党文化の輸出:中国アニメ映画『ナタ2』興行ブームの裏にあるのは~

時事

2月18日、中国で1月に公開されたアニメ映画「ナタ2(哪吒2、Ne Zha 、哪吒之魔童閙海)」が世界歴代アニメ映画興行収入ランキング1位になった、と中国官製メディアが報じた。いっぽう、この映画には中国の伝統文化に反する内容が大量に含まれており、共産党文化の輸出がもたらす危険性について警鐘を鳴らす海外の専門家もいる。

同映画に関しては「空前の大ヒット」「関連グッズの爆売れ」などと同国官製メディアが一斉に大々的に宣伝してきたため、関連した話題は中国SNSで何度もトレンド入りしている。

現時点で興行収入は100億人民元(約2100億円)を突破しているが、その輝かしい興行成績については、「中国当局が国内の学校や国有企業、軍隊に至るまで、集団で観賞するよう要請していた」ことが指摘され、「詐欺だ」「国を挙げてのサクラ作戦」など批判の声も寄せられている。

哪吒(ナタ)は古代中国の神話に登場する人物で、勇敢さと善良さの象徴とされている。しかし、映画『ナタ2』では、哪吒は「魔童」として描かれ、下品で粗暴な行動が付け加えられている。さらに、嫉妬深く醜悪な悪役である申公豹が、正義の英雄であり指導者として描かれる一方で、本来は祥和で気高い「無量仙翁」が、弱者を踏みにじり、非道な行為を繰り返す元凶として描かれている。

多くのネットユーザーが「この映画は有害だ」などと指摘し、「まさに文化の歪曲と変異の典型だ」と批判している。いっぽう、中国共産党が『ナタ2』を全面的に擁護しており、同映画に関する質疑は許されず、その内容を批判し、評判を落とすような声はことごとく封殺に遭っている。

業界関係者によると、中国共産党は党文化を海外に輸出するために、中国の映像業界を一つの道具としており、『ナタ2』はその典型的な例だと指摘している。

中国本土の映画プロデューサー 石宇歌氏
「全体の価値観がまるで合わないのに、米国人が信じるはずがありません。でもそれは問題ではないのです。彼らが最も重視しているのは、海外にいる華人をどのようにコントロールするか、それが彼らの任務なのです」

『ナタ2』には、中国の伝統文化に反する内容が大量に含まれているだけでなく、複数の要素が米国を皮肉るものとなっており、米国に対する文化的な超限戦を仕掛けていると指摘されている。専門家らは、中国共産党による精神的洗脳に警戒するよう呼びかけている。

中国人権派弁護士 呉紹平氏
「この作品には中国の伝統文化を歪曲する要素が見られます。作品全体のテーマや趣旨は、中国共産党による無神論の宣伝に寄与しています。例えば、主人公が『我命由我不由天(私の運命は天ではなく自分が決める)』と言う場面がありますが、これは無神論的な思想や反宗教的なメッセージを含んでいます」

【引用記事】
・大紀元(2025年2月20日)https://www.epochtimes.jp/2025/02/284526.html
・大紀元(2025年2月20日)https://www.epochtimes.jp/2025/02/284560.html
・NTDジャパン(2025年2月17日)https://www.ntdtv.jp/2025/02/63245/

【参考記事】
The Controversy Behind the Box Office Boom of Nezha 2 in Mainland China
中国本土における『ナタ2』興行ブームの裏にある論争)

(和訳)これらのセリフは、無神論、暴力への愛、復讐、嫉妬など、中国共産党文化の思想に影響を与えています。「私が幸せでなければ、あなたも幸せにはさせません。」

【記事の要約】
On February 13, the Chinese animated film *Nezha 2* made over 10 billion RMB at the box office, ranking among the top films in global box office history. The news quickly went viral on Chinese social media, with state-run media celebrating it as a sign of China’s growing influence in global cinema.

However, some critics argue that the movie lacks creativity, promotes violence and hatred, and has crude dialogue. They believe it distorts the deeper meaning of Chinese culture, which is meant to elevate one’s spiritual realm. So, is *Nezha 2* a true success for Chinese animation, or does it reflect the impact of the Communist Party’s long-standing use of violent propaganda in shaping Chinese art and culture?

(和訳)2 月 13 日、中国のアニメーション映画 *Nezha 2* が 100 億人民元を超える興行収入を記録し、世界の興行収入史上トップ映画の一つにランクされました。このニュースは中国のソーシャルメディアで急速に広まり、国営メディアはこれを世界の映画における中国の影響力拡大の表れとして称賛した。

しかし、一部の批評家は、この映画には創造性が欠けており、暴力と憎悪を助長し、会話が粗雑であると主張している。彼らは、それが人の精神的領域を高めることを目的とした中国文化のより深い意味を歪めると信じています。それでは、*Nezha 2* は中国アニメーションにとって真の成功なのでしょうか、それとも中国の芸術と文化の形成において共産党が長年にわたって暴力的なプロパガンダを使用してきた影響を反映しているのでしょうか?