12月16日、北京の有名な弁護士・梁小軍氏は、中国当局から正式に弁護士資格を取消された。北京市司法局が彼に対して発行した行政処罰決定書は、中国共産党(中共)による法輪功への迫害の証拠となった。米国の中国人権弁護士である呉紹平氏は、梁小軍氏の弁護士資格取消し処分は違法であると大紀元時報に語った。
12月16日の夕方、梁小軍氏はツイッターに画像と一緒に次のように書いた。
「ついに来たか! 北京市司法局は退勤間際に「行政処罰決定書」の写真データをメールで私に送り付けてきた。」
北京市司法局の決定書は「違法」
北京市司法局が送り付けた写真データの処罰決定書は、梁小軍氏に対し「北京道衡法律事務所の所長兼常勤弁護士として、『法輪功』はX教のような性質のものではないと繰り返し否定し、『法輪功』を支持するなど国家安全を脅かす発言をした。」と書いている。
米国の中国人権弁護士・呉紹平氏は16日、大紀元時報のインタビューを受け、梁小軍氏の弁護士資格取消し処分からも分かるように「いわゆる中国共産党が言っている法治は、全く存在しません。法輪功につけたレッテルも全て違法です」と述べた。
また呉紹平氏は、法輪功を特徴付ける内容を市レベルの司法局文書で見たのはこれが初めてだとも語った。「今は公安部だけではなく、国レベルのすべての政府機関は公文書の形式をもって法輪功をX教団体とは書きません。なぜ北京市司法局は勝手に決めつけるのですか?」
中共が法輪功に対して迫害を開始したのは1999年7月。当時国家主席だった江沢民は、法輪功の爆発的な人気に対する個人的な嫉妬心から、6人の政治局常務委員会メンバーからの反対にもかかわらず、法輪功に対して残虐な迫害を発動した。
法輪功に対する迫害は、22年経った今も続いている。しかし、今日に至るまで中央国務院と公安部が認定した14種類の邪教団体の中に法輪功は含まれていない。
呉紹平氏は、「法輪功が邪教であるかどうかは法律と事実をもって判断すべきであり、同時に議論の過程が必要です」と述べた。
呉紹平氏は、中国大陸で多くの法輪功学習者を弁護したことがあるという。「何度も法輪功学習者と接触したことがあります。彼らはとても平和で理性的なグループであり、信仰を堅く守っているグループです。法輪功学習者たちはただ真実を言っているだけであって、この真実こそが中共が最も恐れるものです。中共にとって、法輪功学習者たちが真実を明らかにすることは有罪になるわけです」と述べた。呉紹平氏は、法輪功に邪教のレッテルをつけたこと自体が犯罪であると指摘する。
米国務省は、「法輪功やその他団体に対して邪教のレッテルをつけた」ことに対して中国共産党を批判している。
・米国務長官「法輪功弾圧やめよ」 中国政府に要求
・【動画】米国務省「法輪功への迫害を即刻停止せよ」
米国国務省は、2017年度「国際宗教自由報告書」の中で、「2017年当局は、『邪教を利用して法の執行を破壊する』との名目で50人の法輪功学習者たちを逮捕起訴した」と指摘。
「中国共産党刑法は、逮捕した団体を『邪教』とし、そのメンバーは終身刑を宣告される可能性がある。中共は『邪教』としての明確な規定もなく、審査過程もない」と報告書は懸念を示している。
ワシントンDCの有名な非政府組織である「フリーダム・ハウス」は、法輪功には「邪教」の特徴がなく、国民を誤解させるために「邪教」とラベル付けしたという学者の意見を引用した。中国の宗教を研究する有名な学者であるデビッド・オウンビー氏は、中共は非常に巧妙なやり方で法輪功人気と中国国外での法輪功グループの活動力を無くそうとしている」と述べた。
12月14日、梁小軍氏に対する弁護士資格取消し処分の公聴会で、梁小軍氏の弁護を担当した謝燕益弁護士は、弁護文書の中で中国当局の法輪功に対する迫害は間違っていると指摘した。謝燕益弁護士は、「刑法300条を用いて法輪功に罪名を付けたのは間違いであり、法的に規定された罪と罰の原則に背いている。さらには、信仰の自由、言論の自由及び国民主権、人権保護、法治国家の根本制度と基本原則に違反している」と強く反論した。
過去10年間、梁小軍弁護士は、法輪功などの多くのデリケートな事件の代理人をしてきた。典型的な事件には、北京の画家で法輪功学習者でもある許那さんら11人が中共当局によって逮捕された事件が含まれる。
許那さんは、北京での新型コロナウイルス流行に対する中国当局の厳しいロックダウン措置の様子について、写真やその他情報を大紀元時報に送信したとして、2020年7月19日、自宅で逮捕された。
許那さんの事件を担当した後、2020年11月25日、梁小軍弁護士はツイッターに次のように投稿した。
「2008年・・・許那さんと彼女の夫・于宙さん(有名なミュージシャンで法輪功学習者)は一緒に逮捕され、北京通州拘置所に拘留された。数日後、于宙さんは拘置所で亡くなった。数ヶ月後、許那さんは懲役3年の判決を受けた。これまでのところ、彼女は夫の遺体を見たことがなく、死因も特定できない。」
