中国・上海市は3月28日から、新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、市内を二つの区域に分けて順番にロックダウン(都市封鎖)を開始。封鎖中は外出の原則禁止、地下鉄やバスの運休、医療従事者や宅配業者など生活に必要な事業以外は出勤できなくなり、経済活動への影響が懸念される。3月27日深夜には物資を買い求める人が店舗に殺到し、庶民からは批判の声が上がっていた。
東西見分けて封鎖、住民2500万人にPCR検査
上海市中心部を流れる黄浦江を境に東西に分け、東部は3月28日~4月1日、西部は4月1日~4月5日封鎖することになり、封鎖中に上海市の全住民約2500万人を対象にPCR検査を行い、検査は主に集合住宅地ごとに実施するという。
日本外務省によると、上海市の在留邦人数は昨年10月時点で約3万8000人で、日本企業の拠点数は2017年の調査で約1万だった。
上海市はこれまで感染者が確認された地域を細かい住所単位で封鎖し、感染拡大を食い止めてきたが、3月中旬から感染力の強い変異株「オミクロン株」が広がり、3月27日の新規感染者数は3500人と過去最多を記録した。うち無症状感染者が約9割を占めた。
中国全体でも3月は感染が拡大し、深セン市などが都市封鎖した。上海市の場合は経済への影響が大きいため、都市封鎖はせず感染者が見つかった地区ごとに封鎖してきたが、感染に歯止めがかからず都市封鎖に踏み切った。習近平 国家主席は3月17日、感染を徹底して封じ込める「ゼロコロナ政策」の維持を改めて指示していた。
食料品の高騰に怒る庶民
上海の新規感染者が過去最高を記録し、3月28日から黄浦江を境界として、地区ごとの封鎖管理が始まるため、3月27日深夜には物資を買い求める人が店舗に殺到し、庶民からは批判の声が上がった。
あるネットユーザーは、上海市は感染状況を隠匿して多くを無症状感染者にカウントしているほか、さらには陽性の患者に対し陰性の報告書を出し、電話でしか陽性を通知していないと明かしている。
また、上海では仮設病院の大規模な建設 が行われ、当局は臨時隔離スポットだと説明している。現地の動画には、上海浦東三甲港に新しく仮設病院が建設され、浙江省と上海のコンテナトラックすべてを動員して、一度に1万以上の隔離部屋を運んでいる様子が撮影されていた。
上海浦東新区住民 謝さん
「上海の感染状況はひどいことになっている。現在は浦東が封鎖されている。昨晩8時に通知が来て、みんな食べ物を買いに行き、先を争って買った。値段もかなり上がったが、政府は何もしない」
上海浦東新区住民 申さん
「夜に買い物に出たが、値段が高騰していた。スーパーにも野菜市場にも行ったが、ジャガイモ500グラムが8元(約154円)で、それも今はもう買えない。今朝すでに封鎖されたので外出できない。警察がいる」
浦東新区住民の蔡さんは、自分が住んでいる居住区はもう半月も封鎖されて買い物にも出られず、当局は食べ物の問題に関与しないため、友人に頼むしかないと言う。
上海浦東新区住民 謝さん
「病院が開かないから彼らを死なせてしまった。私の居住区のある老人は、応急措置が間に合わず命を落とした。私は明日曙光医院に行って薬をもらってくる予定だったが、私たちの居住区は封鎖され、地下鉄も市バスも全部運休になってしまって行けなくなった」
【引用記事】
・読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/world/20220328-OYT1T50106/
・NTDジャパン https://www.ntdtv.jp/2022/03/55916/