北京冬季五輪『外交ボイコットでは生ぬるい』米超党派議員ら強硬措置求める

人権

2月4日の北京冬季五輪開催まで日が迫るにあたり、米国の超党派議員たちは中国共産党(中共)による臓器強制摘出など人道に対する罪の重さを強調し、各国が人権問題において強い姿勢で臨むよう呼びかけている。米政府のサキ報道官も、あらためて北京冬季五輪に政府代表団を送らない“外交ボイコット”を行うと明言した。

 

中日新聞(2022年1月8日)によると、米バイデン政権が「外交ボイコットでは生ぬるい」との逆風にさらされており、米政府のサキ報道官は、あらためて2月の北京冬季五輪に政府代表団を送らない“外交ボイコット”を行うと明言。1月7日の米放送局FOXニュースなどが報じた。

「参加する米国のアスリートは、われわれ(米政府)の全面的なサポートを得る。しかしながら、大会のファンファーレを鳴らす(中国政府の五輪による国威発揚)ことに加担はしない」
さらに「新疆ウイグル自治区における中国の甚だしい人権侵害と残虐行為にもかかわらず、外交官や政府代表団は、今回の大会を“平常業務”と捉えるだろう。そして、われわれは断じてそう(捉えること)はできない」と、人権侵害を容認しない点を強調した。だが、米政府内でも共和党議員を中心に、さらなる強硬措置(開催地の変更など)を求める声は多い。

米共和党のコットン上院議員は昨年11月18日の記者会見で、法輪功学習者や少数民族への迫害や収監者の臓器強制摘出など中国共産党が犯した人道に対する罪を並べ、五輪開催国としての資格に疑問を呈していた。こうした問題からコットン議員は北京冬季五輪を「ジェノサイド・オリンピック」と呼び、外交的ボイコットは「弱すぎるし遅すぎる(too little, too late)」と指摘。また、すべての代表選手や関係者、米スポンサー企業らを含めた完全なボイコットを呼びかけていた。

「外交ボイコット」については、昨年12月6日、米政府のサキ報道官が、新疆ウイグル自治区を含む中共の人権問題に対する抗議として、2022年北京冬季五輪に外交使節団を派遣しないと発表した。サキ報道官は記者会見で、中共政権が「新疆ウイグル自治区でのジェノサイドや人道に対する罪、そして他の人権侵害を続けている」ため、「2022年の北京冬季五輪・パラリンピックにいかなる外交・公式代表も派遣しない」と述べた。

なお、今回の「外交的ボイコット」は大会参加を予定している選手に影響はないとし、「この瞬間のためにトレーニングしてきたアスリートにペナルティを科すのは正しい判断ではないと思う」「私たちは選手団を全面的に支援していく。米国から全力で応援する」とサキ報道官は述べた。ホワイトハウスの発表後、下院外交委員会の議長を務めるグレゴリー・ミークス議員は、「絶対的に正しい決定」を下したとして政府の判断を支持した。「国際社会は、中国がウイグル人や他の少数派に対する残虐行為を粉飾するのに手を貸すべきではない」と述べ、他の国々も追随するよう呼びかけた。

米国が北京冬季五輪の外交ボイコットを決定した後、英国やオーストラリア、カナダなども追随している。日本は政府代表団こそ派遣しないが、同時に“外交ボイコット”の文言は用いないと発表し、中国側に配慮した。

米国において、中国の人権問題については、ウイグル人権法に基づく制裁や、強制労働に関わる輸入規制、人権侵害支援・寄与企業の Entity List 掲載等の措置が採られてきた。チベット人権法は、ウイグル人権法とは別途、超党派の議員によって提出され、2020年12 月 21 日に上下両院が可決し、同 27 日に大統領が署名、成立した。
米国大統領選後に打ち出された米議会・政府による対中規制・政策及び中国側の措置

最近では、バイデン米大統領が12月23日、新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族らの強制労働によって生産された製品の米国内への輸入を禁じる「ウイグル強制労働防止法案」に署名し、同法が成立した。
朝日新聞デジタル「米でウイグル強制労働防止法が成立 製品の輸入規制、日本にも影響か」

また、共和党のスコット・ペリー米下院議員は昨年12月16日に「the Falun Gong Protection Act(法輪功保護法)」案を提案し、このほど、米議会の公式サイト「congress.gov」に公開され議会審議に入ったと発表された。22年間も続く中国共産党による法輪功迫害を停止させ、臓器狩りの最大の犠牲者である法輪功学習者を保護することを目的としたものだという。

【関連記事】米議会で「法輪功保護法案」の審議開始

人権を蹂躙する中共政権に対し、国際社会の更なる対中制裁を強化し、法輪功やウイグルなどに対する迫害の即時停止を実現しなければならない。

【引用記事】
・大紀元https://www.epochtimes.jp/p/2021/12/82836.html
・大紀元https://www.epochtimes.jp/p/2021/12/83000.html