2008年1月26日夜、于宙さんはコンサートの後に妻の許那さんと帰路につくと、警察が突然、北京通州区留置場に連行した。彼の車の中で法輪功書籍「轉法輪」が捜索で見つかったことによるという。27日、警察4人は許那さんの実家の財産を没収し、さらに妹の家財も没収した。さらに、許さんの家族に外国の記者に話すことを許さないと脅した。
11日間の不法拘束の末、2月6日(大晦日)に、42歳だった于宙さんは迫害され死亡した。彼は家族との最後の面会も許されず、妻の許那さんは于宙さんの葬儀に参加することさえ許されなかった。
許那さんは迫害で死に至った夫のために裁判を起こした。しかし、2008年11月25日、北京市崇文区裁判所は法廷で、許那さんに対して不法に3年の刑罰を下した。
・「アウシュビッツの方がまし」アーティスト夫婦を襲った中共の迫害
「弁護士の義務は、依頼人の法的権利を保護するためであり、中国共産党の棍棒ではない」
北京市司法局の決定書には、「弁護士は中共の指導を擁護すべきである」と明記しており、呉紹平弁護士は「これは完全に弁護士に課せられた政治的足枷です。党に忠実であり、共産党体制及び独裁を擁護するよう強要しています。これこそがこの決定書の本当の目的です。つまり、中共は弁護士を、中共を守る機械と棍棒の扱いをしています」と批判した。
「良識のある弁護士として、特に人権派弁護士は、これらの扱いは納得しません。弁護士はまず人間であり、党の棍棒ではありません。それ(中共)は弁護士を中共の棍棒として作り上げようとしています。」
北京市司法局はまた、梁小軍弁護士に対する決定書の中で、梁小軍弁護士は「マルクス主義を『馬毒』と呼んでいる」とし、これは国家安全保障を危険にさらす行為であるとした。これに関して呉紹平弁護士は、「彼(梁小軍弁護士)は、マルクス主義は『馬毒』と言ったのは、まったくその通りで間違っていません。とても正しいです。中共は国民を邪悪の道へ誘導しているではありませんか」と指摘した。
「このような社会主義の政治体制や国は、間違いなく巨大な人権災害に見舞われるでしょう。事実がすでに証明しているようにマルクス主義が世界にとって毒であり、東ヨーロッパの多くの国は、マルクス主義を放棄し、社会主義を放棄して、文明社会へ向かっているのです。」
北京市司法局による梁小軍弁護士の弁護士資格取消し処分の背後にある理由に関して、呉紹平弁護士は「梁小軍弁護士が法輪功案件の代理人をしただけでなく、他の機密の権利保護案件の長期的な代理人をしたためでもあると信じています。 例えば、2019年12月に発生した『厦門集会事件』です」と述べた。
法学者の許志永氏がこの事件で逮捕され、梁小軍弁護士が彼の弁護人だった。梁小軍弁護士は12月16日、ツイッターで「許志永博士を弁護できなくなったことを残念に思う。許志永博士との最後の会談の前の正午に、北京市司法局から写真データの事前通知を受けた」
また梁小軍弁護士は、唐吉田弁護士の所在を見つけるために彼の親戚から委託される予定だったと述べた。唐吉田弁護士は12月10日に北京でEU代表団が主催する「世界人権デー」イベントに参加する予定だったが、午後に連絡が途絶えてしまったという。
12月14日、北京市司法局は、北京法務サービスセンターで梁小軍弁護士の弁護士資格取消し処分の公聴会を設けたが、それは形式に過ぎなかった。
公聴会の後、梁小軍弁護士は、「北京市司法局は自分たちの都合の良いように解釈して私が国家安全を脅かしていると非難しており、何を言っても無駄です。人生はまるでドラマのようなもので自分の役をしっかり演じなければなりません」とツイートした。
12月15日、梁小軍弁護士はツイッターで、画家で法輪功学習者の許那さんと会うために拘置所に急いだと述べた。「彼女は私のことを気にかけていて、いつも私の状況について尋ねています。これはお別れの面会です」
中国では法輪功学習者の弁護を引き受けた弁護士の多くは迫害を受けている。
2005年高智晟弁護士も、当時の胡錦濤国家主席宛の公開書簡を発表し、法輪功学習者の合法的な権利が保障されておらず、弾圧を中止するよう求めたことで、弁護士資格を剝奪された。高氏は国家政権転覆罪で懲役刑3年に服した後、2017年から現在もまだ所在が不明となっている。
【関連記事】
「ノーベル平和賞候補の高智晟弁護士、失踪から3年」https://fkms.jpn.org/blog/archives/2465
2015年7月9日に起きた人権派弁護士一斉拘束事件で逮捕された多くの弁護士は、法輪功学習者の弁護を引き受けたことがある。
【関連記事】
「対立深まる米中 “民主主義サミット”の裏で 人権派発言を警戒し徹底監視=中国」https://fkms.jpn.org/blog/archives/5565
【引用記事】
・https://www.epochtimes.com/b5/21/12/17/n13442432.htm