された学習者は、腎臓や肝臓などの臓器が摘出され、皮膚が剥がされると、後はもう骨と肉ぐらいしか残りません。そういった遺体は病院のボイラー室に放り込まれました。 …………

そして彼女は、元夫が2年ほどの間に2,000人ほどのドナーから角膜の摘出手術を実施し、そのたびに月給の何十倍もの現金が支給されていたことを付け加えた。

中国での臓器移植は医療ではなく、犯罪である

中国で臓器移植手術を受けた場合、日本人患者が切実に求めていた医療が、いつの間にか医療ではなくなっており、手術を受ける患者までが「犯罪の加担者」にされる可能性が高いといえる。ある集団のなかから適合する臓器を収奪して、移植用に回す。その結果、臓器の元の持ち主は死亡するが、巨額の外貨だけは元手を一銭もかけずに得られるという、まさに殺人を前提とする、恐るべき臓器収奪ビジネスが形成されるのである。

「日本では移植の望みは少ない」という、患者にとって誠に厳しい現実があるが、かと言って、中国共産党の国家ぐるみの犯罪を日本が看過してはならない。また、中国共産党の邪悪な真実をよく認識し、今世紀最大の人権侵害である「法輪功迫害」を断固として止めなければならない。

【参考記事】
大紀元(2023年1月20日)