8月25日から9月1日まで、中国の王毅外相はイタリア、オランダ、ノルウェー、フランス、ドイツの５か国のヨーロッパ訪問を行った。中共は５G覇権を狙って訪問する他、米国からの圧力を相殺するために欧州との関係を緊密にしようとしていたが、イタリア首相は面談拒否、ドイツ外相は中共の欠点を指摘するなど、王毅氏の訪問は不名誉に終わった。
【NTDTV(2020年9月9日）】
中共との結束を望んで欧州へ、ファーウェイの活路を探る
王毅（おう・き）氏が出発する前日、中国外務省報道官 趙立堅（ちょう・りつけん）氏は、今回の訪問で達成したい目的は3つあると述べた。そのうちの1つは「多国間主義を擁護し、国際秩序管理の向上をすること」。つまり、米国が仕掛けた中共への包囲網に穴を開けて、ヨーロッパの助力で脱出を試みたいということだ。
ドイツのシンクタンク「メルカトル中国研究所（MERICS）」の専門家は、特に５Gの分野では、米国が中共に対して共同で戦う「太平洋横断連合戦線」の構築を阻止することが目的だと分析した。実際、イタリア、フランス、ドイツではファーウェイの製品は一部または全部禁止されている。
米国の設備又は技術を使用して製造された全てのチップは、9月15日以降、ファーウェイの供給が禁止される。ハーウェイ自身は関連する生産技術を持っておらず、中国チップ企業AINSTEC(アインステック)のCEO王旭光氏は人材から規模、品質まで中国チップ業界全体として、米国シリコンバレーより少なくとも20年遅れをとっていると語った。ファーウェイのチップが遮断され製品の生産ができなくなると、自社への影響だけではない。
サウスチャイナ・モーニング・ポストは、「中国のテクノロジー業が発達している深センの地元企業でもあるファーウェイは、2016年に深センの GDP に7%と最も貢献し、144億ドル（約1兆5279億円）を超える唯一の地元企業であり、2019年中国のトップ大学の卒業生の最大の雇用主となっている」と報じた。
ファーウェイの研究開発への投資額はテンセント、大彊（DJI）や他の同業企業よりはるかに大きい。
（中略）
今回、王毅外相は科学技術産業が発達しているオランダなど欧州諸国を訪問し、オランダの半導体企業 「ASML」社の５ナノメートルノードプロセス技術に期待しているようだ。しかしブルームバーグ社の報道によると、オランダ政府は、現在、国内産業を守る傾向が非常に明確であり、調査会社ロジウムグループの幹部であるグラッツ氏は9月1日、オランダは既に国家安全保障上の問題を十分に認識しており中国との取引では防衛策を講じるだろうと述べた。
実際昨年、ASML社が新型ステッパー装置の中国への販売許可を拒否した。
中国外相欧州訪問 イタリア首相面談拒否、ドイツ外相中共の欠点を指摘
中共は５G覇権を狙って欧州を訪問する他、王毅氏は米国からの圧力を相殺するために欧州との関係を緊密にしようとしている。しかし私たちが見たのは王毅氏の旅はかなり惨めで、どこに行っても抗議する群衆に迎えられていたということだ。
香港人、ウイグル人、チベット人、民主活動家など、また、各国政府や民間からの鋭い質問が多くとてもにぎやかな旅となった。
最初に訪れたイタリアでは、王毅氏はディマイオ外相と会談したが、イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は王毅氏との会談を拒否し、電話での会話だけにとどまっている。
8月26日、王毅氏はオランダを訪問したが、オランダのステフ・ブロック外相は、王毅に対し、北京が新彊と自由に関わることへの制圧を懸念していることを表明した。
その後、王毅氏はノルウェーを訪問し、オスロでの演説の中で香港のデモ隊にノーベル平和賞を授与しないよう、ノルウェーに強要して、あからさまに他国の内政を干渉することで再び笑いものになってしまった。
28日王毅氏はフランス大統領と会談した際、マクロン氏はファーウェイの設備を禁止しないが、安全保障上の問題でおそらく欧州製造の５G系統を使用するだろうと冷水を浴びせた。その後両者の共同声明や記者会見はなく、通常両者の合意が取れていない場合こうなるという。
王毅氏は結局、国際関係研究所（IFRI）での演説を選び、いわゆる「習近平理論」を語り、ヨーロッパ人を洗脳し、中共はヨーロッパと共に反後退、反離反、反抵抗、反デカップリングなどと大きくアピールし、さらに公然とヨーロッパに、中共と一緒に米国と対峙するよう呼び掛けた。
現場にいた欧米記者らはそれに同意せずに講演後、王毅氏に対して、「新彊と香港問題において、欧州の価値観と一致していないが、調整する意思はありますか？」と問いかけたほどだった。つづきは動画をどうぞ・・・
