中国国営テレビの豪州人キャスター、中国で拘束

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BBC(2020年9月1日)によると、中国の放送局に勤めるオーストラリア国籍の有名テレビ司会者が、中国当局に拘束された。オーストラリア外務省が31日、明らかにした。両国の関係はこのところ悪化している。

豪外務省によると、拘束されたのは中国の国営放送局・中国環球電視網(CGTN)の司会者、成蕾(チェン・レイ)氏。2週間前に拘束されたという。

成氏はCGTNで8年前から勤務しており、国際ビジネス番組の司会を担当していた。それ以前には、シンガポールに本部を置く米放送局CNBCアジアの中国特派員を務めていた。

豪ABCニュースによると、成氏は「指定された場所の住宅で監視状態」に置かれている。捜査官は成氏を尋問することができ、起訴せずに最長6カ月間、勾留することができるという。

マリズ・ペイン豪外相の声明によると、豪政府は8月14日、中国当局から成氏を拘束したと連絡を受けた。CGTNのウェブサイトからは、成氏のプロフィルが削除されている。成氏とテレビ会議システムを通して領事面会をしたと述べた。

豪政府は7月、豪国民が中国で拘束される恐れが高まっていると注意を呼びかけていた。

オーストラリアは、新型コロナウイルスの大流行の起源に関する正式調査を中国で実施するよう求めている。以降ここ数カ月、両国の緊張は高まっている。

 また、オーストラリアは先週、地方政府による外国との取り決めを連邦政府が無効にできる法律を計画していると明らかにしていた。中国を念頭に置いた立法とみられている。

豪州と中国の関係は近年、豪政府による5G事業への華為技術(ファーウェイ)の参入禁止などを受けて悪化している。中国当局は2019年1月、中国系オーストラリア人作家・楊恒均(ヤン・ヘンジュン)氏を拘束し、今年3月にスパイ罪で起訴した。豪政府は「政治的な理由で拘束された」として楊氏の釈放を求めている。

CGTNは、中国の国営放送局・中国中央電視台(CCTV)が所有する、海外向け英語ニュースの放送チャンネル。中国共産党の管理下で、外国の視聴者向けに放送している。

豪シンクタンク・ローウィ研究所は、中国政府がCGTNを使って同国に「好意的な国際世論を形成」し、「世界各地でソフトパワーを向上」させているとしている。