中国警察、欧米などに50超の「海外派出所」を設置 東京にも=人権団体

時事
2019年7月、上海で共同訓練するイタリア警察と中国警察。参考写真(GettyImages)

スペインを拠点とする人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」が9月15日に発表した報告書は、中国警察当局が世界各国で50以上の非公式の事務所を構えていることを指摘した。「海外派出所」は海外の人権活動家や中国民主活動家への越境弾圧などに関与しているという。

報告書は、中国側の目的は「二国間の警察・司法の公式協力を回避する」ためにあるとした。海外派出所は、中国人居住者や観光客に運転免許の更新などのサービスを提供し、海外に逃亡した犯罪者や汚職官僚の帰国と自首を「説得する」だけでなく、反体制派もターゲットにしている。

セーフガード・ディフェンダーズは報告書の中で、中国共産党政権による「越境弾圧」と「ロングアームによる取り締まり」に対して強い懸念を示した。

報告書によると、中国警察当局は今年1月、21カ国の25都市に30の海外派出所を開設した。報告書が公表された9月には、この数が32となった。海外派出所は、中国公安部(省)の福建省福州市公安局の管轄下に置かれ、「海外110(110 Overseas)」とも呼ばれる。

報告書が提供した海外派出所リストのうち、スペインが4カ所、英国とカナダがそれぞれ3カ所、ポルトガルが2カ所、ハンガリー、米国、日本はそれぞれ1カ所。南米のチリ、ブラジル、アルゼンチンにも設けられている。日本では、東京都千代田区の十邑会館内に設けられている。十邑会館は、一般社団法人日本福州十邑社団連合総会の所在地である。

また、海外派出所に類似する中国警察の事務所は、17カ国の22都市に設置され、浙江省青田県公安局の管轄下にある。

カナダ・トロントにある中国警察の事務所は、「(福建省)福清市党委員会が後押しし、統一戦線部などの具体的な指導の下で」設立したトロント福清商会内にある。

報告書は、海外の一部の華僑組織は中国共産党中央統一戦線工作部とつながりがあり、宗教や少数民族、華僑コミュニティで活動し、「代表的な人物」を抱き込み、影響力を行使していると指摘した。また、中国共産党政権が海外での影響力を拡大するために、海外警察派出所と統一戦線工作部に深い関係を持つ各地の中国同郷会を頻繁に利用しているとの認識を示した。

【引用記事】大紀元 https://www.epochtimes.jp/2022/10/119534.html

 

中国警察が歩くセルビア 中国人観光客「安全確保」を名目に(2019年)

2019年9月20日、セルビアの首都ベオグラードでは、セルビア人警察官と中国の警察官との共同パトロールが始まった。欧州では、首都圏に中国警察や監視カメラを設置する都市が増加している。セルビア政府は、中国人観光客や労働者の増加で発生する問題に対処するため、中国警察を要請したという。

数千人の中国人観光客がベオグラードや他のセルビアの都市を訪れている。中国の広域経済開発構想「一帯一路」に参加するセルビアのほか、バルカン半島諸国は、鉄道、道路、発電所など複数の大型インフラプロジェクトを抱え、中国人労働者を受け入れるほか、中国輸出入銀行から数十億ドルの融資も受けている。

セルビアの警官は、中国の警官には逮捕する権限がなく、観光客とセルビア警察とを仲介する役割だとした。

セルビアにおける中国警察の活動について、2019年5月、両国の内務大臣が覚書を交わした。それによると、サイバー犯罪対策のための特別警察部隊の共同訓練も可能だという。

【引用記事】大紀元 https://www.epochtimes.jp/2019/09/47644.html