NBAスター選手がチベット人権問題で中共を非難 中国側の反応は?

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北京オリンピック・パラリンピック開幕まで100日を切った10月20日、全米プロバスケットボール協会(NBA)のスター選手が、ソーシャルメディアで習近平(シーチンピン)当局によるチベットへの弾圧を非難し、大きな関心を集めている。

カンター選手は20日、中国の習近平国家主席と政府に宛てた動画をソーシャルメディアに投稿。キャプションで「チベットはチベット人のもの」と訴え、習氏に対して「残忍な独裁者」と呼びかけた。動画内ではチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の肖像が描かれたTシャツを着ている。

カンター選手は「中国政府に対する私のメッセージは、チベットを解放せよということだ」「チベットはチベット人のものだ。私はここで声を上げ、現在のチベットの状況を非難する。それは中国政府による残忍な支配の下で起きている」と主張。「中国政府の残忍な統治の下では、チベット人に基本的人権も自由も存在しない」と語った。

また別の投稿では、「150人を超えるチベット人が焼身自殺している。そうした行動でチベットについての認識がより高まるのを願いながら。私はチベットの兄弟、姉妹の味方だ。彼らの自由を求める声を支持する」と語った。

ニューヨーク・ニックスとの開幕戦のためコートに現れたカンター選手は、側面にチベット解放のメッセージが大書されたシューズを着用していたという。

カンター選手は、トルコのイスラム宗教学者で社会活動家のフェトフッラー・ギュレン氏の薫陶を受けた反共イスラム活動、人権活動家としても知られている。トルコではエルドアン大統領を政権から引きずり降ろそうとした2016年のクーデターに関与したとして現政権から国際手配されている。暗殺されそうになったことすらある筋金入りの活動家だ。

 

一方、中国外務省の報道官は21日、カンター選手について、「注目を集めようとして」おり、そのコメントに「反論する価値はない」との見解を表明。「このような攻撃でチベットの発展と進歩を貶(おとし)めるのは決して容認しない」と述べた。

中国のソーシャルメディアにはファンがコメントを寄せ、カンター選手やセルティックスを非難している。テンセント・スポーツのウェブサイトは今後もセルティックスの試合を配信しない意向を示唆した。

中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」にあるセルティックスのファンページは、今後セルティックスの情報を掲載せず、更新も停止すると表明した。

中国でのバスケットボールの人気は高く、NBAの観戦者数は8億人いるとされる。中国の巨大市場は米国のスポーツビジネスにとって切り離せない存在だ。一方、米国ではチベットや少数民族ウイグル族の人権侵害、香港の民主派の弾圧などに批判が強まっており、企業が立ち位置に苦慮する場面が増えている。