北京の陳情窓口機関に1万人殺到か、「中国の法律はすでに死んだ」

時事

大紀元(2020年11月14日)によると、中国共産党の圧政下で、理不尽な扱いや抑圧を受けている中国人が増えている。ネットユーザーが提供した映像では、このほど北京市にある国家信訪局(国民の不服や上申、告発、陳情を受け付ける政府機関)に約1万人以上陳情者が殺到したという。

同映像では、国家信訪局の前に全国各地の陳情者が長い列に並んだ。撮影者は動画の中で「(並んでいる人は)1万人に上りそうだ」と話した。もう1本の映像の中では、天津市から来た陳情者は、国家信訪局に入ってはいけないと知らせられた。撮影者は「天津市で(中共ウイルスの)感染が拡大しているから、私たちは列に並んでも、追い払われた」と言った。

陳情者が列に並んでいても、地元の政府職員に地元に連れ戻されることがよくあるという。江蘇省南通市の陳情者、夏明礼氏は、国家信訪局の入口で最近、同局の警備員と地方政府の職員に立ちふさがれたと大紀元に話した。

中国の民事訴訟法に詳しい馬志文氏によると、地方政府が国家信訪局の職員を買収した場合、この地方出身の陳情者が「いくら列に並んでも、信訪局に入ることができない」という。

各地の陳情者が中央政府に対して直訴できるように、昼夜を問わず、国家信訪局の前で並んでいる。

江蘇省無錫市の陳情者である周小鳳氏は、「去年、国家信訪局に60回以上行った。北京にいた時、雨風の中でも、気温がマイナス十何度になっても、毎日信訪局の前で並んでいた。ほかの陳情者もみんなこうしている。夜中に並ぶ人もいる。こうしなければ、信訪局に入ることできない。人が多すぎるからだ」と語った。

また、馬志文氏は、「陳情者が朝8時に国家信訪局の前で並びはじめても、夜になって入れないことが多い。だから、次の日、もう1回並ばなければならない。ここで並んでいる間に、トイレにも行けないのだ。並んでいる間に倒れたら、将棋倒しが起きて死傷者が出る恐れがある」と指摘した。

陳情者によれば、国家信訪局に入ると、3つの政府陳情窓口がある。1つ目は国家信訪局の窓口。2つ目は党中央規律検査委員会国家監察委員会の告発受付窓口。3つ目は全国人民代表大会(国会に相当)の受付窓口。

「陳情者が各窓口で簡単な書類に記入するだけだ。国家信訪局は、書類を地方の信訪部門に転送するだけだ。陳情者が国家信訪局の職員にもっと説明しようとしたら、直ちに追い出される。職員の態度に怒り出す陳情者がいたが、その場で逮捕された」と馬氏は話した。

遼寧省の陳情者の劉華氏は「最近、国家信訪局に行っていない。直訴をしても無駄だ。国家信訪局に行っても、拘束されるだけだ。中国の法律はもうとっくに死んだ」と嘆いた。劉氏と夫は20年前、地方政府の違法な土地売却を告発し、他の村民たちと抗議活動を行った。地方政府の不正を中央政府に訴えようと、国家信訪局に複数回行ったが、地方政府の報復を受けて、強制収容所に入れられた。劉氏は「地方政府と中央政府はグルだ」と話した。

動画の中である男性高齢者が、自身の遭遇を話した。男性は過去27年間、国家信訪局に直訴し続けてきたが、政府は耳を傾けることがないと訴えた。「昔、匪賊は山の奥にいた。今、匪賊は政府機関にいる」と中国共産党を非難した。