習政権、バイデン氏に祝意送らず 「勝利確定」報道に流されないのは誰か?

時事
ワシントンの国務省でジョン・ケリー米国務長官(当時)が主催した歓迎昼食会で、ジョー・バイデン米副大統領(当時)と中国の習近平国家主席が乾杯のグラスを交わした=2015年9月25日(Paul J. Richards/AFP via Getty Images)

米大統領選の開票作業がまだ続いている中、バイデン候補は複数の米メディアの協力を得て「勝利」を宣言し、日本、英国など多くの国から祝意を受け取った。しかし、中国の習近平国家主席からは公式声明が出ておらず、ロシア、メキシコなども祝意を表明していない。現職のトランプ大統領は敗北を認めず、複数の州でバイデン陣営の不正投票に対して訴訟を起こしている。

大紀元(2020年11月11日)によると、米大統領選はまだ決着がついていないものの、バイデン候補は複数の米メディアの協力を得て「勝利」を宣言し、多くの国から祝意を受け取った。そんな中、米中貿易戦争でトランプ政権と激しく衝突した中国政府の動向が注目を集めている。

開票作業はまだ続いている。現職のトランプ大統領は敗北を認めず、複数の州でバイデン陣営の不正投票に対して訴訟を起こした。

こうした状況下で、英国、ドイツ、イタリア、アイルランド、フランス、欧州連合、カナダ、インド、日本、イラク、アラブ首長国連邦などの首脳らがバイデン氏に相次いで祝電を送った。多くの国の指導者がバイデン氏に祝意を送るのは、見方によれば、「どちらの肩を持つか」という含みもある。

トランプ米政権は対中強硬姿勢を強めている。それに対し、バイデン一家が中国企業から莫大な利益を得ていたとの疑惑が相次いでいる。誰が米大統領に就任するのが中国共産党政権にとって都合がいいのかは明らかだ。中国の習近平国家主席からバイデン氏への祝電が遅れていることが、憶測を呼んでいる。

現時点で、中国政府は米大統領選について公式声明を出していないが、国営メディアは喜びを隠さない。中国共産党の機関紙「人民日報」は11月7日、トランプ氏のツイートをあざ笑うような絵文字でリツイートした。ネットユーザーから批判が集まり、揶揄され、このリツイートはまもなく削除された。

時事評論家の鐘原氏は9日、大紀元に寄稿し、「米選挙前、中国国営メデイアは、バイデン氏への支持を明確に表明していた。​しかし、バイデン一家と中国共産党との取引をめぐる一連のスキャンダルが相次いで暴露された後、中国国営メデイアは関連報道を否定も批判もせず、急に低姿勢になった。​米大統領選の開票後、バイデン氏の勝利確定を報じていない」と、同メディアの異変を指摘した。

​鐘原氏によると、中国国営メディアの姿勢は、間違いなく中国共産党上層部の姿勢だ。少なくとも今のところ、習主席はバイデン氏を祝う気はない。​しかし、習氏の態度は公正な選挙を望んでいるのではなく、米大統領選の不正操作の詳細を把握している可能性があると分析した。

「勝利確定」に流されないのは誰か

メキシコのロペス・オブラドール(Lopez Obrador)大統領は7日記者会見で、トランプ氏の法廷闘争が終わるまでは祝電を送らないと明した。同氏は、米大統領選の結果について「軽はずみな行いではないし、軽はずみにすべきではない」と述べ、「米国民の自己決定の権利」を尊重する必要性を強調した。

ブラジル政界からバイデン氏への祝意が相次いだにもかかわらず、ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は依然として沈黙を守っている。複数のブラジルメディアが政府筋を引用し、ボルソナロ政権は、トランプ氏の法廷闘争の結果が判明するまで、バイデン氏の勝利を認めないと報じている。

一方、メラニア・トランプ米大統領夫人の母国、スロベニアのヤネス・ヤンシャ(Janez Jansa)首相は大統領選当日の3日、トランプ氏の再選を祝福した。ヤンシャ首相は7日、自身のツイッターに「面白い。米国の各州で選挙訴訟が起きており、裁判所はまだ判決を出していないのに、主要メディアが先に勝者を宣言し、各地から祝福の声が上がっている」と投稿し、バイデン氏の当選を確実にした米メディアを批判した。

7日朝、ニューヨーク・タイムズ紙やCNNなどは、複数の州で開票作業がまだ終了していない状態で、バイデン氏の当選を発表した。一時、ほぼすべての主要報道機関は一斉に関連ニュースを流した。

不確実な情報が飛び交う中、英文大紀元は6日の声明で、すべての結果が証明され、法的紛争が解決するまでは、大統領選挙の勝利宣言を報道しないと述べた。

米保守系メディアのニュースマックスTV(Newsmax TV)は7日、「まだ勝者は決まっていない」「メディアが勝者を決めるべきではない」として、バイデン氏の当選を報道しない声明を発表した。