「目を覚ます時だ」医師ら、中国共産党の臓器収奪に言及

人権

法輪功学習者やウイグル人、その他良心の受刑者などから生きたまま臓器を摘出する。この前代未聞の犯罪に手を染める者だけでなく、「沈黙」も共犯となるー。中国の臓器狩りに詳しい弁護士や医師らは3月23日、国連人権理事会で開かれたオンラインイベントに出席した。中国共産党が主導する臓器狩りがあまりにも長い間野放しにされてきたと指摘した。

中国共産党(中共)による強制臓器摘出は2006年に初めて明るみになった。中国北東部で働いていたアニー(仮名)と名乗る女性が、医師だった元夫が勤務先の瀋陽市蘇家屯病院で横行していた臓器狩りの実態を大紀元に証言した。2003年までの2年間、元夫は2000人あまりの法輪功学習者から角膜を摘出したという。

法輪功は、1992年中国で伝え出された気功で、身体の健康と道徳心の向上に顕著な効果があったため、わずか数年の間に1億を超える人々に愛好されるようになった。1999年7月20日、当時の江沢民国家主席は法輪功の爆発的な人気に強く嫉妬して、「名誉を失墜させ、財力を奪い、肉体を消滅させよ」との方針を定め、法輪功に対する大規模な弾圧政策を実施した。今なお、その迫害は続いている。

中国共産党への希望が裏目に

臓器狩りが明るみになってから16年が経過した。いまだにこの蛮行を阻止する取り組みは進んでおらず認知度も低い。米国議会や欧州議会からは臓器収奪への非難決議がなされ、移植ツーリズムを禁ずる国もある。しかし、加害者の責任を問う法律は存在しない。

イベントに出席したユタ大学の消化器がん専門医ウェルドン・ギルクリーズ博士は強制臓器摘出について聞いたことのある医療関係者は5〜10%程度に留まると推測する。また、この問題を知っている人の中にも、自然に解決することを願いながら、受身でいる人が多いと語った。

中国当局は2015年、死刑囚からの臓器摘出を停止し、全国的な臓器提供制度を創設すると主張した。医学会には「中国共産党を信じて、協力と協調ができればという希望があった」という。これは中国が世界保健機関(WHO)に加盟したとき、世界がとったスタンスと同じだとギルクリーズ氏は指摘した。

「我々は道徳や価値観、医療倫理で中国共産党を説得することを望んでいた。しかし、その逆が起こってしまった」。ギルクリーズ氏によると、米国では9人の著名な医学者が中共との関係を隠蔽したとして、研究機関を去っている。

2020年に英国で開かれた中国民衆法廷では、中共による強制臓器摘出が停止したとの証拠はないと結論づけた。各国政府が調査を怠ったため「多くの人々の不必要な死を招いた」とも指摘した。

2006年からこの問題を追っているカナダの著名な人権派弁護士デービッド・マタス氏は、中共は「国際社会が望むように変化する」と強調してきたが、強制臓器摘出に関する調査すら行われていないと指摘。「しかし、国際社会は中国共産党に騙されたとは認めたくないだろう」と述べた。

2000年〜17年に発表された権威ある医学論文445本で、データとして用いられた臓器移植8万5477件のうち、86%は臓器が倫理的に入手されたとの証明はないことがわかった。この結果は2019年、オーストラリアの医療倫理研究グループの報告として英医学誌BMJ Openに掲載された。

金に目がくらむ

中共は政治・経済的な影響力を利用して、強制臓器摘出問題について口をつぐむよう圧力をかけている。

スペインの人権弁護士カルロス・イグレシアス氏は、10年前のある国連人権理事会で、1999年に法輪功弾圧を命じた当時の江沢民国家主席を非難する3分間のスピーチを行う予定だった。

しかし、議論の前に中共の代表が各国の席を回り「ノーアクション」と言うように仕向けていたという。中共は自らの犯罪を隠蔽するため、あらゆる力を使っていると指摘した。

臓器収奪の疑惑が浮上した翌年の2007年、フランスの外科医12人は嘆願書に署名し、当時の仏大統領に提出しようと計画していた。しかし「今中国について、このような問題を挙げるべきでない」とフランス政府から要請があったという。

また「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」などの医療倫理団体が少なくとも3回、フランスで臓器移植ツーリズムに関する立法措置を成立させようと試みてきた。しかしそのたびに政府は、臓器移植で海外に渡るフランス人は少ないと主張し、法成立を阻止してきたと、DAFOHのフランス支部ハロルド・キング医師は大紀元に語った。

