中国のオンライン作家で学者の李勉映氏が大紀元に、中国共産党(中共)の上層部が海外の法輪功に対する弾圧を行う中で、江沢民派の人物を起用していることを明らかにした。特にトランプ大統領就任前の政権移行期を利用し、アメリカ政府の法輪功支持を妨害する形で進められているという。
◇中共が海外で法輪功を迫害する理由
中共指導者らによる海外での法輪功迫害をエスカレートさせる計画を踏まえ、李勉映氏は根本的な理由をいくつかの角度から分析した。中国国内では、この動きには中共の派閥闘争が深く関わっていると考えている。
李氏によれば、王滬寧(おう こねい)が全国政治協商会議主席に異動して以降、彼が実質的に統一戦線工作を担当している。統一戦線は、主に海外での情報活動を指している。
「法輪功への弾圧は江沢民派が始めたもので、江沢民こそがこの迫害の首謀者だ。江沢民派は法輪功弾圧を幹部昇進の手段として利用してきたため、江派は法輪功弾圧において血の負債を負った集団なのだ」
また、現職の中共国家安全部長である陳一新は、かつて中央政法委員会の秘書長を務めていた。江沢民が法輪功を迫害し始めて以降、政法委は法輪功迫害の指揮センターになっている。
李氏によれば、中共政法委の海外での活動は現在、統一戦線工作の一部に組み込まれている。
「陳一新は功績をアピールしたいと考えているだろう。彼は王滬寧と非常に良好な関係を築いており、王が江沢民派の人物であることも知っている。法輪功は彼らの主要な攻撃対象であり、陳一新は法輪功を徹底的に倒し、江沢民の負の遺産を消し去ろうとしているのだ」と李氏は指摘している。
また、王滬寧は江沢民によって登用され、江沢民時代に重要な地位を得た。江沢民が最も憎んでいたのは法輪功である。彼はすでに死亡(2022年11月30日死去)したが、江沢民派の多くは法輪功弾圧によって昇進してきた背景がある。この弾圧を維持することが派閥の利益となる。江派に属する人々にとって、法輪功への弾圧は派閥の基盤を固める象徴的な行為であり続けているという。
※法輪功は1992年中国で伝え出された気功で、宗教や政治に関与することはなく、身体の健康と道徳心の向上に顕著な効果があったため、わずか数年の間に1億を超える人々に愛好されるようになった。しかし、当時の国家主席・江沢民は法輪功の爆発的な人気に強く嫉妬し、自分の権力を乱用し中国共産党を利用して、1999年7月20日に法輪功に対する弾圧を発動した。
江は、法輪功愛好者に対して「名誉を汚し、財力を奪い、肉体を消滅」し、いかなる手段を使ってでも「3ヶ月以内に撲滅」するようにと指示し、法輪功迫害専門組織「610弁公室」を立ち上げた。法輪功愛好者は不法に逮捕、監禁、懲役を科され地獄のような強制労働、拷問、性的虐待など凄まじい迫害を受け続けている。
◇海外における法輪功迫害の外的要因
中共が今のタイミングで行動を起こした理由について、李勉映氏は国際的な視点から見ると、「中共は、トランプ氏が再び大統領に就任する前に法輪功の評判を徹底的に貶めようとしており、そのためには手段を選ばない」と指摘している。
トランプ氏は第1期の大統領任期中、中共と対立し、西側諸国全体で中共に対抗する動きを牽引した。当時と現在では状況が異なるが、「トランプ氏の返り咲きが実現したら、法輪功への支援をさらに強化する可能性がある」と李氏は述べている。
李氏は中共が崩壊に向かいつつあり、中共自身も危機感を抱いている」と述べた。
「江沢民派は特に法輪功に対して強い憎悪を抱いており、これら複数の理由から、王は組織的な手法を用いて法輪功を攻撃している」と李氏は述べている。
王滬寧の攻撃対象は法輪功と神韻だ。「法輪功(学習者)は信仰があり、最も揺るぎない抗議活動を展開し、最も力強いため、王は組織的な攻撃をしかけた」と李氏は指摘している。
また、李氏は王滬寧は神韻に対して以下のような手段をとっていると説明した。
1.「神韻は芸術団体であり、攻撃が比較的しやすい。中共は何らかの理由をでっち上げ、人道的な問題として宣伝する。これは根拠のない誹謗中傷であり、完全にデマに過ぎない」
2.「組織内部に分裂を仕掛け、指導層を引き離すことで内部崩壊を誘発する。特定の人物を取り込んで互いに攻撃させ、結果として組織を分断させる」
李氏は、「王滬寧は歴史を研究しており、今回の攻撃において組織的な力を形成し、法輪功団体を分裂させ、アメリカ社会にネガティブな影響を与えることを目指している」と述べている。
※神韻芸術団:
2006年に設立され、米国・ニューヨークに本部を置く、独立した非営利団体である。中国共産党によって破壊された中国の伝統文化の復興に取り組んでおり、共産主義以前の中国の美しさと善良さを復活させるもの。物語や伝説を表現するパフォーマンス、鮮やかな衣装や背景、東西文化を融合したオリジナルのオーケストラ音楽など。現代劇の中では、中国でいまだに続いている法輪功迫害の邪悪さを表現し、同時に、迫害に対する法輪功学習者の確固とした信念を表し、観客たちを震撼させている。神韻は毎年、世界のトップ劇場で公演を行い、訪れる場所では、熱狂的な神韻ブームを巻き起こしている。