英中関係が悪化する中、最近、ニューカッスル市議会は中国共産党(中共)との姉妹都市関係を解消した。英国の治安当局は全国の孔子学院の閉鎖を約束し、警察はロンドンとグラスゴーの、中共の「海外交番」を調査しているという。
ニューカッスル市議会が太原市との姉妹都市提携解消を全員一致で決議
英国北部ニューカッスル市のウェンディ・テイラー自由民主党議員は、「中国(中共)政府は国際基準を無視するだけではなく、人権、民主主義、自由などの普遍的価値観に無関心である」として、同市と中国・太原市の姉妹都市関係を解消する動議を出し、その旨の請願を提出した。この活動は、香港の学生が中心となって運営する団体「ニューカッスルは香港と共に立つ」(NSWHK)が促進したものだ。
この動議は11月2日にニューカッスル議会で審議し、採決された。テイラー氏は香港の問題について、「中共が2020年に制定した国家安全法は『英中共同声明』に違反し、香港から、かつての高度な自治権を奪った」と指摘した。
ニューカッスル大学の中国問題専門家、ジョアンナ・スミス・フィンリー氏は、昨年、ウイグル族の人権を擁護したことにより、中共から、いわゆる「制裁」を受けた。テイラー氏はフィンリー氏の国会への公開書簡を読み、「彼女は良心と社会正義のために制裁を受けた」と述べた。この制裁は、英国における学術の自由に対する重大な脅威だとみなされている。
また、労働党のジェーン・バーン市議会議員は、「動議の修正案は、不当な裁判、脅迫、拷問など中国の人権状況の悪化を指摘したアムネスティ・インターナショナルの報告書にも触れている」とし、その上で、「ニューカッスル市は、自由と民主主義のために戦う人々とともに行動すべきだ」と述べた。市議会議員全員が太原市との姉妹都市関係を解消する動議に賛成したという。
英国内全ての孔子学院の閉鎖
11月1日、英国のトマス・タジェンダット安全保障相は、「リシ・スナク新首相は、孔子学院が多くの英国の大学の自由を脅かすと考えており、閉鎖を検討する予定だ」と述べた。
9月、英国メディアは、アリシア・カーンズ下院外務委員会委員長が、英国内の孔子学院に代わる中国語教師を徐々に派遣するよう台湾と交渉していることを明らかにした。
スナク氏は7月の首相選挙戦のテレビ討論で、中共を「今世紀最大の安全保障上の脅威」とし、英国内のすべての孔子学院の閉鎖を含む一連の対策を提案するなど、厳しい姿勢で臨んでいた。
英国には世界で最も多い31の孔子学院があり、スナク氏は、英国政府が小中学校の中国語教育に使うお金とほぼ同額が大学の孔子学院に使われているとし、間接的に中共のソフトパワーに貢献しているという。
また同氏は、中共のサイバー脅威への対処、中共の企業スパイによる「知的財産の窃盗」への対策や戦略的に重要なテクノロジー企業など、英国の重要資産を中共から守るための新たな自由国家連合を作ると表明した。
中共の「海外交番」を調査する
人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」(Safeguard Defenders)の報告によると、中共の公安当局は21カ国に54カ所の「海外交番」を設置しており、そのうち英国では、ロンドンやグラスゴーなどに3カ所が設置されている。
英国議会は少なくとも2回、中共の「海外交番」に関する緊急質問を行った。11月1日の質問に対してタジェンダット安全保障相は、「英国政府はこうした中共の無申告警察活動を懸念しており、警察に事件を追跡調査し、捜査を行っている」と発言した。
同氏は、中共が「国境を越えた弾圧」を行おうとしていることは「容認できない、止めなければならない」と述べ、その上で、英国にある、いかなる外国組織も、英国の法律を遵守しなければならず、いかなる個人をも、本国へ不法送還する試みは許されないと強調した。
また同氏は、英国が近い内に提出する「国家安全保障法案」についても言及し、新しい法案では、外国の権力が個人に対して強制や嫌がらせ、脅迫をすることは刑事犯罪となる。
11月1日、オランダが中共の「海外交番」の即時閉鎖を命じ、続いてアイルランドがダブリンの「海外交番」の閉鎖を命じた。ドイツとカナダも、それに続いて調査を始めている。
【引用記事】ニュース最前線香港 https://www.youtube.com/watch?v=BMQu-kz7Xdw&t=2s