中国のインターネット上で最近、上海の警察官が男性市民を無理やり隔離施設に連行しようとする動画が話題となった。
5月11日に撮影されたこの動画では、男性市民は「接触の疑いがある者」を強制的に隔離することは違法であるとして、自宅隔離を要求している。白い防護服を着た警官が、「市政府の命令に従わなければ、処罰される。処罰の影響は一族三代に及ぶ」と男性を脅かした。
「私たちは最後の世代になる」と、男性は冷静に答えた。
この動画はネット上で拡散され、多くのネットユーザーの共感を呼んだ。「最後の世代」が人気検索ワードに上がった。
その後、この動画は削除されたが、警察官のアクセントからこの事件は上海での出来事だと推測されている。上海や他の地方で人々が警察と口論する様子を撮影した動画は、検閲によって中国のソーシャルメディアからほとんど削除されている。
中国では都市を封鎖するなど「ゼロコロナ」政策を過激な手段で実施しているため、市民の不満が高まっている。インターネットやSNSでは、上海の警察や防疫担当者が住民の家に押し入り、市民を殴って強制的に追い出したり、住民の部屋に大量の消毒液を撒いたりする映像が数多く出回っている。上海の封鎖は3月末から続いており、医療サービスを受けられず死亡する人や、収入が絶たれ自殺する人、食料品不足で餓死する人など、多くの二次被害を生んでいる。
「私たちは最後の世代」という言葉は、暴政に蹂躙されている市民の胸中を代弁したと評された。
人権派弁護士で華東政法大学法学院の元副教授である張雪忠氏はツイッターで、「男性の言葉から、深い絶望感が滲み出ている」と指摘した。「これは間違いなく、未来を奪われた若者のこの時代に対する最も強い非難である」と述べた。
ネットユーザーらはこの動画を転載し、「この夫婦は子供を作らないことで、当局の三人っ子政策に抗議を示している」「海外に行くつもりかもしれない」などとコメントしている。
また、あるユーザーは「三代だと?三代後に共産党がまだ存在するのか疑問だ」とコメントした。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は5月10日、中国の「ゼロコロナ」政策について、「持続可能とは思えない」と述べ、ウイルスが進化し感染力が強まっているため、別の対策に移行することが必要だとの考えを示した。
【引用記事】
・大紀元 https://www.epochtimes.jp/2022/05/106000.html
・NTDジャパン https://www.ntdtv.jp/2022/05/56727/
上海、偽りの封鎖解除 市民憤慨
上海市当局は5月16日の記者会見で、3月下旬から続いている都市封鎖について、段階的に規制を緩和し、6月1日から6月中旬にかけて、「正常な生産と生活を全面的に回復する」と発表した。しかし、翌日の17日にも上海では大規模なPCR検査が行われ、全面解除への見通しは不透明という。