【中国の浸透工作】 「国防動員法、常時発令中」中国帰化人の出馬めぐり在日華人が警鐘

時事

今夏の参議院議員選挙では、「NHKから国民を守る党」から出馬予定だった中国系帰化人の原田優美氏が公認取り消しとなった。彼女は中国大使館と深い関係を維持していたと言われ、このような中国大陸出身者の国政進出の動きは、中国共産党の浸透工作が新たな段階に入ったことを意味する。こうした現状を憂慮する在日華人(日本国籍を持つ中国出身者)からも「帰化一世の被選挙権反対」との声が上がっている。

「愛国華人」の出馬騒動

原田氏は外国人専門の観光バス会社の経営者。福建省出身で、中国名は刘丹蕻という。中国政府系メディア「東南網」の日本エリアの責任者だ。

「今の中国共産党がやっていることが許せない」と立候補を決意したという彼女だが、「愛国華人」として中国での知名度は高い。中国大使館御用のバス会社を経営し、2020年2月には中国大使館からの依頼を受け、コロナ感染により横浜のクルーズ船に足止めされた中国人の送迎を行った。2018年8月にも台風21号の影響で関西国際空港で孤立した中国人を救助・搬送した。

同氏の出馬会見後、中国官製メディアはすぐ「史上初、日本国政選挙を挑む在日女性華人の誕生だ」と宣伝した。ツイッターで中国共産党の脅威について発信するユーザー・地蛋(データン)氏が原田氏と共産党の繋がりを投稿すると、大きな反響を呼び、NHK党の立花孝志党首は公認を取り消すことを発表した。

地蛋氏は一連の出馬騒動を巡り、原田氏の「共産党嫌い」という発言がそのまま鵜呑みにされたとし、「日本人は中国(共産党)のことをあまり知らなさすぎだ」と指摘した。

「帰化一世を候補として擁立する場合、最低限の身辺調査が必要だ」と地蛋氏は語る。「浸透工作に長けている共産党と、相手をそのまま信用する日本人はうまくマッチングし、今回の出馬騒動につながった」。

同氏はまた、中国国内に親族友人が多くいる帰化一世の被選挙権を規制すべきだとの持論を展開した。「中国共産党が国内にいる家族を人質に脅かしてきたら、(反共の)私でさえ抗うことのは難しい」と語る。

組織力で公職を狙う

改革開放政策が始まった1980年代から、中国では日本への渡航がブームとなった。原田氏の出身地である福清地域(福建省福州市に位置する県級市)には、古くから外国に出て商売を興す伝統がある。結束力が強い土地柄で、芋づる式で親戚や友人を来日させている。135万人の人口のうち、90万人が海外在住だという。日本在住の中国人で一番多いのも福清出身者だ。

原田氏は会社経営のかたわら、「㈱日中映像放送機構」 「㈱日興商事」 「一般社団法人 日本総商会」 「鋼絲善行団日本分会」の会長、「日本福建経済文化促進会」の副会長、「福建省僑聯海外聯誼会」の委員、「優美のお茶の会」の会長を兼務するなど、手広く華人華僑団体の活動に関っている。いずれも中国共産党の浸透工作のための団体だ。日中友好の名の下で、各団体は政治家や経済界の有力者を囲み、日本での人脈を広げている。

日本の公職に就くことの難しさは、中国共産党も認識している。中国国務院僑務弁公室のホームページ(HP)に掲載された2009年の記事では「在日外国人のなかでも中国人は人数が最多だが、ほとんどの人が政治に無関心で選挙に出る人は少ない」と触れた。その理由として「日本の選挙は地盤、カバン、看板が不可欠だ」とハードルの高さを挙げた。

地蛋氏は、原田氏が仮に出馬しても、対中感情の悪化などにより当選する可能性は低いと考える。いっぽう、「在日同郷人、自社社員とその家族、さらにはその知り合いから票を集めることは可能だ」とし、その動員力を軽視してはいけないと指摘した。

「国防動員法は常時、発令中」

中国で2010年7月1日に施行された『国防動員法』は、有事の際、18~60歳(女性は55歳)までの公民が動員されると規定している。中国国外に住む中国人も対象となりうるとの懸念が広がっているが、地蛋氏は、これも中国への認識の不足が原因だと改めて指摘した。

「国防動員法は常時、発令している。この法律がなくても在日華人華僑を必要に応じて動員している」

地蛋氏はその一例として、コロナ禍の最中で起きた在日華人華僑団体によるマスク買い集めを挙げた。

当時、中国ではマスクなどの医療物資が不足していた。原田氏が副会長を務める日本福建経済文化促進会のメンバーは「毎日、朝から御徒町周辺の薬局で並んでいた」(福建省華僑連合会のホームページ2020年2月15日付)。日本もマスクが不足し、枚数を制限して販売しているにもかかわらず、同じ薬局で複数回、列に並んだことを憚らずに語った。薬局のほか、病院で使用する医療用防護用具もネットなどから大量購入した

「わずか数日で62人のメンバーの協力を得て38078件を確保することができた」とその成果をアピールした。

北海道から九州に至る各地の在日中国人団体は国内の「呼びかけに応じ」、マスクの買い占めに参加した。同じ動きは米国やスウェーデンなど世界各地で展開されていた。

米シンクタンクは、各国で展開されているこのマスク爆買いは中国共産党統一戦線部が指揮をとっていたと指摘した。その後、世界各国は感染が拡大し、各国はマスクなどの医療物資が不足するという大混乱に陥った。

マスク買い集めで見せた在日華人華僑団体の高い組織力。地蛋氏は同法は「指示に従わない中国人を処罰するために作られた」と指摘。

中国統戦部の資料によると、世界各地には25000もの華人華僑団体が存在している。

日本人向けの啓発活動は不可欠

中国共産党の影響下にある団体や人物が跳梁跋扈する現状に対し、良識ある在日華人華僑は憂慮を示している。ツイッター上では「帰化一世の被選挙権に反対」「帰化者の投票権に反対」などの声が上がっている。

中国共産党の浸透工作を食い止める方法の一つとして、地蛋氏は、日本人向けの啓発活動が必要だと語る。「良識のある華人華僑は日本語で中国共産党の脅威を発信してほしい」「中国共産党を一番知っているのは我々だ」。

これまで中国国内向けに中国共産党の悪事を暴露し続けてきた地蛋氏だが、中国では活動の余地がもうほぼないという。「共産党は改良すれば良くなるともう誰も思っていない」。極端なコロナ対策、民営企業への規制強化で、絶望感に駆られた中国人は海外脱出を希望する。

「今は外国人を啓発する時代になった。外国人の覚醒は中国に波及し、中国共産党の崩壊に一助になるかもしれない」と同氏は期待を寄せている。

【引用記事】大紀元 https://www.epochtimes.jp/2022/11/109476.html

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