北京五輪会場の目と鼻の先にある収容所…人権団体が収容所マップを公開

人権

大紀元(2022年2月9日)によると、ニューヨークを拠点とする人権団体「法輪大法情報センター」は北京五輪開幕に合わせて法輪功学習者たちが拘束されている収容所の地図を公開した。大会会場から数キロ先に法輪功学習者が拷問を受けているとされる収容施設が存在する。

五輪のテーマ「ワンワールド、ワンファミリー(一つの世界、一つの家族)」は中国共産党が過去数年間、世界の舞台でたびたび繰り返してきた党を中心とする「団結」の呼びかけに似る。

人権擁護団体らによると、この「華やか」な大会を利用して、中共は五輪会場からほんの数キロ離れた場所で行われている拘束や拷問などの弾圧行為を覆い隠そうとしている。

ニューヨークを拠点とする人権団体「法輪大法情報センター」は北京五輪開幕に合わせて法輪功学習者たちが拘束されている収容所の地図を公開した。大会会場から数キロ先に法輪功学習者が拷問を受けているとされる収容施設が存在する。

法輪大法情報センター広報の張而平氏は、オリンピックの栄光と迫害現場が近接していることは「中国共産党の悲劇的で欺瞞的な支配を浮き彫りにしている」と指摘。

「何の罪も無い多くの法輪功学習者たちを虐待や拷問が行われる環境に拘束しながら、オリンピックを開催する大胆さと国際的な影響力を持つ政権は、地球上に他には存在しない」

五輪会場と収容所

法輪功学習者を拘束している6つの収容施設は、2月5日にスピードスケート競技が開始された北京国立スピードスケート競技場から、およそ16キロ〜32キロ離れた場所に存在する。

法輪大法情報センターのリーバイ・ブラウデ事務局長は「北京国立スピードスケート競技場の東、22キロ先には法輪功学習者がいる収容所が存在し、うち1人は少なくとも9年間投獄されている」と大紀元のインタビューに答えた。

地図の完成には1カ月をかけた。多くの施設は外部からの監視を避けるために公称と私称を持ち、住所も2つ存在する。中には労働収容所として機能しながら、奴隷労働ビジネスを隠すために副名称を採用しているところもあるという。

法輪功に対する残虐な迫害に関する長年の研究にもかかわらず、施設を視覚的に見ると衝撃を受けたとブラウデ氏は語った。

ヤンキースタジアムに行ったついでに、セントラル・パークのどこかにある収容所まで歩いていくようなものだ

 

ブラウデ氏は迫害を受けている複数の学習者の事例を挙げた。その1人が国を代表する国立科学機関、中国科学院の光化学研究所で修士号を取得した50歳の時邵平氏だ。

法輪功学習者の時邵平氏(明慧ネット)

時氏は2019年11月に自宅で身柄を拘束され、懲役9年の不当な判決を宣告された後、北京市第二刑務所に送られたという。

時氏は以前にも法輪功を理由に10年の懲役刑を受けている。法輪功情報サイト「明慧ネット」によると、数年間にわたって毎日20時間、小さな椅子に座るよう強制されたり、一カ月間トイレに行くことを禁じられることもあった。拷問が行われた施設は法輪大法情報センターが公開した地図にも載っている。

北京国立スピードスケート競技場から25キロ離れた場所には、画家の法輪功学習者・許那氏が先月まで収容されていた北京女子刑務所がある。180度開脚させられ、3人の受刑者が足や背中に圧力をかけ続けるなどの数々の拷問を受けてきた。同氏はこれまで2度、合わせて8年の不当な懲役刑に服している。

許那氏の夫でミュージシャンの于宙氏も2008年北京五輪前に拘束され、拘置所で拷問を受け10日後に命を落とした。

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明慧ネットによると、過去2年間で3万1000人以上の法輪功学習者が不当に逮捕されたり、嫌がらせを受けている。うち約1800人が実刑判決を受け、200以上が拷問などにより死亡した。しかし、中国からの公式情報の入手が困難なため、人権問題の専門家は判明している死亡数は氷山の一角に過ぎないと指摘する。

強制労働

許那氏(法輪大法情報センター)

2016年にニューヨークに逃れた劉吉英(音訳、Liu Jiying)氏によると、スピードスケート競技場から約20キロ離れた場所には、劉氏が2001年に前出の許那氏と初めて会った未成年矯正施設少年「少年犯管教所」があるという。この施設は地下が強制労働施設となっており、拘束者たちは強制労働を強いられていた。その後、2人は北京女子刑務所に移送され、劉氏は8年、許氏は5年の実刑判決を言い渡された。

各刑務所ではそれぞれ「仕事」が割り振られていた。許氏には靴底の縫製など、最も過酷な労働を深夜2時まで強いられることもあった。劉氏は、輸出用のセーターやスカーフの製造作製や切手アルバムの組み立てなどをしていた。1日に約1万本の割り箸を包装しなければならないこともあったという。話すことは禁じられていたが、劉氏は一度だけ、許氏に親指を立てて励まし合ったことがあったという。

現在67歳の劉氏は、製造現場の衛生状態は悲惨なものだったと語った。割り箸には靴で踏まれた跡がついていることもあった。北京女性刑務所で綿棒をビニール袋に詰めている際には、小さな虫が這い出てきたという。綿棒には「消毒済み」と書かれていた。

「割り箸を使って食事をするとき、皆清潔なものだと思っているだろう。誰がその製造過程を調べたりするのだろうか」と彼女は語った。

再びの拘束

北京冬季五輪を3週間後に控えた1月14日、許氏は中国国内の中共ウイルス(新型コロナ)感染拡大の情報を大紀元に提供したとして8年の有罪判決を言い渡された。ニューヨークで許氏への判決を知った際、劉氏は言い知れぬ悲しみを覚えたという。

「彼女はすでに8年服役し、これからさらに8年服役するなんて…」と劉氏は言葉を振り絞った。

劉氏の友人には、当局の圧力に屈することなく法輪功を捨てなかったため、12年の刑期を言い渡された者もいた。この女性が逮捕されたとき、息子はまだ生後9か月だったという。彼女が釈放されたとき、息子は母親と認識することができなかった。

「私たちが何をしたというのか?違法なことは何もしていない。法律を破っているのは彼ら(中国共産党)なのに」と劉氏は訴えた。

2度の北京五輪で起きた悲劇は、中国共産党の体制が全く変わっていないことを国際社会に示しているとブラウデ氏は言う。

「人々は北京の高層ビルやスターバックスを見て『これが新しい中国だ』と思うだろう。文明化されていると…」

「オリンピック会場が収容所のすぐそばにある。そこには信仰のために投獄・拷問されている人々がいる。中共の欺瞞と偽善は明らかだ」とブラウデ氏は述べた。

【引用記事】大紀元https://www.epochtimes.jp/p/2022/02/86151.html