中国臓器移植の実態 忍び寄る黒い勢力

人権

中国の臓器移植産業はすでに数千億人民元(数兆円)の規模に達していますが、その背後には残忍で非人道的な生体臓器収奪(臓器狩り)があります。中国の臓器移植企業である上海健耕医薬科学技術株式会社(健耕医薬)は、2020年の上場申請に失敗した後、2022年に再度上場申請を行いました。理由は何でしょうか?中国共産党(中共)の生体臓器収奪の犯罪が世界的に注目される中、追及の大波を起こせるのでしょうか?

上海の健耕医薬は2003年に設立され、筆頭株主で実質的な支配者でもある吳雲林(氏wú yúnlín)氏は上海出身の52歳です。彼は上海中医薬大学を卒業し、上海龍華医院の元(読み:もと)外科医で、臓器移植分野で26年間働き、直接的・間接的に会社の32.51%の株式を所有しています。

上海は中共の江沢民一派の本拠地であり、健耕医薬が設立された2003年は、江沢民一派による法輪功への迫害が最も厳しい時期でした。中共メディア・新華網によると、中国では2003年から2009年5月までの間、死後、臓器を提供した人はわずか130人でしたが、中国では毎年約1万1,000件の臨床臓器移植が行われていると言います。この大きな数字の差の背後には、中共による、生きている法輪功学習者からの臓器収奪(臓器狩り)があります。

2005年に健耕医薬は、米国の有名な医療機器会社ライフライン・サイエンティフィック(Lifeline Scientific, Inc(LSI))社の中国独占代理店となりました。2016年に健耕医薬は、この米国企業を5億8,000万人民元(約116億円)で買収しました。LSI社は1998年に設立され、本社は米国シカゴにあります。創業者はクラヴィッツ氏(David Kravitz)です。

健耕医薬は、2022年の「目論見書(草案)」で、LSIが開発した単一製品「LifePort腎臓灌流手術ボックス」に収益を依存するリスクがあることを明らかにしました。
※目論見書:有価証券の募集あるいは売出しにあたって、その取得の申込を勧誘する際等に投資家に交付する文書で、当該有価証券の発行者や発行する有価証券などの内容を説明したもの

また、「Blue Whale Finance」レポートによると、健耕医薬はLSIを買収してから6年が経ちますが、製品のコア技術を完全に習得しておらず、中核となる研究開発チームは依然として米国にあり、主な販売拠点も米国にあります。

注意すべきは、米国では毎年移植手術が2万件を超えず、年平均成長率も約5%のため、この製品は米国国内市場では潜在的に伸びる可能性がないことです。

それでは、なぜ、賢明な上海人が、製品の主要販売地で大きな成長が見込めない会社に対して、これほど巨額の投資をしたのでしょうか?

その理由は2つあります。1つ目は、米国企業の技術と製品の取得が、中国にとって急務であったことです。2つ目は、中国は、米国の市場より多くの利益が見込めるからです。健耕医薬が技術を取得して国産化すれば、コストを削減でき、巨額の利益が手に入ります。

では健耕医薬の5億8,000万人民元(約116億円)の買収資金はどこからきたのでしょうか?2020年9月、健耕医薬はこの買収を行うために、上海自由貿易試験区に全額出資した子会社、「上海耘沃」を設立しました。この会社は、2016年10月、「陽光生命保険」と「新疆嘉財」によって6億人民元(約120億円)増資されました。この資金によって健耕医薬は、米国企業を買収できたのです。

「陽光生命保険」は2007年に設立され、大株主は陽光保険グループです。陽光保険グループは、中国石油化学、南方航空、中国アルミニウムなどの大型国営企業が設立したものです。中国石油化学は周永康の地盤であり、その前会長である蒋潔敏は周永康の汚職事件に関与したとして失脚しました。

「陽光生命保険」のトップである張維功は、広東保監局局長を務めた人物で、自分の後ろ盾を、国の保険部門のトップ、中共保監会前主席の項俊波だと明言しています。

曾慶紅の「白手袋(利益をもたらす者)」だった「明天系企業グループ」のトップ・肖建華が2017年に逮捕された後、項俊波と張維功は「『陽光生命保険』の後ろ盾は、周永康や曾慶紅など江沢民派の大物で、江沢民派こそが法輪功学習者の生体から臓器狩りをする最大の実行部隊だ」と供述しました。

健耕医薬の背後には財界、巨大な国有資本、経済界など様々な人々がいます。国内の巨大な違法臓器移植市場が提供する血なまぐさい資金と相まって、あまり社名を知られていない、健耕医薬への巨額投資の理由を知っている人は多いのです。

健耕医薬は2022年の目論見書で公然と嘘をつきました。「米国腎臓疾患データシステム(USRDS)2021年の年次報告によれば、米国では腎臓移植の平均待機時間は50ヶ月を超える。中国ではさらに待機時間が長くなる可能性がある」と述べています。

これは明らかに犯罪の隠ぺいです。「法輪功迫害追跡調査国際組織(追査国際)」(WOIPFG、本部=米国)は2023年2月2日から3月21日まで、法輪功学習者の生体から臓器を摘出した疑いのある一部の病院に対して電話による追跡調査をしました。その結果、肝臓や腎臓を中心とした臓器移植は全国的に普及しており、待機時間が短く、臓器提供者(ドナー)も豊富だとわかりました。肝臓や腎臓移植の待機時間は約2ヶ月であり、全国各地の病院でも常態化していると言います。

健耕医薬の嘘は、自分たちの財務データによっても暴かれています。中国メディア・新浪網の記事によると、「健耕医薬は2020年の目論見書で、臓器保存および修復製品の購入量が前年(2019年)に比べて大幅に増加したことを明らかにしており、その中でも、輸血循環セットや臓器保存液などの購入量が前年比で3倍以上も増加した」と指摘しました。

しかし、奇妙なことに、臓器保存および修復製品の売上高は、前年比で大幅に減少しました。最大の増加率を示したのは機械灌流消耗品キットと臓器保存液で、増加率は100%以内でした。

つまり、2019年の原材料の購入量は、事業規模の成長(販売量)をはるかに上回ることになりました。 健耕医薬は2018年に2,285ℓ、2019年に3,250ℓの臓器保存液を販売する一方で、2018年に22,520ℓ、2019年に69,150ℓの臓器保存液を購入しており、購入量と販売量の差は、2018年で10倍以上、2019年で20倍以上でした。

健耕医薬は2022年の目論見書で「2019年、会社は将来の販売予測および安全在庫を考慮して、臓器保存液の購入を増やした」と不十分な回答をしています。これは明らかに根拠がありません。なぜなら、中国の臓器提供件数は、2019年が5818件であり、2018年の6302件から8.2%減少しているからです。健耕医薬が言う未来の販売予測はどこから来ているのでしょうか?では、消耗品キットや臓器保存液の購入量が販売量を遥かに上回り、この巨大な資金はどこからなのでしょうか?答えは違法な臓器移植の闇市場しかありません。

健耕医薬の現在の保証人は国金証券株式会社であり、中国国際金融株式会社が共同経営者です。健耕医薬の長い株主リストには多くの投資会社がありますが、財界から多くの資金が調達されています。これらの会社は健耕医薬の臓器移植事業について綿密なデューデリジェンス(調査)を行なっており、その背後にある血なまぐさい取引を確実に理解しています。では、なぜこれらの会社は、健耕医薬に投資しているのでしょうか?これは深く考える価値があります。

【引用記事】ニュース最前線 香港(2023年6月17日)