オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は4日の記者会見で、「過去40年の米外交で最大の失敗は対中政策だ」と述べ、中国、イラン、ロシアが米国の大統領選挙を妨害しようとしていると指摘。中でも「中国による米政界への工作が最も活発で大規模」と非難した。
米国大統領選挙を妨害しようとする中国共産党政権
米ホワイトハウスのロバート・オブライエン(Robert O’Brien)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、中国、イラン、ロシアを挙げ「この三つの敵国が米国の大統領選挙を妨害しようとしている」と指摘。中でも「中国による米政界への工作が最も大規模」と強調し「介入しようとすれば深刻な結果を招く」と警告した。
オブライエン氏は9月はじめ、11月に控える米国大統領選挙の安全保障にとって最大の脅威は、ロシアではなく中国だとしたが、ウィリアム・バー司法長官の見方に「100%」一致するという。
米国家防諜安全保障センター(NCSC)のウィリアム・エバニナ(William Evanina)長官は7月、中国政府は米国の政策の変化を試みており、政界関係者に圧力をかけ、中国への批判を弱めるなど、影響力を強めていると述べた。エバニナ氏はその後、トランプ政権が対中国強硬姿勢を維持していることから、中国政府はトランプ氏が選挙で負けることを望んでいるだろうと述べた。
中国が米国の選挙や政治に干渉しようとする試みは、ロシアの手法とは異なり、経済的インセンティブや強制力を利用して、企業や政治エリートに影響を与えようとするものである。さらに、中国の野望は一度の選挙にとどまらないという。
過去40年間における米国の対中政策
オブライエン氏はまた、米国の対中政策を「過去40年間における米国の外交政策の最大の失敗」と表現した。
オブライエン氏によれば、民主党の 「理屈」は、中国は豊かになればなるほど自然に民主的になるということだと述べた。「知的財産を盗んだり、不公正な取引を行ったり、隣人をいじめたりするといった中国の悪質な行為には見て見ぬ振りをした」と、9月4日のホワイトハウスの記者会見で述べた。
しかし実際には、物事は反対に傾いていった。「中国の人権侵害はここ数年でますます悪化している」として、ウイグル人や他の宗教的少数派に対する共産党政権の虐待、香港の自由の破壊、台湾への攻撃的行動を挙げた。
さらに、中国政府は米国に取って代わり経済大国になることを目的に、米国の知的財産を盗むための計画を主導していると付け加えた。
「中国の対米活動は容赦ない」とオブライエン氏は言った。「こうした活動は見たことがない。ソ連との冷戦時代はそうではなかった」
トランプ政権は、中国による技術がもたらす安全保障上のリスクから、南シナ海への軍事攻撃にいたるまで、さまざまな面で北京との戦いを加速させてきた。
オブライエン氏は、トランプ大統領は40年ぶりに中国に立ち向かった大統領だと評し、トランプ政権が中国政府の不公正な貿易慣行や米国の知的財産の窃盗、人権侵害に直面して「強硬な措置」を取ったと述べた。
【参考資料】
・大紀元「中国が米選挙妨害に 「最も積極的」 =オブライエン米安全保障担当」
(2020年9月6日)
・産経新聞「米大統領選介入、中国が最も活発 米高官が批判強める」
(2020年9月5日)