ディズニーの新作映画「ムーラン」が、中国新疆で撮影されていたことが分かり、批判が高まっている。米国会議員19名は連名で、ディズニーが中共の人権迫害に加担している機関と協力したとして説明を求める公開書簡を出した。ディズニーは、撮影に協力した人々に感謝を述べるのはごく普通のことだと述べている。
新疆で撮影、中国当局に米ディズニーが謝意 映画「ムーラン」に抗議
ロサンゼルス時事(2020年9月10日)によると、米ウォルト・ディズニーの新作映画「ムーラン」が、中国新疆ウイグル自治区の当局の協力を受けて撮影されていたことが分かり、批判が高まっている。映画のエンドロールで自治区の協力組織に謝意を表明。少数民族ウイグル族への人権侵害問題を黙殺しているとして、映画を見ないよう呼び掛ける抗議運動が広がりを見せている。
ムーランは、男装して兵士となった少女をめぐる中国の民話を題材にしており、1998年公開のアニメを実写化した。ディズニーが2億ドル(約212億円)を投じて製作したが、新型コロナウイルスの流行で劇場公開を延期。今月4日から同社の動画サービスで配信を始めた。
しかし、ウイグル族の強制収容を正当化する中国共産党の宣伝部門や、米政府が人権侵害を理由に輸出禁止対象に指定したトルファン市の治安部門などに感謝をささげるエンドロールの画像が交流サイト(SNS)で出回り、批判が集中。コットン上院議員(共和)は、ツイッターで「ディズニーは中国の現金中毒だ。共産党を喜ばせるためなら何でもするだろう」と非難した。
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米国会議員19名 中共に協力しているディズニーを批判
NTDジャパン(2020年9月14日)によると、ディズニーの実写版映画「ムーラン」が物議を醸し続けている中、共和党のスミス下院議員、トゥーミー上院議員、クルーズ上院議員、ルビオ上院議員、民主党のメネンデス上院議員、マクガヴァン下院議員を含む19人の議員が連名で、ディズニーが中共のプロパガンダ部門や人権迫害に加担している機関と協力したとして説明を求める公開書簡を出した。
米上院と下院の議員19人は9月11日、ディズニーのCEO、ボブ・チャペック氏に共同公開書簡を出し、映画「ムーラン」の制作におけるウォルト・ディズニーと新疆の「治安・宣伝機関」、及びトルファン市公安局との協力について説明を求めた。
公開書簡ではディズニーに10の質問を投げかけ、なぜ新疆で撮影を行ったのか、中共が映画の撮影や制作に関わっているのか、ディズニーは新疆生産建設兵団と提携しているのか、ウイグル人などの少数民族を労働力として使っているのか、などを説明するよう求めている。
ディズニーは、「ムーラン」の一部シーンが新疆で撮影されたという事実を認めたが、撮影に協力した人々に感謝を述べるのはごく普通のことだと述べている。