2014年にDAFOHは、毎年300人のフランス人が同国の臓器移植待機者から消えている事実を把握しており、臓器移植のため中国に渡った可能性が高いと示唆した。

仏下院で討論「フランスが中国の臓器移植外科医を養成」

スペインでは2014年から2017年にかけてバルセロナ大学で中国の医師たちに臓器移植のトレーニングを行っていた。同大学は中共による臓器収奪について警告を受けていたという。イグレシアス氏は「論理的に支払われた商業契約であり、おそらく中国共産党のお金で行われたものだ」と指摘した。

「彼らは殺人の共犯者となる。この悪から離れなければならない。目を覚ます時なのだ」

【引用記事】大紀元 https://www.epochtimes.jp/2022/03/103365.html

 

人権弁護士ら、「臓器強制摘出防止法」制定を各国に求める

第49回国連人権理事会(UNHRC)の開催に合わせ、臓器狩りに関するサイドイベントがオンライン形式で22日から23日にかけて開かれた。出席した台湾の人権派弁護士で「強制臓器摘出の阻止と撲滅に関する世界宣言法律委員会」委員長を務める朱婉琪氏は、既存の国際機関はこの問題にほとんど取り組んでこなかったため各国が国家レベルで阻止しなければならなくなっていると、その緊急性を訴えた。

朱弁護士法案らが提案した「臓器強制摘出防止法」は、「本人同意のないまま臓器移植や臓器などの医療実験などを行うこと、金銭的な利益のために生きている人間から臓器や人体組織を取り出し、被害者に重症を負わせたり死亡させること」を「臓器狩り犯罪」と定義。これを犯した人物や組織に対して、各国が国内法で重罰を下すことを求めている。

朱氏は約10年前、中共による強制臓器摘出を非難するよう求める嘆願書を国連に提出したが、効果的な措置は取られていないと指摘。国連の機能が十分ではないなか、臓器狩りという残虐行為を一刻も早く止めるためには「良心を持つ一人ひとりが、あらゆる民主的・法的手段を取る」べきだと強調した。また「臓器強制摘出防止法」は「人間倫理の破壊を止めるための重要な救済策」であると述べ、世界各国による採択が不可欠だと語った。

「国連にいない台湾」から道筋

朱氏の提案に関連して、中国の隣国である台湾はすでにロードマップを提供している。2015年に台湾が臓器移植ツーリズムを明確に禁止する法律を成立させた。牽引したのは台湾の国家人権委員会委員で元立法委員(国会議員)の田秋堇氏だ。

田氏によれば現在、台湾では海外に移植を受けに行く患者に対し、国、病院、医師を登録することを義務付けている。違反した場合は、移植手術後に一生飲み続ける必要がある免疫抑制薬の国家保険を適用できなくなる。また、臓器収奪に関与した中国人医師のブラックリストを作成し、台湾への入国を禁止している。

この措置によって、中国への移植ツーリズムは大幅に減少したという。「強制臓器摘出は莫大な利益を生む。だからこそ(中国共産党が)自らそれに終止符を打つことはない」と指摘。人道に反する罪を止めるためにも「真実を追求する必要がある」と強調した。

また田氏は「国連に加盟したくてもできない」台湾からの要望として、国連人権理事会が「臓器強制摘出に関する調査団」を結成して中国本土調査を実施し、結果を公表するよう求めた。

沈黙

サイドイベントに出席した米国やスペイン、台湾からの現職議員や元議員は、この臓器摘出問題は秘密裏に行われているため、注目されていないと語った。

スティーブ・シャボット米下院議員は「この卑劣なやり方によって、中国はオンデマンドの臓器移植体制を維持することができている」「人類史上、最も野蛮な行為の一つ」と非難した。

欧州議会の人権委員会委員を務めるオランダの政治家ピーター・ファン・ダーレン氏は、4月1日に開かれる中国とEUの首脳会議で中共による「違法な臓器狩り」問題を最優先議題として取り上げるべきだと力説した。

医師や弁護士医療倫理を唱える人々によるパネルディスカッションでは、「沈黙」が繰り返しテーマとして取り上げられた。

「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」代表トルステン・トレイ氏は「中国では、善良であろうと努力する生きた人間が、臓器のために殺されている。この事実を知ってもみぞおちが痛まない人は、中国の法輪功学習者が毎日直面している恐怖を理解していないことになる」と述べた。

トレイ氏は過去23年間、中国共産党がこれらの行為を密かに行ってきたため、世に真相が明らかになっていないと指摘。「今、誰もがウクライナでの悲劇を見てショックを受けている。しかし、もし中国共産党が何十万人もの人々から臓器を摘出している場面をSNSやテレビで流したらどう反応するだろうか」と付け加えた。

残忍な行為を知り「沈黙するのは中立ではない」とトレイ氏。「沈黙は、善を選択しなかったことを意味する」

【引用記事】大紀元 https://www.epochtimes.jp/2022/03/103316.html