トランプ氏が選挙不正と戦う中 なぜ共和党議員は「だんまり」?

時事
トランプ氏が選挙不正と戦うなか、共和党議員が疑惑の追及に加勢しないのはなぜか。12月5日、ジョージア州で応援演説するトランプ大統領(Spencer Platt/Getty Images)

米大統領選挙の不正行為疑惑が次々と浮かぶ中、ベテランを含む共和党議員の多くはその様子を傍観している。政治評論家のサイモン氏は、この差は共和党の2つの層の存在を浮き彫りにしており、傍観している議員は反トランプ派で既得権益層だと指摘した。彼はまた「政治家は目を覚まして有権者の声に耳を傾けるべきだ」と警告したという。

大紀元(2020年12月9日)によると、2020年米大統領選挙の不正行為疑惑が次々と浮かぶなか、ベテランを含む共和党議員の多くは、その様子を傍観している。

最も積極的に発言しているのは、保守あるいはリバタリアン的な共和党下院議員からなる議員連盟「フリーダム・コーカス」に身を置く、アリゾナ州、ネバダ州、ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ジョージア州の6州から選出された議員である。

ポール・ゴザー下院議員(アリゾナ州)とモー・ブルックス下院議員(アラバマ州)は、ドナルド・トランプ大統領の勝利を支持している。マイク・ケリー下院議員(ペンシルベニア州)は、この不正選挙を最高裁判所に持ち込もうとしており、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州)は、不正についての口頭弁論を行うことを申し出ている。

共和党保守のクルーズ議員を選出したテキサス州は、12月8日、新型コロナウイルスの世界的大流行を理由に大統領選の手続きを不当に変更し、選挙結果をゆがめたとして、ジョージア州、ミシガン州、ペンシルべニア州、ウィスコンシン州の4州を相手取り最高裁判所に提訴した。

「フリーダム・コーカス」の十数人の議員は12月3日に記者会見を開き、ウィリアム・バー司法長官に不正行為の申し立てを調査するよう促し、公正な選挙に対する信頼の欠如は合衆国の終わりを招きかねないと強く警告した。

下院には196人の共和党議員がいる。SNSにおける発信を見る限り、多くの共和党議員は12月はじめ、コロナ流行による中小企業の救済を優先せず、マリファナを合法化させる法案を通過させようとする議会の動きに抗議し、団結している。

しかし、大統領選問題を取り上げたり、激戦州で行われた最近の不正選挙に関する公聴会についてコメントする議員はほとんどいなかった。

11月9日発表の米誌「ポリティコ」と調査会社「モーニング・コンサルト」の世論調査によると、共和党の有権者の70%以上が、2020年大統領選挙は自由で公正だったとは考えていないことがわかった。共和党議員たちの動きは、有権者の考えと一致していないようだ。

ジョージア州では、トランプ支持者の90%以上が大統領選の結果を信頼していないことが、大紀元英字版エポックタイムズの1700人以上の購読者を対象とした12月7日のオンライン調査で明らかになった。

12月5日、ジョージア州バルドスタで行われたトランプ氏の集会では、群衆が「トランプ氏のために戦おう」と声を張り上げた。再選を目指すケリー・ロフレラ上院議員とデイビッド・パーデュー上院議員も登壇した。

トランプ氏は共和党員に対し、選挙違反を主張する証人の宣誓供述書、集計の不正、違法性の疑いに対する認識を高めて「タフになる」よう呼びかけている。トランプ氏は、選挙問題の調査を十分に行っていない、あるいはトランプ氏が不正と主張した選挙結果を認証している知事や政治家を名指しして、批判してきた。

トランプ氏は12月5日、アリゾナ州知事ダグ・デューシー氏とジョージア州知事ブライアン・ケンプ氏が「共和党員であることは民主党にとってラッキーなことだ」と揶揄した。「彼らは急進左翼の民主党以上に、私たちに対抗している。もし彼らが私たちと一緒にいたら、すでに両州で勝利を収めていただろう」とトランプ氏はツイッターに書いている。

大紀元の寄稿者で政治評論家のロジャー・サイモン氏は、この差は共和党の2つの層の存在を浮き彫りにしていると指摘する。

「いっぽうは一般共和党員で、95%がトランプ氏を支持し、投票したことから明らかだ。もういっぽうは旧体制派で、部分的には反トランプ派で既得権益層だ」とサイモン氏は述べた。

「つまり、共和党に投票し党を維持する人々と、政党を運営している人々との間には大きな隔てがある」と述べた。サイモン氏は、政治家は「目を覚まして有権者の声に耳を傾けるべきだ」と警告した。

著述家のリー・スミス氏は、多くの既得権益層の共和党員はトランプ政権の過去4年間に「民主党や情報機関、マスコミとの提携」を暴かれるのを怖れていたと述べた。たとえば、連邦捜査局(FBI)によるロシア疑惑調査の長期化、トランプ大統領弾劾などの運動をあげた。「情報機関がメディアと協力して政治闘争を行うなど米国ではあり得ないことだ。しかし、まさにそれが起きてしまった」と付け加えた。

アリゾナ州選出のゴザー議員は、仕返しを恐れず、多くの共和党政治家が立ち上がるべきだと述べた。ゴザー議員は、引き続き不正選挙があったとの主張を変えず、法治国家の管理を信じるとした。「正しいことに対する報復を恐れているなら、これはバナナ共和国(訳注・法治のない国)であって、立憲共和制ではない。私たちは共産主義の道を進んではいけない」と大紀元の取材に答えた。

ゴサー議員は、政治家は国民の期待に応える必要があり、係争中の州では監視を求めるべきだと述べた。同議員はアリゾナ州の州務長官、州知事、司法長官、マリコパ郡の選挙管理委員会に情報公開の要請を提出し、職責を果たしたかどうかを追及した。「私が誤っているのかもしれないが、選挙管理委員会が投票機について義務を全うしたとは思えない」と同議員は述べた。

選挙問題が未解決のままである限り、米国人の選挙に対する信頼性が損なわれたままだとみている。「彼ら(既得権益層)は愚かではない。(私たちが諦めると)みているのだろう。私たちは二度と自由で公正な選挙ができなくなるだろう」と語った。