中国テニス・彭帥さん、性的暴行否定 海外メディア取材

人権

中国のテニス選手・彭帥さんが張高麗・元副首相からの性的暴行を暴露した後の安否について、国際社会が引き続き注目している中、海外メディアが彭帥さんとのインタビューを公開した。しかし、カナダ亡命中の人権活動家は、当局によって公開された彭帥さんの写真とビデオは厳しい監視下で撮影されたものだと推測できると語っている。

 

女子テニスの元ダブルス世界ランク1位、彭帥さん(中国)は19日、誰かに性的暴行を受けたと非難したことはないとし、先月初めに行ったソーシャルメディアへの投稿は誤解を招いたとの見解を示した。

彭さんは11月、中国SNS「微博(ウェイボー)」で張高麗・元副首相に性行為を強要されたと投稿。張氏の妻も外で見張り役をし、手助けをしていたと告白した。彭さんの投稿は直後に削除され、それ以来約3週間にわたって公の場から姿を消した。国際社会では安否への懸念が高まり、北京五輪を控えた中国共産党は火消しに走ったとみられる。

ロイターによると、彭さんはシンガポール紙「聯合早報」が投稿した動画で、この問題について初めて公の場でカメラに向かってコメント。「まず最初に、非常に重要なポイントを強調する必要がある。私は誰かに性的暴行を受けたと言ったことも、書いたこともない」と語った。

この動画は彭さんが出席した上海でのクロスカントリースキーのイベントで撮影され、削除された元副首相に関する投稿については「プライベートな問題」とした上で「人々は多くの誤解をしている」と述べたが、詳細な説明はなかった。また、北京の自宅で監視無しで自由に生活していたと話し、元副首相についても触れなかった。

また、彭さんの処遇などからトーナメントの中国開催撤退を表明したWTA(女子テニス協会)のスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)に宛てた先月の手紙は自ら書いたものだとし、中国国営メディアによる英訳も正確なものだったとコメントした。

サイモン代表はこの手紙について、彭さんが実際に書いたものだとは思えず、性的暴行を否定するその内容の信ぴょう性にも懐疑的な姿勢を示していた。

ロイターは彭さんがソーシャルメディアに投稿して以降、連絡が取れていないという。

 

カナダに亡命中の人権活動家のリュー・シャーシャ氏は、中国当局による自宅軟禁と拘禁の経験に基づいて、当局によって公開された彭帥さんの写真とビデオは厳しい監視下で撮影されたものだと推測できると語った。

リュー・シャーシャ氏は、2011年中国民主党党員を支援し、何度も人々を率いて危険を冒してまで山東臨沂東師古村に不法に軟禁されている盲目の人権活動家、陳光誠氏を訪問したことで「中国良心賞」を受賞した。

その年の11月12日、ちょうど陳光誠氏が40歳の誕生日を迎えた日、各地のネット友が彼の地元を訪れたが暴力により阻止された。

陳光誠氏と彼の家族が、当局が実施した暴力的な「計画生育」と強制中絶政策に反対して受けた残虐な迫害と厳しい軟禁状態が国内外で人々の強い怒りを引き起こしていた。

中国共産党広報担当者は、ソーシャルメディア微博(Weibo)に陳光誠氏と彼の妻、そして母親の満面の笑みの家族写真を投稿した。写真には「陳光誠は奥さんの袁偉静と母親の世話のもとで、健康で、居食住の心配もなく生活は安定している。子供は近く小学校に通っている。」と説明があった。

実際のところ、これらの写真と写真の説明文は、国際世論の圧力を和らげるために中共によって強いられた見せかけの工作にすぎないことを証明している。

彭帥さんや陳光誠氏の身に起こったこのようなことはまだまだ沢山ある。

彭帥さんらが「出演」した「FISクロスカントリースキーチャイナシティツアー」で他のメディア記者がインタビューしたのか、彭帥さんのこのスポーツイベントへの参加が当局によって意図的に手配されたのかはまだ不明である。

これに先立って中国国営メディアの記者がツイッターに、彭帥さんが中国の有名なバスケットボール選手らと談笑する様子を公開している。

スタンフォード大学フーバー研究所の客員研究員である李南陽氏はVOAに、彭帥事件を中国の現象として単独で議論することを望まないと述べたが、北京当局による彭帥さんへの操作と取り扱いには中国独特の特徴があると述べた。

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https://www.epochtimes.jp/p/2021/12/83634.html